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【製作国 : イタリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  ラストタンゴ・イン・パリ 《ネタバレ》 ドミニク・サンダのかわりにジャンヌとなったマリア・シュナイダーと、「ゴッドファーザー」で頬に入れた綿のない本来の顔のマーロン・ブランド。 名画座で見た初見は、まずジャンヌが清掃人の箒を飛び越えたり、猫を追いはらうシーンで鮮やかな残像となった。 黒い帽子とフェイクファー、ブーツで武装している彼女自身、女優というより素人のような異質さで、サンダであったらもっと端正になってしまったはず。 ブランドはヴィトー・コルレオーネとジョー=エルの間にこのポールがおり、闇でも光でもない無防備なやもめの男。 お互いのことを知らぬ彼らの一方が自己をさらけ出した刹那、関係が破綻するのは「シベールの日曜日」にも似ていようか。 何者でもない者同士の関係は、異国で妻を亡くしたポールより、恋人(ジャン=ピエール・レオ)のいるジャンヌにとって望ましいものであったろう。 手摺に身代わりのようにガムをくっつけ落ちていく男を尻目に、女は警察の事情聴取の予習を試みる無情。 大半がパリの空家のアパルトマンという限定された空間のせいか、その映像美がベルトルッチの「暗殺の森」「1900年」よりも印象に残っている。[映画館(字幕)] 8点(2013-05-06 07:00:02)(良:1票)

2.  8 1/2 《ネタバレ》 クリエイターの男性は激しく共感しそうな映画監督グイド。 なので影響下にある作品が多く、ボブ・フォッシーの「オール・ザット・ジャズ」(舞台監督ギデオンの自らの死の演出)やトリュフォーの「アメリカの夜」(ジャン=ピエール・レオがドワネル的俳優の撮影現場)の方を先に見てしまったけれど、イタリア的というよりヌーヴェル・ヴァーグのフィルターを通しつつ、根底にイタリアの熱い血も流れているような混沌としたイマージュの連続。 モノクロも女性たちも美しく、その中で自身を持てあますグイド。 フェリーニの傑作として「道」と双璧なのだろうけど、情緒的な「道」の方が一般向きであっても、同じく手前勝手な男性の話でも非常にクールな「8 1/2」の方が興味深くまた見やすくもある。 後続の人たちは共感というより励まされたのかもしれず、「フェリーニでさえあんなに悩んでる」と。 現在・過去・空想のラビリンスをくぐり、生きる活力を取り戻したグイドの「人生は祭りだ、共に生きよう」。 作られて50年たった今でも、この映画はそう語りかける。[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-10 07:00:21)

3.  NINE(2009) ミュージカルになった「グイドと女たち」。 細身のダニエル・デイ=ルイスのグイドは、マルチェロ・マストロヤンニとはまた違って、いいのか悪いのか。 元のイメージも部分部分で残されていますが、メインは今が旬の女優たちのステージ。 イチオシは愛人カルラのペネロペ・クルス、エロくても下品に見えないダンスは見応えあってセクシー♪ 「ロープが家にほしくなる」ほど練習しただけのことはあります。 マリオン・コティヤールは貞淑な妻ルイザから一転変貌して魅せ、新キャラのステファニーはケイト・ハドソン、「シネマ・イタリアーノ」は意外とよかったのですが、インパクトありすぎて「8 1/2」から遠のいた感じ。 ソフィア・ローレン&ジュディ・デンチの大御所2人は貫禄。 マーシャルの「シカゴ」よりは好きですが、オゾンの「8人の女たち」の方が華やかではあるかも。 「8 1/2」とは別物として楽しんだ方がよさそうだけれど、オリジナルの屋外セットが女たちを配置する立体的な舞台として活用されていたのは、いいアレンジじゃないかと思いました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-09 07:00:03)(良:1票)

4.  ロミオとジュリエット(1954) カステラーニの「ロミ&ジュリ」。 68年版はオリビア・ハッセーの美しさを舞踏会では赤い衣装で目立たせていましたが、この映画では赤い群れの中で白い衣装のジュリエットを際立たせており、原典の「カラスの群れの中に白い鳩が舞い降りたようだ」に近いイメージ。 68年版ではぼかされていたロミオの思い人ロザラインもキャラクターとして登場し、キャピュレット家の霊廟に眠るヒロインのもとを婚約者パリスが訪れる場面もあるなど、原典を重んじた作り。 金髪のジュリエットが新鮮で、イタリア・ロケとパインウッド・スタジオのセットによるヴェローナの街は68年版以上に壮観、一番の見どころかもしれません。 ジュリエットの父キャピュレットがいつも太った俳優さんなのは、おもしろい伝統。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-03-05 07:00:24)

