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プロフィール |
コメント数 |
615 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが…… 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。 |
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1. 大脱走
《ネタバレ》 全員主役の群像劇ってイメージが強かったんですが……
改めて観返してみると、完全にスティーヴ・マックィーン主演の映画ですね。
「独房王」のヒルツは冒頭から出てくるし、見せ場も一番多いしで、間違い無く彼が主人公なんです。
後は精々「調達屋」のヘンドリーが副主人公と呼べそうなくらいであり、原作小説では一番存在感があった「ビッグX」ことバートレットも、三番手くらいのポジションに思えました。
では、何故「全員主役」ってイメージを抱いてしまったのだろうと考えると、やはりそれだけ脇役達が光ってたからなんですよね。
自分としてはダニーとウィリーの「トンネル王」コンビが好きというか、印象としては、この二人こそ「主人公、あるいは副主人公と呼べる存在」と思っていたくらい。
再見して、意外と出番が少なかった事には驚かされたけど、それでもこの二人が無事に逃げ延びる結末には、心底ホッとさせられました。
本作ってバッドエンドに近い結末なんですが、不思議と爽やかな後味となっているのは、飄々と生き延びた主人公ヒルツの存在だけでなく「脱走に成功する」という、決定的な勝利を収めた二人の存在が大きかった気がします。
そんな二人だけでなく「製造屋」のルイスも逃げ延びるのに成功したって辺りも、何だか興味深いですね。
列車から飛び降りたり、バイクで柵を越えたりした派手な連中は捕まって、自転車や手漕ぎボートというノンビリした逃走手段を選んだら成功しちゃうという展開に、不思議なユーモアを感じます。
それは「情報屋」マックが捕まってしまう場面も、また然り。
「引っ掛かるな、初歩的なワナだ」と味方を諭してたマックが、その初歩的なワナに引っ掛かり、正体がバレてしまうって展開でしたからね。
当人達は命懸けの脱出作戦を繰り広げてるんだけど、緊迫した状況下でも、どこかユーモアがあって、それがこの映画の得難い「愛嬌」になってる。
ひたすら陰鬱でシリアスなだけの内容だったら、こうまでも「愛される映画」にはならなかったでしょうし、適度に「皮肉な笑い」「ほのぼのとした空気」を挟んだのは、もう大成功だったんじゃないかと思います。
他にも、誰もが知ってる終盤のバイクアクションに、盲目のコリンが死んでしまう場面の物悲しさなど「この映画の、ここが好き」って事を語り出したら、止まらなくなっちゃうくらいですね。
BGMも秀逸であり、この映画が「コメディ」としても楽しめるのは、あの惚けた魅力の曲あってこそと思えます。
自分としては、ヒルツが初めて独房に入れられる際の「兵士から盗んだ鍵を返す場面」の音楽とのシンクロっぷりが、特に好き。
堂々と胸を張ってヒルツが連行される場面では勇壮な音楽が流れ、扉が閉まり、独房の中を映す場面では悲壮な音楽に変わるという、その変幻自在な様も、お見事でした。
ヒルツの相棒であり、中盤で無謀な脱走を企てるアイブスに関しても、独房の中で座り込む姿と音楽だけで「彼は精神的に限界」って事が伝わってきたし、本当に音楽の使い方が上手かったと思います。
後の脱獄物で頻繁に模倣されてる「土の捨て方」が描かれる場面でもテンションが上がったし、この映画って後世に与えた影響が大きいから、そういう「元ネタになってる場面」を鑑賞するだけでも、知的な興奮が味わえるんですよね。
パッと思い付く限りでは、洋画の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)でも本作は「主人公のリックが主演していたかも知れない映画」として、眩しい存在として扱われていますし、邦画の「波の数だけ抱きしめて」(1991年)でも、さり気なく本作のクライマックスがオマージュされていたりするんです。
勿論、本作より昔の映画を観て(あっ、ここが「大脱走」の元ネタになっているのか)と気付いた瞬間なんかも、凄く嬉しくなっちゃいます。
「大脱走」は偉大な映画であり、単品として観るだけでも充分に面白いのですが……
この映画を観ておけば、他の映画も更に楽しくなるという意味でも、オススメの一本です。[DVD(吹替)] 9点(2022-11-30 12:55:35)(良:3票) 《改行有》
2. 大巨獣ガッパ
《ネタバレ》 ストーリー展開が「怪獣ゴルゴ」そのままな訳ですが、それを差し引いても「ガッパという怪獣だからこその魅力」をあまり感じられない内容だったのが寂しいですね。
熱線を吐いて戦車を爆発させる描写、翼から生じる風圧で瓦が剥がれていく描写なども、ゴジラとラドンの良いとこ取りを狙ったんでしょうけど、それが結果的に個性を削ぐ形になっていたと思います。
そんな中、忘れられないインパクトを与えてくれるのは主題歌の存在。
最初に聴いた時こそ(なんじゃこりゃ)とズッコけたけど、二度、三度と聴く内に(あれ……案外良い曲かも)と思えてくるんだから、全くもって不思議。
牧歌的で、如何にも昭和特撮ソングってノリなのが、映画の内容とも良く合っていた気がします。
現代の観点からすると特撮がチャチだとか、島の原住民がどう見ても肌を黒塗りしているだけの日本人だとか、欠点と呼べそうな部分は多々あるんですが、まぁ御愛嬌。
河童というより鳥みたいな外見だなぁと思ったら、本当に劇中で「鳥に近い生態を持っている」という研究結果が出るのは面白かったし、人間側に「仕事にかまけ、娘に素っ気ない父親」を配置し、家族の事だけを考えて行動する怪獣側と対比させているのも良かったです。
「女性は仕事を頑張るよりも、家庭に帰ろう」というメッセージが提示されているのも、当時の世相が窺えて興味深い。
ただ、ガッパが蛸を咥えているシーンに関しては、特典の解説によると「我が子に食べさせようと蛸を持参する親の優しさ」を表しているそうなのですが、ここはもう少し分かり易く、映画単体を観ただけでも伝わってくるように描いて欲しかったですね。
解説されないと(なんで蛸?)と戸惑っちゃうし、解説を踏まえた上で観れば良いシーンだと思えるだけに、実に勿体無い。
後は……クライマックスにて、親が子に飛び方を教える流れも感動的で良かったんですけど、空港のセットが簡素過ぎて、せっかくの感動が冷めちゃう辺りも「勿体無い」「惜しい」って思える部分。
城や都市部のセットは結構頑張っていたのに、よりにもよって最後の最後で一番力の入っていない空港のセットが舞台となっている訳で、なんかチグハグなんですよね。
背景の書き割り感も凄いし、地面には滑走路に見えるようマットを敷いているだけって丸分かりだしで、せっかくの感動的な音楽や、ガッパの涙が台無しになっている形。
これって「中盤のセットは稚拙だが、クライマックスでは流石に気合いが入っている」という形なら、大分印象が違っていたでしょうし、本当に(もっと上手くやればいいのに……)って、じれったくなっちゃいます。
本来は畑違いの日活が、当時のブームに乗って怪獣映画に手を出してみた一本、という事で、やはりその辺りの「手探り感」「ノウハウの無さ」は、如何ともしがたいものがあったのでしょうね。
そういった背景の諸々も含め、色々考えながら観る分には楽しめたけど、純粋に娯楽作品として考えると、ちょっと厳しいかも。
ともあれ、怪獣映画好きであるならば、押さえておいた方が良い一本だと思います。[DVD(邦画)] 5点(2018-04-09 12:42:26)(良:1票) 《改行有》
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