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41.  嵐を呼ぶ男(1957) 《ネタバレ》 両親(特にママン)が祐ちゃん好きだったみたいで、石原裕次郎が亡くなった時にベストアルバムみたいなレコードを買ってきて、家族で一緒に聞いた覚えがあります。 「フックだ!ボディだ!」とセリフ付きの歌に、当時の私は内心『・・・ダッサ』と思ったっけ。 裕次郎の格好良さが詰まっていると言われる本作。きっと大人になった私だったら、共鳴・理解出来る何かがあるに違いない!と思い、数年前に1回めの鑑賞。 オープニング、銀座の昼が夜になり、ネオンがギラギラ輝く当時の夜景が美しく、ガヤガヤした人の喧騒が楽しい。観ていてワクワクした。 ヤクザの世界とベタベタな芸能界も、きっと当時の感覚では“言うまでもない世間の常識”だったんだろう。時々闇深さを見せる今の芸能界より解りやすい。 詰まらなくはないんだ。惹かれるものはあるんだけど、でもね、う~ん・・・チャーリー(何だよチャーリーって)との対決で歌っちゃうのってどうよ?アレってドラムのテクニックとか関係ないし反則じゃない?なんかね、一番の盛り上がりポイントが、正直言ってやっぱりダサくて、このノリに素直に同調できなかった。“昭和を代表するスター”の代表作の魅力を充分に理解できなかったわ。 子供の頃からスタイリッシュで格好いいハリウッド映画と洋楽にどっぷりハマって、“欧米文化サイコー!!”って自分を洗脳してきた私には、戦後から立ち直って、その先を模索する当時の日本人のパワー(暑苦しさ)、昭和の真ん中な空気(古臭さ)にダサさを感じてしまったんだろうな。 それで今回、レビューのために再鑑賞。やはりオープニングにワクワク。戦後わずか12年でコレって凄いよなぁ。戦後かぁ。“戦後”ってキーワードで鑑賞すると、そういやチャーリーって、アメリカ人の代表的な名前だな。 左手を痛めつけられ、それでも逃げずにチャーリーと戦う裕ちゃん。手をやられたなら他の武器で戦えば良い。「おいらはドラマー♪」と、出せる力を全部出して戦う石原裕次郎に、当時の若者は焼け野原から立ち直った日本、“もう戦後ではない”これからの日本を重ねたのかもしれない。 ロカビリーとかカタカナ名前とかそういうアメリカの借り物でなく、これからは日本独自の格好良さを創り出していこうぜ!って、1957年という時代は、そういう日本の将来の分岐点だったのかもしれない。 映画の裕ちゃんみたく「フックだ!ボディだ!」って、日本人みんなが出せる力を全部出して、なりふり構わず頑張った結果が、高度経済成長なんだろうな。 This is 昭和! This is ニッポン! ダサいけど格好いいぜ、裕ちゃん![CS・衛星(邦画)] 7点(2022-08-26 19:42:41)《改行有》

42.  あゝひめゆりの塔 《ネタバレ》 今年の終戦の日に観たのはこちら。10年ほど前にひめゆり平和祈念資料館に行ったときは、無言の写真たちが訴えてくる重さ、ググゥッと肩を押されるような重さに、言葉を失ってしまった。なので、もうタイトルだけで重たく感じてしまう作品。 そこを吉永小百合と浜田光夫を起用して、日活青春映画そのまんまなオープニングで惹きつける。当時まだ戦後から23年。戦時中の若者がどのような青春時代を過ごし、命を落としていったかを、次の世代、特にあの子たちと同年代の若い人に観てもらいたいという思いが感じられる。モノクロなので耐性のない人でも最後まで観られると思うけど、実際の場面を想像するだけで充分に恐ろしい。 真面目に創られた映画にしては、ちょっと気になった点が二つ。まず口で手榴弾の安全ピンを抜くトコ。当時の武器は“天皇陛下からの預かり物”だから、丁寧に扱ったはず。それも兵隊でもない女学生が口でグイって…きっとTVドラマ“コンバット”辺りの影響だろうな。 それとアメリカ軍の攻撃機…には見えない。どう見ても民間機。あの飛行機はロッキード・モデル10という輸送機。水浴びを襲うグラマン・ヘルキャットは特撮で表現しているのに、どうして輸送機で代用したんだろうか。 アメリカ軍の攻撃機が女学生を追い回し、機銃を撃つ。きっとこの画を1つのカットに収めるために、撮影用に手配出来る実機を使う必要があったんだろう。パイロットの視力なら、砂地を走るトミちゃん達が非武装なのはもちろん、“一目散に逃げてる女子供”だと解ったはず。 それを、撃つんだ。狙って、撃ててしまうんだ。 この映画にはアメリカ人俳優が出てこない。きっと意図して出さないことにしたんだろう。誰が撃ったかも解らない、無感情な“鉄の雨”だけが彼女たちに襲い来る。そんな劇中、女学生を撃つ攻撃機のカット。撃てば死ぬ。あのアメリカ兵は、どんな気持ちでトリガーを引いたんだろう。その画のためのモデル10。 日本軍の学徒隊の扱い方も酷い。動員されたのが卒業直前なのって、校長先生の人望を利用するのと、学生の方がまとめやすいからだと思う。 学徒にも暴力を振るう軍人。男性器を出してお小水の介助。切断する足を押える手に伝わる体温とノコの振動。生きる希望より青酸カリのミルク。まだ10代の少女たちにはあまりに想像を絶する過酷な数ヶ月。 戦場を連れ回すだけ連れ回して、最前線での解散命令。実際はあの子たちを生かすためじゃない、見捨てる道を軍は選んだ。結果的に1,503名(映画より)もの学徒の命が奪われた理由として、あまりに理不尽じゃないか。 何の抵抗も出来ず、誰にも守られず撃たれて死んでいく学徒。捕虜となって、軍人に聞かされてきた辱めを受けるより、自決を選ぶ少女たち。 軍人でもない少年少女が、呆気なく散ってゆく姿に『無駄死に』という言葉が浮かんでしまう。 それじゃあんまりだ、決してそうじゃない。と思いたいけど、じゃあ、あの子たちの死は『意味のある死』だったのか。 現地訪問よりおよそ10年。この映画を観ても、やっぱり言葉を失うしか出来ない。 ひめゆり学徒隊の悲劇を知った私に出来るのは、平和の有り難みを実感して一生懸命生きることと、あの子たちの犠牲を忘れないでいてあげることくらい。[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-08-23 23:41:58)(良:1票) 《改行有》

