みんなのシネマレビュー
K&Kさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 833
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12

1.  男はつらいよ 寅次郎春の夢 《ネタバレ》 シリーズ24作目。オープニングが寅さんにしては珍しい、太ももムチムチの健康的なお色気路線。 公開時の決まっている長期シリーズなので、想像通り色々試行錯誤、マンネリ打破、五里霧中(?)な中で、日米対決を持ち込むのも頷ける。シリーズ初のガイジン絡みの作品…と言われたら、マドンナが青いお目々の金髪さん。ってのを思い浮かべそうだけど、茶色の一張羅スーツに大きなトランク。アメリカ版フーテンの寅みたいなオジさんが出てきた。 ぶどうの一件は良いとして、タイガーからの一悶着はちょっと強引だなぁ。マドンナは香川京子。50歳近い寅次郎にとって、娘の林寛子の年齢の女性は、ハナっからマドンナ候補から除外される様になったのかな。どちらにしても2人ともマドンナとしての印象は薄い。大工の棟梁との一悶着は面白かった。 本作は寅とマドンナの話はサブ扱いで『さくらに恋するマイコさん』の話…というか、『さくらに告白するマイコさん』の話。と言うべきかも。一作目以来のマドンナ=さくら回。 大空小百合、準レギュラー格では、もう登よりも多く出てるんんじゃないかな?(※岡本茉莉は登を超える回数出てるけど、小百合はまだそこまで)。蝶々夫人の倍賞千恵子“本気の熱唱”がとても凄い。伸びのある歌声は流石の一言。 言葉の通じない日本でつらい営業周りの毎日。とらやの面々に優しくされ、ついついさくらにそんな感情を抱いてしまったんじゃないかなぁ。マイケル、さくらへの気持ちはどこまで本心だったのか。 マイケルの「I Love You」の回答として、片言英語しか喋れないさくらが、突然の告白に驚きつつも、精一杯マイコさんの気持を考えて「This Is Impossible」と伝える気遣いが温かい。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-29 23:40:02)《改行有》

2.  男はつらいよ 翔んでる寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ23作目。マドンナが桃井かおりと来たら、どうしてもハンカチを連想してしまうし、2作前の武田鉄矢が出た『寅次郎わが道をゆく』を連想してしまう。もうね、1作挟んで武田→桃井ってキャストだけ決まってて創ったような、ゲスト人気でお客さん呼ぼうって、何とも安易な考えで創ったんじゃないか?って不安がよぎる。 当たらずとも遠からず。舞台は北海道。桃井演じるひとみが人生を見つめ直す一人旅。やすやすと男の車に乗ってしまい、襲われる始末。助けに入るのは健さんでなく寅さん。ここまでするなら、いっそ寅とひとみの北海道から柴又までのロードムービーで一本創ってしまうのも、セルフパロディで面白かったかも?そうするととらや一家がほとんど出てこなくなるけど。 ウエディングドレスで結婚式を飛び出して…画的なインパクトは凄いけど、それだけで終わってしまったような。 布施明もマドンナの相手役としてはどっちつかずな使い方で、何が良くてひとみと結婚したのか、何が良くなくてひとみは飛び出したのか、パンクな若者の行動を、浪花節な寅さんワールドがとりあえず相性は別にして包みこんでしまった感じ。 『布施明だし、歌でも歌うんだろうか?』と思ったら、思ったとおり歌ってたわ。観客の期待するものを観せるのも映画かもしれないけど、そのまんま過ぎる気がしたわ。 いつになく穏やかな寅の帰省は良かった。でもせっかく良い感じの家族団らんをぶち壊す満男の三重丸の作文は、なんか無理やりトラブルをねじ込んできた印象。源を折檻する御前様もちょっと違和感。 タコ社長のお見合い話は面白かったけど…あと当時の丸駒温泉は観られて良かったけど…シリーズ50作もあれば、こういう回もあるんでしょう。[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-24 00:23:27)《改行有》

3.  男はつらいよ 噂の寅次郎 《ネタバレ》 シリーズ22作目。寅がとらや以外の場所で家族と久しぶりの再会をするのは、今回が初じゃないだろうか? バスの中で博の父と再会するのも、いくら何でも偶然が過ぎる気がするけど、まぁマドンナ(&登)とは結構あるパターン。 今昔物語で自分の人生について考え込んでしまう寅が可愛い。人に聞いた良い話が寅が話すと別な話になるのが面白い。今回は怪談話か。思いっきり聞き入ってしまった。さくらの「あら虚無僧」で吹き出したわ。 仮病の寅が救急車で運ばれる。臨場感ある俯瞰図と困ってキョロキョロする寅がまたヒット。今回笑いのツボが私に合ってる。 大原麗子はCMなどで観るイメージ通りの大原麗子。まさに可愛い大人の女性。なのに男はつらいよの世界観から浮くことなく上手く馴染んでる。 お弁当食べて「あは…見ないで!」の色っぽさ。三角巾を結べず「寅さんあたし泣きそぉ…」のエロさ。帰ろうとして立ち上がりおばちゃん(!)に抱きしめられる躰の細さ。ぱっと見何でもないシーンなのに、これだけ伝わりやすい色気を感じさせる女優さんは他に居ないんじゃないだろうか? ついでと言っちゃアレだけど泉ピン子も当時(渡鬼以前)のイメージ通りのピン子だったわ。最初だけ登場かと思ったら、また美味しいところで出してくる。 「離婚、離れる、切れる、別れる。この手の言葉は一切使わない…」このパターンも久しぶりな気がする。シリーズ初期を彷彿とさせる丁寧な出来。マンネリも適当に創れば適当な出来になるし、しっかり創ればしっかり面白くなるんだな。 久しぶりの飃一郎。博の家で居心地悪そうな空気なのに、寅が来ると知るとパァッと明るくなるのが可愛い。 添田の後を追うよう早苗を諭し「(話は)明日聞くよ」と言いつつ旅に出る寅の不器用な優しさがとても沁みる。寅さんスタンダードな作品にして、寅さんの魅力がギュッと詰まった作品。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-10-16 22:55:31)(良:1票) 《改行有》

