|
プロフィール |
コメント数 |
1252 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
|
1. ニューオーダー
《ネタバレ》 メキシコ国家の悪を暴く映画である。映像面や物語構成についてはそれなりに見せているが、残酷な場面があるので一応要注意である(電気棒を尻に挿すなど)。
映画として何を訴えたいかは公式サイトに監督の言葉が一応書かれていて、民衆を顧みない政府をこのままにしておくといずれこうなる、という警告とのことだった。冒頭がショスタコーヴィチの交響曲第11番「1905年」で始まるのでロシア革命の民衆蜂起のようなことを予感させるが、結果的に民衆が勝利したとはいえなかったという意味とも取れる。劇中では最初に暴動を起こしておいてから、軍隊がこれを鎮圧する体で新たに抑圧体制を作ったのが「新体制」の意味だったのかも知れないが、そうだとすれば特に目新しさを感じるものではない。題名は刺激的と思ったが期待外れだった。
現実の問題として、メキシコでは以前からの麻薬戦争との関係で、犯罪組織だけでなく警察や軍隊までが虐待・拷問をやってきたということはあるらしい。しかしこの映画のような営利目的の誘拐を、末端はともかく軍として組織的かつ大々的に行うことまで実際あるのか、あるいはやりかねないとアピールする根拠はあるのかどうか。まあ根拠があると地元民が思うなら他国民として否定できるものでもなく、一応何が起きるかわからない世の中とはいえるが、ちなみにメキシコ国家が本当にこれほど恐ろしいならこの映画も公開できない(関係者は生きていられない)だろうから、基本的には安全な環境で批判だけしている状態だろうと思っておく。
なお登場人物のうち「ビクトル」というのは父の友人とされているだけで実際何なのかは不明だったが、公的機関に関わっていて、軍の高官と思われる将軍よりも立場が上に見えたからにはかなりの権力者であるらしい。最後の場面で3人が並んでいたのは「軍」「政」「財」であって、これら勢力が癒着して国を動かしているが、実は「財」が痛めつけられる立場だというのを象徴的に示したのかも知れないと思った。
その他雑談として、メキシコでは公的健康保険の加入者は公立病院で自己負担なしで診療が受けられるそうで、それ自体は社会保障の手厚さを思わせる。ただし医療の質や治安の問題から、経済的に余裕のある人々は自己負担で私立病院を利用するとのことで、そのための民間医療保険に加入することもあるようだった。現地の日本人は私立病院の利用を勧められているようで、庶民向けが明らかに安かろう悪かろうという点に格差が見えているとも取れる。メキシコが世界最悪なわけでもないだろうが。[インターネット(字幕)] 5点(2023-09-16 10:03:27)《改行有》
|