|
プロフィール |
コメント数 |
1047 |
性別 |
男性 |
年齢 |
30歳 |
自己紹介 |
とにかくアクションものが一番
感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます
備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません 10点…大傑作・特に好き 9点…好き・傑作 8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く |
|
1. メリエスの素晴らしき映画魔術
《ネタバレ》 ジョルジュ・メリエスに関するドキュメンタリー映画。
冒頭の「月世界旅行」における月に近づいていくシーンに始まり、1890年代の世紀末のパリの様子、メリエスの生涯や映画環境の変化、リュミエール兄弟、チャップリンに影響を与えたマックス・ランデー、チャップリン、メリエスの様々な作品のワンシーン、アイデアを書いたメモやイラスト、生前の写真や撮影風景をメリエスの肉声を交えながら映していく。
それを手回しのキャメラで見せ、聞かせてくれるような演出が面白い。
メリエスのアイデアが残されたイラストで幾つか気になったのが、首を切った筈の人間が追いかけてきたり、布をかけて女性を消す手品(「ロベール=ウーダン劇場における婦人の雲隠れ」)のタネなど。
実際のマジシャンだったメリエスの豊富なアイデアには驚かされる。
監督したコスタ=ガブラスも語り、ジャン=ピエール・ジュネ、ミシェル・ゴンドリー、ミシェル・アザナヴィシウス、俳優のトム・ハンクスまで様々な人間がメリエスについて語る。
サイレントのフィルムに爆発音とかを入れたフィルムもあったな(このドキュメンタリーのために付け加えたのだろう)。
撮影当時を再現しようとする試みも面白い。
14分を過ぎたあたりでいよいよ「月世界旅行」の話題に。メリエスを代表する映画と言ったらコレだし、自分でカラー化までしちまうんだからメリエス本人もかなりの思い入れがあっただろうな。
スペインのメリエスことセグンド・ド・ショーモン(Segundo de Chomón)によるリメイク「Excursion dans la lune」まで取り上げるんだからガブラスたちも凄いぜ。
ジュール・ヴェルヌの原作の挿絵、もう一つ映画の元になったハーバート・ジョージ・ウェルズ(H・G・ウエルズ)の作品群、エイリアン。
再び挿入される月に近づいていくシーン、トム・ハンクスによる月面に着陸した探査機を背景にした語り。
当時の映画館に詰めかける人々の表情、エジソン、ニューヨークの摩天楼。当時の人々が映画で夢を描いたように、現代を生きる我々は過去の作品に懐かしさを覚え、今を見つめ直す。
「月世界旅行」のカラーフィルムの修復風景。
色鮮やかなカラー、1カット1カット丁寧に着色していく。
空を飛ぼうと挑み続ける人々の姿、宇宙の前の大空、アニメーション、進化していく映画、移りゆく時代のうねり。まるでチャップリンがあの光景を劇場で見ているような編集が面白い。
火災、風刺画、トーキーの時代、見る影もない晩年のメリエスの姿が見ていて辛い。葬儀の一部を収めたカラーフィルムから現代のロケットの打ち上げへ。
劣化してしまったフィルムの様子は寒気がする光景だ。溶けて変色してしまったフィルム。
それを防ぐための作業風景。
フィルムを透明な鍋に入れて、スープのように保存し、フィルムを傷つけないようにフィルムを差し込んで少しずつ剥がし、それを一枚一枚カメラで撮影していく。
デジタル技術の進歩はよりフィルムを蘇らせられる良い時代になったと思う。切り貼り、気の遠くなるような作業、専用の洗浄液・・・どれも映画が好きだからやり遂げられるのだろうな。
最後はカラーフィルムで「月世界旅行」の“あの場面”をもう一度映して終わる。[DVD(字幕)] 9点(2015-07-30 16:00:43)《改行有》
2. 眼には眼を
《ネタバレ》 アンドレ・カイヤットはヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を二度も受賞した存在であるが、最近まで彼の存在は忘れ去られていた。
フランス本国やアメリカでもカイヤットの名は余り聞かない。
知る人ぞ知る存在にすぎなかったカイヤットだが、TUTAYAからもDVDが出たし、今最も再評価が進む作家の一人だ。
というより、非常に日本人好みの映画なのかも知れない。
この「眼には眼を」は一言で言うと、“逆恨み”を極限まで高めた究極とも言える映画である。
復讐者も意地っ張りだし、それに対峙する医者もどうしようもない頑固者。意地と意地のぶつかり合いだ。
「あんたが殺したって言ってんだろ!!」
「あれは事故だっつってんだろうがっボケェ!!」
馬鹿VS馬鹿。
人々の葬儀の様子からはじまるファースト・シーン、画面は病院へと移る。
医者たちの淡々としたやり取りが、やがて壮絶な意地の張り合いへと発展していく。
不幸な偶然が重なり起こる“死”。
助手の「先生なら助けられた!」という一言も妙に突き刺さる。
それと同時に医者の周りで異変が起き始める。
冷たくなった女の顔、その顔が移った写真、
無言電話、
無言で何かを語りかける車、
時々姿を見せるサングラスの男の不気味な影・・・。
アンリ=ジョルジュ・クルーゾーのような徐々に緊張感を高めていくスリルだ。
撤去した筈の車が元通りになっているのもゾッとする。
120kmが空耳で300kmと聞こえた俺は病院行った方がいいのかも知れない。
翌朝よそよそしくなる妹も怖い。
それにしても、長くいて現地語を殆ど覚えていない医者も医者だけど。
ま、密室で付きっきり、通訳もいればそんな気も起こらないだろうか。
それにしたって通訳を連れて来なかったのはおかしい。
せめて帽子くらいは被ろうぜ・・・。
ナイフ投げのシーンやゴンドラの異様な緊張。
医療器具を落としたのも絶対“ワザ”とだろう。
復讐者の変質的な嫌がらせもエスカレート。家族もいるのにこの男は・・・酷い野郎だ。
砂漠の様な場所を延々と歩き続ける。
出血多量になろうがそれすら演技にしてしまう恐ろしさ。
復讐者の体力も凄まじいが、医者も気力でふんばる。
動物の死骸が腐っていく様子が恐ろしい。
医者は余りに絶望的な“良い旅”へと出掛けていく・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:43:11)(良:1票) 《改行有》
|