4.  男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく 《ネタバレ》 シリーズ21作目。遂にUFOやっちゃったよおい。スター・ウォーズに未知との遭遇(あと猿の惑星も入ってたな)の時代。劇中2回も出てきたけどピンク・レディーのUFOが流行ってたとき。ウチにもシングルレコードあったわ。良くも悪くも悪ふざけ全開。寅さんの帽子型UFOと来た。テレビの砂嵐と臨時ニュース観て、インデペンデンス・デイがこの時代のプロットで創られてたことを地味に再認識。 前作から続き、当時の人気タレントをゲストに迎え、寅さんワールドで惚れた腫れたする本作。初期作品とは明らかに作風が変わってきたことを実感する。 武田鉄矢が出てくると、なんか寅さんって感じがしなくなる不思議。キャラが黄色いハンカチの欽也のまんま。そりゃ面白いけど、映画のアイデアとしては安直かなぁ。この留吉がほぼほぼ本筋に絡んでこない。隅っこで何かチョロチョロしてるなぁって感じ。 マドンナの奈々子がさくらの同級生。1作目でさくらが寅の事を覚えてなかったのに、奈々子が寅を覚えてたって設定。過去作のマドンナの名前を列挙するくらいしっかり尊重してる作品だけに、もう少し矛盾なく出来ただろうに…と思ってしまう。 そして奈々子もとらやにやって来て、急に泣き出したりと住人お構いなしにぶちまけて、もうこんな時間!と勝手にさっさと帰ってしまう。この落ち着きのないマドンナ設定、コレで正解だったんだろうか。雨の中のキスにも違和感。 松竹歌劇団…というものがあったのか。歌劇団って宝塚歌劇団だけじゃなかったんだ。SKDが帝国華撃団(サクラ大戦)のモトネタだったのか。勉強になるわ。 歌劇のシーンが結構長い。寅と留吉が歌劇をじーっと観てるシーンが続くのは、シリーズ的にはちょっと違和感を感じてしまう。映画の中で歌劇の魅力を伝えようって意図だろう。劇団員なんかも本物の歌劇スターなんだろう。坂東鶴八郎一座とは華やかさが違う。 ただ、SKDの魅力。木の実ナナのワイルドさ。武田鉄矢の勢い。それらを“男はつらいよ”で受け入れる。そのミキシングが、どうにも上手く絡まってるようには思えない。それぞれがそれぞれで、散らかったまま一つの作品にしてしまったかのよう。 ただ一番残念だったのは、タコ社長の「なにか面白ぇことないかなぁ、寅さんまだフラレねぇかなぁ」のセリフ。梅太郎、腹ん中でそんな腹黒いこと楽しみに思ってたのか?うっかり者だけど良い人だと思っていたのに…[CS・衛星(邦画)] 4点(2023-10-10 23:08:06)《改行有》

5.  男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 《ネタバレ》 シリーズ20作目。この時期の作品にしては、タイトルが投げやりな気が…何だい?『頑張れ!』って。思うにシナリオが決まりきらず、どうとでも捉えられるようなタイトルにして、見切り発車をしたんじゃなかろうか? そう考えると本作は当時大人気・中村雅俊に、駆け出しの有望株・大竹しのぶの恋愛者で行こう!そこだけは決まってたんだろうかね?ね。 さて、今回の夢は、悪夢だ。金持ちになったおばちゃんの雰囲気の変わりっぷりが面白い。 消えた人がふと出てくると嬉しさを感じてしまう。今回は轟巡査が16作目以来の登場。押し売り容疑に猿の逃走に、警官が活躍する回だから登場したのかな? 寅のワット君へのコーチングは見事。デートの情景が目に浮かぶよう。どうしてコレを自分のときには活かせないのか。ワット君、デートでアドバイス通り邦画を観てるけど、なんて作品だろう?かなり気合の入ったホラー映画。 とらや大爆発は…なんて言って良いのか…寅さんにこういうドリフっぽい笑いは求めてないんだけど、まぁ、色々マンネリ打破で迷走してる時期なんだろうね。マドンナが物語半分くらい進んでから出てくるのも風変わり。 完全に若い二人の恋模様がメインだもの。前作の殿様と鞠子さんに続いて、寅の恋が添え物。 歯の裏に付いた栗の渋皮を取ろうとするタコ社長と、それを無言で見守るとらやの面々がなんか思いっきりツボでした。タコ社長可愛い。 「うわぁあっ活きてる~!!」伊勢海老を見て驚くさくら。寅さん史上、一番の大声を出してた気がします。コッチも可愛い。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-02 21:33:49)《改行有》

