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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作国 : フランス 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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21.  居酒屋(1956) 《ネタバレ》 洗濯場での喧嘩や誕生パーティのバカ騒ぎのシーンに凄いパワーを宿しています(あの示し合わせた感じの無いちょっとしたバラバラ感が妙にリアル)。そこには品格とは無縁な生々しい野卑な人間が存在し喜怒哀楽がつめこまれているのですが、その辛辣な人間の、男と女の描写こそ人間の本質というもので博物館で芸術的な絵画を〝向こうにもっとイヤらしいヤツがあるぞ〟と走り回る、まるで中坊のような大人たちがとっても生き生きしています。だからこそ最後に呆然としているジェルヴェーズ(この女優さんが雰囲気抜群!)の姿は活力を失い死人同然のようで悲劇性が高まっています。さらに世代交代でラストに男子を引き連れて走る娘のナナの姿が、新しい人生の始まりと同時に繰り返される悲劇を連想させ感慨深いものとなっています。  ・・・余談ですが、確かゾラはこの娘のナナを主人公にした小説も書いていてそれも波乱万丈の人生だったような…生きるってことは大変です。[ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-25 18:11:06)(良:2票) 《改行有》

22.  田舎司祭の日記 題名に違わずこれは全くもって日記の映画、つまりはブレッソン監督の信仰への告白と思える作品です。本作に限らず監督の隙の無い作品を観て何となく想像していましたが、やはり厳格な方なのだと思います。例えば本作は、本来なら滑稽になりかねない説明に値する言葉の氾濫を逆手にとってテーマを厳しく追及しています。神経質に書きなぐられる日記、仏語が分からないので読めませんでしたが字面を画面に提示している上に独白を被せことごとくシーンを解説してしまう念の入れよう。次元の違う私事で恐縮ですが学生時代の折、暗記科目の試験勉強は書いてつぶやきながら覚えていました。それは読むだけではなく、見て目で覚え書いて手で覚え、口に出し耳で覚えるという様々な感覚に訴えることで記憶しやすくする方法だったのですが、これと似たような効果が働いて映画を印象深いものにしているのだと思うのです。苦悩する若司祭、信仰というデリケートな題材において自ら退路を断つように確信をもって描いたブレッソン監督は、自己に最も厳しいのでしょうね。[DVD(字幕)] 8点(2007-11-14 18:09:48)

23.  オー! 《ネタバレ》 〝ルパン実写版・犯罪は割に合わない現実編〟というような内容。裏社会の小物が殺人は犯さないと豪語する義賊気取りで成り上がり墜ちていくまでを短時間ながら要所をおえて描いています。ヒロインの突き放したような悲劇的な呆気ない最期などけっこう暗い所もあるのですが、映画は軽快なサウンドに乗せてどこまでも娯楽で進み男のロマンが息衝いている感じです。ジャン=ポール・ベルモンド演じる主人公はお洒落さんで少々すかしていますが伊達男っぷりはやっぱりカッコ良いですし、「冒険者たち」に続きロベール・アンリコ監督はジョアンナ・シムカスをとても美しく撮っています。個人的にはベルモンドが断った女と階段で擦れ違うシーンがお気に入りで、ベルモンドのシムカスに対する想いと下から望めるミニスカートの可愛らしい娘への欲情で悶々とするオーの気持ちがよく表われています。[DVD(字幕)] 8点(2007-10-17 18:18:56)

24.  オーギュスタン 恋々風塵 《ネタバレ》 前作の野心的で荒削りの作風は何処へやらで残念なまでに小奇麗な作風になり、これが本当にあの続編なの?ってぐらいの様変わりです。そのためかオーギュスタン氏のキャラクターも余波を受け変貌を遂げています。なんと言いますか早い話、大分まともな人物になっています。何より人に必要とされているし、好きな事へ迷い無く一直線で全力投球の姿はもはや羨望の眼差しで見てしまいます。もちろん突拍子もなさや異常なまでの行動力は相変わらずですが、妙な部分への執着心は設定から削除されてしまったみたいです。という訳で、てっきり接触不能のインチキカンフーで笑わせてくれるのかと思いきや予想外にも真面目な展開。しかも彼に最も似つかわしくない恋物語。それもシットリの純愛もの。…ところが、なかなかどうしてこれが良いんですねぇ。僅かな行き違いが修復不可能な亀裂となっていくのは恋愛ものとしては常道の展開なのに、丁寧に見せてくれて最後は切なくて胸に染みます。デリケートで不安定な線上での二人の関係がしっとりとした画面で実に良く描かれ、覚えずホロリとします。殊にラストに見せる〝デッドパン〟のオーギュスタン氏の表情は得も言えぬ素晴らしさです。[DVD(字幕)] 8点(2007-08-08 18:23:50)

