みんなのシネマレビュー |
|
【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
1. オー! 《ネタバレ》 〝ルパン実写版・犯罪は割に合わない現実編〟というような内容。裏社会の小物が殺人は犯さないと豪語する義賊気取りで成り上がり墜ちていくまでを短時間ながら要所をおえて描いています。ヒロインの突き放したような悲劇的な呆気ない最期などけっこう暗い所もあるのですが、映画は軽快なサウンドに乗せてどこまでも娯楽で進み男のロマンが息衝いている感じです。ジャン=ポール・ベルモンド演じる主人公はお洒落さんで少々すかしていますが伊達男っぷりはやっぱりカッコ良いですし、「冒険者たち」に続きロベール・アンリコ監督はジョアンナ・シムカスをとても美しく撮っています。個人的にはベルモンドが断った女と階段で擦れ違うシーンがお気に入りで、ベルモンドのシムカスに対する想いと下から望めるミニスカートの可愛らしい娘への欲情で悶々とするオーの気持ちがよく表われています。[DVD(字幕)] 8点(2007-10-17 18:18:56) 2. オーギュスタン 恋々風塵 《ネタバレ》 前作の野心的で荒削りの作風は何処へやらで残念なまでに小奇麗な作風になり、これが本当にあの続編なの?ってぐらいの様変わりです。そのためかオーギュスタン氏のキャラクターも余波を受け変貌を遂げています。なんと言いますか早い話、大分まともな人物になっています。何より人に必要とされているし、好きな事へ迷い無く一直線で全力投球の姿はもはや羨望の眼差しで見てしまいます。もちろん突拍子もなさや異常なまでの行動力は相変わらずですが、妙な部分への執着心は設定から削除されてしまったみたいです。という訳で、てっきり接触不能のインチキカンフーで笑わせてくれるのかと思いきや予想外にも真面目な展開。しかも彼に最も似つかわしくない恋物語。それもシットリの純愛もの。…ところが、なかなかどうしてこれが良いんですねぇ。僅かな行き違いが修復不可能な亀裂となっていくのは恋愛ものとしては常道の展開なのに、丁寧に見せてくれて最後は切なくて胸に染みます。デリケートで不安定な線上での二人の関係がしっとりとした画面で実に良く描かれ、覚えずホロリとします。殊にラストに見せる〝デッドパン〟のオーギュスタン氏の表情は得も言えぬ素晴らしさです。[DVD(字幕)] 8点(2007-08-08 18:23:50) 3. 黄金時代 《ネタバレ》 これはチョット凄いですね。確かにストーリーらしき筋はあるのですが、あまりにアバンギャルドで大胆な象徴や隠喩の連続なのでこっちは戸惑いの連続です。強烈な愛欲により社会秩序や宗教をシニカルに批判したブラックユーモアなのでしょうか?乱暴狼藉を働いたり、子ども撃ったり、牛やキリンが部屋にいたり、ここで終わりなの?というエンディングだったりと何事も唐突に起こるので、というより普通の部分を探す方が難しいぐらいなのでさっぱり訳が分りません。おそらく作り手が意図して理解不能の状態にしているのでしょうけど、このハイセンスさと上映時間の短さがないと私などはとても付いて行けません。しかしそれにしてもこの時代にこんな映画撮っていたなんて驚きです。[DVD(字幕)] 6点(2006-09-27 18:16:09) 4. 桜桃の味 《ネタバレ》 自殺の協力者を吟味してわざわざ善良らしき人々に頼むのは、潜在意識では死にたくないと思っているからだと思います。子供が悪さをしてちゃんと叱られるかを確かめるみたいに。その〝自殺〟からの〝生〟への執着という観点は面白いです。ウズラを殺す実際死に隣接している初老の男に〝生〟の素晴らしさを訴えられて立ち直る展開も〝死〟と〝生〟の対比でしょう。道義的な主義では決して説得されないというのも根本的な〝生〟の尊さを見直しているように思います。生きている幸福感が〝飛行機雲〟や〝雲の切れ目から覗く月〟というのが何とも微笑ましいじゃないですか。それに「寝ているのかもしれないから石を投げて確かめてくれ」と頼むシーンはちょっぴり可笑しかったです。それから笑い話なのかもしれませんが〝指の骨折〟も上手い話ですね。〝考え方が病気なんだ〟って思わず納得してしまいました。・・・ただ、確かに面白い切り口なんですが、何にもない風景の中、どうという展開もないストーリーが進んでいくので、正直退屈して途中で何度も睡魔に襲われてしまいました。夜中に観ていたら主人公と共にさわやかな朝?を迎えていたでしょう。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-03-20 18:40:26)(良:1票) 5. 大人は判ってくれない 《ネタバレ》 映画を観に行ったシーンでは実に幸せそうな家族に見えるのが何とも残酷です。子どもに無関心でもなく時に思い出したように、もしくは良心の咎めを回避するように愛情を示す様子が逆に両親の深い愛情の欠如を浮き彫りにしています。大人がいつしか子供の感受性の豊かさや傷つきやすさなど忘れてしまうし、大人にはたいした事でなくても子供にとっては重大な事がある。そんな当然ながら誰もが忘れてしまう重要な事実が胸に痛いです。そしてアントワーヌが走り続けるラストが秀逸。まるで鑑別所から逃げるのと同時に自らの置かれている境遇を振り払っているかのようで印象深いです。さらに最後の表情が良い。ただ私には強さや意志といったポジティブなものではなく、ただただ途方に暮れているように見えました。 ・・・原題は直訳すると〝400の打撃〟、これは〝騒ぎ〟や〝イタズラ〟を意味するらしいです。もちろん原題も良いですが、邦題の〝大人は判ってくれない〟はピッタリの感じがします。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-02-08 18:29:13)《改行有》
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS