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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. プロメテウス 意外と辛い評価に仰天。今年観た映画の中では、今のところピカイチだ。王道中の王道を歩むストーリーは退屈に感じる向きもあるかもしれないが、人間や機械や惑星の造形がどれも素晴らしいし、何といってもアンドロイドであるデヴィッドの存在が大きい。可愛すぎる。「エイリアン」を観てから、再鑑賞したい。[映画館(字幕)] 9点(2012-08-23 23:44:39) 2. ファミリー・ツリー 想定の範囲内。[映画館(字幕)] 7点(2012-07-02 20:52:11) 3. 50/50 フィフティ・フィフティ(2011) 《ネタバレ》 ある日、突然ガンを宣告されたらどうするか。生存率が50%と知らされたらどうするか。この作品は彼女がいて、親友がいて、職もあって、それなりに幸せなアダム(27)に訪れた転機を淡々としかし温かく描いている。 昔から短い余命を告げられたり、難病であることが判明することが作品の根幹を成す作品は多いが、この作品の面白さはそれを徹底的に等身大の視点で描き、しかも同時にエンタテイメントとして昇華させているところにある。この主題に対して、アダムとその周囲の人々のやり取りを描いたシーンを積み上げることで、彼自身の内面の変化に迫るという作り方は映画という媒体では最も自然であり効果的なアプローチだったと思う。アダムは必要以上には悩まないが、当然悩んでもいる。彼の周囲が惑い、アダムがガンを患うという事実に翻弄されることで、彼の悩みはますます深くなってしまう。先日「エンディングノート」を鑑賞した際にも感じたことだが、死に直面するということは、自分と周囲の人々との関係性を新たに構築しなければならないということを意味し、気を使われるだけではなく、自分が気を使わなければならないということにもなる。一般的に、身体的な不調が精神的な不調とも繋がりやすいのはそこにも原因があるのだろう。 しかし、この作品で、アダムの救いになるのは、時に彼を悩ませるその周囲の人々からのサポートであることも面白い。親友カイルの荒々しいサポート、セラピストであるキャサリンの初々しいサポート、母であるダイアンの有無を言わさぬサポート。彼女であり、結果的に彼と分かれることになるレイチェルの存在すら、決して彼にとっては無でなかった。周囲の人々の時には迷惑なサポートを受けて、アダムは徐々に本当の「生きる意味」を見つけていく。その様子は真に迫って感動的だった。 キャストも揃っている。全員が良い演技をしていたと思うが、特にアナ・ケンドリックの新米セラピストぶりは観ていて微笑ましかった。セラピストでありながら、患者と恋に落ちるという反感を買いそうな役どころだったにもかかわらず、キャサリンという憎めないキャラクターを完璧に理解し、見事に演じていたと思う。セス・ローゲンの安定感もさすがである。 ちゃんと劇場で観て本当に良かったと思えた作品だった。同世代の独身男性には特にオススメしたい。[映画館(字幕)] 8点(2011-12-17 11:16:54)(良:1票) 《改行有》 4. ブラック・スワン 《ネタバレ》 公開初日に鑑賞し、あまりの素晴らしさに3日おいてもう1回鑑賞した。主人公ニナの台詞をもじって言えばまさに"perfect"な出来だ。下り坂を転がり落ちるように加速し、観客の心を捉えて放さないストーリーテリング、流麗なバレエシーンや少しずつ変調を来たしていくニナの心の動きを大胆に表現した撮影方法、チャイコフスキーの原曲を効果的にアレンジした音楽など、見所は尽きない。 キャストの演技も文句のつけようが無い。ナタリー・ポートマンはまさに鬼気迫る演技で、決して共感を得やすいキャラクターではない主人公のニナに見事に血肉を与えた。時にニナに迫り、挑発し、彼女の隠れた欲望を開放させようとする演出家ルロワや娘の成功を喜びながらも過去の自分のバレリーナとしての挫折を忘れることが出来ないニナの母親エリカ、自由奔放なバレリーナのリリーなど、この映画には個性豊かかつ複雑な役柄が多いが、脇役全員がきちんとそれぞれを演じきっている。 脚本も良い。びっくりするような展開は無いが、現実世界の人間とバレエ「白鳥の湖」の中での役割が少しずつ重複していくスリル感が凄い。悪魔のシーンが予告編で使われてしまっていたのは残念だった。かなり重要かつ衝撃的なシーンであり、劇場で初めて観たかった。 ラスト付近の畳み掛けるような一連のシーンには1回目も2回目も涙が止まらなかった。文字通り血のにじむようなニナの肉体的・精神的努力、ルロワやエリカのバレエへの熱情、それらがラストに遂に結実する。ニナは黒鳥になり、それを超越してラストシーンでは白鳥も演じきった。黒鳥を経て、白鳥へ変貌を遂げる際の楽屋でのニナの表情が言葉に出来ないくらい美しい。全てを理解し、運命を受け入れて最高の演技で締めくくる。嵐のような喝采。この映画はハッピーエンドだったと2回目で理解した。 この作品を劇場で観られて本当に良かった。これが映画だ!僕の観たかった映画だ![映画館(字幕)] 10点(2011-05-15 19:09:19)(良:6票) 《改行有》 5. ブルーバレンタイン 《ネタバレ》 何とも評価するのが難しい映画。また観たいかと問われると当分いいですということになるが、こんなに上手に男女の感情の機微を描いた映画は観たことがない。ディーンとシンディの愛が生まれ、それが冷めていく様子が現在と過去を交互に映す手法で、淡々と語られるのだが、この過程が痛切だ。心が痛んで、切実なので痛切。この言葉がこれほどしっくりくる映画は他にないだろう。 二人はとてもロマンティックな出会いをする。そして恋に落ちる。ディーンのギターに合わせてシンディが踊るシーンは名シーンだ。彼らはこの上なく自然に結婚する。結婚しない理由が全く無い。しかし、やがて子供が生まれ、時が経ち、二人の結婚生活は少しずつ軋んでいく。 日本の公式サイトで、ディーンとシンディのどっちが悪いかという著名人によるディスカッションの模様が紹介されている。まとめるとディーンは色んなことにあまりにも無頓着すぎるし、シンディは相手に物事をはっきり言わなさすぎる。でも、僕はどちらが悪いかということは決められない。ディーンが不和の芽を作り出し、シンディが育てたのだと思う。どちらかが変われば結果は違ったかもしれない。でも、ある意味でベストカップル(だった)二人はそれができなかった。それはお互いの優しさだった。そしてそれが彼らを終わりへ導いた。 僕はこの映画をカップルには観て欲しくない。この映画は恐ろしくリアルで絶対に身につまされる箇所があるはずだから。僕がこの映画に8点しかつけられない理由もそこにある。誰が観ても色々と考え込んでしまう作品なのだ。彼女がいない僕でもそうだ。カップルで観たら碌なことにはなるまい。その場では自分達に限ってこんなことにはならないと思えるかもしれない。でも、数年後にふとこの映画のワンシーンを思い出してしまうかもしれない。頭から離れなくなってしまうかもしれない。そうなってしまうのはあまりにも気の毒だ。 結婚ってすごく難しいんだなと思う。僕もいつかするのだろうか。でも、この映画のせいであと10年はできない(笑)。[映画館(字幕)] 8点(2011-05-12 23:38:19)(笑:1票) (良:1票) 《改行有》
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