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1. M:i:III
《ネタバレ》 シリーズを重ねるごとにアクション色が増していき,この3作目でそれは頂点に達しました。序盤は風力発電所での派手なヘリチェイスで幕開けし,ヴァチカンでは1作目へのサービスシーンも入った潜入劇。橋での爆撃を経てクライマックスの上海ではイーサンが妻を護る為への個人戦へと,ワイドからミクロまで様々なシチュエーションのアクションが楽しめます。 トム・クルーズの体当たりアクションも良いですね。アクションスターではないのにスタントマンを多用しないところに気合いの入れようが感じられます。また随所に見られる高度なカメラワークとテンポの良いカット割りも飽きを感じさせない工夫があり,一級品の娯楽作と言えるでしょう。ビルからパラシュート降下中にビルの窓へ突っ込むシーンはまるでスピルバーグがやりそうな演出でおかしかったです。 疾走中のトムのヘン顔も健在だし楽しむことができました。欲を言えばフィリップ・シーモア・ホフマンにもう少し出番を作ってほしかったのと,奥さんに人殺しはしてほしくなかった・・・。人民服の溢れる上海もどうかと(笑)。ともあれよくできた娯楽大作だと思います。[映画館(字幕)] 7点(2006-08-14 14:41:03)(良:1票)
2. ミュンヘン
《ネタバレ》 祖国を失う喪失感と、報復の連鎖という悲しい現実は日本人には実感しにくいものかもしれない。それだけに、この作品によって実際に起きた悲劇を間接的にも垣間見ることによって、パレスチナ問題の根深さをまざまざと見せ付けられたように思います。30年以上前の出来事だけど、現在のイラクの状況と照らし合わせると何も変わっていないことにかえって心が痛みました。 一人の父親が殺人鬼となっていき、最後には自分や家族の身を案じて疑心暗鬼に陥っていくさまは悲しい。立場は違えど、指名手配犯も同じような心境なんだろうなと感じます。人を殺すことを正当化し、推し進めることで人間性を失っていく様子が克明に描かれていて、国家間の争いと個人間の争いは規模は違えどかくも同じなんだと思い知らされました。 青みがかった粒子の粗い映像と、徹底的に作りこまれた当時の風景や美術がリアリティを出しています。一人一人の殺しのテクニックを丁寧に見せるあたりはスピルバーグ監督の密かな持ち味である「残忍性」が牙をむくように表れていて瞠目させられ、一人を殺めるごとに主人公らの心境がより危険に変化していく様子と、エスカレートしていく殺害方法がオーバーラップしていきます。時折、SRD-EXを活用したサラウンドが唸るあたりも監督らしいですね。印象的に登場する食事シーンも効果的に感じます。 ラスト、重要な建築物が3棟ほど登場しますが、寒空のニューヨークとその建築がこの映画の回答の無さを見事に表現していました。[映画館(字幕)] 7点(2006-02-20 10:28:49)
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