43.  アフロ田中 《ネタバレ》 原作が好きであればあるほど、実写化、映画化には不安がつきもの。原作の再現度と雰囲気の再現。オリジナル要素がどれだけ馴染むか等、沢山の障害がある。“高校”から“結婚”まで全部実家にある私だけど、高校を中退してからプレハブ小屋生活、旭工務店に勤めるまでを足早に流した時には、初めて観る人を置き去りにする作風、正直期待できない作品。だと思った。 でもコレがなかなか、2時間の映画として、良くまとまった作品に仕上がっていると思う。この作品は、アフロヘアーだけど中身は普通の青年・田中広が、社会の仕組みや男女の恋愛に勝手に悩み、等身大の成長をしていく物語。当時原作は“さすらい”の頃だけど、一番脂ののっていた“上京”をベースに“中退・高校”のエピソードを交えて、友人井上の結婚と自身の彼女作りに、原作の雰囲気を壊さないよう、オリジナルの彼女候補・佐々木希を絡めて描いている。 松田翔太の見事な熱演。ちゃんと田中広に観える。動揺や不安感といった心の声を被せることで、田中が何を考えているかがよく分かる。無愛想だったり無口だったり、エロい誤解を与えないよう自重したり。あんな見た目(アフロ)や雰囲気の裏で、こんな事を一生懸命考えてたんだって、可愛く思える。 野良猫の餌やりは優しすぎ(映画オリジナル)に観えたかもだけど、ここも心の声で補完。田中は実家にクロって猫を飼っていて、会えないのを寂しがっていたのを再現したと思うと納得。それを見て亜矢(佐々木希)が勝手にキュンとしただけ。人がどう思うかなんて解らないもので、最後も亜矢が何を考えてるのか、経験不足の田中には良く解らないままにフラレて終わるのも、アフロ田中らしい。 友人の再現度もなかなかのもの。ただ大沢(堤下)は、もっと小柄でブサイクな俳優さんでやってほしかったかな。 一番感心したのはロボ(井上のお嫁さん)。原作をよく知らない俳優さんなら、うつむき加減の根暗演技になりそうなところ、背筋伸ばしてちゃんと嬉しそうに笑顔を出してた。結婚式の『ご本人主演の再現VTR』凄く良かった。完璧なロボを実写で観られただけでも大満足。原作への愛があるなぁ。[インターネット(邦画)] 7点(2022-07-24 12:21:41)《改行有》

44.  悪魔のいけにえ 《ネタバレ》 -THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE- “テキサス・チェーンソー虐殺(事件)” 記録フィルムのような淡々としたナレーション。ストロボの光と浮かび上がる遺体。死者に対する敬意のカケラも無い遺体損壊オブジェ。アルマジロの死骸…最初っから生理的に受け付けない気色悪さ。 旅行中の若者が被害に遭うホラー映画って言うと、序盤はもっとこう、キャッキャウフフと盛り上がっているところを、徐々に不幸が忍び寄って…って印象だったけど、序盤からイヤな予感しかしない。 良くない運勢の占い話、牛の屠殺話。みんな若いんだから、もっと明るい話題はないのか?って思ってるうちに拾ってしまう最悪のヒッチハイカー。演じた役者さんには申し訳ないが、笑顔が行動が空気が全てが生理的に気持ち悪い。 突然出て来て突然殴り殺すレザーフェイス。ガァーッダンッと閉められる鉄の扉。恋人が切り刻まれて殺される様子を、吊るされながら見せられるパム。この交渉の余地のない絶望感。なんか落ち込んでるレザーフェイス。病んでる。 男は一撃でアッサリ殺されるけど、女は時間を掛けてじわじわ殺される。すみません私アッサリでお願いします。 ヒッチハイカーとガソリンスタンド親父とレザーフェイスがひとつ屋根の下に暮らす家族。よくこんな設定思いつくわ。サイコを彷彿とさせる祖父母のミイラ…と思いきやジイさん生きてる!血チュッパチュッパ吸ってる!!ヒィィッ~~! サリーの絶叫とエメラルドグリーンの瞳のアップ。力無く振り下ろされるハンマーでの処刑。いつまで続くのコレいつ終わるのぉ~~~!?? 急展開の脱出劇から、朝焼けの中踊り狂うレザーフェイスの映像の美しさ。不快感満点の映像美。 墓地を出て以降マトモな人が出てこないんだけど、会話が続くたびに仕事をめるガソリンスタンドの窓拭き係が可愛い。[ビデオ(字幕)] 7点(2022-04-10 20:58:46)《改行有》