5.  鉄道員(1956) ピエトロ・ジェルミ監督・主演のホームドラマは、古い時代のイタリアの情緒が盛られる。 鉄道員としては優秀ながらワンマンな父に反目する姉と兄、ばかりか姉夫婦の不和など気苦労がたえない母と末っ子の弟。 小さなほころびが大きく裂けていく様はやるせない。 空気を読みとるサンドリーノは環境がそうさせたのだけれど、小さい体に聡い目をして大人たちの間をさまよう。 スト破りもからんだ仕事仲間との軋轢と修復も描かれ、一本気なマルコッチを気づかう同僚リベラーニの大らかな情は得がたいもの。 心境の変化がもたらす展開は「素晴らしき哉、人生!」も思いおよび、ラストの違いはアメリカとイタリアのお国柄だろうけれど、クリスマスの改心ものとしてあちらに劣るものではないと思うので。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-05 07:00:03)(良:1票)

6.  ブラザー・サン シスター・ムーン 《ネタバレ》 「ロミオとジュリエット」の成功で力を得たフランコ・ゼフィレッリの、次なる青春映画。 苦手な宗教が題材ではありますが、歴史物として見応えがあります。 キリスト教はその性質から天文学や自然科学と相容れない過去を持ちますが、ジョバンニ(グレアム・フォークナー)こと聖フランチェスコは自然にとけこみその中に神の存在を見出した人、フォーク歌手ドノヴァンの歌と美しいアッシジの風景で彼の自然派ぶりを強調。 前半は富裕な商人の父と、後半はきらびやかなローマ・カソリック教会との対比で若きフランチェスコの清貧さを際立たせ、美しい金髪を落として仲間となるクララ(ジュディ・バウカー)が彩りを添えます。 ローマ教皇インノケンティウス3世(アレック・ギネス)との謁見は、金銀宝石で飾られた豪華な法衣を脱ぎ捨て純白の衣でフランチェスコに歩みよる教皇が、一瞬権力を忘れ初心に立ち返ったかのような象徴的な場面ですが、まわりの枢機卿らに再び教皇としての権威で覆われるのが、組織としてのカソリック教会の強大さを感じさせます。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-04 07:00:04)(良:1票)

7.  ロミオとジュリエット(1968) 「ロミ&ジュリ」に特別の思いがないのは、きっと「ハムレット」と一緒に読んだせい。 シェイクスピア四大悲劇の中には入っておらず、なぜか笑劇(FARCE)の扱いなのは、どこか滑稽さをはらんでいるせいか。 宿命的なお話の組み立てはよくできているけれど、一目で恋に落ち苦しむ間もなく息絶える彼らの悲劇性は淡く感じるのです。 68年版は「ロミ&ジュリ」の中では一番人気、オリビア・ハッセーのジュリエットがはっとするほど愛らしく、ロミオ(レナード・ホワイティング)のロザラインへの片思いを目立たせないのは、より美しいジュリエットへの心変わりを軽薄と見せないためか。 ゼフィレッリの作品は物語発祥の地イタリアらしく、ひとときの情熱に支配される世界ですが、若い俳優の躍動感や音楽・衣装などの見映えは一番かもしれません。 物語に厚みを出すべくティボルトとマキューシオの決闘にも時間を割き、ティボルト(マイケル・ヨーク)の殺すつもりではなかった当惑の表情が、家同士の争いの虚しさを物語ります。 「ロミ&ジュリ」人気は今も衰えず、15才のヘイリー・スタインフェルドのジュリエットは、どのような感じでしょうか。[映画館(字幕)] 7点(2012-09-03 07:00:03)

