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1. 悲愁物語
《ネタバレ》 作品批評においてラブストーリー・スリラー・スポコンというカテゴリーを持ち出され
がちな映画であるが、そういう装飾を外すと清順による生々しいまでの自己吐露が見えてくる。
それでなにが素晴らしいのかというと、その手法の鮮やかさである。
美貌とゴルフの腕を武器に一旦はテレビ界で成功した桜庭れい子が
利用され失墜するさまを、近所の奥様による執拗なストーキング行為で
れい子が徐々に精神破綻していくというカリカチュアによって再描写していく。
”奥様方に囲まれての自宅ファッションショーにおいて、
颯爽と歩くもゴルフクラブで足をひっかけられ押さえつけられて、
ついにはカツラはおろか水着までひっぱがされて丸裸”
という辛辣なシーンはまさにそれを端的に表している。
つまり、日活を解雇され長きに渡って撮ることすら出来なかった清順が、
精神破綻による「狂気」というモチーフを使って、業界に対する
アンチテーゼとしての「狂気」をかくも見事に描き出しているのである。[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-05-30 07:22:55)《改行有》
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