45.  アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 《ネタバレ》  -I, Tonya- “わたし、トーニャ”。すごいこの“他に説明が要らない”自己紹介。 『みんな事件の大まかな顛末は知ってるけど、本人的には実際どうなの?』を、トーニャと元夫に語らせる。“ひどく矛盾してる気がするけど、真実のインタビューをモトにしている”みたいな初っ端のテロップ。とても面白い制作姿勢。 彼女の存在は例の事件で知ったんだけど、この映画のお陰で、彼女がアメリカ人女性初のトリプルアクセルを決めて優勝した人だって知った。彼女の家庭環境を考えると、すごい才能と血の滲む努力の結果だったと思う。 スターダムにのし上がる才能はあったのに、周りに足を引っ張られるトーニャ。…って言いたいところだけど、トリプルアクセルに失敗した原因と感想「私のせいじゃない」を本人に言わせて、暴飲暴食・体重増加の映像をチラッと流す。反省の色が見えないトーニャを観せる。 興奮したジェフに銃で撃たれて(!!)、頭から血を流してるのにジェフの車に乗せられて、スピード違反で警察に止められ、バレないようにニッコリ(!?)とか、悲劇なんだけど喜劇に思える。だけど腕にナイフが刺さってしまうシーンは、トーニャもラヴォナも、観てる私も「あぁっっ!」ってなった。単なるコメディにしないで、かといって重たくもしない、バランスが上手い。 時々俳優がカメラ目線で状況説明する演出。ロッキーⅣのトレーニングそのまんまやってたなんて大爆笑だけど、コーチのダイアンが「コレ本当にやったの」って微笑んでる。漫画みたいなキャラがいっぱい出てくる映画の中で、日本の漫画チックな表現を入れてくる。実写映画でCGの涙や怒り顔入れるより、ずっとセンスがいい。 フィギュアスケーターだったのに、ボクサーになったニュースに驚いた記憶がある。当時は“この人、売れれば何でも良いのかな?”なんて思ってたけど、事件から27年も経って、このタイトルで観客が入る映画になるのは凄いことだと思う。そして彼女の逆境だらけの人生と、積み重ねた努力を知ると、どこか可笑しくて、どこか尊敬してしまう。そして彼女だけが悪いのか?も考えさせられる。[インターネット(字幕)] 8点(2022-04-08 20:34:55)《改行有》

46.  悪霊島 《ネタバレ》 '80年、ジョンレノンの死から始まる。三津木五郎の青春時代、ビートルズとヒッピームーブメントに溢れた'60年代後半の回顧録…として始まる。今までのシリーズとはちょっと変わった出だしだけど、金田一さん、磯川警部とお馴染みの顔が揃ってからは、どんどん五郎の出番が減っていき、普通に金田一モノになってしまう。あれれ… 金田一モノといえば、昭和20年代、戦後のいざこざで浮き彫りになる田舎の風習、ドロドロした一族の内情なんかを暴き出す印象が強いけど、本作は昭和44年が舞台。過去作との関連性を考えると鹿賀金田一は若く思える。渥美金田一のように現代劇バージョンもあるから、独立した作品と考えたほうが良さそう。 ブライアン・メイみたいな髪型の鹿賀金田一も、60年代後半という時代を考えるとオシャレで面白い。刑部島の風景とか良い雰囲気だし、根岸季衣のグイグイ来る女中さんもいい味出している。グロ場面にはかなり力が入っていて、損壊した死体は生々しいし、腕を咥えて走る犬の演技は素晴らしい。そして何より岩下志麻。キツい表情の多い印象の彼女が、この映画では優しい表情をしている。守衛を殺した直後、振り返って五郎に微笑む顔は、イタズラをした後の上品な猫のように可愛い。 岸本加世子が「片帆」って言うの、名前だったのね。双子だからてっきり「片方」って呼んでるのかと… この映画、観どころは結構あると思うんだけど、どうにもお話に集中できず。本物の金田一モノなのに“金田一っぽい作品”感、いわゆる既視感がつきまとうのは、映画も原作もマンネリ化してきたためだろうか?先に書いた五郎と事件の関わりの薄さ。ビートルズと事件の関係なさ。最後金田一が歩き去るシーンはどう観ても'80年代。どうしてもっと、頑張らなかったの? 横溝正史の死。金田一シリーズ最後の原作小説。金田一映画ブーム最後の作品。色々なものが終わる区切りの作品。最後の曲がレット・イット・ビーっぽい曲(あ、カバーでしたか)なのも、ホンモノでなく“…ぽさ”を増す要素になっていると思う。 ニコニコ動画で当時のCM観たら、ホンモノのレット・イット・ビーが流れてやんの。 '60年代の青春映画な味付けの金田一って感じで、メッッッッッチャ面白そうなのな~このCM。[インターネット(邦画)] 4点(2022-04-03 16:20:07)《改行有》

47.  アルティメット 《ネタバレ》 -(Banlieue)District13-“(郊外の)13区域”。 犯罪者が沢山居る区域があるなら、その辺一帯を壁で囲い込んで閉じ込めてしまえ!…何とも乱暴だけど、映画や漫画で結構観たことある設定。 オープニングからスピーディに飛び回るレイトのパルクールは、何度も見返してしまう華麗さ。もう18年も前の作品だけど、特撮無しのマトリックスを観てるような、カンフー映画の直系進化型アクションを観ているような、そんな楽しさだった。 タハを人質に警察署の結末まで僅か22分。展開も早くて飽きさせない。ローラが悪党の口に自分のパンツをねじ込むところ、オシャレで格好良くて、強烈な個性。後半目立った活躍がないのが残念。 ここからが本編。今度は華麗で力強いダミアン大暴れ。任務はレイトを味方に付けて24時間以内に弾頭の解除。とこっちもスピーディ。ぶっつけ本番の潜入作戦は手に汗握る面白さ。ラスボスがタハでなく…ってところは、これも漫画なんかでよくある展開だけど、主人公同士の戦いも観られて盛り上がる。 レイトとダミアンの引き締まった身体同様、アクション映画として無駄な贅肉を削ぎ落として、86分にギュッと凝縮した創りに、素直に感心してしまう。[インターネット(字幕)] 6点(2022-03-18 00:28:47)《改行有》

