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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. キャプテン・フィリップス 事件の途中で船長の家族の描写や、事件を知った一般の人々の姿を一切出さなかったことがよかったです。 フィリップス船長の恐ろしい体験は、あくまで彼のまわり(クルーや海軍)でしか起きていない事実です。 そのほかの描写が入り込んでしまうと、観客は少し客観的な立場で映画を観てしまうのではないでしょうか。 この映画は、船長が陥った絶望的なシチュエーションを、これ以上ない方法で疑似体験させてくれるのです。 ゼロ・グラビティもそうでしたし、この「ほかのことを描かない」作風はこれからも支持されるのかもしれません。[映画館(字幕)] 8点(2013-12-19 10:02:30)(良:2票) 《改行有》 2. キャビン 《ネタバレ》 アホみたいな展開の映画でしたが、B級スプラッターホラーが大好きな自分にとってはごほうびみたいな内容でした(以下めっちゃネタバレ) ハッパを吸うシーンで登場したおバカキャラ・マーティがキーパーソンでした。 彼は「愚者」としていけにえに捧げられていたのですが、実は誰よりも「まとも」な人間として描かれているように思えます。 金髪女性やチャラ男がいつもと様子が違うことに気づいたのも彼だし、ラテン語を読むなと言ったのも彼だし、「別行動しよう」という提案に「マジかよ」と至極当然な反応をしたのも彼、監視カメラの存在に気づいたのも彼、「処女」のデイナを救ったのも彼でした。 さらに言えば、管理室が壊滅したのも、盛大なオチを迎えるのも彼のためです。 マーティは序盤で「携帯も届かない山奥」に向かう際、「人はブログやSNSを使ったり、常に監視されたりしている。一度人類は滅ぶべきだね」と言っていました。 この台詞は後の展開を全て暗示していました。 さらにマーティは中盤に「リトル・ニモ」を読んで「夢の中だからってメチャクチャだぞ!」と言っていました。 この映画の展開のトンデモさにも、彼はツッコミを入れていたのです。 作中で最高だったのが、生き残った2人が管理室に潜り込み、デイナ(ヒロイン)が「パーティの始まりよ!」と言いながらボタンをポチっと押したことにより、化物が全部放たれて辺り一面血みどろになるという展開でした。 とりあえずツッコませて。セキュリティ甘すぎまーす! でもこの大虐殺では、 狼男とか、 超巨大キングコブラとか、 セノバイト(っぽいの)とか、 顔がおぞましいキバ付きの口になっているバレリーナ少女とか、 ピエロとか、 ユニコーンとか、 エクソシスト(っぽいの)とか、 さらにはスケキヨ(っぽいの) などなど、ホラー映画の主役級らしきキャラがたくさん出てくるので最高でした。 エレベーターがさらに到着して怪物追加→さらに大惨事になるのもたまらない。 ジャパニーズホラーにリスペクトを捧げている本作ですが、総じて考えるとこの映画、ちっとも怖くないですね。もはや完璧にギャグだもんね。[映画館(字幕)] 9点(2013-04-24 19:05:49)(良:2票) 《改行有》 3. 桐島、部活やめるってよ これは素晴らしい日本映画! 本作は、バレー部に所属している「桐島」がいなくなり、それによる変化が起こる様を描いています。 桐島をよく知る人物には直接的に、ほとんど接触がない人物には間接的にそれは訪れます。 その変化は初めは「ほんのちょっと」だったけど、やがて大きな波となり、登場人物に襲いかかります。 その過程に、ゾクゾクしっぱなしでした。 高校生の「格差社会」がしっかり描かれていることも面白いです。 特に作中の「映画部」はヒエラルキーの底辺にいるような存在で、他人に蔑まれていいるような描き方にはニヤニヤしてしまいました(こう言うと意地悪ですが)。 構成も特殊ですが、それも成功しています。 本作は同じ時間軸をたびたび繰り返し、複数の視点から登場人物の行動を描くという「羅生門」スタイルです。 このおかげで桐島がなくなった日のそれぞれの登場人物の「反応」が多角的にわかるのです。決して奇をてらっただけの演出になっていません。 高校生以下だとこの映画の面白さはわからないかもしれないけど、大人になると「自分の高校生活を思い出すと似たようなことがあったなあ」と回想できる面白さがあると思います。 ある意味大人よりもやっかいで、うっとおしいような人間関係。 それは大人になった今になると、なんとも愛おしく感じる「痛面白さ」なのです。 ラストも素晴らしいと思います。観たあとは最後の「あの人物」の行動を思い返してみることをおすすめします。 あとアベンジャーズに対抗して「ハリウッドよ、これが日本映画だ」と銘打ったキャッチコピーもGJ。[映画館(字幕)] 9点(2012-08-15 18:56:46)(良:2票) 《改行有》 4. 奇跡(2011) 《ネタバレ》 監督の魅力が爆発した素晴らしいジュブナイル映画です。 「まえだまえだ」にどうしても注目が集まるところですが、他の子役も負けてはいません。 監督の子役の演技のさせ方は本当に素晴らしいです。ていうか演技していないです。 