6.  男はつらいよ 寅次郎と殿様 《ネタバレ》 シリーズ19作目。しかし思い切ったタイトルだ。『寅次郎とお殿様』『殿様と寅次郎』『寅次郎と殿様』さぁどれが一番座りが良い? 冒頭の鞍馬天狗。殿様がかつての鞍馬天狗の名俳優。というのは観終わってから知ったこと。山田監督の映画愛ですねぇ。モモヒキの下りがちょっとツボ。 ピアノ事件を彷彿とさせる鯉のぼり騒動。急いで鯉のぼりをしまう博の勢いと、怒らずに踏みとどまる寅にホッとしたところ、犬のトラ騒動で追い打ち。博が引き金弾いてしまうのが面白い。けど、この犬のトラ、もう出てこないのね?次作からならともかく、本作前半しか出てこないとか、一発屋にしても短命な… 後半のフルーツ盛り合わせも、いつ寅が気が付いて怒り出すかハラハラものだが、爆発させない不発演出。ある意味意外性狙い? 殿様だから、もっともっと漫画チックな展開(殿様コスプレとか)かと思ったけど、そこは踏みとどまったかな。冒頭の夢がこの映画の遊び部分だから、本編はあまり脱線してほしくないって気持ちがある。吉田を斬ろうとする場面。寅が押さえつけても刀を引っ込めない(当たると危ない)ところから、あれ竹光なんだろうな。殿が怒って吉田が逃げる。そんな遊びを2人でしょっちゅうやってるんだろうね。「宮仕えは辛いねぇ」 「鮎の塩焼き600円?美味くも何ともないしあんなの」名物なのにそこまで言う。時代だなぁ。 本作はマドンナとの旅先での絡みが旅館の挨拶だけと薄い。その為か寅との恋愛模様も薄い。どちらかと言えば鞠子は殿様にとってのマドンナだ。 さほど付き合いのない同士の寅と鞠子をくっつけようなんて、殿様の世界観の狭さが見て取れる。それは寅が東京から来たというだけで「鞠子という女を知らんかね?」なんていうくらい。さくらの電話に、ただ「はい!はい!」と答えるのが精一杯の殿様がどこか悲しい。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-29 22:27:56)《改行有》

7.  男はつらいよ 寅次郎純情詩集 《ネタバレ》 シリーズ18作目。前作のジョーズ同様、寅やさくらがカサブランカをボカすことなく演じてます。 旅の一座・坂東鶴八郎一家と会うのは8作目以来。大空小百合も大人になったなぁ~なんて思ってたけど、岡本茉利は前作・前々作にも別役で出てたのね。 評判の悪い寅の無銭飲食。私は最初から払えない気満々の余裕の寅に思わず笑ってしまった。そして家庭訪問の一件では、寅が一方的に悪いわって思ったわ。でも自宅アパートでなくとらやを使ってしまった博もダメだわ。 浦辺粂子のばあやが懐かしい。ちゃんと十字架ぶら下げてるのが可愛い。 マドンナが柳生先生と思わせておいて、実はそのお母さんというのは中々の変化球。 男はつらいよで劇中のキーパーソンが死ぬというのは、2作目の散歩先生以来かな。しかも今回はマドンナ。でも予め「余命僅か」なのを知らせ、雅子とさくらだけ重たい部分を背負ったカタチ。柳生家ととらや一家が揃っての夕食。両家のお祈りの長さ合戦とかシリーズらしい明るい空気と、綾の仕事話でワイワイ盛り上がるとらや一家と対象的な2人の表情が何とも辛そう。 極め付きはイモの煮っころがしを作るさくら。寅に急かされるけど、悲しみを堪えて煮物の準備をするさくらの優しさが伝わる。 柴又の駅でさくらに『花屋』の話をする寅。こういう話はとらやでみんなにでなく、さくらにだけ伝えるのが寅らしい。今さら言っても仕方のないこと。もう済んでしまったことだけど、血の繋がったさくらにだけは知っておいてほしい。そんな気持ちから出た言葉。柳生家のお嬢様の悲しい運命を背負わされたさくらが、寅の言葉でどれだけ肩の荷が降りたことか。 そして雅子が務める新潟へ。雪深い新潟には寅の仕事はないだろう。それでも来てくれる寅。退院してからの綾は、寅と過ごせて幸せだったに違いない。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-09-25 00:39:57)《改行有》

8.  男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け 《ネタバレ》 シリーズ17作目。はははっジョーズだ! 源ちゃんの千切れた腹わたにボカシ掛かってるわ(※BSテレ東)、そこまでリアルに再現したんだなぁ。さくらは狂った挙げ句サメに食い殺されるし、現実と夢の関係を考えたりもしたけど、こりゃ何も考えてないわ。単に息抜きとして楽しんで創ってるんだわ。 満男の入学祝いというのが劇中時間の経過を感じさせる。あとおばちゃんが寅のことを「寅さん」から「寅ちゃん」に呼び方を変えてる。何作前からかなぁ?ご祝儀袋にいくら包んだんだろ? シリーズ随一の名作と呼び声の高い本作。普段のように寅がバカをやるのでなく、お人好しな一面と、男気のある一面を見せる下町人情話。 この話が発祥かどうかは解らないけど、文無しジジイが実は金持ちで~ってのは割とよくある話。そして実は高名な画家で絵が高く売れて~ってのも黄金パターンかもしれない。古本屋店主が絵を見て青観作だと気づく展開は、解っちゃいるけど“おぉ~~!”ってなる。 青観と志乃のエピソードは、後からなるほど~と納得。当時の状況を知っていると、より意味深く感じられたことだろう。 前半と後半で別な話になるパターンかと思いきや、後半に大きな足跡を残す青観先生。借家のボロボロの床の間に似つかわしくない素晴らしい牡丹の絵は、芸者に身を落とし、貸した金は帰らなくても、明るく前向きに生きていくぼたんの生き様のよう。 「決まってるじゃないかよ、お前さんと所帯を持とうと思ってやって来たんだよ。」初めての決着が着かないパターン。この終わり方大好き。リリーの結婚話で、気まずい空気を作ってしまったから、ぼたんには自分から冗談としてジャブ打ちしといたんじゃないかなぁ?それだけぼたんとの気さくな関係を大事にしたかったんじゃないかな。 東京に向かって手を合わせる最後もすごく爽やか。一本完結の良い人情映画を観たなぁって気分にさせてくれました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-09-09 17:35:03)《改行有》

