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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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161.  ステップフォード・ワイフ(2004) 理想の妻とは、理想の夫とはどういうものか?そして完璧とは?をシニカルに描いた作品ですね。男と女の視点ではまた違うものを感じるでしょう。男の私には、地位も収入も学歴も夜の生活も何もかも上の相手に、だんだんとみじめさを感じ始めた夫たちの気持ち、何となくわかります。しかしだからといってステップフォード・ワイフにして良い訳が無いし、もちろん私は〝ありのまま〟が一番だと思っていますよ・・・。本当ですよ。でも男はバカだからステップフォード・ワイフに少し憧れてしまうのです。  ストーリー的にはロボットなのにチップを削除しただけでもとに戻るの?など疑問点がありますが、その辺は話の設定上仕方ないことでしょう。それからグレン・クローズとクリストファー・ウォーケンの怪演は見事です。あやしくて、おかしくて、ちょっぴり怖い、こんな夫婦を演じさせたら二人はきっとベストカップルだと思います。[DVD(字幕)] 6点(2005-12-04 17:02:02)(良:1票) 《改行有》

162.  あの夏、いちばん静かな海。 《ネタバレ》 主人公は耳が聞こえないですが、これは耳の聞こえない者の物語ではないようです。つまり言葉なんてのは、さして重要ではなく排除しても差し支えないものであるから、主人公から台詞を奪うために、あえて耳を聞こえなくしたのではないかと思います。実際、ほとんどの台詞が無意味でしょうもないもので、例えば、バスで距離がひらいた恋人二人が歩いて再会するシーンだけで台詞など無くとも充分に物語っているのです。  さらに、ラストの楽しい思い出のようなシーンの数々は作中では省かれてしまっています。強面の河原さぶさんがトロフィーを手にし嬉しそうに酒を飲む姿などは感動的で、普通なら本編に挿し込んで簡単にお涙頂戴モンにしそうなものですが、そんなことはせず、ただただ黙々と歩き移動する姿を映し続けていて、それでも胸に響いてしまうところが凄いです。 ・・・と言っておきながら、私のお気に入りのシーンは思い出の方に近い、彼女がサーフボードの後ろを持ってあげるところだったりします。サーフボードが持ち上がり二人が顔を合わせニッコリと笑うのが微笑ましいですし、それを後で男のコンビで笑いとして使ってしまうのも良いですね。  それから、これは海の映画なんですが海そのものよりもビーチの方が魅力的に見えます。[DVD(邦画)] 9点(2009-08-28 18:36:26)(良:1票) 《改行有》

163.  ミツバチのささやき 子どもが最初に衝突する大きな壁〝死〟を扱いつつ、純粋な視点を通して戦争をはじめとする世の中の諸問題に疑問を投げかけたような作品ですが…これは底無し沼のように深いのかもしれません。フランケンシュタインから始まる寓話のような物語は言葉少なでゆったりとしながらも刃物のように鋭い。それに加え、あの室内に射し込むやわらかい光、構図の美しさ。まるで一つ一つの画が一流の芸術作品のような映像美で迫ってきます。イザベルが猫の首を絞め鏡の中で血の口紅をぬるシーンや焚き火を飛び越えるシーンも凄いし、それに対して澄んだ瞳が雄弁なアナも良い。踏み潰される毒キノコもまた一つのエッセンスとなり強い印象を残しています。夫と妻にもそれぞれ問題を描いており、種々のメタファーが隠れているようで、観れば観るほどその奥深さに気付き驚かされます。ただ、幸か不幸か私が多くを読み取るにはまだ何回も観直さなければならなそうです。でも監督はそのために10年もの猶予を与えてくれていたりして。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-05-18 18:24:50)(良:1票)

