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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ゾンビハーレム 《ネタバレ》 ゾンビものは好きなのでとりあえず鑑賞。とは言え、駄作オーラ全開のタイトルに、期待は全くしていませんでした。 で、思っていたよりかは力作。というか意欲作。一風変わったゾンビ映画を、わりと真剣に作ってみた感じです。 ゴア描写もB級作品にしては力が入っています。 玩具、アパレル、精肉、民家、教会、様々な建物に侵入するのがちょっと面白い。どの場所においても惨劇の残り香を漂わせる風景が用意されていて、こんな映画にもイギリス人のきまじめさが反映されている気がします。 ただ、ゾンビものとしては結構中途半端な出来なのは否めません。 指を切り落とすデブ女ゾンビに捕まるシーンや、精肉店ゾンビなど、怖さを感じさせるインパクトはところどころにあり。ですがそういった恐怖演出的見所がすべて単発。ホラーとしてはやや失敗。 かと言って笑いのセンスが良いとは言い難く、コメディはすべり気味。 登場人物が悪い意味で馬鹿すぎるのもマイナス。 何をしたいのかわからないシーンが多いうえ、ミスや油断も多く、反撃のカタルシスなんてものは得られません。 また、ゆきさんの意見に同意見で、こーゆー映画だからこそマットやパトリック、バンクシーを殺すべきではなかった。 最初から最期まで突っ走る感じのノリは嫌いではないです。[DVD(字幕)] 6点(2020-09-17 13:32:15)(良:1票) 《改行有》 2. 孫文の義士団 《ネタバレ》 ちょっと長いです。 かの有名な辛亥革命の前日譚。革命の指導者孫文来航。その目的は革命の打ち合わせ。清朝は孫文抹殺のため、暗殺部隊を送り込む。革命家達は孫文を守るため、影武者をたてる。ざっと言うとそんなストーリー。 未来の中国のため。父の無念を晴らすため。別れた妻と娘の生活を守るため。恩義を感じる者。ただ頼まれただけの者。それぞれの個人的な目的がちょっとリアル。 ただそこをリアルに描こうとしすぎて、前半が長く、重い雰囲気になってしまいました。 写真館の娘と婚約した青年をはじめとして、誰も彼も死亡フラグたちまくり。実際、そのほとんどが帰らぬ人となってしまう。 アクションは文句なしに素晴らしかったです。それぞれが抱える人間ドラマが、アクションの緊張感をより一層高めます。孫文が来てからのラスト40分の攻防は、手に汗握ります。有能で善良な人間が次々と命を散らしていきます。一般的なカンフーエンターテイメントとは、やっぱ違います。歴史ものや戦争ものは、内容が重くてちょっと苦手です。[DVD(字幕)] 6点(2020-05-21 00:21:51)《改行有》 3. ゾンビ・ホスピタル 《ネタバレ》 こちらでの登録なし。あからさまなB級感。ですので好きなジャンルとはいえ、たいした期待はせずに観賞。 いやいやいや。面白いじゃないですか、コレ。B級ホラーの中ではトップクラスの出来栄えでしょう。 まず前半のサスペンスフルなシチュエーションが良い。精神病院に入れられた妹に会いたい。あわよくば連れ出したい。そんな高い志をもって妹思いの兄、精神病院へ初潜入。いつ見つかるかわからない緊張感の連続に、前半はサスペンスとして大変見応えがあります。 そして後半。怒涛のスプラッタ。 この作品のゾンビは亜流。死んでいるわけではないので、正式にはゾンビとは言えないかもしれない。ただ生肉が好きになっちゃっただけの人間。人間なので、頭以外でも致命傷を負わせればすぐ戦闘不能に。そんななよっちいゾンビじゃあ盛り上がりそうにないかもしれませんが、なぜかそんなことないんですよね。 まず、噛まれたら感染する。これ大事。そして感染から発症までの潜伏期間が長め。真綿でじわじわ首をしめられるような不気味な恐怖感と不安感。 更には、人としての意識がある中で、食人鬼としての本能が開花。つまり、『半ゾンビ』のような期間があるのです。