8.  ソウル・キッチン 守りたい場所がある。 彼の場合は手塩にかけたレストラン。 古倉庫を改造して作られたレストランのたたずまいは、それだけで絵になって。 ベルリンはよくドイツ映画の舞台になるけれど、ここは北に位置する第二の都市ハンブルク。 主人公ジノスはギリシア系ドイツ人のオーナーシェフ。 彼と仮出所の兄、ウェイトレス、遠恋の彼女、凄腕シェフ、役人、不動産業者などが入り乱れるドタバタ劇。(必要以上にイターイ映画なので、腰痛持ちの人は見ない方がいいかも) トルコ系ドイツ人監督アキンの若者映画は、乱暴でヤリ過ぎなとこもあるけど不思議な味つけがされ、ジノスの自分の店への真摯な愛着に満たされているのもいいと思う。 ただの雰囲気キャラかと思ってた船長さんにもちゃんと活躍の場があり、ポッチリのお金にも使い道があったりと小技もきいてる。 ただ、さんざん引っかきまわした後で最後はこじんまりまとまった気もして、も少し何かあるかと期待してしまった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-08 07:00:02)(良:1票)

9.  ベニスに死す トーマス・マンが自らの体験を小説として書きとめ、ヴィスコンティが映像とした「ベニスに死す」は、ドイツ文学とイタリア映画融合の妙味。 マンは主人公アッシェンバッハにマーラーの風貌と自分の生業を与えたが、ヴィスコンティは彼をマーラーを模した作曲家とし、アダージョを流す。 ナルキッソスの化身のような少年タージオを憑かれたように見つめるアッシェンバッハの眼差しは、作家とバイセクシャルの監督のものでもあるか。 マンが主人公にほどこした化粧をヴィスコンティが黒い汗と涙に転化させることにより、美に取り込まれたアッシェンバッハの醜怪さを際立たせる手法は残酷というほかないが、それを受けて水に戯れるタージオの輝きはいや増す相対性。 当人の思いの純度に反して、崇拝というものが傍(はた)から見れば至極滑稽なものであることを冷徹に示したヴィスコンティは、自らの美青年嗜好をも秘かに顧みていたのではあるまいか。 ダーク・ボガートは「愛の嵐」同様異常な愛に殉じる男、ビョルン・アンドレセンは自分が美しいことを知っていて、崇拝者を振り捨てもせず緩慢な死へ追いやる少年に扮してはまり役。 自分が死ぬことも知らず、タージオの幻影に追いすがりつつアッシェンバッハの意識は薄れてゆく。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-10 06:59:58)

10.  山猫 豪奢で華麗な舞踏会など転換期の貴族社会を描いた壮麗な映画だけれども、コッポラが「ゴッドファーザー」でマフィアを貴族のごとく描いたのは、この作品の影響もあるのかと。 音楽もニーノ・ロータ、老主人公の自己陶酔も共通しており、貴族もマフィアも民衆から隔絶した一族なのが似かよっていて、あれが好きな方が同じ匂いのするこれも好まれるのは当然。 原作がシチリア貴族、監督ヴィスコンティも貴族の末裔とあって、生粋の貴族意識が見られるが、それを演じるのが見目よきアメリカとフランスの男優でイタリア語吹替なのは、些細な事かもしれないが興がそがれる部分もあり。イタリア式憂愁がお好みでないと耽溺できないかもしれず、バート・ランカスターの涙はいかにも…な気がし、ドロンはやんちゃな青年貴族という印象。 鑑賞前は山猫とはドロンかカルディナーレのことかと思っていたが、そうではなかった。 最後にファブリツィオが本懐を遂げられたのはよかったと思う。 天上に輝いていた日が落ちてゆく物語には、残照こそが相応しいのであるから。[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-09 07:00:01)

11.  オリバー・ツイスト(2005) 《ネタバレ》 ロマン・ポランスキー版「オリバー・ツイスト」は、ディケンズの原作に真摯に取り組んだ力作、美術(セット)も立派ですが、きちんとしすぎていて堅苦しく、その雰囲気をレイチェル・ポートマンの音楽が和らげているよう。 ハリー・イーデンのドジャーは魅力がありますが、オリバー(バーニー・クラーク)は美少年だけれど彼自身が行動するよりも周りの思惑で動かされ、他のキャラクターの性格を浮き彫りにする役目なのは本と同じで存在感は薄い。フェイギン役のベン・キングズレーは熱演を見せますが、最後のオリバーとの別れのシーンは必要以上に感傷的になっておりとってつけたよう、重要なビル・サイクスやナンシーの印象も弱い。 保護者となるブラウンロー氏はテレビ「シャーロック・ホームズの冒険」の二代目ワトソン、エドワード・ハードウィックが演じ、このバージョンでは原作を簡略化すると同時に彼とオリバーの血縁関係もなくしており、血のつながりがなくとも注がれる愛情の方が得難いと考えたのかもしれず、原作の強い偶然性を排したことにもなりますが、一番の悪党モンクスの出番もなくなりミステリー的な面白さは減りました。 ドラマとしては物足りないものの、ディケンズが意図したように19世紀前半の英国の救貧制度を背景にした下層階級の世界を描いたことにはなり、ポランスキーが「テス」「戦場のピアニスト」同様に過酷な運命に翻弄されるキャラクターに抱いているシンパシーも感じ、それは彼の苦難に彩られた少年時代や青年期と無関係ではないように思えます。[DVD(字幕)] 7点(2012-04-05 07:00:09)