164.  審判(1963) 同じカフカの『変身』でもそうですが、ある朝突然トラブルに巻き込まれる不条理劇は不可解で非現実的にしてリアル。暗闇に堕ちたようにもがく姿は人間の原罪について問うたのか、司法に対する皮肉なのか、この後台頭するナチスや複雑な現代社会の到来を予期したのか、多様な解釈が可能です。映画では現代性を持たせ職場での機械的な匂いや巨大なコンピューター、冷気が漂い閉塞感に満ち迷路のように迷い込み息が詰まるのは現代社会の息苦しさを象徴しているようです。特に不気味なのは画家の隙間だらけの家で見張るように覗く子どもたちの目、目、目!法廷でも大勢に囲まれましたが、大人に見られるより純粋な子どもに見られる方が罪悪を感じるようで居心地が悪いです。特異な世界を持つカフカ作品を映像化するなんて到底無理な話と思いましたが、個人的には映画のほうが好ましいぐらいで、どのシーンも強烈なインパクトを残します。[DVD(字幕)] 8点(2006-12-07 18:26:25)(良:1票)

165.  シェーン 《ネタバレ》 例えば、冒頭のシェーンがスターレットの家へやって来て、さらにライカーたちがやって来る場面の緊張感の無さなどを見てみても、とても退屈に思えるのですが…、それでも本作を気に入っているのは、アラン・ラッドの男っぷりとジャック・バランスのニヒルさもさることながら何より肉体的な映画であるからです。  シェーンとスターレットは巨大な切り株を馬を使わず協力し合って取り除き、一緒に酒場で乱闘を繰り広げ、最後には過剰に素手で殴り合う(銃で殴れば少年に「嫌いだ」と言われる)。ライカー側の手下がシェーンに罠であると知らせに来るのも、シェーンと彼が素手で殴り合いをしたからに違いなく、ここにおいては肉体を駆使することがコミュニケーションであるかのようです。ラストで少年が自宅から酒場までの長距離を走ってやって来るのも、シェーンとの仲直りに必要な肉体的労働であったとすら思えるのです。[DVD(字幕)] 8点(2011-08-12 18:48:45)(良:1票) 《改行有》

166.  追跡(1947) 運命的で因果な物語はギリシャ神話のような悲劇ですので、全編を通して暗い映像が基調であり、孤独感や陰鬱な空気が漂っています(家族がオルゴールで歌う楽しいシーンですらどこか暗い)。自身の出生について悩み続けるロバート・ミッチャムも決して笑顔を見せず精神的な屈折を感じさせますし、例えば出征の際に義兄弟とハグをしないところなどからも、完全に兄弟になりきれず一線が引かれているようで重いものがあります。しかしそんな籠った世界の一方で、ディーン・ジャガー演じるグラント一味(グラントの不気味さも良い)がミッチャムを追って来るシーンの切り立った岩山の高さであるとか、義兄弟の銃撃戦で見せる奥行きの深さであるとかは非常に開けており、ウォルシュ監督のまさに縦横無尽の働きっぷりがうかがえます。[DVD(字幕)] 9点(2009-06-05 18:31:32)(良:1票)

167.  霧の波止場 《ネタバレ》 ジャン・ギャバンが霧の立ち込める港町にやって来る始まりのシーンが、これから先の顛末を予見させて良いですし、登場するキャラクターたちもそれぞれが個性的で面白いです(僅かな登場では特にネリーに言い寄ってくるチンピラと一緒にいる冷静な男が印象的)。しかし本作はやっぱりジャン・ギャバンとミシェル・モルガンの映画でしょう。ミシェル・モルガンは当時なんと18歳!とは思えぬ色香がありますし、あのピカピカのコートの美しさったらないです。ジャン・ギャバンもこれが男だとばかり実に魅力的に映っていて、だからこそラストに路上で撃たれてしまうシーンではとても悲しくなってしまいます。・・・ただ一つ欲を言えば犬の使い方で、登場シーンとラストの余韻を残す部分は良いのですが、ずっとついて来るのですから中盤でも巧く使って欲しかったですね。[ビデオ(字幕)] 8点(2008-07-08 18:28:52)(良:1票)