この『半ゾンビ』の人たちの狂気の描き方が秀逸。『集団あくまのいけにえ』状態。なかなかの名シーンを生んでいます。 主人公、妹、協力者、看護師。逃げるメンバーがみんな良い人ってのもポイント高い。『頑張れ』って応援したくなる人たち。で、実際に頑張ってくれるのがまた良い。『馬鹿な行動』『ぎゃーぎゃーうるさい』などの不快ポイントはほとんどありません。即興のチームプレイがちゃんと出来ています。この4人なら全員助かっても良かったくらい。 この映画では『ゾンビの共食い』がちゃんとあります。傷ついたゾンビ、血を流しちゃったらちゃんと仲間からお食事と認識されて食べられちゃう。これが良い。 掘り出し物とは、まさにこーゆー作品を言うのだと思います。[DVD(字幕)] 8点(2020-03-16 13:38:00)《改行有》 4. その土曜日、7時58分 《ネタバレ》 物語が悪い方向へしか進まないので気が滅入ります。 ハンクは真人間だけどダメ人間。アンディは多少頭がきれるみたいだけどクズ。このどーしようもない兄弟がにっちもさっちもいかなくなって犯罪にはしる。強盗するのは両親が経営する宝石店。『店は保険に入っている。損失分は保険がでる。』なるほど、個人的に好きなタイプのプロットです。 ただ、この映画、時間軸が行ったりきたり。その都度主観がアンディになったりハンクになったりチャールズになったり。それはそれで面白いのですが、あまりに多用するから全体のテンポを悪くしている気がする。 それに、主観が変われば『ああ、そーゆーことだったのかぁ』という種明かしを楽しむものなんでしょうが、この映画にはそれもないんです。映画のテンポを悪くしてまで時間軸をずらし主観をわざわざ切り替えるメリットがあまりないように感じます。 説明不足の部分が多いのも無視できません。 ハンクはともかく、アンデイはなぜお金が必要なのか。会社でいったいどんな不正をやらかしたのか。それにラスト、ハンクのその後はどうなっちゃったのか。どれもこれも教えてはくれません。結構知りたい部分なのに。父親への感情を車の中でぶちまけるシーンも説明不足のせいで唐突な印象を受けます。さらにはそれを理由に奥さんが出て行ってしまうのも意味わかりません。 父親チャールズがアンディを殺して終わりという救いようのないオチが素敵でした。バッドエンディングは好みではありませんが、この映画には合っていたと思います。アンディの人生における罪の帳消しはどちらにしろ『死』以外はありえなかったでしょうし。アンディを殺すときの父親の形相はこれまた最高でした。 とはいえ、ハンクのことがほったらかしである以上、やはり消化不良感は拭えないのです。[DVD(字幕)] 5点(2019-11-16 00:43:35)(良:1票) 《改行有》 5. ゾンビランド 《ネタバレ》 ポップで明るいゾンビムービー。主要キャラが誰も死なない稀有なストーリー。それでいてゾンビ映画としての終末感やドキドキ感もちゃんと味わえます。コメディ色が強すぎないのが良いバランス。 主要4人のキャラクターが非常に良い。姉妹の存在が、ゾンビムービーにまさかの青春的な味わいを添えます。 ゾンビ映画特有の『サバイバル感』も、割としっかり感じられます。車を調達したり、武器を調達したり。こーゆーささいだけど大事なところをきちんと押さえている丁寧さに好感がもてます。 コメディタッチでライトに仕上げつつも、ゾンビ映画特有の不安定な日常を感じられるのが良い。だからビル・マーレイの豪邸でのひとときで、心やすらぎます。ゾンビ映画のこーゆーインターバルのシークエンスが何気にお気に入りです。 ビル・マーレイを撃っちゃうシーンは評判良いようですが、個人的には悪ノリが過ぎた感じがします。撃たれたあとしばらくしゃべっちゃってるし。ぎりぎりのバランスだったのがここだけ壊れちゃってて、ちょっと気分が冷めます。 『遊園地を稼動させて、ゾンビを呼び寄せてしまう。』『あえて逃げ場の無いアトラクションに乗り込んで、自ら危機的状況を作っちゃう』など、終盤の姉妹の行動にイライラ。この4人は、したたかにこの世界を生き延びているわけだから、こんなミスするはずありません。