25.  アザーズ 《ネタバレ》 屋敷の外は霧がかかりボヤけているし、何より屋敷そのものの構造をしっかり把握させてくれない。何処にどの部屋があるのか正確には分からないのだ。この曖昧さが恐怖を煽っている。またピアノや鏡などクラシックながらホラー味あふれる道具の使い方も素晴らしい。その中でも特に鍵付きのドアが印象的である。別次元への空間移動の如くいちいちガチャガチャガチャガチャくどいまでにするのが何とも凄い。部屋ごとに隔てられ視界が限られる上に、一つ一つのドアが重要に思えドアの向こう側に恐怖を潜ませているあたりが本当に上手い。そしてニコール・キッドマンの透き通るような美しさも十分に活かし、この世界に力を与えておりとても良い。 ・・・ただ、惜しむらくは視点こそ違えど「シックス・センス」と同じオチになってしまっていることだ。あの映画とは全く別物だと思うのだが、これではどうしたって比較されてしまうし、免疫のできた観客には驚愕のラストというわけにはいかなくなってしまっている。「シックス・センス」に触発されてできたのではない、ただの後発の作品だったとしたら丁寧に作られているだけにそこが残念である。[映画館(字幕)] 8点(2007-08-01 18:40:02)(良:1票)

26.  イン・ザ・スープ 《ネタバレ》 いただけないショットが多い気はするが・・・率直に言ってこれは好きな作品だ。さえない映画屋と協力者の奇妙な友情、モノクロが良い雰囲気を醸し出しているところは「エド・ウッド」と似ているが、こちらの方が少しばかり先だ。真剣に手を伸ばせば届くかもしれないけれど、うたかたの如く不確かな夢。夢を追いかけるのは素晴らしい事だけど、〝誰と一緒に見るか〟というのも大切なんだと思わせてくれる。本作はアレクサンダー・ロックウェル監督が実際に体験した出来事を基にしているらしく監督の思いが詰まっているので、どこか優しい感じがするのだろう。嘘から始まった真の友情、新たな船出に思いを語る中、隣で死んでゆくのは「真夜中のカーボーイ」を彷彿させる、喜劇であり悲劇でもあるが観終わった後、心がほんのり温まる心地の良い作品だ。アルドルフォとジョーの二人の人物造形が実に面白く、ブシェーミのチャチャチャの練習場面やジョーが路地で元気いっぱい踊りまくる場面などとても良い。ユーモアに富む素敵な台詞も随所にありハッとさせられる。ちなみに私の最も好きなシーンはアルドルフォに天使だと言われたアンジェリカが始めて彼に見せる笑顔で、その表情が驚くほど美しい。[映画館(字幕)] 8点(2007-06-04 18:27:22)

27.  フランティック ストーリー自体は格別面白いわけでもないですし些か冗長な感じもしますが、これが実に惹きつけられるのです。例えば屋根の上をスーツケースを持って歩くシーン、リチャードの心情の表われや靴がスッーっと落ちていく巧さ、鳩の存在までもがとても良い。それから犯人との取引きシーンの緊張感、赤いドレスの妻と赤いスカートのミシェルの交差などなど、どの場面をとっても取り分け派手なシチュエーションではないのに一つ一つに気分が高揚させられます。それに大の男三人が痴漢撃退スプレーでやられて慌てふためくところなんてユーモアも感じさせます。謎めいた女の怪しげな雰囲気も良いですし、大スターハリソン・フォードも役者ハリソン・フォードとして良いのです。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-03-22 18:54:21)

28.  メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬 《ネタバレ》 本作の何よりの見所はその見事な景観であり、トミー・リー・ジョーンズなるイカツイおっさんが失礼ながら予想を遥かに上回る美的感覚の持ち主だったことに驚く。しかもこのイカツイおっさんはやっぱり一筋縄ではいかない。けっこう単純なお話の時間をバラし構成を複雑にし注意力を引きつける、それでも気が緩むものならドーンと迫力万点のおばさんの裸や腐乱した死体を映しガードが下がったところへパンチを見舞ってくる。まったく油断も隙もならない。さらに、複雑で濁った現代社会で失われつつある友情に原点回帰する物語は、単純で純粋なヒューマニズムが溢れており温かさを感じる。自分本意のマイクが最後の最後で「一人で大丈夫か?」と声をかける。他者への関心があらわれ出し彼を救っているようであり、イカツイ風貌とは裏腹にトミー・リーの優しい一面を垣間見た気がする。・・・ところで、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名ほど中味は凝ったものではないが、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」という題名は近頃の映画の中では群を抜いてかっこいい。だって何度も口ずさみたくなる。メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬、メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬・・・・・長いのにあまり噛まないで言えるところが実に良い。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-09 18:08:48)(笑:1票)