48.  愛と哀しみの果て 《ネタバレ》 -Out of Africa- “アフリカから離れて”。アフリカ要素と恋愛要素を天秤にかけて、恋愛の方がウケるって判断した結果のタイトルでしょう。最後“果て”とした所が、地の果てアフリカな感じも辛うじて出していて、ニクい演出に思えます。類似タイトルで迷った時は“果て=アフリカ”とインプットしておけば、この作品を思い出せるかもしれません。 何不自由なく裕福なカレンがアフリカに移り住む。物欲に縛られないデニスは、彼女にとってアフリカそのものだった。 ヨーロッパの文明、人との繋がりとは対局な、孤独な生き方を選ぶデニス。 彼に近づけば近付くほど、彼女の裕福の象徴、文明との繋がりは足枷となっていく。 梅毒で生死の境をさまよい、子を持てなくなったカレン。生きるために不可欠な文明との共存。彼女はデニスのようには生きられない。 無情にもアフリカの神は彼女の築いた文明(農園)を焼き尽くす。人間のちっぽけさ。文明の儚さ。 カレンの影響で徐々に文明を受け入れたデニスは、皮肉にも文明の象徴である飛行機の事故で命を落とす。 残った財産を売り払い、すべてをアフリカに残し、文明の元デンマークに帰るカレン。 天に召されたデニスと文明に戻ったカレン。2人の肉体はアフリカを離れたが、2人の魂は永遠にアフリカに残っている。 …“美しいアフリカの自然”と“雄大なテーマ曲”というパワーワードを抜きに、この映画を語ることなんて、自殺行為だなって思ったわ。 そのくらい、この映画のアフリカ要素重要。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-02-11 11:45:19)《改行有》

49.  青い体験(1973) 《ネタバレ》 -malizia- “意地悪”。 スカートから覗く太もも。スケスケのネグリジェ。自転車に乗るのを手伝ってサワサワ…エッチなあるあるネタのオンパレードは、ある意味清々しくもある。 だけど、う~~~ん・・・・これは、今の世の中では、いわゆる、セクハラだわ。 そして立場の弱いものに対して、立場を利用しての行いだから、いわゆる、パワハラだわ。 30前半の美人で気が利くアンジェラが、どうしてあの家で家政婦を続けることにこだわったのか、私にはわからない。お父さんは良い人だけど、そこまでの魅力があるか?お金はありそうだけど。 少なくとも、神父の前でアンジェラの手を握って、結婚の話をしてるお父さんの横で、アンジェラのパンツを脱がす変態中学生が居る家で、働き続ける必要性がわからない。家庭を築ける自信がない。 百歩譲ってアンジェラ自身がそういう性癖なのかもしれない。人に見られてとか、バレずにするスリルとか、あんな子に虐げられてとか、そういうのが好きな人は一定数居ると聞く。性癖は人それぞれだし、人に言えない癖があってもそれは自然なことだけど、仕事中はそういうの、ダメだろう。面倒くさい事になっちゃうだろう。 ニーノが無言で寝室をウロウロするとこと、ノートをちぎって投げるの、アレやられたら私は泣いてしまうわ。それか殴るわ。うん、殴る方にしよう。いい加減にしろこのガキ!って、殴ろう。 セクシーな格好で父親をからかわせるのを覗き見たり、アンジェラのストリップをポルチェロに見せたりって、何が楽しいんだ?ニーノ。アレで君の、何が満たされるんだ? 暗闇で怖がってるアンジェラを懐中電灯でチロチロ。ヤメロそれ陰険だな。って思ってたら、アンジェラが脱ぎながらキレながら笑って仕返し。ハハハ。ここ良いシーンだなァ。 コトを済ませたら執着が無くなったんだろう、相手は倍の年齢の女だし。最後は結婚式で行儀よく「お元気で ママ」と頬にキス。 ドキドキしながら最後まで観てしまった。うん。[インターネット(字幕)] 5点(2022-01-14 00:47:17)《改行有》

50.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 -Terms of Endearment XXX- “愛称” …え?タイトル愛称なんだ?誰か個性的な愛称で呼ばれてたっけ? 意訳の“愛情を受けるための条件”…とかでも良いのかな? タイトルには含まれないけど、タイトル画面の最後のXXXは、手紙とかで書くキス。“Chu!”みたいなものみたい。 先日、瀬戸内寂聴さんが亡くなった。幼い頃から徳の高い尼さんという印象で見てたけど、出家する前は不倫したり娘を捨てたり、本能のままに生きてきたようで、知らなかったから結構びっくりした。人間生まれてから死ぬまで、誰であっても、どんな立場でも、どんな年齢でも、恋愛はするんだなぁ。本作もオーロラとギャレットの熟年の恋愛から、エマとフラップの結婚。お互いの不倫まで様々な恋愛模様が出てくる。 ただ、エマの不倫がねぇ…フラップがまだ浮気疑惑(あの段階でどれほどの確証があったのか?)なうちに、サムと不倫。そこまでは仕方ないとして、不倫してることをオーロラに相談してる事にドン引き。オーロラもフラップが大嫌いだからって、娘の不倫をどんな気持ちで聞いていたのか、とてもモヤモヤする。 妻が死んでいく事を受け入れて、自身の浮気を白状するフラップに対し、自分の不倫は墓場まで持っていくエマ。こんなところも、なんかやっぱりスッキリ出来ない。何が正解か解らないけど、恋愛に対して不誠実に思えた。 長男トミーのエマへの冷ややかな態度から、彼は母親の不倫を知ってたのかな?なんて思ったけど、そう言う描写は無かったな。 人生の最後、必死にトミーに語りかけるエマ、それを面倒くさそうに聞き流すトミーがリアル。これ大人になって絶対後悔する。 併せて、ママを怠け者扱いするトミーに手を挙げるオーロラのシーンも、かなり心に刺さる。叩くオーロラの心も痛い。 エマが死んだときのオーロラの『この子が逝けば苦しみが和らぐと思ってた』ここもとても共感。末期の家族を看病するのって精神的にも体力的にも疲れ果てるから、熟睡できない夜を何日も過ごしてるうち、つい“この状況、いつまで続くんだろ?”って思ってしまうんだよ…人間って弱い。 人は生まれてから死ぬまで、友情、愛情、不倫も含めて人を好きになり、愛を与えあう。 愛する人の死でポッカリ空いた穴は、残された家族と友人とで、時間を掛けて埋められていく。 ジェームズ・L・ブルックス監督って聞いたことあると思ったら、あのザ・シンプソンズのブルックスだった。へえぇ~~、こんなこともする人なんだ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-17 00:30:14)《改行有》