無理矢理危機的状況を作っちゃうような安易なプロットにがっかり。 主人公が決めたルールもごく一部しか紹介されなかったのが物足りないです。主人公のルールにゾンビ映画あるあるをもっとぶち込んで、それが劇中機能するような痛快な演出を期待しちゃいましたね。[DVD(字幕)] 7点(2019-03-31 02:24:54)(良:2票) 《改行有》 6. ゾンビ処刑人 《ネタバレ》 タイトルが良くない。『ゾンビ処刑人』というのは、劇中の1エピソードにすぎない。これでは勘違いしてしまいます。 この作品の本質は、『もし死んだ後、ゾンビになってしまったら』というある人間の悲劇を描いたドラマだと思います。だから、原題の『The Revenant』を変えるべきではなかったと思います。 レヴェナントとは、『亡霊』とか、『帰ってきた人』とか、そういう意味です。主人公のバートは戦場で死んだはずなのに、なぜかアンデッドとして蘇ってしまう。親友ジョーイのもとへ行き、助けてもらう。でもそれがきっかけになり、結果ジョーイは死ぬこととなりバートと同じアンデッドに。さらに、女友達のマティはジョーイに成り行きで殺されてしまい、彼女のジャネットは自らの手で殺してしまう。ジョーイとは仲たがい。結果、ジョーイたちを恨んでいる別のアンデッドに逆恨みされて、ジョーイはバラバラにされてしまう。 せっかく現世に生き返ったのに、間接的にせよ、直接的にせよ、自分のせいで自分の大切なひとたちをみんな失ってしまうわけです。 生きる意味を失ったバート。死のうとするバート。でもアンデッドだから死ねない。どんなに頑張っても死ねない。で、ついに彼は自分がアンデッドとして生きることを受け入れてしまう。今までは『強盗』や『麻薬ディーラー』しか襲わなかったバート。『悪党を退治している。世の中のためになっている』という大義名分をかざし、なんとか『人間』でいようとしたバート。でもついに終盤、電車で何の罪もない人を、『自分の欲望のため』に殺してしまう。 だから、これはレヴェナントを題材とした人間ドラマなんです。それに、こーゆーテイストでいくのなら、コメディタッチは余計。コメディタッチでいくのなら、もっとダークヒーロー的爽快感でしめくくってほしかった。 でももっと言うなら、『ゾンビ処刑人』というタイトルから、『ゾンビになった正義の味方が暗黒パワーで復讐を成し遂げる』的展開を期待しちゃったのです。変な先入観を持たされてしまった。罪なタイトルです。[DVD(字幕)] 6点(2018-05-17 03:43:59)《改行有》 7. ゾンビ自衛隊 《ネタバレ》 B級感満載の映像。安っぽい演出。緊張感の無い音楽。棒読みのセリフ。どれをとっても『ザ・B級』。キング・オブ・B級。いや、もうC級くらいかも。 ですがこの作品、おっと思わせるようなゴア描写や、迫真の演技があったりします。確かに、自衛隊の隊長の演技はそーとーひどい。けど主役を演じた渡瀬やメガネ君の演技はなかなか良かったと思います。 また、要所要所でジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』へのオマージュを感じるようなシーンもたくさん。ゾンビ作品への愛を感じます。 よってこの作品、安っぽいうえにハチャメチャながらも、いたって真剣に作られているので、妙に見応えのある作品になってます。 真っ二つにされる宇宙人。ぺらぺらしゃべる青年将校ゾンビとの一騎打ち。ラストのUFO大襲来に富士山の噴火と、確かに苦笑と失笑もたくさんある。だけどその一方で、クソB級と捨てきれない愛すべきB級ゾンビ映画に仕上がっているのは間違いありません。 最後に個人的な好みを言うと、『奥歯スイッチを入れてからの友里』はもう少し強くても良かったんじゃないかな。[DVD(邦画)] 6点(2017-12-04 01:45:05)(良:1票) 《改行有》 8. ソウ6 《ネタバレ》 今までのシリーズに負けず劣らずのショッキング映像でスタート。このシリーズのファンなら間違いなく満足できるレベルです。