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1. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 素晴らしい。静かな映画。太平洋戦争中、日本軍の戦いにおいて最大の激戦とも言われる硫黄島玉砕の戦いを、激しい戦闘シーンを交えつつも静かに静かに描いています。栗林中将の言葉にもありましたが、大本営からも見放された彼らを突き動かしていたのは愛する人を守る、その一心だったのでしょう。そして人種は違えど米軍兵士もそれは同じ。立場の違いだけのために極限の戦闘状況で殺し合いをする戦争の虚しさと無意味さをイーストウッド監督は奇をてらうことなく静かに語りかけています。栗林中将を英雄視せず、かといって日本軍兵士を敵視することもなくニュートラルな立場で…スペクタクルも爽快なシーンも一切省いて行間の深さで見る者の想像力を揺さぶります。その最たるのは日本兵による米軍捕虜殺害シーンを見せた後に全く逆の場面を用意して加瀬亮演じる若者が殺害されてしまうところでしょう。もうどちらもやってることは同じ。戦争の姿を端的に表現した見事な構成と思いました。全編日本人による日本語劇となっていることも監督の本気度(これ、アメリカ映画ですよ)が伺えますね。観ていて「もうやめて!」と叫びたくなるほど辛い映画でしたが、いまこの映画を身の危険なく観られる環境にあることに感謝したいと同時に、スタッフ・キャストのみなさんの真摯な態度に敬意を表します。[映画館(字幕)] 9点(2006-12-23 00:40:25)
2. イーオン・フラックス(2005)
《ネタバレ》 世界観や伝えたいことは何となく分かるんだけど、それを伝えきるだけの演出力がないのが欠点。モニカンと治世組織との対立の構図もあいまいで、その宿敵同士が私情をもとに接近していってしまうのも無理があるような…。シャーリーズ・セロンのフォトジェニックな魅力で持っている感じがします。それにもかかわらず、せっかくのセロンの見事な体躯や身体能力も演出に活かしきれなかったのが痛い。カットが細かいということもあるけど、連続性のある動き・アクションというものをなぜ見せないのか葛藤してしまいました(笑)。それぞれの動きにつながりがないんですよね。あれだけのスタイルの「忍者」なのだからもっとスタイリッシュに見せられるはず。『マトリックス』の監督兄弟が映画化していたらおもしろくなった素材かもしれません。企画自体はおもしろかったと思うので。 ところでフランシス・マクドーマンドの正体は何者なんでしょう?そのへんも放置ってところがすごいです。ダークマンが復讐に来ちゃうぞ![映画館(字幕)] 5点(2006-03-16 22:20:44)
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