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プロフィール |
コメント数 |
1252 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
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1. ディール・ブレイク
《ネタバレ》 アイスランドの映画である(寒々としている)。シリーズ2作目とのことだが、単純な続きではなく独立的なサイドストーリーのようなものらしい。
内容としてはアクションのあまりないクライムサスペンスである。最後の部分を除いて説明的なところは全くなく、専ら状況に語らせる展開なのでわかりにくい。また日本人にとっては顔の見分けがつきにくいのも問題で、せめて人名はまめに出してもらいたいものだと思った。
物語としては麻薬の密売に関わる犯罪組織が、警察内部に協力者を確保しながら街の支配権を争う話になっている。この2作目では警察官が主人公だが、その警察でも内部統制が緩く、情実人事とか汚職を見て見ぬふりの風潮があったらしい。また血讐blóðhefndの風習を残しているかのような場面もあり、それでは何のために警察があるのかもわからなくなる。刑務所の看守が受刑者と癒着していたのも問題で、そういう現代の先進国らしからぬ現状を批判する意図があると取れなくはない。
しかし人口35万の小国であることから、警察一般への批判というより特定機関を名指しで悪事を暴くような印象が出ており、これを単なるフィクションとして見るのは結構難しい。何か確証があって告発しているのか、または存在しないことをでっち上げてまで社会批判したいのか、あるいは実態と関係なしに自国を舞台にした犯罪映画を作りたかっただけなのかがわからないので非常に困惑する。
ただエンドクレジットを見るとアイスランド産業・革新省?が制作に関わっており、またレイキャヴィーク首都圏警察その他国家機関も協力していたらしいので、少なくとも国と一線を画した立場で権力批判していたのではないようでもある。そもそも2013年に初めて武装警察の発砲で人が死んだことが話題にされるお国柄で、こういう犯罪映画が成り立つのかと思うわけだが、しかし外務省(日本)の海外安全ホームページによると、この国にも「麻薬の常習者や売人」がいること自体は間違いないらしいので、こういうことも絶対なくはないという程度に思っておけばいいのか。どういう見方をすればいいかわからないのでかなり混乱させられる映画だった。
なお劇中の外国人について、パレスチナ自治政府の旗のあるレストランは難民の経営だろうが、セルビア人の密売人も90年代のユーゴスラビア紛争の難民だったらしい。そのセルビア人は、憎むべき悪人でいながら当人もかなり厳しい状況に置かれており、これから生まれる娘をネタに脅迫されていたのはお気の毒というしかない。悪の根源は内にも外にもあるが、本当に恐ろしいことは外の世界にあるということか。
ほか何気に日本車を貶める台詞が出ていたのは気に食わない。「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」(2009)に続き、個人的にはこの映画でまた対アイスランド感情が若干悪化した。[インターネット(字幕)] 5点(2019-11-16 16:28:46)《改行有》
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