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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. アルゴ 《ネタバレ》 1979年のイラン革命時の在イランアメリカ大使館人質事件を題材にした作品です。アメリカ大使館からカナダ大使公邸に逃げ込んだ6人の大使館スタッフを、CIAが「アルゴ」という仮想の映画をでっち上げ、映画撮影クルーに偽装して救出するという、映画みたいな本当の話を実際に映画化しましたという作品です。何度も言いますが、映画みたいな、驚くべき実話なのですが、いざ映画にしてみたら、思いのほか驚きが得られなかったなぁというのが率直な感想です。あくまでも主役はCIAの彼と大使館員で、メインはシンプルな救出劇なので。この歴史的背景ならではの、深みがあまり感じられません。相手がイスラムだと深みに嵌まれないのも分かりますが。大使館員達が占拠される前にシュレッダーにかけた書類を、イラン側が子供達を使った人海戦術でサルベージするなど、ちょっと面白い描写があったりはするのですが。まあまあ、そこそこスリルを楽しめる作品にはなっているかと思います。[DVD(字幕)] 5点(2023-05-12 17:06:49)(良:1票) 2. アクト・オブ・キリング 《ネタバレ》 インドネシアで1960年代に起きた100万人規模の大虐殺(赤狩り)の加害者に密着したドキュメンタリー映画。当時はプレマン(free manの訛りらしい)と呼ばれる近所のチンピラが、大虐殺の実行を担っていたということです。その大虐殺実行者達が何人か集まって、学芸会よろしく、当時の虐殺を再現したりして、それを一歩引いてドキュメンタリーとしてまとめたものです。ちょっと落ち着いたパンチパーマのヤクザ風爺さん。腹で威圧するタイプの業界人風の仕切りたがりのデブなおっさん。この2人が主人公ですが、役者だと言われれば疑わないほど、素人では出せない迫力があります。何ら悪びれる様子もなく、簡便な方法として開発した針金で首を絞めるやり方を実地で解説したりする一方で、被害者役を加害者が血まみれになって演じてみたり、虐殺後にみた悪夢に現れる亡霊を前衛的なメイキャップで再現したり、被害者達が加害者に対して「殺してくれてありがとう」と次々と口にする妄想を再現したり(それなんて補完計画?)、加害者達にとって、ある種のセラピーになっているとも受け取れる、なかなか複雑なことになっていて、虐殺加害者のドキュメントというより、この映画を作るプロジェクトに参加する加害者達のドキュメントになっていて、メタ構造な上に、更に訳の分からんセラピーにもなっているという。もうね。訳が分かりません。[DVD(字幕)] 8点(2023-04-23 15:46:30) 3. 赤い闇 スターリンの冷たい大地で 《ネタバレ》 丁寧につくられた重厚で落ち着いた映像は、品格があり一気に引き込まれました。主人公は、モスクワに入ったのち、現地の大手紙の記者たちに会いますが、ソビエト側の監視が強く、自由な取材どころではないことを悟ります。経過は省きますが、自力でウクライナに潜入し、収穫のすべてを取り上げられ、飢餓に苦しむ人々と、手押し車の上に積まれた死体の山を目の当たりにします。主人公がウクライナに潜入してからのホロモドールの描写については、死者はともかく、生存者はとてもこの程度ではすまない惨状だっただろうと想像しますが、餓死寸前の生存者を再現するのは高度なCG処理でもしない限り難しいでしょうから、致し方ないかなといったところでしょうか。飢餓のリアルな再現よりは、飢餓の子供たちが歌う讃美歌が響くという幻想的な印象付けを狙ったようで、それも一つの選択肢かなとは思います。「五カ年計画」、「ソフホーズ」、「コルホーズ」は、学校の教科書で習いましたが、「ホロモドール」は習いませんでした。「ホロモドール」について学べただけでも貴重です。しかし、当時のソ連の情報統制、鉄のカーテンっぷり。そして、その表側と裏側のあまりの違いっぷりには、ホントにばれないと思ったんかねと呆れることしきりです。大量の奴隷が甲板の下でオールを漕いで進む船を作ってやろうとか、箱の中に人間を入れてハイテク機械ってことにしようとか、そういうレベルの発想ですよね。そういう人間だからこそ、国家元首になってしまうというのが何ともやりきれないというか。飢餓ジェノサイドとも言われており、呆れて済むことではないのですけどね・・・[インターネット(字幕)] 8点(2023-02-07 18:16:48) 4. アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場 1939年にソ連がフィンランドに侵攻した「冬戦争」で失った領土の回復を狙った「継続戦争(第二次ソ芬戦争)」を扱った作品。領土の変遷を示す地図が挿入されるのと、日時と場所を示すキャプションが入る以外は、背景等がわかるような説明的描写はほとんどなく、戦場の兵士の視点で、過酷な戦況を臨場感を持って描写しています。我々がよく見る戦争映画というと、ベトナム戦争や太平洋戦争などが多く、亜熱帯のジャングルのイメージが強いですが、寒冷地の戦場は、また違った趣があります。雪が降ると兵士も白装束となり、ガラッとイメージが変わります。戦争映画を見る一つのメリットとして、その土地の地形や気候条件を、否が応でも感じることができるというのがあると思います。道なき自然の中を広域的に移動する描写って他にあまりないですから。殊勲を上げると休暇がもらえて、家族が待つ実家に戻って、麦の収穫を手伝ったりするなど、つかの間ながら牧歌的な一面もあって、これもまた趣があるなと感じました。[インターネット(字幕)] 6点(2023-02-07 18:00:13)(良:1票)
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