9.  男はつらいよ 葛飾立志篇 《ネタバレ》 シリーズ16作目。前作が名作とは言え、寅もリリーも可哀想で、心がヒリヒリとなる作品だったため、本作の“寅さんスタンダード”な明るさは、一服の清涼剤に思える。もっと言えば普段以上にとらやの修羅場が(極力)回避された回に思えた。 オープニングは前回同様凝った作りで、メキシコ風ウエスタン。寅の夢だからかな?さくらはいつも可愛く、タコ社長は何故か悪いやつの側で、社長なのにボスではない。さくら歌上手いなぁ。 順子の「たいてい500円ですけど」に「やっぱり寅ちゃんかねぇ?」で吹き出した。今思うと、500円札って惜しげなく出せる、気を使わないで受け取れるコミュツールとして優れていたなぁ。500円玉だと有り難みが落ちる。「お父さんなの?」でつい流れでうなずいてしまう寅も可愛い。 御前様の身内がとらやに下宿するのは2回目。どっちも勉学に励む人(甥の岡倉金之助は東大理学部助教授、親戚の筧礼子は東大考古学の助手)。で、岡倉役の米倉斉加年 が交番のお巡りさんで出てくる。後で知った「クッククック♪」のシーン、無かったと思うなぁ。版権の問題かな?(※BSテレ東) やっぱりスポンサーしてたブルドックソース。四角いボトルのパッケージが約50年前の劇中と今と、ほとんど変わりないのが脅威(※と思ったら最近リニューアルしたらしい)タコ社長がとんかつソース舐めてたけど、私もやったなぁ。ママンに怒られたわ。 交番にチラッと写った指名手配犯『桐島聡』の写真。これも、今とぜんぜん変わらないなぁ。 小林桂樹が日本沈没と同じ田所って名前なのも嬉しいツボ。時代に合わせて新しい笑いを追求しつつ、悪ノリで基本路線を踏み外さないさじ加減が、男はつらいよは上手。 さて礼子先生はてっきり田所先生のプロポーズをウケたものだと思ったから、寅に話すとき、私も寅と同じ勘違いをしていたよ。観返すと「結婚を申し込まれたの」って。あぁ、人生の考え方に迷いが出たって話してるんだけど、“結婚”ってパワーワードでその先が頭に入ってなかったわ。あといつものパターンだなって思い込みを利用した、高等なトリックなのかも?頭真っ白でも寅が礼子先生に掛ける言葉の暖かさが素晴らしい。 『男はつらいよを数作品だけ観てみたい』って人に、自信を持って勧められそうな作品でした。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-09-03 15:20:53)《改行有》

10.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 シリーズ15作目。本シリーズで流血を観たのは初めてじゃないだろうか?…劇中夢の話だけど。過去最大級にお金が掛かった夢だなぁ。帆船のミニチュア特撮まで出てきたわ。 当レビューサイトで平均点も高くレビュー数も多い。1作めを除くと最高傑作の呼び声も高い本作。 噂が独り歩きじゃないけど、何故か有名な『メロン騒動』の部分だけは、以前動画で観てました。コトがメロンだけに、たかがメロンって馬鹿らしい可笑しさと、されどメロンって笑えないリアリティの、さじ加減がまた秀逸だなぁ。 真顔で「…ワケを聞こうじゃないか」で引き込まれ、そっくりな博のモノマネで吹き出したわ。おいちゃんがお金投げて、おばちゃんが泣き出す修羅場っぷり。とどめのリリーの一括。寅に掌返しで「他人様」と言われたからこそ言い返せた口上に、とらや一家でなくてもスカッとしてしまう。あぁでも、寅は悪くないんだよなぁ。本作『寅次郎メロン騒動』でも良いんじゃないか?ってくらい。 そのあとの雨の中の相合い傘。大人げない姿を見せた寅と、つい言い過ぎたリリーの、気遣いたっぷり、心をくすぐる男女の会話が堪らない。結婚とかお付き合いとか、そういうのでなく、この瞬間が最高なんだよね。 「お兄ちゃんのお嫁さんに…」心から“それも良いな”って思った嬉しそうなリリーと、口に出した後、そんな生活は自分には無理なことを悟っていくリリーの表情の変化。ここで一拍置ければよかったのに帰ってきてしまう寅。冗談にするしか出来なかった二人の間が悲しい。 「オレみてぇバカとくっついて、幸せになれる訳がないだろう?」最後に来て寅のこのセリフ。「女が幸せになるのに、男の力を借りなきゃいけないとでも思ってるのかい?」小樽の港でのリリーのセリフ。 リリーが去って大雨が降るなか、傘を持って掛け出せない寅の背中、さくらへの語りが寂しすぎる。だからタイトル『寅次郎相合い傘』なんだな。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-09-02 17:00:40)《改行有》