51.  アタック・オブ・ザ・キラートマト 《ネタバレ》 -Attack of the Killer Tomatoes!-“殺人トマト達の襲撃” 学生時代に買って隅々まで読んだ『ぴあシネマクラブ』という分厚い映画辞典で“CULT作品”として紹介されていたこの作品。短い紹介文として10行くらいの簡単なストーリーが書いてあったけど、ほぼそのまんまの内容だったわ。 最初のヒッチコックの鳥の紹介(いや、アレ観て当時の人は嘲笑したのか?)から、実際の鳥の襲撃(ホントか?)は話の切り出しとして面白かった。そしてリアルなヘリの墜落(実際の事故らしい)。トマトが人を襲うという不条理さはともかく、狭い会議室とか日本人博士(フジ・ノキタファ博士)が戦艦アリゾナの写真を落とすとか、当時のコメディ映画として及第点なんじゃないか?って思って観てた。 ダサいヒット曲『思春期の恋』って歌がトマトの弱点とか、結構良く出来てる。架空のヒット曲みたいだけど、今の日本だと『パプリカ』みたいな歌だろう。 どうしてこれが、CULTな最低映画なのか?…まぁ早い話、退屈なんだな。 古い話だけど、吉田戦車の『伝染るんです。』って不条理4コマ漫画があって、アレたぶん、当時のリアルタイムの日本人じゃないと笑えない、基礎として日本の習慣や生活が染み込んでないと笑えない漫画だと思う。このキラートマトもたぶん、きちんと理解するには当時のアメリカ人としての生活習慣がないと難しくて、もし説明を受けて理解は出来ても、それを面白いこととして笑えないのかも?って思えた。 『名犬ラッシーと飼い主(ティミー)のように♪』とか、本来の意味を伝える字幕の努力は素晴らしい。テッドの翻訳家は見習ってほしいものだ。 …まぁ、どう褒めたところで退屈な映画なんだけど。[インターネット(字幕)] 1点(2021-11-14 19:03:16)(良:1票) 《改行有》

52.  アリー/スター誕生 《ネタバレ》 -A Star Is Born-“スター誕生”タイトルまま。 無名のシンガーが、突然人気ロッカーのステージに上げられて、ぶっつけでデュエット。トントン拍子にツアー同行して、アンコールでいきなりソロ。普通ならジャックのコンサートを観に来た観客には“え?誰?”だったろうし、スタッフも“え?歌わせるの?”だろうけど、この優しすぎる世界に、ガガの圧倒的な歌唱力が説得力を持たせている。 ジャックのキャラクターは、カート・コバーンの影響を受けたという。グランジとフォーク・ロックはジャンルが違うけど、 ジャックは“若くして自殺しなかったカート”だと思うと興味深い。 個人的にだけど、ニルヴァーナ辺りの'90年代後半から洋楽(ロック)のジャンルが多様化・細分化して、王道・本線を見失ってついて行けなくなり、空白の10数年を経て、レディーガガの登場に『おぉ!』って思った。 ドラァグ・クイーンのバーで歌うアリーは、実際のガガの下積み時代を彷彿とさせる。デビュー当時からシンガーとしての実力がスゴかったガガは、日本でも知名度が高かった。歌唱力より奇抜なキャラクターで取り上げられてたような気がしたけど、それでもアイドル以外の実力のある海外アーティストが日本で注目されるのは、久しぶりのことだったと思う。 邦題で“アリー/”って付けちゃったから、アリーの話とジャックの話のバランスに違和感を感じてしまうけど、人は死んで星になるって説は何も日本だけの表現じゃないようだ。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-11-07 12:11:42)《改行有》

53.  悪魔の手毬唄(1977) 《ネタバレ》 犬神家の舞台が昭和22年で、本作は昭和27年の物語。 犬神家の続きものと言ってよいのか、同じ俳優が別な名前と役柄で出てくるから、慣れないと結構ややこしく感じる。橘署長は別人の立花刑事の役だから、金田一と初めて会った時の首を傾げるのが可笑しくて。 今回は山あいの村が舞台。自然の美しさと静けさ、夕方から日が落ちるのが早く、とても寂しげで怖さも感じる。 登場人物が多く、4世帯に女4人、娘4人、息子が3人?最初の方、名前が出る時に細かく顔がカット・インするの、便利で解かりやすいと思ったけど、覚え続けるのが大変で…鑑賞3回目にして金田一みたく家系図を作ってみたので、今回は何となく関係が解ったかな。 他人の話をべらべら喋る女中がザル屋なのを聞いて「ピッタリじゃ」には吹き出した。他にも金田一と磯川警部のやり取りが絶妙で面白く、自転車の二人乗りなんて何とも微笑ましい。 このシリーズの影のヒロイン草笛光子。殺人を問い詰める方言がなんか可愛い。 総社の宿でおはんが去年死んだと知らされる時とか、大瓶の中の大きなサンショウウオとか、恩田の写真を見る女3人とか、見ていてゾッとする演出が上手い。 極め付きが村娘を表した手毬をする日本人形。あんなの、子供の時見ていたらギャー!!だよね。 葡萄酒作りとか、田舎のモール詐欺とか、弁士の失業とか、あの時代ながらの問題・話題がなんかリアル。 同い年の仲良し村娘4人組に、これまた闇深い事実が隠されていたけど、子を思っての犯行って考えたとしても、あまりに突飛な動機。そんなの感情論で妨害するなり、口で上手く説明すればって思う。手毬唄にちなんだ殺人は、ご隠居以外に知っている人が居ないマイナーな唄なのに、どうしてその唄に合わせる必要があったのか?…まぁそういうの全部、犯人の心が病んでいたって思うとスッキリか。 でも源治郎と恩田の、村人との関係がどうもシックリこない。20年経った今なら過去のことだけど、当時はリアルタイムの人間関係があった筈で、それなのに、あんな小さな村で夫婦生活するなんて、当時の彼は何でそんなリスキーな事をしたのか。…もう一回くらい観れば何か掴めるかな? 犬神家同様に、戦後の怪談話として、観てる間“ヒエぇ~~…”ってなれる、とっても趣のある懐かしさと怖さ。[DVD(邦画)] 7点(2021-09-27 02:19:22)《改行有》

