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1. めぐり逢う大地
悪魔に魂を売った時代遅れの男が辿る運命を描いた、文芸大作風西部劇。原題が示す通り、この物語の主人公はピーター・ミュラン。しかし、この名バイ・プレーヤーには華が無さ過ぎる上、登場人物達の中核を成すだけの求心力が最後まで感じられない。もちろんマイケル・ウィンターボトムの演出にも問題があったのかもしれない。だから物語がエピソード毎に分散してしまって、支流が集まって大河ドラマを形成する筈が、何本かの支流ドラマのまま終わってしまった印象。また、折角大規模なオープン・セットを組んでるのに、例によってウィンターボトムが手持ちカメラのクローズ・アップを多用するので、非常に勿体なく感じました。この作品は、文芸映画には合わない人達だけで作ってしまったのかもしれません、5点献上。[CS・衛星(字幕)] 5点(2006-05-08 00:03:15)
2. メルシィ!人生
差別意識を逆手に取ったストーリー展開で、一般社会の何気ない偏見を辛辣に風刺すると共に、マジョリティ以上の力を身に着けてしまった嘗ての被差別者を前にして、一般社会が右往左往する現状もチクリと皮肉ってる、かなりエスプリの利いた傑作コメディ。ゲイを装うことを提案された主人公が「ゲイの真似なんか出来ない」と言った時、隣人が答えた台詞に本作のテーマが集約されている。「君は変わらなくても良い、周りの目が変わるんだ」。しかも映画は単なる風刺劇で終わらず、周りの目が変わっていくに従い、自分の人生を見つめる主人公自身の目が変わっていく過程を描いた、邦題通りの爽やかな人生賛歌にもなっている。「奇人たちの晩餐会」の何倍も楽しませて貰って、メルシィ!監督って感じです、8点献上。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-16 00:08:38)
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