29.  パンと植木鉢 《ネタバレ》 珍しい手法、面白い切り口なのでついつい作品の世界に引き込まれます。テーマは慈しみの心と実践が大切ということでしょうか。個人レベルでの手を差し伸べ合いが人類救済の第一歩であり、そこに可能性を見出しまています。こう文章に起こしてみるとかなり気恥ずかしいテーマなんですが、正面から熱く訴えるのではなく距離を置き時に笑いも交えながら嫌味なしにサラっと流しているので好印象。言うなれば撮影秘話のようなメイキング映像を観ているような感じなのです。もう本当なのか演技なのか線引きできないくらい自然であり、監督の答えをそれぞれの代役である爽やかな青年たちによって違和感なしに提示するあたり巧妙な構成です。それにしても本作を撮り、自分の若き頃の役に壮大な希望を持つ青年を選んだ監督は今でもきっと夢追い人なのでしょうね。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-02-19 18:06:27)

30.  ドン・キホーテ(1933) 《ネタバレ》 ドン・キホーテの物語を読むと悲しくなる。誇大妄想にしても理想や夢の敗北に思えサンチョと共に涙してしまう。本作は短時間なので簡略化され構成も変えられているが、原作ではコミカルな焚書シーンをラストに持ってくることにより正気と死が表裏一体に描かれ極めて深刻な場面へと変容し、小説よりも脆弱なドン・キホーテの姿に一層悲しみが募る。当然、狂気の沙汰のドン・キホーテもしっかり描かれており、敵と見立てた袋を剣で突くシーンや羊を襲うシーンには恐怖感を覚える。有名な風車に突っ込むシーンも圧倒的なダイナミズムで描かれドン・キホーテの敗退を決定付け、真面目に信じきる彼の元気溢れる姿と最後の茫然自失の姿、さらには嘲笑する大衆との対比が騎士の世界が夢物語であることを明確にしている。どこまでも忠実なサンチョを演じる役者さんも優しさが伝わってきて素晴らしい。[DVD(字幕)] 8点(2007-01-19 17:44:53)

31.  審判(1963) 同じカフカの『変身』でもそうですが、ある朝突然トラブルに巻き込まれる不条理劇は不可解で非現実的にしてリアル。暗闇に堕ちたようにもがく姿は人間の原罪について問うたのか、司法に対する皮肉なのか、この後台頭するナチスや複雑な現代社会の到来を予期したのか、多様な解釈が可能です。映画では現代性を持たせ職場での機械的な匂いや巨大なコンピューター、冷気が漂い閉塞感に満ち迷路のように迷い込み息が詰まるのは現代社会の息苦しさを象徴しているようです。特に不気味なのは画家の隙間だらけの家で見張るように覗く子どもたちの目、目、目!法廷でも大勢に囲まれましたが、大人に見られるより純粋な子どもに見られる方が罪悪を感じるようで居心地が悪いです。特異な世界を持つカフカ作品を映像化するなんて到底無理な話と思いましたが、個人的には映画のほうが好ましいぐらいで、どのシーンも強烈なインパクトを残します。[DVD(字幕)] 8点(2006-12-07 18:26:25)(良:1票)

32.  麦の穂をゆらす風 私は英国好きで映画も好んで観るのですが、正直なところアイルランドという国についてIRAで紙面を賑わせたことぐらいしか知りませんし、イギリスと呼ばれる地域がどのように成り立っているのかも不明です。そもそも日本ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドをひっくるめ便宜上〝イギリス〟という呼称を使っていますが、UKと呼ばれることからも分るように正式名はグレート・ブリテインおよび北アイルランド連合王国(辞書で確認してしまった;)であり、イギリスというのはイングランドから派生した言葉なのでイングランド以外の人々は気分を害すかもしれません。現在の状況ですらその程度の認識しかないのに歴史的背景はさらに複雑なはずです。まして本作は政治家でも軍人でもない市民目線からの描写なので社会全体の動向や彼らの行動の位置付けが把握しにくくアイルランド史を知らないと理解しづらいです。ですから両国の関係に造詣が深くないと本作を咀嚼したとは言えないと思いますし、また自国の人々がどう思ったのかが気になるところです。しかしその一方で、一般市民の兄弟が軸となった物語なので等身大であり感情移入などはし易いです。その結果、暴力から生まれる惨劇の数々に、どのようなバックグラウンドであろうと報復にしても武力行使は悲劇しか生まないのだという事と、醜い連鎖に終止符を打てぬ人間の愚かさ、哀しさが痛いほど伝わってきます。あらゆる場面が濃密であり、目を背けたくなる場面ですら瞬きするのも忘れそうです。[映画館(字幕)] 8点(2006-11-24 18:19:50)(良:1票)