54.  アンダーグラウンド(1995) 《ネタバレ》 ~Underground~地下で。ひっそりと。秘密裏に。=物語の舞台の地下での生活、ひっそりと生き延びる指名手配のクロ、秘密裏に武器製造をさせるマルコ。ダブル・ミーニングにもトリプル・ミーニングにも考えられて、色んな意味が込められたであろうタイトルと作品内容。 かつて東欧にあった連合国家ユーゴスラビア。第2次世界対戦中はドイツに支配される側だった。その後ソ連のもと東側諸国として東西冷戦を乗り越え、冷戦終結後は内戦に突入。ボスニアとかコソボとか、東欧の中でも血生臭い印象の地名が属する国だそうだ。 強国の都合に翻弄され、鉄のカーテンのもとで“ひっそりと”分解していった国家・ユーラビア。その首都ベオグラードで激動の時代をたくましく生きた人々をユーモラスに描いた映画…って、随分と説明臭いレビューだけど、ユーゴスラビアって国についてほとんど何も知らなくて。どんな歴史を辿った国かを知っていれば、より深く理解できる映画だと思う。 観る前は、“大戦中、地下に逃げた人たちが、戦争後も避難生活を続ける、時代錯誤なギャップを楽しむほのぼの系ヒューマン・コメディ”だと思っていたけど…とにかく観ると疲れる。なんかグッタリする。何よりOPから流れる音楽“ジプシーブラス”?が、脳裏にこびり着いて離れない。 “太った娼婦の尻に一輪挿し”とかどう観るべきか理解難しいし、動物園の爆撃とか印象的な重たい場面が出てくるし、クロとマルコのやってることがメチャクチャで、笑って良いのか真面目なシーンなのか、感情の置き場所に困ったわ。 実際の空爆後の白黒映像に着色したものや、当時のニュース映像にマルコの顔や姿を合成したり、この映画と歴史を同化させる画は感心する。 戦後、あんな狭い地下で20年も武器製造をしながらの生活。地下から武器を上げる時、左右に分かれて開くテーブル。ガラスの花瓶まで真っ二つに、やっとコント要素も入ってることに気がつく。そういや、電気コードで髪の毛逆立ったり、最初からコント要素あったなって。 幻想的に宙を舞う花嫁の美しさと、滑稽な演出装置。ぐるぐる回り続ける楽団。映画撮影のドイツ兵と不死身のフランツ。 大砲で大穴が空いて、“さぁここから、みんなが地下から出てきて、地上とのギャップに大笑いだぞ”と思ったら、なんかそういう方向でもない。 更に時が過ぎて'90年代。猿がそんなに生きるか?とか思ってる間に、死者が集まる幻想的な結婚式に、ファンタジー要素も入ってるんだと気づく。そういやOPから撃たれても死なない楽団とかファンタジー要素もあったなって。 最後のセリフ「許そう。でも忘れないぞ」は、クロとマルコの話であり、祖国と世界の話であり、国内の民族の話でもある。 陸地から離れてドナウ川に流れていく小島。深い、濃い。そして長い。もう一度見たら理解も深まるだろうけど、またあの音楽が頭の中にこびりついて、グッタリしてる自分の姿が目に浮かぶ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-20 12:47:35)《改行有》

55.  アラビアのロレンス 完全版 《ネタバレ》 ロレンスの葬儀、語る人それぞれで一致しない人物像。スエズ運河の対岸でバイクの男が問い掛ける「お前は何者だ!?」 イギリス人でありながら、エル・オレンスという名を与えられ、1人だけの部族としてトーブに身を包む。カメラを向けられるとヒラリと舞ってみせる。自分のやることがほぼ上手く行って、神か英雄の気分だろうか、相当なナルシストなんだろう。 ガシムを処刑し流砂でダウドを死なせたことを「楽しんだ」と告白してしまう。アカバから休まる暇が無かったためもあるけど、この時すでにかなり精神的に追い詰められていたから出た発言に思える。オスマン帝国軍に捕まり、自信喪失してアッサリ転属を願い出るところは、理想よりも恐ろしい現実を見せつけられたんだろう。かと思えばモトの任務にもアッサリ戻るところから、行動に一貫性がない。子供のような人物だ。 村の虐殺に感化され、感情のまま皆殺し命令を出したり、ダマスカスを占領したけど、アラブ民族会議をまとめられなかったり。カリスマ性はあっても、軍人としても政治家としても一流とは言えないロレンス。ダマスカス侵攻中、まだ熟れてない葡萄を口にしたロレンス。上手く機能しないアラブ民族会議にバラバラに散るアラブ部族。“もし実れば見事な果実だった”は、ロレンス自身のツメの甘さ、未熟さを表すかのようだ。アラブのためと言いつつ、自分が誰かに認められるための戦いだったように思える。結局、あれだけの活躍をしたのに、イギリスにもファイサルにも利用され、終いには砂漠に居場所がなく、すごすごと本国に帰るしか無いロレンスが寂しい。だけど未だに国家としてまとまっていないアラブ諸部族を考えると、ロレンスの能力に関わらず、西洋とは文化が違いすぎるために、イギリスやフランスがアラブを国家というワクにハメること自体が、そもそもの間違いなんだとしか思えない。 この映像凄い。これは音楽とマッチして、とっても良いシーンだな。…とか思ったところがそのまんまウィキに書かれていて、なんかリーン監督の思うツボって感じでちょっと悔しい。 マッチの火を吹き消すと画面に広がる曙色の朝焼け。蜃気楼から現れるアリ。砂漠のアカバ戦で役に立たない大砲とその先の海。夕暮れの海岸をラクダで進むロレンス。想像を超える砂漠の世界の美しさ。映画という文化が伝える自然のダイナミズム。おそらく誰が観ても圧倒される映像美。オリジナリティのない表現で悔しいけど、これが映画だ。とても長い映画だけど、しばらくするとまた観たくなる魅力がある。 コロナの影響はもちろん、中東の不安定な政局を考えると、今後しばらくは、本物のこの風景を安全に見ることは難しいかもしれない。生きているうちに一度は見てみたいな。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-09-09 00:52:02)(良:1票) 《改行有》

