みんなのシネマレビュー |
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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 何者 《ネタバレ》 閉塞された空間に捉われ続ける若者たち。それはアパート、面接会場、大学の喫煙室、電車(さらには窓に映った拓人と瑞月は窓枠にも捉えられる)、タクシー、直接的描写はないが履歴書の証明写真など。 そんなあらゆる閉塞性の中で、ツイッターという特権的な立場から、他者を批評し俯瞰した視点を保つ事で、何者でもない自分のアイデンティティを何とか維持する拓人。 物語の終盤。他者を見ていた、批評していた者(拓人、映画の観客)が、見られる、批評される者になる瞬間。客観性が崩れる瞬間。抽象的なものが視覚化されていく。 それは劇場(演劇)となり、面接となり、ツイートを受け取る側のダイレクトな反応(理香)となる。 拓人のアイデンティティは崩壊し、面接の中で彼の本音が溢れ出す。 その時、それまで正面から客観的に拓人を捉えていたカメラは、彼の背中を押すような主観的なものとなり、拓人自身は閉塞されたビルから、光輝く解放的な外へと踏み出していく。[DVD(邦画)] 7点(2017-08-15 18:55:55)(良:1票) 《改行有》 2. ナイトクローラー 《ネタバレ》 山で起きた事故の死体を動かし、移動しながら、カメラを構える場面。映像がドキュメンタリーからフィクションに変わる瞬間。物や映像を盗むものから、生み出すものに変わる瞬間。事件をただ外側から受容するものから、事件の内側に入っていく瞬間。 そこから撮ることが特権化し、被写体に対する優位性が、そして自意識が誇大化していく。 同時に反比例して倫理や道徳という人間味が欠落していく。 その臨界点で起こる最悪の結末。しかし、そこで生み出されたものは同時に美しい芸術であり、究極のプロフェッショナルが辿り着いた結末ともとれる。 そして間違いなく彼が一番輝いた時でもある。 魅力的な映像を撮る事、魅力的な何かを生み出す事の代償(大なり小なりあれど)から目を反らすことなく、最後まで真摯に向き合っていた。 そして、その代償も含めたものこそが観客が求めているものではないのか?と訴えかけるかのような、ラストの尋問室での主人公の監視カメラへの視線にゾッとした。[DVD(字幕)] 7点(2016-06-18 19:25:03)(良:1票) 《改行有》
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