12.  ドクトル・ジバゴ(1965) ロシア革命を背景にパステルナークが書いた小説をデヴィッド・リーンが映画化。 スケールが大きく時間も長く「風共」と同じくらいの大作。 リーンは何でも大規模になってしまうのですが、これも製作費がかかっていそう。 ジュリー・クリスティは美しくジェラルディン・チャップリンは可憐、ロシア人風のヘアメイクのオマー・シャリフも魅力(ちょっとヘンだけど…)なのですが、後半はメロドラマと言われても仕方ない部分も。 映画として見応えはあっても愛着が薄いのは、プロットやキャラに興味が少ないせいかと思います。 作者が自身をモデルにした原作は絶版なこともあり未読ですが、映画は不倫カラーを薄めるため後半トーニャの存在を意識的に消し、傲慢なコマロフスキーにも情が湧くよう手心が加えられているような気がするのですけど。 ロシアで撮らずにあの国の雰囲気を再現したのはすごいし、雪の平原を走る列車の旅やパーシャの変貌、「ラーラのテーマ」は印象的。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-05 07:00:02)

13.  女は女である アンナ・カリーナがBEAU! 歌も聴けるし、50年前の彼女を今につたえる映画はタイムカプセル。 赤いレインコートや青い縁どりのあるブラも可愛くて、今でも通用しそう。 アンファン(子供)がほしくて、夫(ブリアリ)と男友達(ベルモンド)を手玉にとる小悪魔ぶりも彼女なら許されそう。 「わたしはただの女よ」 そうか? パリの街もお洒落で、バーにはジャンヌ・モローがさりげなくいたりする。 ゴダールの言葉遊びもそこここに。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-17 07:00:01)

14.  ある公爵夫人の生涯 マリー・アントワネットと同時代を生きた英国デヴォンシャー公爵夫人の人生を、子孫である故ダイアナ妃にオーヴァーラップさせて描く。 途中までは「ブーリン家」レベル…と思えたけれども、終盤の「三つの椅子」の使い方はなかなかオツであった。 後継ぎを産む道具としてしか顧みなかった自身を反省し、何とかジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)の離れた心に近づこうと試みる公爵(レイフ・ファインズ)の歩み寄りが形として見える趣向。 前半は夫人を悲劇のヒロインとして立てるが徐々に公爵の比重も増しており、女性の立場だけに偏っていないのもよいと思う。 軽率なイメージも拭えなかったダイアナ妃とチャールズ皇太子にも、「お家」存続の犠牲者として同情を寄せているかに感じられる作品。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-09-26 06:59:59)

15.  王妃マルゴ フランスのカソリックとプロテスタント(ユグノー)の和解に身を投じるレーヌ・マルゴの三つの愛。 デュマの小説を下敷きとし、極力「絵画的」な画面になることを避けたという舞台監督シェローの映像は薄闇に包まれ必ずしも見易いものではないが、それだけに時折現れる光が眩しい。 フランス映画らしく説明を省いているせいで人物関係など分りにくいことおびただしいが。 シャルル9世(ジャン=ユーグ・アングラード)らとの屈折した兄弟愛、夫アンリ(ダニエル・オートゥィユ)との友愛、そしてラ・モール(ヴァンサン・ペレーズ)との恋はマルグリットを支えもし引き裂きもする。 イタリアから美食や香水のみならず毒薬をも持ち込んだメディチ家出身のカトリーヌ・ド・メディシスは術策をめぐらし、「聖バルテルミー(バーソロミュー)の大虐殺」による累々と横たわる死者は宗教戦争の虚しさを見せつける。 雪のような純白のドレスを染めあげた血はマルゴの血涙でもあろうか。 魔女と呼ばれたのは母カトリーヌだが、アジャーニのマルゴもこの世ならぬ美しさを見せる。 「可愛いだけじゃダメかしら」で一旦地上に降りたかに見えたアジャーニを再び歴史ロマンのヒロインに立てたシェローは、彼女のオーバーアクトを懸念しトレードマークである狂気を封印させたため、この作品でのアジャーニは以前より抑制されている。[映画館(字幕)] 7点(2011-09-06 07:00:02)

