|
1. 怪談(1964)
怪談なんだけど怖いと言うより悲しい話だった。肉体は滅びても尚、あまりに強い情念から地上にとどまり続ける魂は崇高でさえある。この映画を見ていると日本と言う国が作品中に出てくる古い時代の延長上にあることをすんなり感じる事ができる。時代劇であってもハリウッド風の今の日本映画とは全然違う。制作年の65年と言えば私が生まれた年で東京オリンピックの翌年なんだけどこの頃の日本人の感性はまだ日本らしかったのかなぁ、我々は何かとっても大事なモノを経済発展と引き替えに失ったんじゃないかなぁなんて思いながら見た。ところで「耳なし芳一」だけど、耳、お経書いてないのメチャ目立ってるじゃん。誰か気付けよ!と思わず突っ込んだが、良く考えれば「こんなでっかい誤植!どーして印刷しちゃうまで誰も気づかないのさ?」って事があるんだなぁ私の仕事でも。うんうん、分かるよなんて変なとこに同情したりして・・。8点(2004-06-16 14:00:45)
2. 影を斬る
大映映画ですよ?市川雷蔵ですよ?「影を斬る」ですよ?ハードボイルド時代劇だと思うじゃないスか。違いますコメディなんです。伊達藩きっての色男である伊居直人(雷蔵)は御天守奉行兼剣術指南役という立派な職についていながら、役目をサボって昼寝ばかり、夜は殿様忠宗と飲み屋をはしご。放蕩三昧で家計はガタガタ。しまいにゃあ嫁に貰った上役の娘に剣道の試合で破れてしまい、「修業してこい!」と家を追い出されるハメになる。泰平の世の武士達をサラリーマンに見立てて笑いと哀愁をさそうこの映画だが、決してドタバタ喜劇でなくセットや衣装も結構シック。快活でなかなか洒落た時代劇だ。6点(2004-03-02 15:38:30)
|