|
1. レディ・プレイヤー1
《ネタバレ》 この圧倒的な才能は、見事なまでに「見て快いもの」だけを峻別し、つなぎ合わせて魅せてくれる。
【ネタバレ】
悪いが「ブレードランナー2049」あたりの、不愉快なものをほぼナマで見せてしまう監督とは
真逆なのである。しかしそれは時に虚しい。
なぜならバーチャルでつかむ幸せは、現実ではない、という真実を覆い隠してしまうからだ。
幸せになれたとしても、それは宝くじ並みの確率でしかない。
この映画をまともに解釈すれば、そんなふうになってしまう。
見た目の快楽はごまかしじゃねーか。
普通の人はそう気づくはずだが、それに対するエクスキューズはなく、放置のままである。
その点、マンガではあるが「いぬやしき」ラストシーンでの、「僕は夢を実現するために機械に
なったんだ」とかいう叫びは、かなりいい線いっていると思う。
ぜひハリウッドに輸出して、まともな監督に映画化してもらいたいと思う。
未来は悪いことばかりではない、と思う。[映画館(字幕)] 6点(2018-06-13 10:00:34)(良:1票) 《改行有》
2. レポゼッション・メン
《ネタバレ》 開始5分でこの映画はダルいと直感し、30分がたつ頃にはそれがほぼ確信に変わっていたのだが、まさかまさかの大逆転が待っていた。
【以下バレ】
人工臓器回収屋が債務不履行に陥った患者から臓器を回収する話で、どうするかというと電磁ガンか何かで気絶させたあとその場で腹を裂いて臓器を取り出すのである。心臓や肝臓など取り出されたら患者は当然死ぬ。しかし回収人たちはいっさい罪に問われない(ようだ)。ムチャクチャな話であるが、しかし考えてみると近い将来、人工臓器の時代が来るとしてもし取り替えたあと破産したらどうすんのかという問題はかなり深い。この映画のようにあっさり殺すわけにはいかんだろうが人工臓器はおそらく半永久的に動くよう作られた半不動産(?)である。開き直られたらどーすんのかという問題は容易に結論の出ない議論となるだろう。
(中略)
しかし後半、自分が回収される立場となったことでストーリーは走りはじめるのだが、同時にどういうわけか映像にハリが出はじめる。落とし穴だの空港でのガラス越しだの元相棒との撃ちあいで大笑いだの。見に来てよかったというレベルにいきなり達して私はホッとする。連れの女がなぜあんなに強くかつ10箇所も人工臓器を入れているのかなど不明なことには関係なく、映像さえよけりゃこっちは十分見れるのである。
そしてそこからクライマックスまでの疾走感に、私はもう頬が緩みっぱなしであった。なぜ最初からそれをやらんのかという感じである。ベッドシーンなどのB級な場面、ことにその行動動機となる心理葛藤はB級にも到達していないような淺薄さだが、それらを隠蔽して余りあるノリのよさ。そして極めつけは互いの臓器をポスしあうクライマックス。テーマの表層性をああいう形で昇華させたことに、私は何か哲学的な感銘すら受けた。ぎゃはははははっ。
パクリも多かったが、あまりの頑張りにそれも許せてしまう。彼らもまたオールド・ボーイやブラジルが大好きなのだということがひしひしと伝わってくるからである。[映画館(字幕)] 7点(2010-07-10 23:07:23)《改行有》
|