168.  HANA-BI 《ネタバレ》 最初の方は北野監督にしては台詞が多いんじゃないかと思っていたのですが、例えば、タケシさん演じる刑事の子供が亡くなってしまったことや、奥さんが不治の病であること、大杉漣さん演じる元相棒が自殺を計ったことなどは、筋立としては重要であっても映画としては面白くも何とも無いから台詞で観客に説明するように簡単に処理しているのでしょう。ここで見せたいのは夫婦の肖像であり、その部分はえらく無口であってもケーキを使ってその仲をみせたりするのは実に見事だと思います。道中でも同様にどことなく物悲しさを感じさせながらギャグをかましていき、その果てに寡黙な岸本加世子さんの刃物よりも鋭くグッサリ突き刺さるような台詞が用意されているのですから堪りません。  それと寺島進さんが追跡者として追ってくるのも移動感が増していて良いです。たとえ彼らが追いつかなくとも北野監督の映画で浜辺で少女が無邪気に遊んでいたらそこはもう天国みたいな所で、紛れも無く終着駅なんですがね。  …ただ、絵の部分に関しては少々くどい感じも受けました。[DVD(邦画)] 8点(2010-07-27 18:43:37)(良:1票) 《改行有》

169.  転々 《ネタバレ》 主役二人をはじめドラ息子の石原良純さんまでキャスティングが良いですし、思わず吹いてしまう台詞が随所に散りばめられているのも面白いですし、カレーと雑に束ねられた一万円も別れの伏線として効いていますが…散歩の映画であるのに移動があまり感じられないのは問題だとおもいます(スーパーの三人組の方がよっぽど移動している)。その原因はおそらく時間の流れと擬似家族描写にあって、スタートした初日は日が暮れていったし常に歩いていたのに途中からすぐに夜になってしまいますし、ロード・ムービーではなくホームドラマに切り替わってしまうのです。そうすると奇妙な可笑しさは失せてしまい、例えばジェットコースターで昔に遡った映像を挿むところなど、やり過ぎていて面白くないなぁと思ってしまいます。 ただ、あまり本編とは関係ありませんが、岸部一徳さんの弁当シーンや、麻生久美子さんとハイテンションな吉高由里子さんが振り向く瞬間はとても魅力的だと思います。[DVD(邦画)] 6点(2009-04-27 18:14:20)(良:1票)

170.  ビッグ・トレイル(1930) 《ネタバレ》 とにもかくにも群集が大移動して行く感じと、その困難さが良く出ています。崖から馬車を降ろすであるとか、川を渡るであるとか、砂漠や雨や雪のシーンもしっかり用意されていて盛沢山な内容です。そんな中でも最大の見所はやはりシャイアン族の襲撃シーンでしょう。数多くの馬車でグルっと円陣の防御壁を作り、その周りをシャイアン族が駆け回る。俯瞰でその様子をとらえているのですが砂煙が舞い上がり壮大な迫力のあるシーンになっています。  また、個人個人の銃撃戦もそれぞれ抜かりなくちゃんと見せてくれますし、初主演のジョン・ウェインも根っからのスターであり、若い時分から既に魅力的です。それから忘れてはならないシーンがもう一つ…それはヒーローとヒロインの最初の出会いのシーンです。ジョン・ウェインが人違いでキスをしてしまうということが観客にはあらかじめ察しが付くのですが(キスの仕方も良い)、これは二人が運命的に結ばれることを予見させるシーンでもあり、この後いくら喧嘩がはじまっても二人の愛が成就することを確信させてくれるもので、あれこそロマンティックというのだと思います。ウォルシュ監督は他の作品でも度々、いがみ合いながら距離を縮めていく男女を描いており、監督にとっては喧嘩とは仲良くなる為にするものなのかもしれません。 [DVD(字幕)] 9点(2009-05-19 18:05:09)(良:1票) 《改行有》

