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1. すずめの戸締まり
《ネタバレ》 震災テーマの希望ある決着は非常に良かったです。良い。
伝奇ものっぽいおどろおどろしい感じも、こんなのも描けたんだーと、今後こっち方面で特化した作品を作られたら楽しそう! と思ったりなんかしました。
しかしいろいろ気になる点が多々あり、列挙しておきます。
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・主人公の成長物語として見ると物足りなかった
男性主人公だと、
自分のことは自分で助けるしかないと覚悟を決める
→力を得る
→自分の力によって助かる他者がいることを知る
→公的使命感に目覚める
とかいう展開になるのが女性主人公だと、
そもそも自分を救うのは自分と思ってない(力がなくて、得ようと思っても得られないとあきらめている)
→力を得る
→自分で自分のことを助けられるんだ
という感じで、男性主人公の成長物語のスタート地点に立っただけなんですけどと思ってしまって、重要ではあるけど、なんかな(主人公たちがヒロイックな力を持ってるので余計に)という感想。ゴールがそれならもっと地味な設定にした方が良くなかろうか。
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・今までの作品とは変わって恋愛をメインのテーマにしないのはわかるんだけど、突然「好きな人のために!」とか言いだして、中途半端で、それっぽい伏線とかエピソードも足しちゃってるので、どっちがやりたいのかよくわからんみたいな
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・草太が「死にたくない」とか言いだすのが全く解せない
そもそも自分の家系でやってる戸締りの使命のために自分の人生の何割かが消費されても構わないと受け入れて全国行脚までする覚悟が決まってるキャラが、そんなん言うか? と思ってしまい。(いきなり受け入れがたいのはわかるけどそのうち納得するキャラにしか見えない)
なんか、主人公が助ける目的成立のために無理やりそういう言動やら性格に捻じ曲げられてるようにしか見えなくて、新海誠作品て、自分の考えたかんどうてきなはなし成立のために登場人物や、場合によっては視聴者の感情移入する感情まで捻じ曲げようとしてくるところが、しばしば気持ち悪くなってくるのですが(失礼)。
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・昭和の懐かしいメロディ連打がなんだかなあ
前までのRADWINPS全開が好きだったので、賛否両論あるけど慣れもあるだろうし、期待してたのですが、なくて拍子抜けでした。
「懐かしがる人はこういうのが聞きたいんだろう?」的あざとさも鼻についてしまい。
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・ダイジンがかわいそう
社会正義のために特定個人を犠牲にすることはやめよう、というのが最近の方向性と思ってたのですが、非人間存在を犠牲に肩代わりにするってやってることが偽善で本質的に変わってなくて、非常に昔ながらの偽善的解決になってて、そうじゃない誰も犠牲にならない地平を期待してたのだがなあ。[映画館(邦画)] 7点(2022-12-14 13:41:47)《改行有》
2. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
《ネタバレ》 なんか、これまでスパイダーマンシリーズを観てた人のご褒美作品みたいな感じで、メチャメチャ熱くて良かったです。
正直、トム・ホランド:スパイダーマンは対象年齢が若くなったせいで、どうせ大人向け作品ではないんでしょうと侮ってたところはあるんですが(その分気楽に観られる、いい話と安心して観られるところはあったのですが)、むしろ若年向けかつ、正義とは何かを問い続ける苦悩のスパイダーマンシリーズだからこそ、今度の赦しと慈悲の物語を描けたところがあって、ちょっと感動してしまいました。こういう話が観たかったんだよ!
話のオチというかネタとしては、エンドゲーム以来、こういう安直なちゃぶ台返しをあまり使うのはいかにも安直だろうとは思うのですが、まあ、1回はこういうネタも許されるかなということで、キャラ設定のコミカルな面とも合ってるし良かったと思います。
そんなところです。[映画館(吹替)] 9点(2022-01-09 03:48:14)《改行有》
3. スパイの妻《劇場版》
《ネタバレ》 予告編で、妻が、ずっと騙されてたけど私は夫を信じます、みたいな信心の話かと思ったら、お互いがお互いを騙し合う愛憎渦巻く狂おしい物語でした(お見事!)。
あと官憲役の、東出昌大の不穏さ、悪辣さが今までにない感じの凶気を感じさせられて、良かったです。
あの、離れ離れになるかもしれないが心が一つになることを選ぶか、生きて一緒に居られるが心がバラバラになるか、二つに一つを選べと問われ、見事望んだものを得られたが、失ったものは身を切るほど辛いという、たまらない感じでした。[映画館(邦画)] 7点(2020-10-26 23:48:33)《改行有》
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