|
プロフィール |
コメント数 |
2101 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、 悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、 笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。
2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。 この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。 管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。 これからもよろしくお願いいたします。 2018.11.19 |
|
1. さあ帰ろう、ペダルをこいで
車で旅行中の事故で両親を亡くし自身は記憶を失った青年と、
家族の祖国ブルガリアから彼を迎えに来た祖父との記憶を取り戻す2人旅を描くロードムービー。
事故が起こったあの旅行にどんな意味があったのか。それは作品に挿入される過去が少しずつ明らかにしていく。
青年が幼い頃からの過去の出来事、家族の歴史が頻繁に挿入される。
この家族の歴史は、ソビエトの影響下に置かれた東欧諸国の多くの市民が経験してきた歴史そのものであり、
自由を求めて西側に亡命しても、即自由を謳歌できる暮らしが待っているわけではない。
こうした頻繁な過去の挿入が作品のテンポを悪くし、失敗するケースもあるのですが、本作はそれが本当にうまく機能しています。
そして本作で最も欠かせないのがバックギャモン。正直、ゲームのルールは見ていてもよく分からなかった。
しかし、「人生はサイコロと同じ。どんな目が出るかそれは運と自分の才覚しだいだ。」この祖父の教えが全てを表しており、
2人で力を合わせて故郷を目指しペダルをこぐタンデム自転車の旅そのものが祖父の教えでもある。
その祖父を演じた、巨匠クストリッツァ作品に欠かせない旧ユーゴスラビア出身のマノイロヴィッチの味わい深い演技が素晴らしい。
原題の意味もすごくよく分かるし、この邦題もまた素晴らしい。ロードムービーの佳作です。[DVD(字幕)] 8点(2020-12-06 16:36:05)《改行有》
2. オン・ザ・ミルキー・ロード
《ネタバレ》 何年ぶりになるだろう?クストリッツァの実に久しぶりの新作。
作品からほとばしる、この人の映画特有の力強さに全く衰え無し、本作も素晴らしい作品でした。
いつものクストリッツァと同じく、愛すべき動物たちと牧歌的な農村の風景から作品はスタートする。
しかし間もなくこの村は戦場であることをすぐに思い知らされますが、
そんな中に生きる人々の人間描写もまた、彼らしい独特の明るさと力強さがあります。
〝イタリアの宝石″モニカ・ベルッチの変わることの無い美しさと共に、
ミレナを演じた女優さんの、モニカに全くひけを取らない存在感もまた印象的でした。
モニカ演じる〝花嫁″と愛し合うことになる、クストリッツァ自らが演じる主人公の男ら主要登場人物と
動物たちの楽しい絡みや、もう1つのクストリッツァの映画に欠かせない要素、登場人物が楽器を奏で歌い踊る音楽もまた素晴らしい。
休戦を祝い、村人が歌い踊る宴。しかしモニカを追ってやってきた黒ずくめの特殊部隊が、その平和なひと時を粉々にしてしまう。
その特殊部隊が多国籍軍であるというところに何とも言えない皮肉を感じます。
以降は愛し合う2人の特殊部隊からの逃避行が描かれますが、水辺から川の中、そして荒涼とした羊の放牧地での追手との攻防は圧巻の一言。
祖国の内戦を背景にしたものが多いクストリッツァ映画ですが、平和の象徴のようなクストリッツァ映画に出てくる動物たち。
本作で最も印象的なのはハヤブサですが、戦争の悲惨さを寓話的要素に包み込み、いつにも増して彼らの強い意志を感じさせます。[DVD(字幕)] 8点(2018-08-05 16:23:25)《改行有》
|