171.  デッドエンド(1937) 《ネタバレ》 これはほぼ街の一角だけで物語ってしまっているのが面白いところです。大都市ニューヨークの高層ビル群が高みから映り、そのままカメラが下に降りていくと貧民街となり、いかにも貧しい悪ガキたちがたむろしている。そしてそこから見上げれば金持ちたちがパーティをしている…。ドア一枚を挟んで別世界が展開される社会を見事に表現しています。 本作はギャングだヒーローだというよりも住む世界そのものを描いていて、格好良い人物というのは不在です。例えば、正義漢のようなジョエル・マクリーも育ちの良い女に目移りし浮気していますし、ボギーにしても悪としてのクールさなどとは無縁で、帰郷を母親にすら歓迎されず、昔馴染みの女のエピソードも酷なもので、ラストには高い所へ登って行き当然の如く落下し貧民街の地べたで息絶えてしまう物悲しさです(この時の銃撃戦も素晴らしい)。ただ、強いて言えばヒロインは存在していて、常に弟の見方をするシルヴィア・シドニーの優しさはこの世界の唯一の救いであり、あどけなさの残る表情が美しくとても魅力的です。[DVD(字幕)] 8点(2009-05-01 18:46:13)(良:1票)

172.  デス・プルーフ in グラインドハウス 《ネタバレ》 これはちょっと度肝抜かれちゃいました。脚先から導入し(この後も度々出てくる脚が良いんだなぁ)、「レザボア~」の女の子版のような無駄な会話がとことん楽しいです。そんな中に登場するカート・ラッセルのシーンもことごとく良い。不気味に現われる黒い車、ちらりと見せる顔のファースト・ショット、雨に打たれる車、ムシャムシャ飯を食うラッセル…、ラップダンスのくだりもとっても巧いし、前半と後半をつなぐ保安官親子の会話も面白い。こういうところにタランティーノ節〝炸裂〟なんですが、一番の見所はラストの躍動するカーチェイスでしょう。逃げるシーンの間に何度か「止まれよ」とか「逆走しろよ」とか「はいつくばるゾーイを車中にもどしてやれよ」とかとか、思うチャンスが訪れているのですが、〝カーチェイスってのはね、こうやってやるのよ〟とばかりに女の子たちはとことん真っ直ぐ猛スピードで逃げ続けます。そしてあっという間の反撃返し。警察の網をかいくぐり犯罪を続けるごっつい変態ラッセルを、能天気なお姉ちゃんたちが成敗してしまう凄まじさ。彼女たちの強さの証明とばかりにパンチの連打を浴びせ最後は踵落しで決め、そのカットで終幕させてしまうタラちゃんにもうカンパイです。それからチアリーダーのリーが可愛いのですが、車に颯爽と飛び乗るタフなゾーイがとってもかっこ良い![DVD(字幕)] 8点(2008-07-28 18:43:12)(良:1票)

173.  影(1956) 《ネタバレ》 何とも奇妙な謎の事件から導入し好奇心を掻き立て、勢いのみに留まらず三本の興味深い話で次々と魅せ、最後には数本が絡まったように見えた糸が一本に解ける面白さがある。三つの不可解な事件が一つに繋がるのはあまりにも偶然が過ぎるのだが、そんなことを気にさせないほど、すんなりとそれぞれの過去の回想に入っていき結末を知りたくなってしまう話の聞かせ方がとにかく巧い。特に二話目は緊張感があってドキドキさせられる。虎穴で仲間の足を蹴った時のあの反応、たった一人のところ狂気に駆られた表情で「手を出すんだ!」と凄まれる恐怖。計算尽でさり気なく事の結末である義足を見せるのも見事だ。作中に漂う空気も暗澹としており、白黒映画ならではかもしれないが物語のキーとなっている陰影のつけ方も不安を呼び起こすようで良い。もちろん1956年製作のポーランド映画であり政治的な内容だが、単純にスパイサスペンスとしても十分に楽しめる。[ビデオ(字幕)] 9点(2007-03-05 18:49:52)(良:1票)

174.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》 《ネタバレ》 アドベンチャーアクションものエンターテインメントの最高峰と言ったら、やっぱりこの作品でしょう。洋画の中で誰か一人ヒーローをあげて下さいと言われたら、私はおそらくインディ・ジョーンズの名をあげます。ストーリーも面白いですが、やはりキャラクターの勝利です。普段の考古学者の知性的な面と、冒険する時のワイルドなタフガイの面、かと思えばヘビが苦手だったりするお茶目な面を併せ持つあのギャップが魅力的です。私もあの帽子かぶりたくなりましたよ。・・・周囲の目が気になるので被りませんでしたが;。音楽もまた素晴らしい~。チャンチャチャッチャッ~チャッチャッチャッ~♪というあの曲を聞くと胸が踊ります。最後に皆が溶けちゃうシーンは現在見ればちゃっちいのですが、未だにちょっぴり怖いです;。シリーズではこの第一作が一番好きですね。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-16 18:07:50)(良:1票)