はっきり言って、6作目にきて、いまだ『痛さ』の形容がパワーダウンしないだけでも、非常に頑張っていると思います。 本編では、ジグソウならではのゲームが盛り沢山。今回のテーマは『命の選定』。悪質な保険会社にぴったりのテーマ。保険会社に煮え湯を飲まされた経験がある人ならば、むしろ爽快にすら感じるかもしれませんね。つまりは、今までの犠牲者と違い、同情の余地が極めて少ないのであります。 また、保険会社のウィリアムの回想シーンが非常にわかりやすくバックグラウンドを教えてくれるのが良い。 全滅パターンが多かったシリーズで、今作の『テーマ』と『ゲーム』の性質上、生存者が結構いるというのも大変興味深い。かなりテーマを反映したゲームとなっているのではないでしょうか。 そしていつもの『連続テレビドラマ』のパート。こちらはいつにも増して緊張感があって良かったですね。 生きていたペレーズ捜査官。追い詰められていくホフマン。これだけでも面白いのに、今作ではジル・タックの回想シーンがプラスされ、新たなる事実が次々と判明します。特に、アマンダに対する評価は、この作品を見ると180度変わること間違いありません。 相変わらず今までのシリーズを見ていることが大前提の作品ではありますが、それだけの価値があるクオリティに仕上がっています。 これだけの内容を90分にまとめきるのも何気に凄い。[DVD(字幕)] 8点(2017-07-23 04:05:49)《改行有》 9. ゾンビーノ 《ネタバレ》 ブラックユーモアここに極まれりといった傑作。牧歌的な雰囲気。だけどいつも『死の匂い』を感じさせる日々。その生活に順応し、感覚がマヒしてしまっている人々。なにもかもが、日常的で、非日常的。こーゆーシュールな世界、大好きです。 『ゾーン』と呼ばれる地域と、フェンスで完全に区切られている安全な町。『進撃の巨人』のようなプロット。このゆるーい閉塞感がまた良いです。 ストーリーはティミー&ヘレン(人間)と、ファイド(ゾンビ)の心の交流がメイン。 だけどこの作品、『主観』と『音楽』を変えれば、かなり悲惨なホラー映画へと早変わり。 なぜならティミーは、自分の目的のために周りの人間を犠牲にしちゃう、とんでも野郎だから。 一番ひどいのは、『ゾンビ返却口』でのひとコマ。『連れて行かれたファイドに会いたい』という涙がでちゃうような目的のために、他人のゾンビを暴走させるという鬼畜ぶり。『ゾンビに人を襲わせて、お目当ての人に会いに行こう』、頭のネジのぶっとんだ作品。 こーゆーモラルの崩壊した作品は、好き嫌いが分かれるところでしょうが、僕は大好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-09 16:58:15)(良:1票) 《改行有》 10. ソウ5 《ネタバレ》 今作のゲームは『5人で力を合わせれば、軽微な損傷で助かる』というもの。これは『2』でも出てきたアイデア。こーゆーの好きですね。ジグソウのアドバイスに耳を貸さず、一人ずつ犠牲にしちゃうのも『2』に近いです。 また、もう一つの攻防戦。ホフマンVSストラム。こちらはホフマンの狙いが若干わかりづらくはあったものの、緊迫した雰囲気だけは伝わってきます。オチが良いです。ストラムの最後の選択。アドバイス通り、ガラスケースの中に自分が入っていれば助かったという真実。でもやっぱりそれを選ばないラストは好き。 不満点は最後の大仕掛け。インディ・ジョーンズじゃないんだからさ。もはや個人でできる仕掛けのレベルをはるかに超えている気がします。これはもうやりすぎ。 さて、相変わらず、前作までの内容が頭に入っていることを強制するこのシリーズ。 今作でも、今までの舞台裏が描かれるため、ファンには嬉しい一方で、一見さんは完全お断りの内容。 普段はこーゆーのは映画じゃねーっていうところなんですが、なんかこのシリーズは気になりません。おそらくここまで関連性が強いと、もはや連続ドラマとして見ているからかもしれません。 それにしても、今までのソウは結構平気だったのですが、今作のは、初めて『痛み』を感じましたね。