56.  悪魔の毒々モンスター 《ネタバレ》 ~The Toxic Avenger~有毒の復讐者。…なんか毒々モンスターの名前が“ザ・トクシック・アベンジャー”らしい。 邦題が良い。特に“毒々”ってところのインパクト。考えた人すごい。 むか~し、テレビの深夜映画で観た。少年を轢き殺すのが衝撃過ぎ。 母親に笑顔で見送られた自転車少年を、街の不良たちが車で轢き殺す。ルールのある殺人ゲームで、少年が死んでないから戻って轢きなおす。死体をポラロイドカメラで撮って喜ぶ…テレビで何てものを見せるんだ。軽くトラウマになったじゃないか。 罪のない少年、盲導犬、老婆と、今まであまりホラー映画のターゲットにならなかった層に対する残酷描写。 盲目のヒロイン・サラ。性格は明るく健康的でエロエロしてないのに、気がつけば胸もとがはだけてる、今で言う“隙の多い女”。 障害を持った人がお色気担当のギャップ。 『フレディやジェイソンみたいな怪人が、ヒーローのような活躍をするホラー・コメディ』だと思って観てたけど、 『バットマンやスパイダーマンのようなヒーローが、見た目も残忍さも怪人並みなヒーロー・コメディ』だった。…こんな書き方で伝わるかな。 ホラー映画でなくヒーロー物。タイトルに最近流行った“アベンジャー”が入ってるから今さら気がついたんだけど、当時まだバットマンは公開されてなくて、日本ではアメコミ・ヒーローのイメージが定着してなかったから、メルビンは日本に馴染み深いジェイソンみたいな怪人に分類されたんだろう。 邦題も“毒々ヒーロー”でなく“毒々モンスター”だし。 そう考えて観ると、メルビンはピーター・パーカーみたく事故で変身してるし、敵キャラのシガーフェイスとか、顔はんぶん黒塗りの強盗とか、ヒーロー物に付きものの個性的な悪党が出ている。 舞台のトロマビル(トロマ村。てっきりビルディングだと思ってた)は、ゴッサムシティみたいな架空の都市で、トロマ映画ではよく出てくるっぽい。 ホワイトバランスとかがカメラごとに違うから、警官の制服や空の色がカットごとに青かったり白かったり… ベッドシーンが音楽とともに終わったと思ったら、同じ音楽がまた始まって、さっき見たシーンと新しいシーンが織り交ぜになってまたベッドシーンが… 低予算なのに戦車まで出す州軍の出動シーン(同じカットが何回も)に、なんで今?ってタイミングで意味不明に入る回想シーン… メルビンたちのテントを包囲する戦車の前に、兵隊とギャラリーがまぜこぜに居たりとか… きっとピリピリしないのんびりした撮影現場で、みんなでワイワイ楽しんで作ってるんだろうなぁってのは伝わる。 この、のどかさがトロマ映画らしく、完成度が低く編集は適当。 だけど、残酷映像だけは妙にクオリティが高い。あと必要性が低いスタントシーンが多い。全体的にバランスが悪い。 レンタルビデオの普及で日本未公開だった、いわゆる“B級映画”にもビジネスチャンスが生まれた。 '84年に作られた本作も、'87年になってから奇抜な邦題で劇場公開。背徳感を感じてしまうグロ・エロ内容から、日本で突然マニアックな人気に。 『日本では俺たちの作風が売れるんだ』と勘違い(?)したらしく、急遽'89年に東京を舞台にした続編が作られた。 他のはともかく1作目は、私はけっこう好きですよ。DVD買ったとか人には言えないけど…[地上波(吹替)] 5点(2021-08-22 15:39:40)《改行有》

57.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 ~About Time~時間に関して。だろうけど、『遅すぎ』『そろそろいい(頃合い)でしょ?』的な意味にも使われるそうで… 面白い設定のタイムトラベル。そんな楽しい能力があったら人生変わるわ。でもどう変えようか??なんて想像力が膨らむ。 出だしから冴えない主人公がタイムトラベルを繰り返して、徐々に魅力的な好青年になっていく。 登場人物がみんな良い人で魅力的。就職して家を出るティムの車のボンネットに、ベタァーって寂しいアピールするキットカット可愛い。やり直しで最適ルートを生きるティムと違い、ジミーとの腐れ縁でどんどん泥沼にハマっていくキットカットが不憫でならない。せっかく用意された紫のカップケーキに手を付けないくらい余裕の無さが、実家にいた頃の元気なキットカットを見ているだけに痛々しい。付き合う人によって、人生って大きく変わるんだよな。 一族の男が全員持っているタイムトラベルの能力。このトンデモ設定がどう活きるのか気になっていたけど、最後の父親との別れのためだけだったのね。 同じ日をもう一回繰り返す。見方を変えたら良い一日…になるだろうなぁ。 タイムトラベルが転じて、普通に日々を大切に生きようって結論も、もったいない気もするけど、確かに一番贅沢な生き方かもしれないって思わせてくれる。 登場人物たちが日常を過ごしてるエンディングも綺麗。 細かい設定を気にしちゃいけない映画だけど、タイムトラベルしてる最中も老化は進むのか、ちょっと気になった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-13 01:24:49)《改行有》