16.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 アレッサンドロ・バリッコの小説のうち映画になったのは2本。 これと「シルク」は、その幻想小説か散文詩のような雰囲気をよく伝えていると思う。 名も知らぬ少女への淡い恋は映画用に加えられたエピソードで、嵐の夜ホールを氷上のように優雅に滑るピアノ(「マジック・ワルツ」)や名うてのジャズピアニスト、ジェリー・ロール・モートンとの決闘とともに、ハイライトとして1900(原作ではノヴェチェント)の数奇な人生を彩る。 「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレによるイタリア映画だけれども、ティム・ロス主演の英語劇で客船ヴァージニアン号を舞台とし、モリコーネの美しい音楽も情緒過多でないことで無国籍的でもある。 意を決してのニューヨークでの下船が決行されずじまいだったのも、成功を尊ぶアメリカ的な物語ではない象徴、降りない理由も屁理屈っぽいようでいて彼にとっては真実。 彼を気遣うトランペッターの友情も、常人離れしたピアニストを現世につなぎとめるには至らない。 1900の存在そのものが一つの芸術のようだが、芸術とは必ずしも健全なものではなく、甘美なる滅びと隣り合わせでもある気がする。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-08 00:00:10)

17.  トスカーナの休日 ダイアン・レインの人生リセット・イン・イタリー。 せっかく風景や彼女が購入した歴史ある邸宅が素晴らしくても、極めて普通に撮ってるから魅力を生かしきれてないのが残念。 ところどころ心あたたまるいいシーンはあるし、女性誌などに「疲れた貴女にオススメ♪」って紹介されていそうですが、女性による女性のための映画ってどうもつまらなくて。 男性では紳士な不動産屋さんと無口な左官屋さんがよいですね。 あと、がんこじいさんも。[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-10-07 00:00:04)

18.  ニキータ 「レオン」よりはクールでも、アクション+ベタベタなのは同じく。 アンヌ・パリローは「ガールズ」の女のコとは別人なまでに顔つきも体もシェイプして凄味、ジャン=ユーグ・アングラードはこれと「ベティ・ブルー」で強い女にくっついてるヤサ男のイメージ。[映画館(字幕)] 6点(2010-10-04 23:59:58)

19.  マーサの幸せレシピ 米国リメイク「幸せのレシピ」にも当然似てますけれど、レストランの厨房でイタリア(系)の男性がかたくなな女性を口説くのは、「恋のためらい/フランキー&ジョニー」にも似て。 ゲルマンの女性との対比がいいのでしょうか。 ヒロインのギスギスした感じはこちらの方が出ているし、異国にいるイタリア人は濃さが中和されて陽気さが引き立ち、イタリア映画よりむしろ魅力が見えやすい気がします。(「ローマの休日」も美容師がいるからいいんですよね、奇しくも同じマリオ) 監督は「ドイツ映画には特色がない」なんてズバッといっちゃうクールな女性。 この映画の「特色」はイタリア色とともにマーサの姪っ子リナ。(美少女でないのがリアル) 寒冷なドイツと温暖なイタリアが地続きなのをうまく使い、リメイクと同じく気持ちのいい作品ですが、こちらの方が地味な分自然な感じがしました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-19 02:20:26)

20.  グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版 《ネタバレ》 深き海の青また青。 斬新な映像と美しい音楽で描く海洋ロマン。 ジャック・マイヨールの人生をこんなドラマ仕立てにしちゃっていいの?と思わないでもないし、好きなキャラクターはいないのであまり自分向きではないですがロマンチスト向き。 ジャックの水の子意識、エンゾのいかにもな最期、ジャックを海に還すジョアンナの言葉、どれも実にナルシスティックでちょっと苦笑。 リュック・ベッソンの黄金期は「グラン・ブルー」「二キータ」「レオン」あたりとされていると思いますが、クールな小品「サブウェイ」が好み。[映画館(字幕)] 7点(2010-08-11 00:00:00)

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