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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 まんまやんけ。 【ネタバレ】 しかもほぼ同じ内容の感想文が巷に溢れている。なんか寒いなw 私は古い人間なのか、「こんなんありますけどどうでしょう?」と正解なしに世に問うのが映画の本筋なんじゃねーかというのはある。こんな誰もが同じところに導かれる話はやはりプロパガンダの亜流であり、もっといや洗脳だ。 だからぱっと見の個人的評価としては、この映画は『グムエル』や『スノーピアザー』よりも下である。これこそ賞取り映画でしょうという感じ。 しかしまあ、事と場合によってはそのような装いが必要にもなろう。なにしろこの監督はあの『殺人の追憶』を撮った人だ。あんなもやもやをもやもやしたままで傑作へと導ける人が、こういうものをあえて撮ったということに意義がある。 「リスペークト!」や「無計画が最善の計画」とかいうセリフにこめられた、オッサンたちの敗残者魂みたいなもの、これらは現実には世に露出することはない。いや、なかったというべきか。タブーとして自らの贖罪の箱の中に仕舞い込み、言語化できないよう巧妙に仕組まれてきたもの。もし言うことができたとしても、なぜかその途端に生活面でプッツンしてしまうもの。しかしそれらはもはや臨界を超えつつあり、ほんの少しのきっかけで自暴自棄な「個人テロ」のおそれもでてきた(ホンマか?)。んで、慌てて表層意識に置きましょうとか考えた? これ以上法人税率さげれませんっ、もし下げたら死人が出ますみたいな? あれ何書いてんだ? 『世界的に』『いっせいに』同じようなデモが起きる、といった国境を超えたわざわざしい共時性がなんだか薄気味悪いが、それは気にしちゃいけないところなんだろう。 ま、これから何が起きるか、そして個人がどこまで冷静に主張できるかだわな。 ひょっとして宗教臭く丸めこまれちまう可能性もあるが。それだけは勘弁。[映画館(字幕)] 7点(2020-01-29 06:25:49)《改行有》 2. ハンターキラー 潜航せよ Netflixのお絵かき番組に飽き飽きした人は、今すぐこれを見に映画館へ走れ! やっぱこれだよこれ! 浪花節こそ人生だ!!![映画館(字幕)] 9点(2019-05-12 19:33:13)《改行有》 3. パシフィック・リム:アップライジング 《ネタバレ》 電脳共産主義だかなんだか知らんが、このクオリティのものを大量生産できるんなら別にいいじゃねーか。なあ? 【ネタバレ】 なんにも考えず楽しめりゃいいのよ。 ところであのラストを見てふと思いついたんだが、富士山のマグマ溜まりの上らへんに原発をあえて作るというアイディアはどうだろうか? 攻撃すると世界の終わりになるわけだから、中国だろうがアメリカだろうが事実上手出しできなくなる。 むろんもし攻撃したらここ破裂さすぞというブラフを普段からかけまくるのである。 核武装と同程度の抑止力になるんじゃないだろうか? 名付けてザ・スカンク作戦。 憲法改正も不要である。関係者各位にぜひご検討いただきたいものである。[映画館(字幕)] 7点(2018-05-02 21:05:42)《改行有》 4. バケモノの子 《ネタバレ》 なんかジブリに似てきてね? 【激バレ注意】 前は輪郭線がもっと太かったような。あと絵柄とかなんとなく。気のせいかな? 真似してほしくねーんだが。 だって今回で話作りのセンスがパヤオよりも数段劣ることがはっきりしたし。 この話で出てくる「人間のみが作る心の闇」というのがよくわからない。バケモノやバケモノの世界がどういうものかもよくわからない。結果、胸にストンと落ちないので面白いだけで終わる。感動には程遠い。当然観客の心の内に化学変化なぞ起きようがない。そんなの後継者とは呼べない。 闇とは何か。私が無理くり解釈すると、「親族内の関係性だの「こうであるべき」といった同調圧力に屈することでその人独自の好奇心だの攻撃的センスだのを自ら抑圧してしまい、内側に爆発の種を作ってしまうこと」を言ってるんじゃねーかと思う。対してバケモノの世界とは、そうした抑圧が薄い、本当の自分を素直にさらけ出してもいいかもしんない(だって周囲もそうだから)世界のことね。昔の下町にはあったかもしんない場所。 