特に冒頭の振り子。そして何といっても回転刃。あれはまいった。まじできついです。[DVD(字幕)] 8点(2017-07-07 13:59:10)(良:1票) 《改行有》 11. ソウ4 《ネタバレ》 もはや単体で見ることは不可能なこの作品。前作までを見ていないとまるで意味がわからないでしょうね。 ただ個人的にこの作品の手法は嫌いではありません。映画としてはどうかと思いますけど。このシリーズに限って言うと、『その回を見ると、前作までの内容がより深くわかる』という構造が面白いです。それに加え、一応その回その回で決着を着けているので、文句はありません。オチも必ずあります。シリーズ4作目まできて、作品のクオリティが全然落ちない、最後まで緊張感が消えない、サスペンスホラーの良作だと思います。 今作はいつも通り、全然読めなかった部分が多いのですが、すぐに読めちゃった部分もあります。 まずは弁護士。この人が何らかの形でゲームに強制参加させられているというのには、すぐに気付きます。 そして、リッグ刑事が『助けることのへの執念を断ち切ることができるかどうか』が今作のテーマ。すなわち、それがラストのゲームクリアの条件になるというのは、今までのソウシリーズを見ていれば、わりとすぐにわかります。 ただ、冒頭の『ジグソウの体の中からテープ発見』、ここがラストシーンだったとは。これは読めなかったです。いわば、これは今までのシリーズにはなかった、登場人物ではなく、視聴者を騙すためだけのトリック。ずるいとは思いますが、心地よい『してやられた感』です。本編は『3』と同時進行だった。こいつはまいった。 『3』のクライマックスを同時進行で見せてくれるラストは素晴らしい。ストーリーは4作品の中で一番好きかもしれないです。 ただ、いつにも増してカット割が細かい。アップが多すぎ。どーゆー装置かわかりづらい。つまり、見せ方は4作品の中で最も不親切だとも思います。わざとわかりづらくして、それを難解さと錯覚させる、そんな手法はアンフェアです。正直ちょっと目が疲れて、頭痛がしてきたので、映像作品としはやや悪質かもしれないですね。[DVD(字幕)] 7点(2017-06-30 15:23:13)《改行有》 12. ソウ3 《ネタバレ》 不思議なもんで、過激な描写はどのシーンも同じくらいなのに、頭蓋骨開けちゃうシーンはそんなにグロいと思いません。人を助けるための行為っていうのは、こんなにも印象を変えてしまうものでしょうか。ジグソウが痛がっていないというのも一因か。やはり『グロい』と感じるのは、視覚情報だけでなく、そこに『痛さ』や『恐怖』を想像させられるからだと改めて実感。 さて、『1』『2』『3』の中では一番好き。ジェフやケリーは子供を事故で失った悲しさから、家族関係が上手くいかなくなっているのだとしたら、そこをジグソウに責められるのはあまりにも無慈悲。もちろん、『生きている家族を大切に』っていうジグソウの言い分は正論だけど、命までかけさせられたらたまったものではない。ジェフやアマンダはゲームに参加させられなくても不幸だったのに、更にこんなゲームに参加させられてあまりに可哀想。そこが『1』や『2』と決定的に異なるポイント。二人に対する同情の気持ちが湧き上がる本作。大変理不尽で怒りが湧き上がりますが、もともとそういう主旨の映画。よくよく考えれば、理不尽であればあるほど映画としては正解なのでしょう。 『このゲームはアマンダ、君へのゲームなんだ。』という発想及びオチのつけ方は好き。ですが、『アマンダ、君の命は彼女(リン)が握っている。』って、それはつまり『リンを殺せば、ジェフから復讐されちゃうぜ』ってことを示唆しているのかい?でもジェフがアマンダを撃っちゃう保証はないですよね?このゲームの最も大事な部分がそんな不確定要素いっぱいでいーんでしょうか?うん、でもまあ赦ソウ。 3作品の中では最も過激な描写となった本作。ここまできちゃうともはや悪趣味。うん、でもまあ赦ソウ。 3作品の中で、最も画面がチカチカ。目が無駄に疲れる。うん、でもまあ赦ソウ。 