11.  男はつらいよ 寅次郎子守唄 《ネタバレ》 シリーズ14作目。あぁこれ、私が初めて観た寅さんです。たぶん中学生くらいにやってた日曜洋画劇場で、マドンナの「飴降って痔固まる」の話を覚えてました。 本作からおいちゃんが変わりましたね。私の中ではおいちゃん=下條さん。今までのおいちゃんと比べて大人しめな印象ですね。 今さらだけど男はつらいよは、ほぼ2つのパートに分かれていて、マドンナと寅の話が後半にあって、前半はもう一つの話って感じ。 本作は前半、寅が赤ん坊を連れてくる話と博が手を怪我する話で、後半赤ん坊は引き取られ、博の手は治ってる。つまり前半が無くても後半は成り立つんです。 もちろん、博の手の怪我を診せた看護婦に赤ん坊を診せに行くって関連はあるけど、マドンナパートの中心は看護婦である必要が無いコーラスグループの話。 たぶんもしかしたら、たくさんのバリエーションを作ったマドンナ・シナリオ案と、同じくたくさん作った前半のシナリオ案(とらやの人々の掘り下げ、寅の旅先話などなど)を組み合わせて、一つの作品にしてるんじゃないかな。 妄想はそれくらいにして、本作はタコ社長の人柄がいい味出てました。博の怪我を心配して、寿司を届けて詫びる姿。印刷所の仕事を止めて社員を休ませる気遣い。いい社長だと思います。 それとおばちゃん。寅の連れてきた赤ん坊を本気で育てようとしたおばちゃん。男が引き取りに来たあとの、おばちゃんの喪失感はもう少し掘り下げてほしかった気がする。湿っぽい話になってしまうけれど。 寅がさくらに7,700円入った貯金通帳を渡すのも良い。名義が諏訪さくらなのがもう、泣けてくる。[地上波(邦画)] 5点(2023-08-27 18:00:24)《改行有》

12.  男はつらいよ 寅次郎恋やつれ 《ネタバレ》 シリーズ13作目。出だしがすっごく面白かったです。旅先で既に寅が恋をしていて、いよいよ成就するか?ってところから始まる新たなパターン。まるでリーサル・ウェポン2のよう。 絹代の振り方も、『主人が帰ってきた!』って屈託なく言うもんだから、今回も寅の一方的な思い込みだったようで… 歌子再登場。ってか、吉永小百合再利用。愛知県のどこかに住んでるハズの歌子が津和野で暮らしていて、偶然再開するなんて、なかなか強引な設定。しかもあのブサ…陶芸家のご主人は結婚1年目で亡くなってる。実生活でも前年にあたる'73年に電撃結婚した吉永小百合。 これは悪く読み取れば、サユリストの「小百合様に旦那はいらん!」って願望じゃなかろうか?映画は夢を観るところ。ならば映画の中だけでも永遠に独身でいてほしい。そんな願望に応えようとしての、本作だったり? 本作は柴又慕情の後日談の意味合いが強く、歌子の父親だけでなく、女子旅仲間のみどりとマリも出てくるのが嬉しい。更に「はい!バター!」のギャグも再登場と、続きもの感が強くて良い。ただね、この歌子がどうにも、何をしたいのかイマイチわからない。前作ではOLだったらしいけど、陶芸家の嫁としてその道に行ったかと思えば、夫の実家で図書館で働き、姑の家を出ても実家には戻らず、今度は看護・介護系の仕事に就こうとする。歌子は何がしたいのか?嫌なものから逃げてブラブラしてるようにも思えてしまう。 夫の葬儀にも出ない父。歌子がとらやに来たと聞いて、とらやに顔を出す父。あぁ、お父さんが考えていた以上に、歌子は全然子供だったんだ。自立した女としてでなく、一人娘、子供として接しなみゃいけなかったんだ。修吉はそう思って、とらやに来たんじゃないかな?そう思わせる展開でした。 最後、絹代のところに顔を出した寅がいい。あの流れだったら絶対歌子だろうって期待を裏切る好展開。未練たらしく独り身の歌子を追うのでなく、フラレた自分を見つめ直す寅が良い。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-23 20:42:02)《改行有》

13.  男はつらいよ 私の寅さん 《ネタバレ》 シリーズ12作目。冒頭の夢がだんだん豪勢になっていくなぁ。本編よりこっち創るのが楽しくなってたりして? ここに来て寅の子供時代の男友達が出てきたり、とらや一家が九州旅行に行ったりと、マンネリ打破に取り組んでいた時期なんだろうか? 今までのシリーズとの大きな違いが、寅が面と向かってフラレるところ。事情を察して身を引いたりはあったけど、今でも使われるであろう「友達でいましょう」は、確か寅さんでは初めてですよね。 そして大抵、寅を踏み台に(もしくは寅は無関係に)幸せに向かって進み出すマドンナだけど、本作のりつ子は失恋(※観てる最中、津川雅彦がりつ子の片思いの相手だと思って、こんがらがったわ。)したまま、宙ぶらりんに終わるのも初めてじゃないかな。 劇中3度も出てくるセリフ「自分の気に入った作品は誰にも売りたくない、まして気に入らない作品は売りたい訳がない」画家を志す者の心中とはこんなものなのか。りつ子が食べるにも困る貧乏画家なのも、嫁に行って出戻って、更には片思いの画家に失恋してしまう男運の悪さも、彼女のこの考え方から来るものなのかもしれない。 言ってしまえば自身の実力に対し理想が高すぎる。一条も寅も自分の理想とは違うから受け入れない。だから幸せにもなれないし、画も売れない。 最後の啖呵売「だが、私にも生活というものがある」が答えだわ。「私の寅さん」なんて言ってる場合じゃない、現実を観て、自活していこう。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-19 17:13:00)《改行有》