33.  ジャンヌ・ダルク(1999) 《ネタバレ》 ジャンヌ・ダルクは本物のフランス王国の救世主なのか?はたまた英仏百年戦争の末期、苦し紛れの謀略による傀儡に過ぎない戦争の道具なのか?諸説、憶測が多々あるなか狂気のジャンヌを選択したのが興味深い。よくよく考えてみれば、うら若き乙女が戦場で剣をかざして駆け回るなんて正気の沙汰ではない。だが一方で、普通なら頭の危ない若過ぎる女指揮官などに命を預けるなんて到底できず、百戦錬磨の将軍たちはもとより兵士たちもついて来ないはずだ。しかしそこはさすがのリュック・ベッソン。強い女性を魅力的に描き、ミラ・ジョヴォヴィッチの迫真の演技も手伝って、わめき散らす男勝りのジャンヌや小首を傾げる愛らしいジャンヌに惹かれてしまう。将軍や兵士たちと共にジャンヌを信じたくなってしまう。〝フォッロ~ミ~!〟の叫びにどこでも突撃したくなってしまう。ボサボサ頭の彼女を美しいと思った時点で私の負けなのですよ。 ただ、一つ残念なのは世の中の動向描写が皆無に近いこと。戴冠式だけではなく解放された一般市民の歓喜の声が細かに描かれなくては、ジャンヌの功績が不明瞭でありせっかくの自問自答のシーンに客観的な一観客としての判断が下せない。仮にフランス人にとって常識的なことだったとしても英語劇で行ったからにはジャンヌの位置付けが漠然としている人種にも理解できるようにして欲しかった。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-11-15 18:22:37)

34.  月世界旅行 《ネタバレ》 砲弾型の宇宙船や落下による地球帰還は原作にあることですが、改めて映像化されたものを見るとそのセンスの高さに驚きます。もはや言わずもがなですが月の顔面に宇宙船が突き刺さる絵は圧倒的です。月の人?を連れて帰ってきてしまう映画ならではのオチも笑えます。バタバタ動く素早さや上映時間の短さが100年の時を経た今、逆に現代に相応しいスピード感と簡潔さを生み出しているとさえ思えます。[DVD(字幕)] 8点(2006-10-27 18:35:50)

35.  ガスパール/君と過ごした季節 《ネタバレ》 登場人物は誰もが不幸な境遇にありますが、それを感じさせないほど温かい視線で描いています。困っている人を見ると助けずにはいられない人の好いロバンソンと、損だと分っていながらも結局助けてしまう性質のガスパールの優しいコンビは好感が持てます。鼠小僧よろしく盗みを働くシーンですら、金目の物を盗むんじゃなくて食料を盗むので笑えます。捨てられたおばあちゃんもTVで活劇の死亡人数を必死にチェックするというぶっ飛んだ趣味を見せ、元気の良さが伝わってきます。このおばあちゃんを演じた女優さんも素敵です。全く身寄りのない欠けた者同士が集まって肩寄せ合って一つの家族のようになるハートフルな物語ですが、最後にロバンソンを思うガスパールの気持ちが「泣いた赤鬼」の青鬼みたいで泣かせますね。役者さんたちは全く無名?ですが、雰囲気は抜群です。ところで彼らは日頃「元気?」と尋ね合います。久しぶりに会った訳でもなく常に一緒に居ても尋ねるのはきっと良い事ですね。照れ臭いけどいつか実践してみたいです。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-02 18:18:40)(良:2票)