ちなみにこれ、もう『1』『2』の内容知っていて当たり前の作品になってますね。まあシリーズものは1作目から順に見るのが良いんでしょうが、これはあくまで映画であり連続テレビドラマではありません。当たり前のように予備知識を観客に求めるっていうのは傲慢が過ぎやしませんかね。うん、でもまあ赦ソウ。そして8点。 どうです、これでゲームクリアじゃないですかね?[DVD(字幕)] 8点(2017-06-24 15:40:21)《改行有》 13. ソウ2 《ネタバレ》 個人的な好みで言えば1作目より今作のほうが好き。どちらもミステリー要素があるのですが、今作のほうがわかりやすくてスッキリします。 前作で、ジョンに対し事務的に『死』の宣告をしたゴードン医師。それが許せなかったジグソウ。今作のゲームは、今までで最も簡単であり、最も皮肉に満ちています。たった一つの条件、『他者の生を大事にする』、これにさえ気付けば、難なくクリアできるというのが最大のポイント。 全員が力を合わせれば全員助かる『金庫のゲーム』。首の後ろの番号を、虹の色彩の順番に並べるだけで良い。もし『自分さえ助かればよい』という選択をするのであれば、個々人に用意されたゲームへのチャレンジへと移行します。今作の挑戦者が選んだのはこちらのゲーム。ですが、『他者の生を軽んじる選択』に対し用意された個々人へのゲームは、そのほとんどがクリア不能のデスゲームなわけです。 マシューズ刑事にしても、狙われた理由はおそらく他者の人生を踏みにじったからでしょう。そこでジグソウは最後のチャンスを与えることにします。マシューズ刑事が目の前に座る末期癌患者の『生』を尊重するだけでクリアできる、究極の心理ゲーム。この期に及んでもし『自分』と『自分の息子』のことしか考えず、他者の生を軽んじるのであれば、即ゲームオーバー。 結果、マシューズ刑事はこのゲームに失敗。瀕死のジグソウが言い渡す『ゲームオーバー』は自分ではなく、マシューズ刑事に向けてのもの。言葉通りの意味なわけです。 今作でのゲームは『心理トリック』がメイン。物理的なトリックはほとんど引っ掛け問題。その単純な構図がゆえに、鑑賞中の『面白さ』と答え合わせの『衝撃』を共存することができたのかもしれません。 それにしても、『もしかして脱出できるのか。』とやっとたどりついた先が、前作のゲームのステージだったときの絶望感といったら、言葉にできないくらい素晴らしいですね。 末期癌患者最大の生命力をほこるタフネス・ガイ、ジグソウ。悪のカリスマ。ポストレクター。 これからもお元気で。命を軽んじるものたちを正しい道へと導いてください。[DVD(字幕)] 8点(2017-06-18 14:24:10)(良:2票) 《改行有》 14. ソウ 《ネタバレ》 前半かったるくて、中盤少し面白くなってきて、後半俄然盛り上がるソリッドシチュエーションスリラー。 こーゆー閉鎖的な空間でのホラーって、低予算でハイリターンとれそうだから、いいですね。 見る前は、『追い詰められた人間の狂気』、そういうものを見れると思っていました。ですが蓋を開けてみると、意外と普通。それもそのはず。雰囲気、プロットは『ホラー』であり『サスペンス』なんでしょうが、どうもこの作品、『ミステリー』の要素が大分強いと気付きます。ですから登場人物はいたってまとも。アダムもローレンスも人道的で理性的。そして常識人。シチュエーションはパンチが効いていますが、ストーリーはかなり正統派のミステリー作品で、手堅く作ってある印象です。予想とは違った種類の面白さでした。 ですから、恐怖感よりむしろ、あまりにも汚い空間への嫌悪感が先にきます。 私は、グロ耐性はあるのですが不潔耐性は全然ない。バスタブ、トイレ、何もかもが汚すぎ。ノーマルな自分でさえ引くくらいですから、潔癖症の人はマジで見ないほうが良いでしょう。『何が出るかな、何がでるかな』で、トイレに手ーつっこむんじゃねーって、もうほんと勘弁してほしい。 それにしても最後のオチは全然予想できなかったので素直にびっくり。それに他の方の解説レビューを読んでて『アダムが一部共犯説』という意見を見て、二重にびっくり。