例えばじゃんけん遊びの一種「ブルドッグ」をやって、つねられたほうの子は「ばりくそ痛い~」とか言うんです。 普通に台本作っていたのでは「ばりくそ(笑)」なんてワードは出てこないでしょう。 すべておいて、子どもは普段の行動をそのままスクリーンで見せてるかのよう、もうこれだけで見る価値は十分です。 ストーリーもいい。前半は子どもと大人たちの生活をばっちり見せて感情移入をさせ、後半は「スタンドバイミー」のような描写で楽しませてくれます。 自分も子どものころこんな冒険をしたことがあるので、懐かしくってそれだけで涙が出そうになりました。同時に「いまの子どもたちって、あんまりこういう子どもだけの『秘密の冒険』がないんじゃないかな、是非してほしいなあ」と願ってしまいます。 自分が受け取ったテーマは、「誰かがそばにいたからこそ、成り立つものがある」ということ。 航一が「奇跡」の噂を聞かなかったら? 保健室の先生がずる休みを手伝ってくれなかったら? 龍之介が友達を連れてこなかったら? 老夫婦にところに上がりこめなかったら? 「奇跡」の瞬間は見ることができなかったでしょう。 いままで思っていた願いを捨て、奇跡の瞬間で新しく願ったこと─ 彼はそれを楽しみにして、今後毎日を生きていくことができるでしょう。 毎日変わらない日常。 その中でも楽しいことや、かけがえのないものがたくさん散らばっています。 航一のような経験をしていなくても、それは誰もが持っているものです。 それこそが、普段気づかない「奇跡」です。[映画館(字幕)] 9点(2011-06-21 22:09:47)(良:2票) 《改行有》 5. キック・アス 《ネタバレ》 最高!! 今作の魅力は ・「スパイダーマン」などのアメコミものに対するおちょくり ・ヘタレ主人公の成長物語 ・残酷アクション などに集約されます。 この脚本家は相当な映画オタクなんでしょう、観客の予想を裏切る展開と、王道の復讐、成長物語がミックスされ、ゲラゲラ笑え、時には登場人物を本気で応援する、最高に楽しめるエンターテイメントとして仕上がっています。 音楽のセンスもたまらない。予告編でも流れる「ナ~ナ~ナ~」の可愛い曲(BANANA SPLITS)もいいですが、「28日後」でも使われたあのギター曲(In the House In a Heartbeat)には鳥肌が立ちました。 そしてヒットガールは超可愛い!デイブの友達が言う「あの子が大きくなるまで童貞を守るぜ」に共感する男子がどれだけいるのやら。 この映画は実はものすごく怖くって、ヒーローになりたい人間の心情を切実に描いただけでなく、普通の人間がヒーローになろうとしたらどうなるか?という点も描いています。 ビッグダディは復讐に燃えヒーローになりすまし、大量に殺人をする。その娘ヒットガールはその巻き添えです。 「誕生日プレゼントに子犬が欲しい」とヒットガールは言い、「冗談よ、バタフライナイフが欲しい」とも言う。 前者はおそらく本心なのでしょう。ヒットガールはビッグダディが生みだした怪物であるとともに、素直になれないかわいそうな女の子なのです。 さらにキックアスも自警活動のおかげでボロボロに痛めつけられ、終盤で復讐に加担し、人を殺す。 真の意味でヒーローになった主人公ですが、自分は内心ぞっとしました。 悪を滅ぼすのは善じゃなく、別の狂気にかられたものなのです。 そう考えると、残酷描写にも意味があります。このグロテスクさこそが、ヒーローを夢見る者への警告であり、皮肉なのです。主人公の言う「連続放火魔と一緒で、自分を抑えることができない」なんて台詞はその最たるものでしょう。 設定だけ見るとコメディのようですが、それだけで終わらない深さ。大傑作だ![映画館(字幕)] 10点(2011-01-03 19:11:31)(良:7票) 《改行有》 6. キャタピラー 《ネタバレ》 寺島しのぶさんの鬼気迫る演技は圧巻です。しかし、脚本がそれに追いついていない印象を受けました。 反戦映画として、戦争の悲惨さを訴えるねらいはよくわかるのですが、歪んだ夫婦の物語を無理矢理反戦というテーマに繋げたようにしか感じられませんでした。 この映画では戦争に行く前の夫婦の生活がほとんど描かれていません。「戦争によって幸せを引き裂かれた夫婦」を描きたいのであれば、四肢をもがれる前の生活描写は必須だと思います。さらに劇中で夫が以前から暴力を振るっていたことがわかるので反戦のテーマよりも夫の人間性に対しての嫌悪感ばかりつのります。性描写を執拗に何度も描くよりも、心理描写を大事にして夫婦に感情移入できる余地があればより良い映画になったと思うのですが・・・ 元ちとせが歌う「死んだ女の子」は反戦を訴える楽曲として素晴らしいのですが、歌詞を画面に見せるわりには、映画の内容にあっていないと思います。せめて歌詞の「女の子」にあたる少女を劇中に登場させても良かったのでは。 役者の演技を期待する方以外にはあまりおすすめできない内容だと感じます。「嫌悪感」以外にもっと描くべきものはあったはずです。[映画館(邦画)] 4点(2010-08-06 19:48:17)《改行有》
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