|
プロフィール |
コメント数 |
894 |
性別 |
|
自己紹介 |
ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。 「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。 映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。 目指せ1000本! |
|
1. ユナイテッド93
《ネタバレ》 最後まで動悸が収まらない。勿論、本作は娯楽映画ではない。膨大な資料と電話のやり取りからどこまで911に迫れるか。いつもと変わらない日常から地獄絵図に変わる光景を、一機の旅客機を中心に一気に見せるグリーングラスの演出力に引き込まれる。テロリスト及び乗客乗員が全員死亡した以上、どこまでが真実か分からない。陰謀論を唱える人もいるだろう。ただ、双方の"神に祈る"行為が、「こうあって欲しい」という理想のすれ違いにおける悲劇であることがことさら強調されているように思えた。911後、現代の宗教戦争の様相になっていくが、あくまで"その日"の事態だけを描き、思想・感傷をできるだけ排したフラットで真摯な姿勢が伝わる。[映画館(字幕)] 9点(2018-10-22 20:01:58)(良:1票)
2. ユリシーズの瞳
《ネタバレ》 採点不能に近い。ハリウッド俳優のハーベイ・カイテルを主演に据えているものの、3時間近い上映時間に長回しと政治的要素が強いため、映画館で観ていたら確実に寝ていた(本来のアンゲロプロスはこんな感じだろうが)。しかし、映像に目を見張るものがあるのは事実で、白黒からカラーに移り変わる際に現れる青い船、ワンカットで捉えた数年に亘る元旦、運河を渡る巨大なレーニン像、雪のサラエボ市街の交響曲と霧の中の虐殺が目に焼きつく。映画の歴史とは常に真実の記録と表現の闘いの歴史であって、独裁国家であったギリシャや旧ユーゴとは無関係ではないはず。1995年のカンヌ映画祭では、クストリッツァの『アンダーグラウンド』が最高賞、本作が次点であると見るに、当時の旧ユーゴ内戦の関心度の高さが伺える。[ビデオ(字幕)] 5点(2015-09-01 20:32:13)(良:1票)
3. 雪の轍
《ネタバレ》 全員が悪人ではないのに、ふとした擦れ違いとプライドが話を拗らせ、何も解決しないまま現状維持で終わる。 アスガー・ファルハディ監督の愛憎劇を彷彿とさせるが、グイグイと引き込むような話術も詩情もなく、3時間強のほとんどを室内の鬱屈した対話で占めるため、淡々を通り越して睡魔で幾度か分けて観るはめに。3時間以上描くほどの密度もなく、理屈を捏ね繰り回す議論はただただ空疎でしかない。理想主義の妻と現実主義の夫がエゴとエゴの衝突を機に、互いに見えなかったものに気付くエピソードに答えがあるのだろう。カッパドキアの雄大な雪景色がつまらないことで諍いを起こす人間の小ささを際立たせているようだ。そんな深刻な事情も汲み取れない日本人観光客が愚かに見えた。それは、この映画の良さが分からない自分そのものか。[DVD(字幕)] 3点(2016-04-19 20:59:11)
|