36.  ブロークン・フラワーズ 《ネタバレ》 刑事ナッシュもといドン・ジョンソンもといドン・ジョンストンは無気力、無口、無表情で劇中一切笑顔を見せなければ怒りもしない。さらに一財産築き昔はプレイボーイという設定。そんな捕らえ所の無いキャラクターだがビル・マーレー(最近どんどん良い俳優になってる!)が演じているせいか何処かトボケていて可笑しく、情けなくてそのうえ哀愁を感じさせる。作品自体も相変わらずのハイセンスさで、手紙のピンクの象徴が象徴を生み出し憶測が憶測を生んでいく母親探しもなかなか面白い。だが、映画はヒントを散りばめながらあらゆる答えを出さない。彼女のうちの誰の息子なのか、ただのイタズラだったのか、それとも思い出し忘れた別の女の息子なのか…。さらにサンドを奢った男が息子なのか、カルバンクラインのモデル風の男か、ジャージを着たむさい男か、それとも全く別にいるのかいないのか…。またドンは過去の栄光にすがるようにドン・ファンの映画を観ながらソファーでダラリのカウチポテト的生活から脱却できるのか…。そしてブロークン・フラワーズとは他人から見れば微妙な生活を送るドンの昔の彼女たちのことなのか、それともドン自身のことなのであろうか…。答え欲しがりの私としてはこの結末はハッキリ言って消化不良でないわけではない。しかしこの旅でドンはある意味彼女たちの〝過去〟(思い出)と〝未来〟(過去からの変化)と〝現在〟(現状)を目にしたとも思う。過去よりも未来よりも現在が大事だと悟る旅は自照の旅でもある。自分の人生、時の流れを我に返って感じさせる本作は観ると何だかとっても胸が詰まるのである。[映画館(字幕)] 8点(2006-05-01 18:05:52)

37.  現金に手を出すな 《ネタバレ》 マックスは足を引っ張ってきた弟分のリトンのために、引退に備えて貯めておいた金塊を全て使ってしまった。それなのに助けたリトンが死んでしまった時のマックスの哀しみ。これはまさに男の義理・人情の世界。マックスは店で電話を借りる時、酒を注文し電話の用件を済ませ、代金を払って酒には手をつけずに店をあとにする。粋ですね。大人の男の魅力です。もちろんここぞという時は容赦ない悪人ですけど、品格も備えています。あの生活感が格好良い。あんな風な振舞いが出来るように年をとりたいです。白黒映画なので所々、観難い場面もありましたが、酒の肴のラスク、うまそうでした。  《追記》↑ええ、確かにそうですね。何を隠そう私もバリバリ食ってやろうと思いラスク買って実践したのですが…安物だったせいかもしれませんがラスクとバターを一遍に食った味がしました;。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-21 14:18:43)(良:1票) 《改行有》

38.  エブリバディ・フェイマス! 他のレビュワーの方もおっしゃっておりますが、「フルモンティ」のような英国コメディに似ていますね。ですから英国好きの私は十分に楽しむ事が出来ました。ジャンのあの一生懸命な間抜けさがおかしくて。その一生懸命なのは自分のためではなく娘のためというのが泣かせるじゃないですか。親の心子知らずでも、迷惑でも、素晴らしきかな親心、といったところでしょうか。鑑賞後、しばらく「ラッキーマヌエ~ロ~」と口ずさんだ事は言うまでもありません。それとお気に入りのシーンは、ジャンがテープレコーダー片手に「ラララ~ラララ~」と自作のまずい鼻歌を録音し、満足そうにしているところです。あの姿を思い出すと何だか心が温かくなります。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-19 10:50:19)(良:2票)

39.  望郷(1937) 《ネタバレ》 極めて面白そうなカスバの町並みが、装置として期待を超えていかないのは不満ですが、これはそれぞれの町を体現している女優の映画です。まるでカスバのように影が差し汗臭さすら感じさせるイネスに対し、宝石どころか服までピッカピカでパリを彷彿させる華やかなギャビー。あれほど眩しかったら目がくらむのも当然で、登場時点でイネスには100パー勝ち目が無いと分かり可哀相になってしまいますが、ギャバンの喜び様を見るとパリへの甘美な誘惑はいかんともしがたいものです。[DVD(字幕)] 7点(2011-07-08 18:44:53)

40.  ドミノ(2005) スタイリッシュと言えばスタイリッシュですが、とにかく映像がスピーディ過ぎるので、例えばキーラ・ナイトレイが下着姿でラップダンスを踊るシーンであるとか、例えばラストの激しい銃撃戦であるとかは、もっとちゃんと見せてほしいと思います。…ですが、〝ではつまらないのか?〟と問われるとそうでもなくて少々乱暴な見せ方ではあるものの随所でキーラは凄く魅力的に見えましたし、その目まぐるしさはドミノの人生そのもののようでもあります。 また、ビバヒルの役者たちやウォーケンとミーナ・スヴァーリなどそれぞれのコンビだけでも一本の独立した映画が撮れてしまいそうなほど、各々のキャラクターに面白味が秘められています。 さらに鉛筆をカリカリ削るルーシー・リューとの尋問シーンや、モーテルでドミノにあしらわれブチ切れたチョコにミッキー・ロークが諭すように語るシーンもやっぱり良いと思うのです。[DVD(字幕)] 7点(2009-01-26 18:26:57)

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