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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 預言者 《ネタバレ》 成り上がり系の映画は嫌いではないのですが、これはいまいち乗れなかったです。 勢力関係も人物相関図も複雑。状況説明、人物描写、背景描写は必要最低限。鑑賞者側に知識、知性、理解力を強く求める内容だと思います。はっきり言って不親切。ずっと頭フル回転で、ついていくのでやっとです。 マリクという人間は嫌いではありません。 入所してすぐ、靴を奪われます。ですがすぐ正面から取り返しに行き、返り討ちにあいます。 彼はきっちり反骨精神のある人間。それでいて、ここは正攻法が通じない場所。そういったことを印象付けるエピソード。 おそらくマリクは、そんなたいした罪で服役しているわけではないのでしょう。 そんな彼が、人を殺さざるを得ない状況に追い込まれてしまい、実行します。終盤では自分のために、立派な暗殺者になってしまいます。これはとてもハッピーエンドとは言えないし、サクセスストーリーとも言えないでしょう。 友人やその家族を大事にする。そういった、弱者への思いやりや優しさを失っていないことがせめてもの救いでしょうか。 逆に言えば、そういった生来善良な人間が、立派な犯罪者に生まれ変わってしまうストーリーなわけです。 マリクが立派な裏社会の人間として出所していく様子に、複雑な気分にさせられました。 内容が内容なだけに、成り上がっていってますよ、ってのがわかりづらい演出、構成になっています。ですのでカタルシスを感じることはありません。2時間30分もかけて、疲労感だけが残る作品。 最初に殺した人間の幻が予言を行うという設定が邪魔でしかなかった。最初は罪の意識から見える幻覚だと思っていたのですが、犯罪を助長するような予言をするあたりそうだとも言い切れず。 これはエンターテイメント作品ではありません。私とは相性が悪い作品です。見る人を選ぶでしょう。[DVD(吹替)] 3点(2020-06-02 12:47:16)《改行有》 2. 夜のピクニック 《ネタバレ》 長い。随分前に原作を読みましたが、これは原作を読んだことがなければ、退屈極まりないんじゃないかな。特に前半。 そもそもこの原作は登場人物、とりわけ貴子の心情描写がメインの作品。とても映画向きの題材とは思えないんですよね。これを映画=エンターテイメント作品にしようと思ったら、監督をはじめとしたスタッフの、『センス』『力量』『工夫』、あらゆるものがかなり高いレベルにないと面白くならないと思うのです。でないと、この作品の、特に前半のように、ただダラダラとしたイメージしか見えてこない結果になります。 それにこの内容で2時間は長いって。内容を見ても、必要な尺だったとは思えません。このストーリーであれば、どんなに長くても90分以内にはおさえて、その限られた時間の中で必要な回想シーンや、主要人物同士のコミュニケーションを上手く取り入れてほしいです。雰囲気作りに時間を無駄にかけすぎです。 とはゆっても、原作を読んでいると、味わい深い作品であることも確か。登場人物に思い入れがある分、映画の世界に入り込みやすいです。ですので、これは映画単体の評とは言えませんが、一見平坦に見える『夜のピクニック』にも盛り上がるポイントはいくつかあります。 『ラスト20kmの自由歩行スタートのシークエンス』 『回想シーンでの、貴子の母親の告白』 『杏奈の弟が終盤に落としていく爆弾発言』 などなどです。 ただこれらはすべて後半に集約されていますから、前半1時間はまじでだるいです。原作読んでいても、30分過ぎたあたりでもうだるいので、原作読んでいない人には苦痛でしょう。 ・・・せめて、もうちょっと早く歩いてくれないかな![DVD(邦画)] 6点(2018-05-05 11:53:58)(良:1票) 《改行有》 3. 妖怪大戦争(2005) 《ネタバレ》 評価が低かったのであまり期待していなかったのですが、序盤から中盤にかけてはかなり面白いです。 子供向けながらもホラーテイストが感じられる雰囲気と音楽。特に神木君演じるタダシが大天狗の山に初めて行くときの緊張感はなかなか。更にはタダシが妖怪たちから驚かされるシークエンスは、子供っぽくもエンターテイメント性抜群で楽しい。モンスターや妖怪、CGによる演出が好きな私にとって、大好きな展開です。 で、『そんなに悪くないじゃん。面白いじゃん。』って見ていたのですが、後半~終盤にかけて、なるほどと思いましたね。最も盛り上がるべき最終決戦まで前半と同じか、それ以下のゆるいノリでは、そりゃあ盛り上がりませんな。 また、せっかく東京という大都市を舞台にしたのに、タダシや佐田以外の人間の存在が全く感じられないのも痛いです。 タダシのお姉さんや大天狗などがどうなったのかも全然出てきません。映画というか、物語としてのレベルが後半になっていくほど下がっていくわけですから、世間様から厳しい評価を受けるのも納得です。 『妖怪+マシーン』でターミネーターの出来損ないみたいなやつができるっていうアイデア、ビジュアル、まさに『日本漫画』っぽくて好きです。それだけに、妖怪たちとのバトルがほとんど描かれなかったのが残念。 クライマックスも、妖怪たちはお祭り騒ぎに終始するものですから、やたらシリアスモードのタダシ君たちのほうが茶番に見えてしまうのが悲しい。 極めつけはラスト。タダシ君が大人になってからのエピソードは蛇足の極み。いろんな意味で脱力するだけで、絶対要らないシーンです。[DVD(邦画)] 6点(2017-11-19 15:25:48)《改行有》 4. 善き人のためのソナタ 《ネタバレ》 思ってたより、重い内容のドラマ。 共産主義が舞台装置になってはいますが、ストーリーそのものはかなり個人的でプライベートな内容な気がします。 いやむしろ、ヘムプフ大臣の振る舞い、そしてヴォルヴィッツの出世欲というのは、共産主義とは本来相反するものではないですか? 共産主義国のルール。その世界における自分達の地位と権力を利用して、私欲や出世欲を満たそうとする人たち。と、それに抗う人たちの戦いに見えます。 そうなってくると、『勧善懲悪』の『懲悪』部分が非常に控えめなこの作品、私としてはなんともすっきりしないものがあります。 自殺に追い込まれるイエルスカ。女性としての尊厳を奪われ、脅迫により恋人を裏切るよう仕向けられ、最後は命まで奪われてしまうクリスタ。その『死』のなんと悲しいことか。 クリスタに関しては、同情はできるし、理解もできますが、共感はできません。 どうしても、映画にはきれいごとを言いたい。最後までドライマンをかばってほしかった。こんな後味の悪すぎる結末になるなんて。そこもすっきりしない理由です。 ベルリンの壁は崩壊し、ドライマン、クリスタ、イエルスカ、ヴィースラーが払ってきた犠牲は何だったのかと、むなしくなります。 歴史の負の部分をモチーフにすれば、もちろん心にグッとくるものはあるわけで、決して映画として悪い作品ではありません。 ただ、私の好みではないというだけです。 また、他の皆さんが言及しているように、なぜヴィースラーがそこまでドライマンに肩入れするのか、その説得力に欠けている気もします。 この映画の核となる部分だけに、ここはもっとドラマチックなエピソードで説得力をもたせても良かったのではないでしょうか。 それはゆくゆく、私達観る側の人間の共感力となって、映画の完成度は最高潮に達すると思うんですけどね。 ラスト、書店でドライマンからのメッセージを受け取るヴィースラー。 ある種のハッピーエンドなのかもしれませんが、私は無性に悲しかった。 [DVD(字幕)] 6点(2017-05-03 04:13:39)《改行有》
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