14.  男はつらいよ 寅次郎忘れな草 《ネタバレ》 シリーズ11作目。ようやく、タイトルの意味が通じる内容の作品登場。 忘れな草の花言葉は「真実の愛」。またリリー(ユリ)の花言葉は「純粋」。 寅が散財して買ったおもちゃのピアノが、タコ社長のうっかり一言のせいで、一気に価値のないものになった時の空気の変わりようが、また絶妙だったわ。必死にピアノをフォローするおいちゃんと博。おばちゃんは奥で魚屋に電話「なんか、お刺し身ある?え?タコだけ~?」最高のタイミングで鐘の音がゴーン…まぁここからいつもの修羅場になるんだけど、間の取り方が、上手いなぁ。 そして舞台は網走です。山田洋次×網走と言えば『幸福の黄色いハンカチ』。個人的には健さんが食堂でビールを飲むシーンと並び、本作の網走の港は名シーンだと思います。二人たたずむ寅とリリー。夜汽車から見る明かりの話。この時の寅次郎の手。指には下品な金の指輪。そしてリリーの足の赤いペディキュア。同様に赤いマニキュアの指先にはセブンスター。二人がカタギじゃないことを一枚の画で観せる。そして海に出る父と見送る子たちを、寅とリリーの対岸に置く辺り、綿密に計算したのではなく、自然とそうなったんだろうな。美しい。山田洋次と網走はよっぽど相性が良いのかな。 今までとは違うタイプのマドンナのリリー。中学で家を飛び出てフーテン暮らしという、同じ境遇のリリーに、寅もさぞシンパシーを感じたことでしょう。酔ってとらやに来たリリーをなだめる寅。「昼間みんな働いて、疲れて寝てるんだ。ここはカタギの家なんだぜ?」こんな格好いい大人な寅を、旅先でなくとらやで観られるなんて。 寅を大人の男として信頼して、子供のようにワガママを言えるリリー。そうか登だ。登の女版がリリーなんだわ。先の話をチラッと調べたらやっぱり。前作を最後に登はしばらく出て来なくなります。メッチャ残念。 一方リリーが結婚して、寿司屋の女将になったのは急展開。今までの作品同様、マドンナは寅のそばから離れて終わるんだけど、1作限りではあまりに勿体ないマドンナだったからなぁ。さて次回はどんなカタチで登場するのかな?[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-08-09 22:39:05)《改行有》

15.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 シリーズ10作目。オープニングの夢、前回のは電柱とか現代のまんまだったのに、セットが大掛りになってきた、マカオの寅だって。給仕さん姿のさくらが可愛い。 初期作のマドンナは世代的にあまり知らなくて、榊原るみ、吉永小百合と、ここに来て私でも見知った人が出てきた感じです。本作は八千草薫。この人は若い頃も晩年も全然変わらない。いい歳の取り方をされたんだな。ただ私の世代だと優しいおふくろさんってイメージだから、マドンナ役もやっていたことにちょっと不思議な気持ちになってしまったよ。そう、ママンの若い頃の恋愛話を観ているような… 前段が寅のお見合い話。浅草の人たちに寅がどう思われているかが、これでもかと描かれる。ダメ人間の例えにされ、落書きに馬鹿にされ(源公が書いたのか)、お見合い話は相手の娘に泣き出される始末。 漫画チックな変わり者の大学助教授が登場。恋愛経験のない岡倉のからかい方が、また意地悪で面白い。 本作では岡倉のために、自分が好きなお千代との橋渡しをしてしまうパターン。お千代も寅に気があったのは新しいパターンかな? 「そんな良いこと知ってんなら、何で最初から言わないんだよ!」散歩先生の回にも出たセリフだけど、恋愛に対して、お千代の告白に対してはこのセリフを言えない寅。腰を抜かすところ、冗談と言われてホッとするところ、寅の引っ込み思案振りがよく出ていたと思います。 登もチョコチョコ出てきて私的には好きな展開な筈なんだけど。なんかサラッと終わってしまった印象。ここに来てちょっぴり、このシリーズにマンネリ感を感じてしまったのかもしれません。 寅「そこのミドリ取ってくれ」博「…ムラサキ(ボソッ)」『アユミの呪い~毛が生えた~♪』なにこの歌こわい。小ネタは相変わらず面白い。 余談ですが1作目からここまで全作レビューされてるレビュワーさん、私含め20名らしいです。さぁここから先が正念場![CS・衛星(邦画)] 5点(2023-08-05 11:45:35)《改行有》

