|
1. ビューティフル・デイ
暴力的で病的な雰囲気ながら、美しく詩的なシーンもあるし、最後はなんだかんだハッピーエンド。良いところはたくさんあるのだが、映画全体に漂う、主人公の不安定な精神を表現したような病的な雰囲気が、あまり心地よくはなかったため、7点評価とする。ただこの雰囲気を高く評価する人が、少なからずいることは理解できる。カンヌで高評を得たのも、本作の病的かつアート的な部分が評価されたからではないだろうか。
タクシードライバーと比較する人もいるようだが、個人的にはタクシードライバーは病的でハードな部分とメロウな部分(バーナード・ハーマンによる、ジャズ調の優しいスコア)が上手く調和していて、どこか心地のよい物語になっていたのだが、本作はメロウな部分が少ないため、アートで病的、そうしたハードな部分が際立ってしまったという印象がある。したがって、完成度についても、タクシードライバーよりは下だろうと評価する(じゃあどうすればよかったんだ?といわれるとなかなか難しいのだが)。
ちなみに観賞していて、なんかインディーズのオルタナ系音楽の香りがするなぁと思っていたら、案の定、音楽はジョニー・グリーンウッドが担当していた。そりゃ音楽も尖った感じになるわな。[レーザーディスク(字幕)] 7点(2020-04-04 14:01:58)《改行有》
2. ビフォア・ミッドナイト
《ネタバレ》 さらにまた9年が経過。何とあの二人は、夫婦になって、双子の子どもまで授かっていた。
予告編を見た瞬間から、思わず目元が緩んでしまう。
だが本作は甘い展開がほとんどなく、苦み全開。中年夫婦の危機がこれでもかというほど執拗に描かれる。
まさかセリーヌの垂れた乳を見ることになるとは…、そしてそれを見てもまったく興奮しない自分がいる(笑)
二人が繰り広げる大口論と、その前後の所作のやけに生々しくて嫌なリアリティに惹きつけられた。
散々口論して疲れ果て、あの二人の間にも愛はなくなったのか? 子育て、仕事という生活を前にしては、輝いた記憶も愛も擦り減ってしまうのかと思いきや、最後はどうにかこうにかあの頃の記憶を復活させて、二人は仲直りする。
タイムマシンのくだりを最初きいているときのセリーヌの白けた表情のリアリティもまた良い。最後の最後でジェシーを許す表情も。
また9年後の彼らが見たい。[ブルーレイ(字幕)] 9点(2019-01-08 13:10:43)《改行有》
|