|
プロフィール |
コメント数 |
496 |
性別 |
男性 |
年齢 |
42歳 |
自己紹介 |
皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。
2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。
私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp |
|
1. マーズ・アタック!
《ネタバレ》 この映画はティム・バートン監督を好きか嫌いかの試金石になる映画だと思う。で、僕はこの映画が大好きなのだ。
良い意味でも悪い意味でも、この映画をB(C?)級映画と表現する人は多い。しかし、それに対しては、僕は明確に異を唱えたい。この映画のチープさや荒唐無稽なあらすじは既存のB級SF映画へのオマージュであると同時に、人間社会に対する痛烈な皮肉であり、諷刺であるからだ。この映画で監督が訴えたかったことは「愛」や「勇気」や「優しさ」の大切さといった非常に普遍的な「価値」である。そういう意味でこの映画がB級と評されることはあってはならないと僕は思う。彼は既存のB級映画のスタイルを単に「借りた」だけなのだ。
さて、この映画で、彼は自らの信念や道徳観をあからさまに開示しており、異論を一切差し挟ませない。この映画で生き残る人間は彼のお眼鏡にかなった人々だけだ。見栄やカネ、権力に固執する人間は死に絶え、先ほど挙げた愛や勇気を持つ人々は救われる。火星人のやり口は悪辣の限りであり、それはコミカルであると同時に禍々しいが、最終的に彼らは全滅してしまう。火星人との戦争の過程は清清しいほどに確信犯的ご都合主義で描かれる。彼が後に映画化するロアルド・ダール原作である「チャーリーとチョコレート工場」とこの作品は、徹底的に作者の価値観に基づいてストーリーが進行するという部分が実によく似ている。この作品はティム・バートン監督が初心に戻って制作した大人向けの童話なのだ。そのストレートな物言いに僕は感激する。一方で、近年の彼の制作スタンスとこの作品を比較すると、少しさびしい気持ちになるのもまた事実だ。[DVD(字幕)] 9点(2011-11-26 20:48:00)(良:1票) 《改行有》
2. マンハッタン殺人ミステリー
《ネタバレ》 ウディ・アレンの映画はどれも面白いけど、その中でも特に気に入った。ウディ・アレンの台詞回しが好きならば、誰が観ても素直に笑える内容だと思う。特にユダヤ関係のネタが少ないから、日本人にも理解しやすい内容になっているのはありがたい。アレン映画の入門版として観ても良いし、アレン映画の強烈な毒気に中てられた人がちょっと軽めのものをということで手にとってみるのも良いと感じた。アレンはいつ観てもアレンだから、彼の喋りが嫌いな人は当然この映画も受けつけないだろうけれど…。
いわゆる倦怠期を迎え、離婚の危機まで追い詰められる中年夫婦の会話がリアルで笑える。この映画は主人公ラリーの妻であるキャロルの視点から見るのが一番面白いだろう。冒険と名のつくようなことは何もおきない日常。ラリーはチビの皮肉屋で、会話は面白いんだけど、所詮は口先だけの男。昔はそのウィットに富んだところが好きだったのに、今ではすっかり慣れてしまってたまにイライラしてしまう。仕事上の関係がある女流作家とも頻繁に会っているようだし。いっそのこと、自分を好きだと言ってくれるテッドに乗り換えてしまおうか。
離婚の危機にあるはずの二人なのだが、ある事件が現実性を帯びてくるにしたがって、昔のように息が合ってくる。それも相手の意外なところを発見して好きになるのではなく、昔と同じように弱いラリーと強いキャロルという「素」の関係性が復活するところから、再び愛が始まるのだ。実際、人間の相性ってそういうものじゃないかと思う。「異常な状況下で結ばれた愛は長続きしない」というのも、お互いが「素」ではないから仕方ないのかも。
脚本はいつもながらの安定感だし、ラストのドタバタになり過ぎないドタバタぶりもまた面白い。映画の上映と同時に進行する鏡張りの部屋でのクラシカルなノワール風アクションもいかす。鏡張りの部屋が出てきた時点でここでのアクションを当然想定できなかった自分が不甲斐ないが、さりげなく昔の映画への愛情をにじませるアレンが好きだ。日本にはいない監督だ。意識している日本人はいそうだけれど。[DVD(字幕)] 9点(2010-02-26 23:19:26)《改行有》
|