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プロフィール |
コメント数 |
43 |
性別 |
女性 |
年齢 |
59歳 |
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1. ラブリーボーン
《ネタバレ》 観終わった直後は「納得いかない!」って未消化感が確かにあったが、原作者がレイプ被害者と知ってからスルスルっと呑み込めてしまった。…この自分自身の感じ方の変化に戸惑って、しばらく考え込んだ。
ヒロインのスージーは14歳でレイプされ殺されてしまう。物語は、天国と現世の間でさまようスージーと残された家族が、どうやってこの悲劇を乗り越えていくのかを描く。
スージーのいる世界はカラフルで美しく、彼女が苦しみから解き放たれたのが分かる。一方で、家族は事件によって壊れていく・・・というか、だんだん「物語」自体が破綻していく。ママなぜ出ていく?、パパもうちっと考えて行動しろよ、今頃なぜ大活躍なのか妹よ、貴女はどういうポジションなんだグランマ、そしてどこ行っちゃった弟・・・?
スージーが好きだった男の子、彼女を「感じ取ってくれる」女の子の扱いもヘン。どっちも影響力が大きそうで、そうでもない(苦笑)。今ひとつ活躍せず、観客が期待する方向に話を運んでくれない。
つまりは、これ、ちっとも「よく出来たオハナシではない」のだ。「事件」と「家族」と「正義」と「愛」という要素の配分、焦点の当て方、描き方が明らかにおかしい。それにも関わらず、最初から最後まで惹きつけられてしまったのは、何かこの作品を貫く“力”があったからだと思わされた。で、その力の正体が冒頭に書いた原作者の姿なのかなぁと。
それはスージーが天国に行く前にしたことに端的に現れている。彼女が「まだ、やり残したことがある」と言って現世に戻った時、観客の誰しもが正義を願ったはずだ。自分の恨みを晴らすと共に、この悲劇の連鎖を止め、更なる犠牲者を出さないようにする、それこそが彼女の使命だろうと。ところが、彼女は自分の個人的な幸せを選んだのだ。社会的な正義を捨てて。私はどっひゃあ~、そっちかよ、と腰がくだけた。ハリウッド映画ってサルにも分かる勧善懲悪がウリじゃないの?なんで、なんで?
・・・でも。これはスージーの物語。もっと言えば原作者(名前も知らないけど)の方の物語なのだろうと。クソッタレな現実に打ちのめされ自尊心を踏みにじられ人生を台無しにされた女の子の物語なのだ。そう考えると、そういう現実を彼女が受け入れて乗り越える為には、あの決着のつけ方しかなかったのだろうと思えた。たとえ復讐を果たしたとしても、或いは犯人に社会的制裁が下ったとしても、彼女に起こった「事実」は変わらないのだから。起きてしまった悲劇を帳消しにすることは誰にもできない。本人がそれを「帳消しにする」と心に決めて忘れるしかない。
第三者には納得いかなくても、当事者であるスージーが救われれば良い。そんな具合に観客を置いてきぼりにして物語は終わる。なんとなく家族も落ち着いていく。忘れた頃に犯人に天罰が下る(偶然の事故とも思えるが)。現実はこんなもんだ。ヒドイ。ヒドイけど、せめてこのクソッタレな現実に打ちのめされ自尊心を踏みにじられ人生を台無しにされた女の子が心の平安を取り戻せれば、それで良いではないか・・・。そんな不思議な着地点に辿り着いて私自身は納得がいったのでした。[DVD(字幕)] 7点(2017-07-25 18:50:29)《改行有》
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