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1. 月に囚われた男
《ネタバレ》 月が好きなのは、ハインラインの「大宇宙の少年」が好きだったから。 大気はなく太陽光が遮るものもなく照りつける白と黒の地表を月面作業車が孤独に動き回る、寂寥漂うミステリー。 一番身近な天体である月が舞台の映画はあまりない。 邦題はデヴィッド・ボウイの「地球に落ちてきた男」にひっかけたと思われ、息子ダンカン・ジョーンズはミドルネームのゾーイの方で記憶にある。 古典的SF映画の空気で俳優はアメリカ人でも、セカンド・サムのキャラクターやラストはイギリス的な捻ったユーモア。 「2001年」のHALを思わせるガーティには、人工知能が人間らしい心を持つことを夢想する人間の夢が托され、ケヴィン・スペイシーの声がロボットの見えない奥の変心を伝え、サム・ロックウェルはコミカルな役を多く見てきたけれどシリアスな役を切なく演じきる。 「ガタカ」のように、自分でなくとも代わりとなる者が果たしてくれれば、人は満足して死んでゆけるのだろう。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-01 07:00:00)(良:1票)
2. 月のひつじ
楽しみにしていたオンエア/録画中に突如画面に大量に流れた地震情報テロップ。(ホントに!大事な時に何か起こってしまう?)冒頭のサム・ニールの老いた元所長が盟友のパラボラを懐かしげに見上げる表情には、演技ばかりでなく故郷の隠れた貢献への誇らしさも感じられるよう。ポエティックな邦題も作品の朴訥な雰囲気に合っていなくもなく、アメリカ映画とはちがう地味な普通感がよい。二ール演じる赤いカーディガンの所長も実におだやか。アポロ月着陸は虚偽とまことしやかに囁かれる昨今だけれど、広い大地に生きる彼らが一つになって、微かな電波をつないだその日の出来事が真実だと信じたくなる。[CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-24 15:39:59)
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