175.  妻よ薔薇のやうに 《ネタバレ》 「タクシーに乗ろう…」「歩こう…」などの何気ない会話から夫婦に生じた僅かなズレが感じられます。亀裂が生じるのは大きな出来事よりも小さい出来事の積み重ねの方がはるかに多いのかもしれません。再びいくら一緒の時を過ごしても修復することはありえない夫婦関係がシビアに描かれています。芸術性の高い立派な妻と痒いところに手が届くような愛人のお雪の対照的な女性像が男女の仲を端的に、父親と母親の対比が人間性を明確に示しています。父親は完全にダメ男ですが母性本能をくすぐられるのかこういう男に女性は意外に弱いですよね。男は男で貧乏してでも一緒にいられればそれで良いと言うお雪のような女に弱いです。世間的および倫理的に考えれば本妻のもとに残るのが道理ですが、妻と愛人だけでなく父親を愛する三人目の女、娘の君子の一歩離れた視点から見せることにより、愛人のもとへ帰るのが妥当な選択と思えてしまう結末。君子の最後の台詞〝お母さんの負け〟が悲しく胸に響きます。[CS・衛星(邦画)] 8点(2006-05-29 18:13:40)(良:1票)

176.  アンビリーバブル ともすれば未来という設定も忘れてしまいそうな近い将来が舞台ですが、これはシュールレアリスムをやりたい監督が冒険し過ぎる危険性を回避して、観客に歩み寄り少しでも物語性を備わせようとしている印象を受けます。なんせ既成概念無視の不可解な現象の連発。説明無し、物語の関連性無しにウガンダ人が空を飛びますし、異常気象を装い夏に雪が降りますし、水が凍結します。この不合理さは未来科学的と言うよりも完全に超現実的であり、同時にその画は詩情的なのです。ですから物語としては不親切と言いますかイイカゲンなのですが、私は何だかとっても惹きつけられるのです。まず最初の異変としてエスカレーターに死体が当たり前のように転がっていてホアキンと共にミステリアスな世界へと誘われる。そして錯覚のようにクレアのそっくりさんが登場するシーンにドッキっとさせられる。この奇妙な謎の数々の答えは提示されませんが、これは〝無人島に行くなら何を持って行く?〟みたいな極論に過ぎず意味など無く、愛についての追求なのだと思います。ショーン・ペンをストーリーテーラーとして使ったのは少々ズルい気がしますが、解り易さも提供してくれるしオトボケ学者キャラは味があります。ホアキンとクレアも役にはまっていますし、特にホアキンの無口で少し困惑気味の表情のアップが良いです。ただこの〝アンビリーバブル〟って邦題はどうなんでしょう?風船の如く空飛ぶウガンダ人だけに捧げられたようで、この題をつけたことがアンビリーバブルです。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-30 18:20:48)(良:1票)

177.  ショックプルーフ 《ネタバレ》 唐突なハッピーエンドはおそらく製作会社側の意向で、本来ならば逃避行が始まった時点で、というよりもそもそも女が男の前に現われた時点で、破滅に向かっていくのが当然の成行きだったと思います。というのも、誰もが言及せずにはいられないであろう冒頭のファム・ファタール登場シーンの流麗さが素晴らしいからです。通りを進む脚から始まり、ショッピングを開始するブルネットの彼女の姿を見せ、美容室に移り脱いだ帽子のショットから、帽子を被った彼女の移動につながり、後姿のままコーネル・ワイルド(いかにも真面目そうだ)の事務所に現れ、彼がいつも通りに何気なく顔を上げるとその目は釘付けとなり、金髪の彼女の姿が映し出される…。これぞまさに運命の女との出会いであり(しかもここまででは事務所が保護監察局で、彼女が仮釈放中の犯罪者とは分からない!)、このシークエンスが圧倒的な力を有しているからこそ、サスペンスの筋立としてはお粗末であるにもかかわらず、最後まで物語を持続させられるのでしょう。[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-12-01 18:26:20)(良:1票)

