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1. 八日目の蝉
《ネタバレ》 赤ん坊を盗んで育てるというストーリーは生理的に受け付けない人もいると思います。特に母親の人は。この映画を楽しめない人は、やはり希和子を赦せなかった観客だと思います。わたしは八日目のセミの意味とは、刑務所から出所した希和子を意味すると思います。彼女には友だちもいなければ仕事もない、家族もない。子供も産めない。彼女が持っているものは1つだけ。誘拐犯という肩書だけです。今後の彼女の人生は多くの人から白い目で見られて生きることになる。セミは通常七日で死ぬものです。8日目も生きていたら「おまえ、まだ生きているの?」と思われます。希和子も同じです。彼女は8日目以降も生きていて良いのでしょうか?生きる資格はあるのでしょうか?八日目のセミ、死ぬ時期を間違えた生き物。この映画はべつに犯罪者に同情しているわけではありません。出所しても生きる希望なんてもうないよね?もうそろそろ死んだ方が良いのでは?と周りから言われている人間に対して、8日目以降も、生きていていいのですよ、というメッセージが込められている。そして薫が子供を産もうと決意した動機が印象的です。「この光景を我が子に見せたい」原作者の角田さんは30回以上海外旅行に行き、そのなかで行った国が26か国だとか。今はもっと増えていると思いますが、彼女は「見る」ことを人生の喜びの1つだと捉えています。自分が感動したものをまだ生まれていない子供にも見せたいという思いがあったとおもう。八日目の蝉は他の蝉には見られなかったものを見ることができる、すなわちそれは生きている限りは美しいものに出会うことができる、生きる価値はある、という問いかけが含まれている。小説(映画)というのは誰が悪い人間で、誰が悪くない人間なのかを語るものではありません。今、人生に絶望している人、大きな罪を抱えて自責の念に苦しんでいる人、このまま生きていて良いのかと悩んでいる人、そういう人にこそ見てほしいと思います。この映画では生きるべきだと言っています。罪の意識の強い人ほど特に泣けます。自分自身が許されたような気持になりました。[DVD(邦画)] 9点(2012-08-21 00:00:11)(良:4票)
2. 4ヶ月、3週と2日
《ネタバレ》 これはルーマニアの独裁政権が引きこした特殊な物語ではありません。「男社会」に身をおく女性たちの普遍的な物語なのです。どこの国においても、女は子供を産む機械だ、という思想が根強く残っています。そして、いつの時代でも、どんな場所であろうとも、妊娠したことを家族に言えず、1人で悩みつつ、赤ん坊を生んで殺してしまい、逮捕される女性のニュースは、めずらしくありません。こういう話を聞いて、いつも悲しみと同時に腹が立ってきます。なぜ女性をこんな目にあわせた男が、逮捕もされずに、のうのうと、まっとうな社会人のふりをして生きていけるのでしょうか?それどころか世間は、傷ついた女性たちに、マグダラのマリアのように娼婦の烙印をおして非難しようとする。特にバカ女という言い方は許しがたい。逮捕されて当然の悪女だと罵る人間もいる。しかしどんなときも、原因をつくった男たちに批判は飛び火しない。これが男社会の正体です。中絶した女性に対して、責任のとれないことをするなと、偉そうに説教した闇医者がその典型です。彼はレイプまがいに女性と性交し、避妊もしなかった。自分の責任のとれないことをするなだって?バカ男の説教なんてクソ食らえである。こういう男は、女性をレイプしても、「男にすきを与えた女のほうが悪い」と、のたまうのだ。おまえはルーマニアにおいて、中絶禁止の法律は破るが、避妊禁止の法律だけは律儀に守るのか?おまえたちが男社会を利用し、女性たちを虐げているのではないか。闇医者はあらゆる男たちの象徴だ。女性を説教し、お金を搾取し、恫喝し、強制的に体を奪い、そして急いでいなくなる。もう笑うしかない。手に入れた男のIDカードを利用してそこらじゅうで借金をつくってやれ。それから主人公がルームメイトを必死になって助けた理由について1つ言いたいことがある。これは男社会に対する、女たちのジハード(聖戦)だ。主人公は友人のためではなく、ましてや自分のためでもなく、すべての女性のために行動したのです。「わたしが妊娠したらあなたはどうする?」と、オティリアが聞いたときの、男の言い分は死刑に値する。彼女は男社会に耐えるだけではなく、立ち向かう勇気を備えている。いつか男から盗んだあのナイフが役立つ日がやってくるでしょう。
[DVD(字幕)] 10点(2008-12-26 21:28:59)(笑:1票) (良:3票) 《改行有》
3. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 ソナタを聴いたから主人公が「いいひと」になったという見方をしてしまうのは、やはり邦題のせいかもしれません。なぜ主人公がかわったのか?色々な意見があって、大変興味ぶかく読ませていただきましたが、やはり主人公は、盗聴という手段で、他人の生活を聴くことによって変わっていったのだと思います。そういう意味では「他人の生活」という原題のほうが、主人公の心変わりを理解するのには適していると思います。「他人の生活」を聴く前までの主人公は「孤独」の感覚が麻痺していたのでしょう。ゲーテの格言に「誰一人知る人もない人ごみの中をかき分けて行く時ほど、痛切に孤独を感じるときはない」という言葉があります。しーんとした部屋の中で1人ぼっちでいても孤独は感じないものです。それよりも、騒音というのは、1人ぼっちの人間にとっては、恐ろしい孤独を与えるのです!「1人」では孤独は感じません。「人々」のなかに存在する1個の自分を確認したときに、孤独というものは気がつくものなんです。主人公は気がついたのです。気がついたときに、人はどう変わるのか?悪いほうに変わるとすればそれは嫉妬です。じつは主人公の行動は紙一重だったのかもしれません。もしかすると、濃密な人間関係を見せられた主人公は激しく嫉妬して、あの男女を破滅させようとしたかもしれません。だけど彼は、あまりにも自分とはかけはなれている他人の生活に、純粋に羨望を抱いたのだと思う。それでもなぜ主人公が劇的に変わったかわからない場合は、映画を思い浮かべればいいと思います・・・。映画を見ることも「他人の生活」を見ることなんです。この話は監視国家の恐ろしさなんて本当はどうでもよくて、人が変わることの意味を問いかけた究極のヒューマンドラマではないでしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2008-02-13 19:16:11)(良:3票) 《改行有》
4. 欲望という名の電車(1951)
見終えたらフラフラになってしまった。 これはプリティーウーマンと対極をなす映画だろう。 幸せ絶頂な女と不幸のドン底な女という対極だ。 8点(2003-11-21 00:56:24)
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1 | 42 | 6.52% |
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2 | 17 | 2.64% |
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3 | 32 | 4.97% |
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4 | 13 | 2.02% |
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5 | 42 | 6.52% |
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6 | 47 | 7.30% |
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7 | 107 | 16.61% |
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8 | 114 | 17.70% |
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9 | 137 | 21.27% |
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10 | 63 | 9.78% |
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