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1. ザ・サークル
《ネタバレ》 巻頭のシーンをはじめ、ヒロインがカヤックを漕ぐシーンが幾度かあり、中盤のある事件の伏線として確かに強引に機能はするのだが、
それ以上の積極的な意味が見いだせない。人物描写としてもチグハグで、メタファーにもなりきれていない。
ラストシーンもカヤックだが、友人の命を奪ったドローンに対して、「Hello」はないだろう。
終始、血の通わぬキャラクターだ。
ある程度わかりきったストーリーでも画面で引っ張ってくれればいいが、その点
ヒロインの親友役:カレン・ギランの扱いが面白い。
まずは電話音声での登場、入社したヒロインを連れ颯爽と案内していく。
片や壇上でスポットライトを浴び、片やそれを暗い客席から見つめる二人の逆転と対比。
隣り合った個室トイレの中での、二人の交わらない切り返し。
そして暗いベッドの中と、開放的な自然の中、それぞれが小さなスクリーンを介して心を通わせる二人の切り返し。
決して上手い処理とは云えないが、二人の関係性の変化を描写する工夫の痕跡はみえる。
大スクリーンを使ったどんでん返し自体も大したものではないが、
トム・ハンクスとエマ・ワトソンの視線劇がなかなか見せる。[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2017-11-12 20:39:03)《改行有》
2. ボーン・レガシー
《ネタバレ》 序盤、二階建てのレイチェル・ワイズ宅の外壁を身軽に登ったジェレミー・レナーが、
階上の採光窓を蹴破って二階廊下の侵入者を拳銃で狙撃する。
家屋の構造と空間を活かした、アクション映画らしきアクションは後にも先にもこの1ショットのみと云っていい。
それ以外は、前三部作を踏襲した高速カット割りがことごとく映画の運動を殺す。
マニラロケによる車線無視の乱雑なカーチェイスも頑張ってはいるのだが、
そこで終わりでは締まらない。
少しは徒手格闘の見せ場も無くては、敵暗殺者の脅威が際立たないだろうに。
何よりも、延々と続く近視眼的なアップの連続、その芸の無さが耐えがたい。
[映画館(字幕)] 3点(2012-10-21 23:06:17)《改行有》
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