『あーそーゆーことかー。』と思いはするものの、何だろう、真相がわかったときの『すっきり感』がいまいちしない。考えてみるに、私にとってこのストーリーがたいして面白くないからだと思います。 だって、『ジグソーの、死ぬまでにしたい10のこと』に、つきあわされただけですもんねぇ・・・。[DVD(字幕)] 7点(2017-06-08 10:23:55)(良:2票) 《改行有》 15. ソードフィッシュ 《ネタバレ》 非常にインパクトのある作品ですね。人の注意・関心を引きつけるのが上手いと思います。 世界中で映像が氾濫し、その結果『人の集中力の継続時間』が極端に短くなったらしい昨今、エンターテイメント作品においては冒頭10分以内で見せ場が1つは必要でしょうから、製作サイドも大変です。 今作は10分~15分以内に、『ハラハラドキドキ』『お色気セクシー』を定期的にはさむことで、『なんか面白い』と観客に錯覚を起こさせることに成功しています。ですので、ストーリー自体はそんなに面白いものではございません。見せ場の使い方が上手いということでしょう。 冒頭では『人間地雷』。序盤の『60秒ハッキングテスト』。『もう一人のハッカーの暗殺』。『ハルベリーのプチサプライズ』。 『いったい何の意味が?』というシーン、エピソードが、私達観客の意識をひきつけておくための『餌』だとしたら、その説明もつきそうです。 終盤からクライマックスにかけてはストーリーも面白く、作品全体のプロットが見えてきます。 スタンリーはガブリエルとジンジャーが大金もってまんまと逃げおおせたのを、それ以上は追求しません。『たいしたやつだ。』の一言には、ガブリエルを人として絶対に許すことはないが、人として認めることはできるという意思が見てとれます。 実際に、ガブリエルは潤沢な資金を手にし、次々とテロリストを始末していきます。 悪の華、アンチヒーローの誕生です。 もちろん、ガブリエルによって、罪の無い人が無残な殺され方をした事実は消せません。ですがそれを言い出せば戦争だって同じですからね。 理屈ではガブリエルの合理性を認めながらも、人としての良心、道徳を重んじるスタンリーは、ガブリエルに賛同することはないわけです。二人はさながら『曹操』と『劉備』のような関係ですね。 この作品に難があるとすれば中盤。 今何が起きていて、誰が何をしようとしているのか、テンポを重視したため説明不足すぎる箇所が、中盤に集中しています。 特に背信議員によって派遣されたヒットマングループの車襲撃シーン。スタンリーがジンジャーを問い詰めるシーンなどは、一瞬なぜそうなったのかわかりません。しばらく様子を見て、あるいは結果を見て、『あー、そうゆうことか。』と結局は答えが提示されるから良いんですけどね。スピード感を重視し過ぎると、説明不足を招き、臨場感を損ない、中だるみさえ引き起こしかねない、と感じます。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-19 11:55:32)(良:1票) 《改行有》 16. ゾンビハンター2022 《ネタバレ》 時は近未来。文明が発達した大都市に、大量発生したゾンビ達。 そのゾンビたちをハントする通称「ゾンビハンター」 歴戦の勇者たちのレーザー銃がゾンビを貫く! ・・・・・・・みたいな映画を勝手に、そう勝手に想像していた私が何もかも悪いのです。 まさか、まさかあんな何もない原っぱをひたすら駆け回るだけとは。 ってゆーか、このタイトルをつけてパッケージの扉絵を決めた人、絶対この映画見ていないでしょう! もし見ていて、何もかも分かった上でこのタイトルをつけてこの扉絵にしたとしたら、・・・それはもうすごいとしか言いようがないですね。 僕のような凡人には理解できないすばらしいセンスです。 [DVD(字幕)] 2点(2012-05-22 00:55:50)(良:1票) 《改行有》
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