178.  武士の一分 《ネタバレ》 原作は短編も短編なので映画化に当って相当変更されていると予想していたが、割りと忠実にシンプルに仕上げている。鑑賞前は現代風の代表のような木村拓哉さんに時代劇なんて似合うはずがないと危惧していたがハウルに続いて健闘を見せている。そして作品そのものがキムタクナイズされている。重苦しくなってしまうところも時に喜劇調を織り交ぜ彼の特性を生かしながらも作風を損なわず融合させたのは見事だ。脇を固める登場人物たちも僅かな登場ながら強烈な印象を残す。剣術道場師範や医者などは物足りないと思うほどだが、主題はあくまで新之丞と加世と徳平の三人が成す家にあるからであろう。気に食わぬ仕事、切腹が待つ厳しい武家社会、冷たい親戚に囲まれながらもささやかで穏やかな幸せに価値を見出している。殊に印象深いのは加世が〝蛍はまだ出ていない〟と嘘をつくところで、しびれるものがある。しかし、思い込みかもしれないが若干気になるのは台詞が説明のように感じられるところ。活字ではない情報量の多い映像なれば必要以上の言葉は要らなかったと思う。ましておしゃべりは嫌いだとあれほど言っていたのだから。無言の中にというのが日本人の愛する奥ゆかしさだと認識しているのだが、もはや時代錯誤なのであろうか。日本人の一分はもうそんなところにはないのかもしれない。・・・・・・ところでシネコンで観たのだがチケット売り場で数人の子どもたちが〝たけしのいっぷん〟と笑いながら連呼していた。そんな映画があったら・・・ぜひ観たいゾ;。[映画館(邦画)] 7点(2006-12-02 23:53:18)(良:1票)

179.  大いなる河の流れ 儲け主義の人間が顧みずに行ってきた自然破壊に対して警鐘を鳴らすような痛烈で教訓的な内容ですが、詩情豊かに描かれた大自然の画の美しさはそれだけの説得力を十分に有しています。誇張表現でも何でもなく一枚一枚の画がアートとして成り立ち、その連続はまさに河の流れのように滑らかで優しくもとても力強く、息衝いているようで生命を匂わせます。ナレーションが入っていますが画だけでも問題無く理解できますので、字幕を追ったり聞き耳立てたりせずBGMとして楽しむぐらいの感じで画面を見る事をお勧めします。[DVD(字幕)] 8点(2007-04-05 17:48:47)(良:1票)

180.  三人の狙撃者 《ネタバレ》 ほとんど家の中だけで行われる密室劇が緊張感たっぷりに撮られています。何人か死人がでますがいずれもあっさり処理されるのも逆に印象深いです。特に感電し機関銃を乱射しながら計画をぶち壊し殺されていく殺し屋が壮絶。道具としての銃の使い方なども巧く考えられています。しかし、やはり何と言ってもフランク・シナトラの悪役っぷりがとても素晴らしいです。キャラクター造型自体が秀逸なのですが、見事に冷静そうで神経質で今にも暴発しそうな線上を狂気いっぱいに演じています。最初に保安官が訪ねてきた時に見せる笑みなど異常に怖い。…ただ、何ヶ所か妙な繋がりの部分がある(カットされたのか?)のが残念です。それから、戦争の被害者のような殺し屋を描きながら、最後に夫の戦死が無駄ではなかったと語る妻、それに自己防衛としての子供の銃の存在と、戦争を否定しているのか肯定しているのか良く分からないところがあります。でもまぁ難しいことは考えずに観ればサクサク進んで行くテンポの良さと上映時間の短さがあるので十分に楽しめます。[DVD(字幕)] 7点(2007-09-18 18:06:18)(良:1票)


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