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1. 河童のクゥと夏休み
《ネタバレ》 友人と鑑賞。
「妖怪は嘘をつかねぇ。」私の心にグサリときた台詞だ。
昨今のNHK教育でも見られない地味で素朴なキャラ。かわいいというより不気味さが先にたつクゥ。見始めるとそんなことはまったく気にならなくなる。丁寧な表現とほのぼのとした笑いに素直に顔が綻ぶ。そのぶん、中盤から後半の流れが辛くなってくる。思わず観ていて目をそむけたくなった。それは表現が過激なためではなく『人間はこういう生き物だ』と別の生き物達の目から淡々と見せ付けられるから。この映画に説教はない、批判もない。人間批判をしているわけでも妖怪賛歌でもない。ある少年とクゥという河童がかけがえのない一夏を過ごした思い出の映画だ。
クゥを守りきれなかった上原一家に憤る人もいたのではなかろうか。けれど上原一家はあくまでどこにでもある平凡な一般家庭。仮に別の子供の手によってクゥが復活したとしても、結末は変わらないものになったと思う。クゥのような、人間ではない小さな生き物が日本のどこかで静かに暮らしている事を願ってやまない。
余談だが、新天地で川の神様に挨拶をしてはいるクゥにはっとさせられた。この映画を観て以来、私は見知らぬ土地に出向く時は心の中で「お邪魔します」と一礼するようになった。
[映画館(邦画)] 7点(2009-12-05 23:49:32)(良:2票) 《改行有》
2. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 一度でいいから、駿氏のコンテ画がそのまま動く映画が観たいと思ってたので
ざっくりした絵柄や背景と単純な線画のポニョは長年の夢が適ったようで嬉しかったです。
実は宮崎アニメって一度観ただけで内容と主旨が理解出来た作品は殆どありません。
一度観ただけで理解できたのは、かろうじてラピュタとカリ城ぐらいです。
他作品は何度か視聴して他メディアの解説や原作や書評を読んでやっと理解できるものばかり。
バックグラウンドが壮大すぎるのか知らないけど「あのシーンは何?」「何を意味しているの?」と疑問符が浮かぶのですがさも知ったかのような顔をするのはもう疲れちゃいました。紅の豚以降の宮崎アニメはなるべく自分の感情が揺さぶられたそのままに受け止めるようにしています。
ポニョが「そーすけ、好き!」と言うシーンで何故かぐっと泣きそうになったし
ポニョと宗介が二人きりで試練(?)を課すとき現れる子連れの夫婦が現れたとき
何故か言い様のない寂しさというか哀しさを感じました。本当、何故かはわからないけど瞬間的に「千と千尋」の後半電車シーンの、駅のプラットホームの黒い少女の影を思い出したのです。異世界のような奇妙な空間みたいな。
ポニョは波の重量感と質感、スピード感を重視したおとぎ話。
自分が子供だった頃、ポニョのような人間以外の小さな生き物の友達は確かにいました。
でもそういった友達は出会いから別れるまでせいぜい数時間なんですよね。
二度と会えないと思ってた小さな友達が「きたよ!」て全身全霊で応えて目の前に現れるってそれだけで涙が出そうになりました。まあそこまでならおとぎ話だけど、実際お魚が人間になっちゃうと現実はシビアだからねえ。ポニョ母の口から「身元引受人」という言葉が出てきたときは思わず噴出しました。あと父親って報われないものですね…娘の立場として代わってここに書きますが、不器用な父に感謝する日は必ず来ますからね、ホント。がんばれフジモト。[映画館(邦画)] 7点(2008-09-01 04:10:37)《改行有》
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