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1. アンジェリカの微笑み
《ネタバレ》 表記はないけれど、映し出される河川は例によってドウロ河なのだろう。
テレビは見当たらず、不鮮明なラジオ音声が流れる劇中の時代は如何様にも受け取れる。
夜、夜明け、そして雨上がりの日中と移り変わる川岸の街並みの風情はどこか神秘的な様相も呈し、
対岸にある丘陵斜面のキアロスタミ風ショットは彼地の風土を強く印象づける。
人物がフレームアウトした後も黒猫がじっと鳥かごを見つめている。
撮る側も猫のリアクションを息を殺して期待していたに違いない。
中央にドア、あるいは窓を配した屋内ショットは凝った照明設計によって濃密な空気を感じさせている。[映画館(字幕)] 7点(2016-04-05 17:27:36)《改行有》
2. アニキ・ボボ
重い主題も含みながら、後には気持ちよい清涼感を残す一篇。
第一作の『ドウロ河』を舞台としており、その陽光に映える川岸の情景がとびきり美しい。石畳、階段通り、向い岸の街並みののどかな叙情。画面の中を渡る車、船、列車も充実している。
序盤で、主人公の少年が車の往来を間一髪ですり抜けていくシーンのどことない危うさは、密航未遂、崖から線路への転落事件へと繋がっていく。
罪悪感に囚われた少年が自分の影に追われる夜の遊戯シーン、夜中に少年が屋根伝いに少女の部屋の窓辺へと向かう一連のシーンと、夜のシーンの照明も素晴らしい。
そして、素直さから強かさまで、まるで芝居臭さを感じさせない子供たちの個性的な表情と動きが断然良い。照れ、気取り、愛嬌等々の極めて自然な表現。少年少女三人がショーウィンドー内の人形を一心に覗き込むショットなど、とても微笑ましい。
粋な雑貨屋店主もいい味を出している。[映画館(字幕)] 8点(2010-10-07 07:19:24)《改行有》
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