完全性を目指すことは才能を持つ中でも一部の者にしかできないんで、たとえ自分を抑制できても全的な才能がなければやがて闇を暴発させてしまうことになるんだけれども、できない同士で互いに補い合えばもっと高みに行けるかもしんないよ、とかいうことを言ってるわけだ結論としては。違うかな? でも私に言わせりゃ、それじゃあ凡庸なんだ凡庸。宗教に入って「ともだち代」さえ払えば幸せになれますよと言ってるのとほぼ同じじゃねーか。そんなのダメだ。 確かに現実の日本じゃ欲望を抑圧してマネキンと化すゲームがいたるところで行われているが、それによってできた「心の闇」は、絶対的不利な立場の者に対する「イジメ」によって発散されているのだ。実行の中心にいるのは間違いなく宗教である。そこに問題意識がなければ本当に優れた創作者とはいえない(肯定してはならない)。 パヤオが偉いのは、そうした陥穽に陥ることを(おそらく意識的に)回避して、別の次元へと昇華させるという力技(?)ができたからだ。社会、自分、他者(集団意識)によって作られるどうしようもないトリレンマを、ブレイク・スルーできるような気にさせてくれたわけね。んで、多くの観客の心の闇を解放したと。 前作から続いている、作品を貫く鬱のトーンは、突き抜けられない作者の鬱と同期してるんじゃねーかという気がする。ムチャクチャやって宗教や集団意識なんぞ蹴飛ばしてしまえばいいと思う。才能あるんだから、着地点は自分の身勝手すぎる欲望の果てに置けばよいのだ。判断するのは観客に任せておけ。おれが読み取っちゃる。 ちょっと書きすぎたかな。ま、一緒に見たハリウッドの大作より10倍おもしろかったことは事実だけどね。[映画館(邦画)] 7点(2015-07-30 08:21:30)(笑:1票) 《改行有》 5. パレード 《ネタバレ》 今の日本に、映画的な普通の映画が撮れる監督がいたなんて。すごいぞ行定! 【以下激バレ】 その部屋には一見人生に接点のなさげな4人がなぜか共同生活している。親密といえる距離感を共有する一方で厄介を避けるための曖昧なルールがあり彼らはクールなふりをしつづけなければならない。例えば良介は友人が死んだと聞かされてもその部屋では泣かない。外部の女の部屋で泣く。互いに弱みを見せない(非難されない)生活はそこそこに楽しい。だがそこにはおのずと非現実感が生じる。通り魔のニュースを淡々と流し続けるテレビ。その画面の「こちら側」にいるということのみが唯一、この部屋での出来事が現実に他ならないということを示しているかのようだ。 …といったようなことを描出した前半は誠に雰囲気よく進み、私は目茶苦茶興奮して満点をつけてやろうかと思ったほどだった。しかしパチンコシーンあたりからやや失速。未来はベタなトラウマ告白よりイラストレーターとしてのヘタレぶりを描いたほうがよかったと思うし、尾行シーンは背後で覗き見する藤原の顔が端正すぎてまるでギャグ漫画だ。隣室の占い師を訪れた政治家による応援演説など、現実と虚構の錯綜による浮遊感を出そうとする試みはあるが成功してないと思う。 一番惜しいと思うのはラスト。ちょっと唐突すぎ。まず通り魔というのは何かに不適合な人物が行うというイメージが個人的にはあり、英語を話せるような会社員がやることとは思えない。「何でも自分に頼ってくるのがウザかった」ってのが動機というのではあまりに弱い。また「もうみんな知ってる」というサトルの台詞も唐突で説得力を欠く。なんでこの辺りの伏線を入れなかったのか。 オーラス、帰らないと言っていた筈の良助や未来や中絶直後の琴美までが部屋にいて何事もなかったように彼を出迎える。直樹は泣き崩れる。ここで4人が浴びせた冷たい視線は、「ルール守れよ」という意味である。それはわかる。わかって慄然とする人も中にはいるだろうが、しかし彼は殺人者なのであって、まかり間違えば殺される可能性もあるのであって、無問題に付すというのはいくらなんでも無理があると思う。ああ惜しい。もうひとひねりあれば。 「部屋はネット上のつきあいの暗喩であり、あなたが何気なくチャットなどしている相手は実は殺人者なのかも」といったところへ何とか結論持っていけなかったかな。また字数超過だ[映画館(邦画)] 7点(2010-03-06 22:07:30)(良:1票) 《改行有》
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