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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 虎の尾を踏む男達 《ネタバレ》 黒澤ファンには不評気味だけど、俺は「デルス・ウザーラ」と共に黒澤嫌い・ファンにもススメたい傑作の一つだと思っている。 何せ黒澤映画最短(オムニバス「夢」を除けば)となる1時間に凝縮されたエッセンス! 日本の伝統芸能、歌舞伎の代名詞の一つ「勧進帳」。 源義経と弁慶が箱根の関所を突破しようという一節だが、それをミュージカル風にやってしまおうというこの映画。 弁慶の鬼気迫る演技、そしてエノケンのひょうきんな役どころ! 特に終盤、弁慶と関所が繰り広げるやり取りを短いショットを交互に見せ緊張感を高めるッ場面!この場面だけは何度も見てしまう。[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 17:27:43)《改行有》 2. 扉の影の秘密 フロイトの精神分析の影響を感じさせるサイコ・スリラー。 既にドイツ時代に「M」で猟奇的な殺人鬼を描いているが、アメリカ時代のラングに重々しい空気と恐怖感は余りない。 その反面、娯楽として素直に楽しめる気軽さが増した事は確かだ。 この作品は1948年の作品だが、1940年に公開されたヒッチコックの「レベッカ」を思い出させる。 私も完成度で言えばヒッチコックに軍配を挙げるが、本作は本作でラングの実力を充分堪能できる作品だ。 ヒッチコックも「汚名」や「海外特派員」で扉を効果的に使っているが、ラングの場合は扉(とにかく脱出口)をこじ開けないと絶体絶命というシーンが多い。 「メトロポリス」や「怪人マブゼ博士」は、迫り来る水から逃れるべく登場人物が出口を確保しようと必死に足掻く。 一方で「死刑執行人もまた死す」のように“思わぬ援軍”の登場を予感させる場面でも効果的に使われている。 ヒッチコックが徹底的に扉に“謎”や“危険”を隠したならば、ラングは扉を“脱出口”や“希望”として徹底的に描いた作家と言えるかも知れない。 「扉の影の秘密」は、ヒロインにとって危険でもあり希望でもある「扉」を描く作品なのだ。 だが残念な事に、「扉」にはヒッチコックの「レベッカ」と同じようにヒロインの生死を左右する“危険”で満ち溢れいていた・・・それは見てのお楽しみ。 ラングのアメリカ時代の到達点が「暗黒街の弾痕」または「条理ある疑いの彼方に」だとすると、この「扉の影の秘密」は40年代の到達点と言って良い。 [DVD(字幕)] 9点(2014-04-09 20:14:34)《改行有》 3. 毒薬と老嬢 こんな恐ろしいババア共がいてたまるか。[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:47:47) 4. 戸田家の兄妹 《ネタバレ》 サイレント時代は漲る若さで撮った「大人の繪本 生まれてはみたけれど」、 そしてトーキーにおける小津の最高傑作は、個人的に「戸田家の兄妹」あたりだと思う。 小津の作品と言うと説明的で説教臭い話が多く、俺のような人間にはまず肌が合わないタイプ。 そんな俺でもこの「戸田家の兄妹」は良い作品だと思ったよ。メッチャ良い! 「東京物語」ほどかったるくないし、何より家族が崩壊していく様子をストレートに描写していくところに惹かれる。 突然の死や老いた家族のたらい回しなんか「東京物語」より残酷さを感じた。 戦前の映画で家制度の崩壊をここまで辛辣に描けたのは、家族を何十回と描いていく小津だからこそ出せた答えだ。 葬式の後に遅れてやって来た昌二郎は、正に家族への怒りをストレートにぶつける代弁者。江戸っ子人情を噴出させる小津のな。 「食うや食わずの人間だって、親と子の関係はもっと暖かいもの。どれもこれも一つの腹から生まれながらこの有様はなんだ!」 こ の 有 様 は な ん だ ! ! 「人が何と言おうとそんなこと構いやしないよ、対面だとか体裁だとか、世間体とか、そんなことじゃ何にも出来やしないよ。」 何故だろう・・・説教臭い匂いが無い。だって誰もが思う怒りがここに集約されているもの。 良い意味で小津の「家族」描写が完成された作品。唐突なラストもまた意味深だったりするのかも。 斎藤達雄はこれと「宗方姉妹」を最後に小津作品に出なくなってしまった。もう少し見たかったよ・・・。[DVD(邦画)] 9点(2014-01-08 10:16:38)《改行有》
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