16.  男はつらいよ 柴又慕情 《ネタバレ》 シリーズ9作目。ついに吉永小百合が寅さんデビュー。そして私のお気に入りの登が出てくるのも嬉しい一作。 寅さんといえば夢から始まるオープニング。過去に“瞼の母”や“おいちゃんの死”の夢があったけど、寅たちが何かの役を演じてる夢は本作が初かな? それと本作から観光地の描写が旅の情報番組っぽくなった気が。観光地巡りと名物の食べ物の組合わせ。まぁ田楽美味しそうだったけど。 貸間騒動から博の「酷いこと言うなあ」に続く流れが良いね。家の話は今後も出てくるんだろうか? さて本作のマドンナ歌子。「いつも『寅さん!寅さん!』って言ってる」なんて気を持たせ、とらやに2回も遊びに来る。だけどそもそも寅に対しては恋愛感情なし。一番困るパターンかも。 この歌子。結婚した陶芸家の男を考えると、どうもブサメン好きのよう。気難しい小説家の父はそこを理解していたんじゃないだろうか? 歌子の昔の失恋話として相手から「バラの手入れだけしていれば良い」って言われて怒るんだけど、それを聞いた父は「そんな男やめちまえ」って後押しする。バラの話云々じゃなく、相手がブサイクだったからじゃないだろうか? イマ彼の陶芸家の男に対し「(会ってくれたって、あんなブ男と…)結婚したいなら勝手にしろ、俺は知らん!」と突き放す…自分で気付いてくれと。 自分からフッたのにフラレた気になってる歌子だから、結婚を諦めて父の面倒を診なきゃいけないというのもきっと、歌子の思い込みなんだろうな。言う割に金沢とか旅行してるし。 一緒に旅行に行く友だちの2人にも、恋人の存在は言ってないのに、父が“変わり者の小説家”だとは伝えてる。面倒な女だわ。 劇中、父の反対を押し切って陶芸家との結婚を選んだ歌子。吉永小百合はこの映画の翌年、両親の反対を押し切って、15歳も年上のプロデューサーと結婚している。披露宴には両親が来なかったそうだから、これまた面倒な女かも?[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-07-25 01:11:32)《改行有》

17.  男はつらいよ 寅次郎恋歌 《ネタバレ》 シリーズ8作目。なに?おいちゃん役の森川さん、本作を最後に亡くなってしまうのか。シリーズの長さを考えると、あまりに早い重要人物の交代は、心より残念に思います。 オープニングから重たい雨。旅芸人の座長と景気の悪い近況話。さくらの耳に入る悪い例えに使われる寅の話。寅が帰ってくるなりいきなりギスギス。驚いたのは酔っ払いを連れ込んでの酒宴。とらやのみんなにイライラしてる寅、おいちゃんたちを使用人呼ばわり、さくらに一曲歌えなんて…これは最低だ。寅ってこんな奴だっけ?って驚いてしまった。観ていてヒリヒリと痛い。続く博の母の葬式。食事の席での言い争いと、笑えない場面が続く。う~ん、重たい。 寅が博の父と暮らし始める辺りから、いつもの調子に戻ります。日暮れのリンドウの花越しに見る家庭の明かり。家族の食事。瓢一郎の人生観。この深い話を繰り返し出して、借り物の話の伝わらなさ、本人に話す気まずさ、苦し紛れに出てしまいマドンナの心を奪わせる。上手いなぁ。 寅の女性観には、今の暮らしと違う、人生が変わる“憧れ”があるんでしょう。今回のマドンナは寅の暮らしに憧れます。本気じゃないにしても、寅に対する探りとも言える「私も一緒について行きたいな」。 寛子と未知の新しい暮らしをするのでなく、自分の暮らしに寛子を連れて行く。それを想像して、寅は一気に現実に引き戻されたんでしょう。中学で家を飛び出した寅。テキ屋稼業の大変さは身に沁みています。万に一つ一緒になって、学(子供)はどうなる?そう考えると、身を引くしか無かったんでしょう。 最後の寅とさくらの会話。「兄ちゃんの、こんな暮らしが羨ましいか?」そんな問に対するさくらの返しが心にグイッと来ます。 旅先で偶然再会した一期一会の旅一座。お互いいつ死んでても解らない風来坊の暮らし。「そうかい。良かった。本当に良かった。」いまが無事で居ることを確かめ合う。なんか本作、最終回の前に見返したくなるかも? 「それを言ったら、おしまいだよ」おっとここで出た名台詞。売り言葉に買い言葉。なんか初めて聞いたような気がしてたけど、1作目から言ってた模様。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-15 16:02:57)《改行有》

18.  男はつらいよ 奮闘篇 《ネタバレ》 シリーズ7作目。この当時のタイトルって、内容とかと関係なく、取り敢えず付けてたんだろう。前作から3か月後の'71年4月の公開。 嬉しかったのが母お菊と坪内冬子の再登場。寅さん世界は“サザエさんループ”してたのか?って思いかけていたところで、二人の登場で時間の概念がきちんと刻まれてたんだな。って…私の中でね。 寅の1年ほど前の手紙から整理してみる。オープニングで集団就職が出てくるから季節は春だろうか?3月くらい?浦安の節子さん(5作目)は去年の夏。幼稚園の秋子先生(4作目。春子の言い間違い?)が1年くらい前で、散歩先生の夏子さんは、そのもう少し前(2作目、このとき寅が初めてお菊と会ってる)。 名前の出てない冬子(1作目)はお菊と出会う前。お志津(3作目)は、寅の旅先の事だからおいちゃん達は詳しくは知らない。夕子(6作目)はついこの間… さぁ寅のお嫁さん候補は誰だ??私はお志津の事だと思いました。大きなヒントとして『住所が書いてない』こと。浦安と湯の山温泉以外だったら柴又のとらやに住んでそう。お菊と関係改善された直後の3作目ということもあり、お志津の可能性大かと…ハガキの消印が気になるところ。 本作では『頭が薄い』花子がマドンナです。今の世の中では考えにくい思い切った表現だけど、キャラ設定で頭が薄そうな喋り方するあのタレントが毎日テレビに出てくる今の世の中も、それはそれでどうかと思うけど、花子は都会に出て頑張って生きてきて、アテもなく逃げ出してます。 今までの寅と同年代のマドンナに比べ、花子はまだ子供。演じる榊原るみもまだ20歳。40歳手前設定の寅も流石に接し方が違いますね。純粋で汚れていない花子からは“守ってあげたいオーラ”が出ています。 とらやのみんなは反対するけど、寅と花子は今までのベスト・カップルな気がするなぁ。世間が2人をどう見ようと、どんな子が産まれようと、2人が一緒になるのは、ベストな気がするけどなぁ。福士先生と一緒に青森に帰るけど、それは寅と結婚しても出来たんじゃないかなぁ? 中学で家を飛び出した寅。まだ幼いさくらの面倒をロクに見てやれなかったかつての自分。寅はきっと、まだ子供の花子に妹のさくらを重ねたんだと思います。今度はきちんと面倒見ようと、そんな決意があったのかも。 そう思えたから、事故とはいえ、寅がさくらをぶったのはショックだったけど、自分の決意を全否定された寅の悲しい気持ちも、なんか解るなぁ。後から手紙で謝る不器用さは寅らしいかも。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-10 13:19:53)《改行有》

