|
1. レイダース/失われたアーク《聖櫃》
《ネタバレ》 “Raiders of the Lost Ark”『失われた聖なる櫃の略奪者たち』かな?古風に表現すれば『聖櫃泥棒』とかになるかと。私のDVDセットでは『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われた…』とシリーズ化を前面に出していました。
兄「来週金曜ロードショーでレイダースやるぞ」私「なにそれ?面白いの?」兄「面白いぞ」姉「ふぅ~ん、レイダースやるんだ~」私だけ知らない映画らしい。映画に興味の薄い姉さえ知っているのがなんか悔しい。悔しいからそれ以上食いつくのを止めたっけ。'85年秋のことでした。
いよいよ金曜日。この音楽。この主人公…え?これって去年すごい流行ってた“インディ・ジョーンズ”じゃないの??新春かくし芸の“インディ・ジューンズ”の元ネタの映画じゃないの?まさかレイダースとやらがインディ・ジョーンズとは思ってなかったから、凄い得した気分♪
背中にびっしりの蜘蛛に驚き、ミイラ化した死体に驚き、トラップにイチイチ驚き、黄金像と砂袋にガイドの男と同じ気持ちになり…飛行機で脱出するまでで、もう映画一本分の満足感。噂に違わない名作でした。
凄く頼りになるのに蛇が怖い。二枚目なのにマリオンに思いっきり殴られる。剣を振り回す悪党を銃で倒す。こんな主人公観たこと無い。こりゃ人気出るわ。
更に敵が謎の組織とかでなくナチス。当時はナバロンの嵐とか第二次大戦の戦争映画が割とテレビで流れてたから、ナチス・ドイツって身近な存在で、しかも歴史上実在した悪の組織だったのね。初めて観る全翼の輸送機(オリジナルらしい)。よく現存してるなって関心したUボート。空に海にとナチスの謎だらけの秘密装備がどんどん出てきて素晴らしい。
ジャングルや砂漠を舞台とした冒険映画の中に、戦争映画の悪者が出てくるんだから、ジャンルの違う映画2本一緒に楽しめてる感覚になってました。
世界を股にかけたインディの冒険。まだ終わらない、まだまだ終わらないクライマックスの連続。最後は悪党まとめてドーン!!…悪党の最後とは言え、まだお子ちゃまの私にはショックだったわ。「絶対目を開けるな!」うんインディの言う通りだったわ。
あれだけ奪い奪われしたアークのその後も洒落が効いてて、本当に本当に素晴らしい映画でした。
もう“映画”というより“体験”でしたね。翌日の学校で、友だちにレイダースの素晴らしさを延々と喋ってました。まだウチにはビデオなんてなかったから、近所のスーパーのレコード店で、レイダースのビデオ予告をエンドレスで流してたので、急いで友だち連れてきてず~~~っと観てました。友だちが帰っても私だけず~~~っと観てたから、店主に時代劇物に変えられました。
当時映画に革命を起こしたスピルバーグとルーカスの夢のタッグ。一番驚くのは、これだけの密度の映画が、たった115分の上映時間に収まってる事ですね。[地上波(吹替)] 10点(2023-05-28 22:59:38)《改行有》
2. レイジング・ブル
《ネタバレ》 “Raging Bull”『激怒した雄牛』。実在のボクサー、ジェイク・ラモッタのあだ名。
リベンジ・マッチを観て、ロッキーと比べてあまり覚えてなかった本作を再視聴。ボクシングの映画と言うよりはジェイク・ラモッタという人の自伝。見どころはデ・ニーロの極端な体型変化。役者だからダイエットと筋トレは何とか出来るとして、バー経営者時代のあの不健康な太り方は凄い。あそこからどうやって標準体重に戻したんだろう?
自伝なんだけどラモッタがどうにもこうにも好きになれない。奥さんいるのに15歳の小娘と付き合って結婚。ビッキーの些細な言葉尻を掴んで責め立てる姿は不快感しか沸かない。ほんの一言ジャニロを「二枚目」って言っただけであそこまでクドクド・ネチネチと…夜寝てるとこにまで来て「なんで二枚目って…」おいおい病んでるよあんた。この展開が不快で不快で仕方ない。
適当に勧められた食べ物を頼んだだけで、男とちょっと長話しただけで、権力者のキスを拒まなかっただけで、いちいち絡んでくるラモッタ。最後は暴力まで使うんだから、ビッキーは引っ込むしか無いよな。あぁ救いのない物語。
あ、一方的に浮気を疑われたベッキーが観た映画がたまたま『花嫁の父』って偶然におぉ~ってなった。
なんかボクシング映画というよりはマフィア映画っぽい。表舞台である試合やトレーニングはサラッと描いて、そのウラの八百長の誘いとか、ラモッタの暴力的な感情を包み隠さず描写している。プールサイドでの取材と家族写真の白々しさ。遅すぎた離婚。
この映画のラモッタが“皆が知る彼の素顔”なのか“想像はしていたがあまりに酷い裏の顔”だったのか?う~ん、輝かしいラモッタのオモテの顔をテレビとかで観ていたら、この作品により深みを感じられたかもしれない。[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-20 23:05:40)《改行有》
3. レインマン
《ネタバレ》 チャーリーはシンシナティの実家から逃げて、今はロサンゼルスで働いている。
アメリカの地図を見ると生まれのオハイオ州は右上の方にあり、今いるカリフォルニア州はそこから一番遠い州。
この距離がチャーリーの気持ち、父との距離の現れだろう。父から何度か電話はあったが、出なかったチャーリー。
チャーリーがどのような経緯でロスに来たかは描かれていないが、飛行機で3時間の距離だそうだ。
それを陸路を3日も掛けて進む。大嫌いな父の車で、忘れ形見の兄を連れて。
自分が逃げ出した、避けてきた家族との距離を噛み締めながらの行程。
自閉症のレイモンド…自閉症の中のサヴァン症候群と言うそうだが、公開当時は大きなくくりの自閉症自体への理解も乏しかったためか、サヴァン症なんて言葉、後から知ったっけ。
レイの視線を表現したカメラワークが面白い。流れる電柱や道路の白線を見る目線。旅行の目的は観光地の絶景でも、行程の大半はレイが見るような“どうでも良いもの”を見てる。
この映画を見る少し前、たまたま修学旅行(人生初の長期旅行)で、行程の大半をレイと同じような“どうでも良いもの”を見ていた事に気がついて、一緒にアメリカを横断している気になれた。そんな個人的思い入れで、今でも一番大好きなロードムービー。
少ないお小遣いでLD買って、サントラCDも買って、今まで20回は見た映画だけど、カジノのブラック・ジャックの勝ち方がどうにもわからない。レイを使ってどうすれば勝てるのか…山に残っているカードが解っても、次にどのカードが自分に来るのか、どう解るんだろ?[ビデオ(字幕)] 10点(2021-05-09 13:08:34)《改行有》
|