|
プロフィール |
コメント数 |
1252 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。 【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。 【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。 5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。 また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。 |
|
1. もみの家
《ネタバレ》 「真白の恋」(2015)と同じ監督・脚本家の富山県映画第二弾である。場所は有名な砺波平野の散居村で、2018年5月から翌年4月までの四季それぞれの景観を映している(桜は富山市)。冬の撮影では、ボタ雪のようなのが降って一面白くなり、車にも結構な雪が積もった日をうまく使えたように見えた。ちなみにイオンが田舎の象徴という世間の常識?が映画にまで出て来たのは笑った。
全体の筋立てとしては極めて普通だが、それでしっかり心に染みる映画ができており、泣かせどころではちゃんと泣かされる。「大泣きした」という台詞のところは、社交辞令を解しない(解したくない)主人公の態度も影響したかと思わされた。また終盤の立会いも予想の範囲だが、見ればかなり心に迫る場面になっている。
ほか非常に好ましく思ったのは、序盤で少し波乱があった以外は過度に波風を立てず、穏やかに話が進むことだった。主人公が東京で凄惨な虐めに遭っていたわけでもなく、厳粛な場で騒ぎを起こして何かをぶち壊すわけでもない。いわば大人の映画に思われる。
テーマの関係では、逃げるが勝ち~無駄だから~増やしていけばいい、という一連の台詞が、「うまく言えない」どころか的確に真理をついているので感心した。多くの人が関係する組織や団体では逃げられない場合もあるが、個人レベルなら自由度も高く、また人それぞれにできることとできないこともあるわけなので、この映画のような一時待避所も役に立つということらしい。何かと戦って突破していくのでなく、自分が生きられるところを選びながら進んでいく生き方もあるということかと思った。
また世代交代に関して語られていたことは、個人的には「東京物語」(1953)の現代的な補足のように思った。
キャストについて、主演の南沙良という人は注目の新進女優らしいが、ヤンキー娘役の中田青渚(せいな)という人も「写真甲子園 0.5秒の夏」(2017)や「ミスミソウ」(2018)で見たことがある。金澤美穂さんはちょっと年上の役になっていて、ふてくされた顔をして時々暴れる役かと思ったら、その辺の普通の女子っぽい緩んだ表情なども見せていた。この人の関係では、主人公の別れの場面で横を向いている演出が面白かった。
なおエンドロールに「佐々木すみ江さんへ 感謝を込めて」という言葉が出ていたが、まだ撮影期間中だったと思われる2019/2/17に逝去されたらしい。いわば尻尾まで詰まった役者人生だったようである。[DVD(邦画)] 8点(2020-10-24 08:29:21)(良:1票) 《改行有》
|