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1. 汚れた血
《ネタバレ》 なつかしいね、両腕をひろげたビノシュ。 カラフルな2作目はアンナの恋人が年上の男なのもあって彼らの若さがきわだつ。 赤や青、あざやかな色のイマージュは、90年代のキェシロフスキ「トリコロール」3部作のアイディアも生んだのではないかと思えるほどで、あの3人のうち2人はこのビノシュとデルピーでもあるし。 「モダン・ラブ」で塀ぞいに疾走するラヴァンは依然ボウイ信奉者カラックス、この躍動感は最後のビノシュと対か。 SFチックな設定はかすみがちだけれど、感覚と純愛がメインらしいので気にならない映画は、飛行場であれほど思ってくれたアレックスの命がつきるとアンナの中で何かがこわれ、鳥のように、風のように滑走路をひた走る、青春を切りとったようなラストシーンが鮮烈。[DVD(字幕)] 8点(2013-10-10 07:00:02)
2. 夜よ、さようなら
《ネタバレ》 5年間娼婦としてパリの歓楽街に立ったジャンヌ・コルドリエの実録小説の映像化。ヒモの男に心うばわれ彼のために苦界に身を投じるマリーはミュウ・ミュウ。仲間マルーのマリア・シュナイダーは「ラスト・タンゴ・イン・パリ」からの復帰作で台詞は少ないものの存在感を見せ、監督のダニエル・デュバルが狡猾なヒモのジェラールを演じる。原作ほど赤裸々でなく乾いたドキュメンタリー・タッチで描く。さまざまな客をとるうちに最初は泣いていたマリーもいっぱしのコケットとして流し目を使うようになるが、一方で心は磨り減ってゆく。マルーと逃げ出してもヒモの策略で戻され、終わりないように思われる奈落からついに脱け出す彼女。命さえ危ぶまれる代償を払っても‘Non’と言いつづける女を痛めつけたあげく泣き崩れ取りすがるジェラールも哀れだ。「俺のだいじな小娘が…」たとえ堕ちても、そこで朽ちてしまわず出口を模索する人間には常にひかれる。[映画館(字幕)] 8点(2009-12-08 00:02:10)
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