|
1. ゲット・ラウド/ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター
3年越しで日本でもようやく昨日公開に。 輸入盤DVDは自分のPCで見られるけれど、これはそういう初見にしたくなかったので漠然と待っていてよかった。 レッド・ゼップのジミー、U2のエッジ、ホワイト・ストライプスのジャックの3世代のギタリストを「不都合な真実」のデイヴィス・グッゲンハイムが新しいやり方で料理。 それぞれイギリス、アイルランド、アメリカをバックグラウンドに持つ彼ら。 ロック・ドキュメンタリーは大概「彼らはグレイトだ」と下から目線で神サマ扱いするのが陳腐でもあったけれど、そういうのは入れずに「ロックやっててギター弾いてる人」くらいなのが大人な感じで、ジャム・セッションも新鮮な試み。 一方で写真や映像によるコラージュや楽器としての美しさも見せ、変にアーティスト気どりではない監督のバランス感覚がナイス。 その中で彼らのずっとギターと一緒だった人生が自然と浮かび上がってくる。 自宅で自分のルーツの音楽を聴かせてくれたり想い出の地を訪れる場面もあり、4枚目を録音したヘッドリー・グランジ(思ったより内部小さめ)のジミー、「WAR(闘)」ゆかりのウォー・ハウスのエッジ。 エッジはメンバーと出会った高校へも行って、この中ではハンブルで服装も飾り気なく親しみやすい感じかもしれない。 「9才の自分」を相棒にした超個性的なジャックは粋ないでたち、年長の2人のノウハウに耳を傾ける。 前年のO2アリーナの再結成ライブからそのまま来たかのようなロング・ジャケットのジミーはリラックスしてこの場を楽しみ、見た目も三人三様。 年令や境遇の違いはあっても、ギターという無二の友を持つ彼らには響きあうものがあったはずで、抱擁を交わす3人は得難い体験だったことをうかがわせる表情だった。(未公開シーンも多いので、3人カシミールやエッジの天国への階段などはソフトで!)[映画館(字幕)] 8点(2011-09-10 07:00:02)
2. 幻影師アイゼンハイム
(奇術って生じゃないと意味ない気がするんだけど、まぁ…) 世紀末ウィーンや幽玄なマジック、エドゥアルドたちの初恋時代は雰囲気ありですが、大人になって再会した彼らの存在も恋も薄いのでラストも感激なし。 悪役レオポルドもルーファス・シーウェルなので悪く思えないのですが♪ この時期のオーストリア皇太子の立場を反映させて彼とポール・ジァマッティ(「フロム・ヘル」のコルトレーンのように作品を支えて)演じる警部との微妙な関係はよかったと思います。 木でできた想い出のロケットが素朴な味。[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-01 00:00:03)
3. 敬愛なるベートーヴェン
シェイクスピアにフェルメール、そして今度はベートーヴェンに架空のミューズが舞い降りる。クールなE・ハリスしか目にしてきていない。当確といわれながら「アポロ13」でアカデミー受賞を逃した時も顔色ひとつ変えず、弱味や見苦しい部分を見せたくない人に思えた彼が、無様なまでに人間的なベートーヴェンを演じてとても新鮮に感じた。バサバサの髪に丸い鼻、脂肪でたるんだ体といった外見的な変化のみならず、頭に奇妙な器具をつけたままアンナと対面した後も、大声で話し感情の起伏が大きく思い込みの激しい豪放なキャラクターはBTTFのドクのようで、実際かなり楽しい。苦悩もジメジメしておらずどこかカラリとして、アンナに信頼と好意を寄せながらエロスを漂わせるでもない。作品の華である感動的な第九も、観客に彼を楽聖と信じこませるための通過儀礼に過ぎない気さえしてくる。ベートーヴェンにさしたる思い入れのない向きにむしろ親しめる作品ではないか。D・クルーガーも若い女性の硬質な初々しさをよくだしていて蒼い空気のように部屋の一角を占める。[映画館(字幕)] 7点(2007-01-28 16:51:23)
|