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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 殺人捜査線 《ネタバレ》 手際よいアクションシーンから始まり、湯気が立ち込めるサウナや鏡を使って見せる屋敷での見事な射殺シーン、高所からの二度の落下と見せ場には事欠きませんし、人物造型も秀逸の一言に尽きます。特に印象深いのはダンサー(イーライ・ウォラック)と髭の男(ロバート・キース)のコンビと運転手の絡みで(マイケル・マン監督の「コラテラル」はこれがモトかも?)、何気ない会話がとてつもなく面白いです。そして登場人物たちの各々の〝顔〟が良く、抜け目の無さそうな犯罪者たちや精悍な面構えの刑事たちはもちろんのこと、端役に到るまでバッチリ決まっていて、黒幕のマンは車椅子に座り無言で何食わぬ表情というだけの僅かな登場シーンながら、その恐ろしさは容赦ないダンサーたちが小悪党に見えてしまうほど強烈です。また、マンに死の宣告を受け顔面蒼白となったダンサーのもとに、望遠鏡のお礼を言いに来る満面の笑顔の少年を挿むところなど演出も冴え渡っています。[CS・衛星(字幕)] 9点(2010-05-10 18:07:49)(良:1票) 2. 山椒大夫 《ネタバレ》 家族の別離による激しい苦しみ。安寿と厨子王、それに母親のほとばしる感情が画面から溢れ出ています。そして山椒大夫の根城の陰鬱な雰囲気。物語としては前半部の方が過酷であり劇的なんですけれど、この映画は厨子王の逃亡場面あたりからが特に際立っていると思います。もはや一瞬たりとも気が抜けたシーンがないどころか素晴らしいシーンの連続!まったく驚愕の完璧さです。[ビデオ(邦画)] 9点(2007-09-19 18:31:51)(良:1票) 3. 三人の狙撃者 《ネタバレ》 ほとんど家の中だけで行われる密室劇が緊張感たっぷりに撮られています。何人か死人がでますがいずれもあっさり処理されるのも逆に印象深いです。特に感電し機関銃を乱射しながら計画をぶち壊し殺されていく殺し屋が壮絶。道具としての銃の使い方なども巧く考えられています。しかし、やはり何と言ってもフランク・シナトラの悪役っぷりがとても素晴らしいです。キャラクター造型自体が秀逸なのですが、見事に冷静そうで神経質で今にも暴発しそうな線上を狂気いっぱいに演じています。最初に保安官が訪ねてきた時に見せる笑みなど異常に怖い。…ただ、何ヶ所か妙な繋がりの部分がある(カットされたのか?)のが残念です。それから、戦争の被害者のような殺し屋を描きながら、最後に夫の戦死が無駄ではなかったと語る妻、それに自己防衛としての子供の銃の存在と、戦争を否定しているのか肯定しているのか良く分からないところがあります。でもまぁ難しいことは考えずに観ればサクサク進んで行くテンポの良さと上映時間の短さがあるので十分に楽しめます。[DVD(字幕)] 7点(2007-09-18 18:06:18)(良:1票) 4. 殺人カメラ 《ネタバレ》 内容は簡単で極めて教訓的な喜劇であり、作中に出る説明文だけでオチまで読めてしまうくらいなのですが、神が世界を創造するかのように村のジオラマ作りから始まり、一つの世界が構築されていくシーンからして寓話的でユニーク。主人公はまさに迷走中で、常に走り続ける姿には味があります。死ぬ際のポーズの滑稽さは幼稚にして品がありますし、〝悪魔の世界も実力主義〟と嘆くヨボヨボじいさん悪魔などは同情したくなるくらいで、独特の皮肉とユーモアが笑えます。 ただ一つ残念なのは、一回だけ巻き添えに写してしまうところがあるものの、せっかくの〝カメラ〟という道具が単なる殺しの道具でしかなく、カメラという特性を十分には生かし切れていないように思えるところです。例えば、〝善人に集合写真を頼まれる〟だとか〝自分が写されそうになる〟とか…自己嫌悪に陥るくらいつまらぬ考えしか浮かばないのですが、そんなことです。これでは別にカメラでなくとも良かったのではないかと思ってしまうのです。 まぁでも、写真は魂を抜くという迷信もありますから。煙の出所は知りませんが、イタリアにもその手の迷信があるのかもしれませんね。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-17 18:22:37)
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