58.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 ~American Graffiti~アメリカの落書き。 舞台となる'62年、ルーカスは18歳で主人公たちと同じ年齢だった。当時の自分たちがどれだけ行き当りばったりで、輝かしくも前向きに、その場その時を大事に生きてきたことか。 いつまでも続く終わらない夜。異性と車のことで頭がいっぱいの若者たち。愛だのキッスだのいちいち甘ったるい歌詞のオールディーズ。ピカピカしたメッキグリル、丸みを帯びたボディのセクシーなアメ車。 単に懐古主義ではなく、未完成だけど当時のアレくらいが正解だったんじゃないだろうか?というアンサーと言うか、ハッキリと何が良い?とも言えない、まさに“落書き”と呼ぶに相応しい、素晴らしい青春映画だと思う。 精一杯背伸びしたキャロルの話題。夜中の中古車屋のセールスマンの大きな椅子。モテモテのウルフ先生とタバコ。デビーのクリクリした目。23:45の酒屋。湖の鈴虫の音色。壊れた冷蔵庫に溶けかけのアイスキャンディ。5時前のウルフマンのラジオ… そして最後に現実に引き戻される青空に浮かぶ写真とテロップ。最後の曲は'64年のオール・サマー・ロング。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争と、暗い時代に突入していくアメリカの最後の輝かしい日々。まだまだ行く末が見えない'73年に作られた映画。 毎年夏になると観る映画の一つ。この時代(産まれてないけど)、この年代の情熱と行動力が詰まったこの映画が、夏の暑さに負けそうな私に、一度きりの夜を楽しむ活力を与えてくれるのさっ[ビデオ(字幕)] 10点(2021-07-27 22:35:32)《改行有》

59.  アンダー・ユア・ベッド 《ネタバレ》 大学の授業中、千尋に名前を呼ばれたときから、期間を開けて交番で千尋に名前を呼ばれるときまでが、三井が存在できた期間。 それ以前もそれ以降も三井は忘れられた存在になる。 大学時代、彼女のアパートに水槽を置く時、腕に胸が当たって驚く(シチュエーションそのまんま)。千尋を暴力的な彼氏から守るため、サーモスタットで電気ショックを充てる(スタンガンを旦那に充てる)。夕焼けの部屋で千尋を抱く(風呂場から救出して温めた事がモトだろうか?)…これら思い出は、自首して以降、千尋との接触をモトに三井が創り出した妄想なんだけど、千尋と(例えば出所後の)自分の未来を想像するとかでなく、あくまで幸せだった過去の瞬間を徐々に盛って美化していく作業しか出来ないのが、この主人公の闇の深さ。 ベッドの下に潜り込む変態なんだけど、ドン引きするような突き抜けた変態さより、香水の香りとか引き伸ばした千尋の顔写真のコピーの美しさとか、哀愁と純愛も感じさせるところで、この主人公の行く末を最後まで見守る価値のあるものにしている。 風呂上りの千尋の裸はけっこう綺麗で、ここ最近、痣が出来るほどの身体的なDVが激しくなっていったんじゃないかな?って思う。 突然リビングに置かれたグッピー水槽に文句を言わないDV旦那の謎。ああ言うのは許せる人なのか? ちょっと残念なのは最初の盗聴の、アレしてる時の生々しい音。喘ぎ声は構わないけど、何というか、アダルトビデオじゃないんだから。これは映画なんだから、安直に生々しい音を垂れ流すのではなく、何かもっと別の表現方法を思いつかなかったものだろうか。[CS・衛星(邦画)] 4点(2021-06-22 22:47:46)《改行有》

60.  アルプスの若大将 《ネタバレ》 初めて見るシリーズ。 本当にスイスで撮ってるんだスゴイ。って思ったらイタリア行ってしまった。そして大半は日本が舞台。 「ぼんど、じぇーむず・ぼんど」歴代ボンド意外でこのセリフを言った映画俳優って、りき婆ちゃん入れて数人も居ないだろう。 シリーズ共通設定だろうけど、りきさん、フランス娘のリシェンヌに屈託なく接する様子とか、一番上等な牛スキを振る舞うとか、日本人らしいおもてなしと、理想とする順応っぷりがとても可愛らしい。 対象的に久太郎の外国人客への苦手意識や失礼な態度。東京オリンピック後に日本の国際社会化に向けて、ちょっとしたマナーの勉強になってる。 思いっきり道交法違反なカーチェイスが予想外に楽しいのに対し、メインのスキー大会が冗長に思える。 冬季五輪に向けて関心を高める意味合いもあったんだろうか?この年、札幌冬季五輪の誘致に成功しているそうだ。 海外旅行に石山のオープンカー、雄一の広い部屋、スキー合宿、コンパと歌と美男美女。まさに上流階級ブルジョアな暮らしっぷり。 きっとこのシリーズはどの作品も同じ様な構成だとは思うけど、なんか良いな。 映画ってこういう、庶民には手の届かないものを見せて、芸能人に憧れを抱かせる。映画の田沼雄一=加山雄三って見せ方、魅せ方。 若大将カッコイイ!青大将面白い!澄子ちゃん可愛い!マドンナ綺麗!なんか、それだけってのが逆に良いなぁ。 観てるだけで幸せだなぁ… 今の時代、芸能人を見下して笑いものにするのばかりでなく、テレビやネットのドラマでなく、こういう、ただ楽しいだけの中身のない映画、撮ってくれないかなぁ…[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-05-20 09:56:09)《改行有》

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