19.  男はつらいよ 純情篇 《ネタバレ》 シリーズ6作目。どこがどう純情篇なのだろう?こっちこそが望郷篇じゃないの?なんて思ったり。 男はつらいよは、'69年8月、単独作品として公開されたところ、好評で続編を創り、それも好評でシリーズ化。それでも5作目で完結したのが1年後の'70年8月。凄いハイペース。そこからまだまだ引き伸ばして創った作品が本作のよう。DBで言えばセル編か?'71年1月の作品。 出だしから行きずりの女を助ける寅。彼女を抱かない理由を優しく言い聞かせるのが格好いい。五島に行ってからも女と父親の板挟みになりつつ、故郷について自分の思いを話す寅。随分と大人な言い方で“シリーズ化に際し人情モノに全振りしてきたか?”って思ったくらい。 だけど柴又に帰ってくると、博とタコ社長の板挟みになって、出先で見せた大人なところを発揮せず、有耶無耶に投げ出して、無責任に酒宴に参加してしまうのが、何だかなぁ…だわ。 本作のメインが朝日印刷の現状なのかな?博が居ないと経営が厳しいこと。タコ社長の奥さんと小さな子どもたち。従業員慰安レクの舟遊びのショボさ。大変だな梅太郎さん。 おばちゃん「この人ね、私のいとこの嫁行った先の主人のメイの、夕子さん」こういう『…要するに、誰?』ってなる冗談話好き。だけど、ついこの間まで春子先生(3作目)に間貸ししていた部屋をまた間貸し。時間軸とか気にしちゃいけない作品なんだろうけど、寅さんって大学時代の私より故郷に帰る頻度高いわ。 最初と最後の宮本信子&森繁久彌の親子の話は良かったけど、長期安定シリーズに入るための低空飛行か、単独作品としては際立ったものを見つけにくい作品でした。[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-07-02 15:36:54)《改行有》

20.  男はつらいよ 望郷篇 《ネタバレ》 シリーズ5作目。本作でシリーズを終わらせる予定だったそうで、1作目に回帰するように寅&登コンビ復活です。ここまで順番に観てきた印象では、共通のお約束はあるけれど、各作品個性が出せていてマンネリ感はなく、寅を中心に登場人物を深掘りしていくようで面白いです。 本作は寅がテキ屋をやっている姿は出てきませんが、テキ屋を生業とする者の生き様、仁義が描かれています。正吉親分の死をキッカケに登の兄貴分としてピリッとした空気を創り出してます。旅館で登に酒を注ぎ、自分には注がせないで父親の話を始める寅。兄弟の杯を割り、泊まり客に凄んで見せる寅はまさにヤクザ者。前作で子供と一緒に歌ってた寅とは一転して、寅がどんな世界で生きているかが観えてきます。 本作のタイトル・望郷篇。最初ピンとこなかったんだけど、寅次郎の心の拠り所と考えるとストンと落ちました。 本作ではさくらの出番も増えてます。むしろ前2作の出番があまりに少なかった(山田監督の陰謀?)んだけど。本作では生まれ故郷の柴又に帰ってきた寅と、それまでのテキ屋として生きてきた寅。それぞれの世界で寅の拠り所となっていたのが、柴又の妹・さくらと、テキ屋の弟分・登でした。 最後、いつものように柴又を後にする寅。訪ねてきた節子に『いつものことだから』という顔を見せるさくら。一方で朝里の海岸で偶然にも登と出会って、嬉しそうに仁義を切り合う寅と登。これまた『いつものこと』なんだろうな。と思わせる、素晴らしい終わり方でした。 あ、私が生まれるちょっと前の札幌と小樽と共和町の景色も楽しめて、テンション上がりました。あの頃までSLが走ってたなんて思わなかったわ。旅館に貼られた札幌五輪のポスター。そうかそんな時代か。札幌はオリンピックを境に急速に発展したんだろうな。 当時の小沢駅周辺、末次旅館のある風景の味わい深さ。ロケ地を回る個人サイトの写真と見比べると、今の小ざっぱりとしてしまった北海道の田舎の寂しさが、なんか私にとって望郷って感じです。[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-06-26 08:39:00)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS