みんなのシネマレビュー |
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1. A.I. 「それから2000年が経った」というナレーションには思わず椅子からずり落ちそうになったが、ともあれなんとか観終えることができた。鉄腕アトムの序盤の頃のエピソードの、随所に覚えのあるネタが沢山転がっている感がある。ただ、アトムと違って十万馬力ではない主人公のデビッド少年は、見た目も仕草もあまりに人間っぽすぎる。ジャンクフェアの荒くれた連中をも一気に方向転換させるほどなのだから。そりゃ、まんまオスメント少年なのだから当り前なのだが。正直、少々驚かされたジュード・ロウの演じた無機質感を要求するのはさすがに酷であったろうが、もう少しデビッドに「メカ」としての雰囲気を、あえて醸し出すことが出来ていたならば、むしろ逆に私は、少年=アンドロイドに対しての、もののあわれを感じることができたかもしれない。アトムは近未来において自身が迫害を受け、いろいろな感情を持ちながらも人間の子供を守り、自分を認めてもらえるよう人間のために必死に尽くした。アニメ・漫画だと笑うなかれ、その姿は実に感動的だ。しかしスピルバーグの選んだ展開はどうであったか。デビッドは逆に「守って、守って」を連呼して周囲を散々な目に遭わせ、嫌われまくった挙げ句にあろうことか2000年間の長期水中引きこもりになってしまい(ここで、なぜ天馬博士じゃなかったホビー博士はデビッドを探せなかったのだろうか)、人間が死滅した世界で自分の平穏を見つけるという、すごいオチなのである。そしてたった一日だけの復活を遂げる母親を、その髪の毛から再生させる2000年後の驚異的なロボット(あるいはエイリアンか)たちの登場。これには青の妖精も文字通り真っ青であろう。メカの願いを叶えるために、神のごとき全能の存在によって人の命や肉体が道具のごとく扱われる。これはなんとも皮肉なおとぎ話の完結であり一種のコメディである。ともあれ我々人類にとっては情けなく悲劇的な結末であり、何とも後味が悪い。だから「このラストに感動しろ」って言われても、一応人間である小生には釈然としないものが残るのだ。5点(2005-01-13 15:31:30) 2. 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ! 薄っぺらい内容を、さも超大作のように思わせるいかにもCX的な宣伝手腕はお見事だ。実際に多くの動員を記録した事には驚く。しかし劇場版にすべき必然とは、一体何だと言うのだろう。何しろストーリーが陳腐の極みで酷い。閉口したくなる御都合主義と新鮮味・面白味の欠如。テレビからのコンバート全てを批判するつもりはないが、この作品に限ったことではなく「うけたから」という理由で安直に劇場版を制作するのはいい加減やめて、真面目なスタンスで内容的に充実させたものを造り出して欲しい。せめて劇場版として恥ずかしくない物を。一作目と同様に、お金を出して劇場まで足を運んで見るべき作品とは、到底思えなかった。[映画館(字幕)] 3点(2005-01-03 14:53:36) 3. パーフェクト ストーム 《ネタバレ》 たしかに荒れ捲る海の特撮は見事なものだと思う。けれどもそれだけだ。面白い作品とは正直言い切れない。物語の前半部分でかなりの伏線を作っているよう窺えるのに、それが全くと言ってよいほど活かされないではないか・・・。展開に結構期待していたのに、かなり肩透かしを食わされた気分になってしまう。嵐に本格的に遭遇してからの人物の葛藤というか感情描写は船乗り・陸の人とも実に乏しく、ただ波と必至に格闘しているだけの終盤には辟易してしまった。とりわけ最後の転覆~浸水~沈没まではあまりにあっけなさすぎて、がっかり。いい雰囲気の役者さんがそこそこ揃ってるのに、これまたがっかり。監督が好きなだけに、ますますがっかり。終わってみれば、がっかりの三重奏でした。4点(2004-12-09 15:06:48) 4. 雨あがる 良き時代の日本の原風景と、人としての生き方の融合が根底のモチーフだと思うが、黒澤監督と共に映画を作って来たスタッフが総出で手掛けただけに、落ち着いた印象の美しい映像を味わえる。寺尾は不器用ながら心優しい凄腕の武士を、宮崎美子は聡明で凛とした強さを持つ妻をそれぞれ奥深く好演している。ろくでもない役者をしゃあしゃあと使うぶざまな作品が横行している昨今、この二人のキャスティングはけだし正解であり、応えた二人は非常に良かったと思う。ストーリーはいかにも単純であるが、随所において静寂と躍動感を巧く対比させて描き出し、それが淡々とした話の進行の中においてほど良い厚みを持たせており、興醒めすることがなかった。惜しむらくは終盤に、やや間延びした感を受けてしまったことである。殿様が馬で駆けるシーンなど入れずに、早めに切り上げてしまったほうが良かったのではないだろうか?その後をいろいろ想像できて、むしろ雨上がりの綺麗な風景もいっそう楽しめたと思うのだが・・・。本作品をどのようなオマージュとして捉えるかは人さまざまだろうが、敬意は充分汲み取れる佳作だと思う。6点(2004-12-09 14:38:10) 5. 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ もう中心ネタも出尽くしてしまった感のあるシリーズ。随所に惹き付けられるアクション・シーンが盛り込まれ、無難なストーリーに無難な演出で出来映えに退屈はしないが、逆に強烈な印象は残らない。初期の作品においてショーン・コネリーが演じたボンドが醸し出していた独特のムード、製作年度ゆえの古さの中にも際立つような「味」を、やはり本作品からも感じとれないのが残念。ボンドがエレクトラを撃ち殺す場面は情報部員の非情な面を象徴するシーンではあるが、ソフィー・マルソーがさほど憎々しい悪人キャラといった雰囲気でなかった分、素手の相手(しかも美女だ)を自ら射殺したボンドの行為には、やや後味の悪さが残ってしまった。いいとこ・・・6点どまり。6点(2004-12-08 15:05:10) 6. スパイダーマン(2002) ストーリーは、まぁ普通に面白かったと思う。くらくらしそうになる街中ジャンプのCGもよく出来てるし、展開もそう退屈ではない。元がアメコミの看板作品をライミが今さらっていうか今どき製作するってことで、大ハズレの酷評もありうるのではないかと思ったけれど、蓋をあければいたってスタンダード。そういう意味では安心して観ることができる作品でしょうよ。ただ、ポイントの大きい肝心のヒロインがちょっと痛かった。なにが、どこがって説明に苦しむが私にとっては妙に痛すぎた。なんだかなぁ・・・このダメージを引きずってしまってマイナス。内向的ヒーローにペーソスが漂う点、やはりライミ風味にマッチしてます。5点(2004-12-04 18:46:52) 7. キャプテン・スーパーマーケット 第一作からのシリーズものということなんですが、ここまでくるともう別物っぽいです。前作(2)よりも笑えそうです。といいますか、ホラーのおどろおどろしさは無くなってしまいましたな。それを期待したらかなり寂しいかも。ともあれストーリーを述べたり細かく評論したところでどうしようもないというか・・・作品観てライミワールドが自分に合うか合わないかってところでしょう。そんな風にしか言い様がない感じです。くだらんと思う人も多いさぞ多いでしょうねー。ただ、怒りを覚えるような思想性の愚作でないことは確かです。なんも考えんと勢いでやっちゃっただけみたいなものではないでしょうか。完全に破綻をきたすハチャメチャとまでいかないあたりが絶妙。まぁ好みでハッキリ評価は別れそうですが、小生の場合このいい加減さが自分にとって良い加減でおもろい。随所に好みのギャグがちりばめられてるし・・・。B.キャンベル、いい味を出してて好きだなぁ。6点(2004-12-04 10:32:09) 8. RETURNER リターナー それなりの予算突っ込んだのだろうけれど・・・。これがテレビドラマの特番あたりなら、まぁまぁの作品と言わせて頂ける。特撮部分に金をかけなければ十分作れる。逆に言えばそれで十分の内容・出来と思われるレベルだからテレビで観て自分では正解だったと思ってはいるが。タイムトラベラー+異星人来襲+派手な撃ち合いという腹一杯の盛り込み方で、かと言って特にひねりもこだわりもなく、全編どこかで観たことの有るようなシーンの連続と相成っている。見せ場のCGやSFX、ワイヤーアクションを採用するのもいいだろう。しかしオリジナリティを著しく欠いた、こんなフニャちんの展開では、直接的に金をとる「劇場用映画」としては高い評価の出しようがない・・・。とどのつまり、本作にお金を払ってまで観る価値があるかは甚だ疑問。劇場で観せる作品としてはちょっとしょぼ過ぎると思う。役者陣の演技には正直がっかり。演出かも知れないがクライマックスの撃ち合う二人のシーンは特に酷かった。誰もがそうなることが分かっているのに、何ら工夫もなくそのまんまで終わるというオチも甘過ぎ。んで、鈴木杏の演技は雑で稚拙だったかも知れないが、なにかしら面白い魅力を感じた。4点(2004-12-03 14:53:29) 9. 猿の惑星 戻って来たらば留守の間に世界を○○が「支配」してたというのは、今さらながら楽しい発想だ。で、言葉を喋るサルが人間を駆逐し、そのポジションがそっくり入れ代わってしまうという、まぁスゴイことなのだが、何かしら、ひょっとしたらいつの日か現実的にあり得るかも知れないぞ・・・と観る者に(ちょっとでも)思わせる点では、他の生き物(?)類にくらべてまだ説得力たるものを持っていると言えよう。何しろ突然変異した大トカゲやら巨大ゴキブリやら、いわゆる「核戦争もの/世紀末もの」によく登場してくる類いのキャラクターでは、馬に乗ったり銃を扱ったり、ましてキスをしたりといった、おおよそ文明的な活動、平たく言えば人間ぽい動きが出来るとは到底思えない。逆にトカゲ男が出て来たのではあまりにマンガチックになってしまう。その点サルは我々に近い(まぁ宗教観も含めて異論は多々有りましょうが)霊長類であり、知恵もあり、手先を有る程度器用にも扱える。少なくとも本作品を初めて観た時、幼い日の小生は「ひょっとしたら」と、そう思ったりしたものである。サルのメーキャップも凄いものだと感心したが、やはり何より最後の最後、テイラーが茫然自失する光景に出くわすところで、「ああ、そういうことだったのか・・・」と深く感じ入ってしまったことを最も鮮明に覚えている。このシーンに辿り着く必然が有ればこそ、いままでの流れが有ったのか、と。今でも最後のシーンを観る度、初めて鑑賞した時のラストに受けた強い印象を思い起こすことができる。行き着く先は破滅の他にないとされる人間。その存在を恐れ忌み嫌い、徹底排除を目論むオラウータンのザイラスの声は、人間以外のすべての生き物の声を代弁するものかも知れない。海辺に崩れ落ちた自由の女神の姿はあまりに象徴的だが、東西対立・核の脅威が声高に叫ばれた当時の情勢の中で生まれた強烈なアンチテーゼだと解釈している。8点(2004-12-01 16:35:37)(良:1票) 10. 続・猿の惑星 第一作が描き出した衝撃的な素晴らしさを、あらゆる意味で根こそぎスポイルし貶めてしまった見事な迷品。中盤以降の展開はあきれるほど面白くなくなる。劇中でどう意味付けされようとも、小生にとってミサイルをあがめる異能の地底人は笑える存在以外の何ものでもない。オリジナルの出来映えやストーリーを考えたら、続編をうみ出す必然など微塵もなかったはずだ。首をかしげる他にないような結末を思い返す時、ホントにわざわざ作らなければ良かったのに、意地でも儲けたかったのかと思えてならない。3点(2004-12-01 15:22:50) 11. クリムゾン・タイド 密閉された空間における一触即発の恐さと安全保障の脆弱さを巧みに描いた快作ですね。話が急展開するシーン、艦の指揮権移譲騒動などで、人間関係の「あや」が少々折り込み不足の感は有りますが・・・。指揮官と補佐役の意見が異なるのは、ある意味安全弁として正常な姿なのかも知れないなと考える一方、いよいよ究極の決断を迫られた時にどう対処するのか、対処できるのか。暗号文書の照合の場面に静かな緊迫感を覚え、なかなか印象的でした。それにしてもあの事件で、その後に指令部やら乗り組み隊員たちにはどういう処分が課されるのだろう・・・?去り行く艦長役のハックマンがずいぶん老けてしまっているのが少し寂しくもありました。6点(2004-12-01 11:30:24) 12. ハイティーン・ブギ 同級で原作マンガにもはまってたコ(女子です、念のため)がいて、なんと映画館に一緒に観に行ったりした。それはもう最初っから割り切っていたのだけど、ファンは楽しかろうがそうでない奴(例えば小生)にとっては拷問に近いものがあった。そう言えばこの映画が流行っていた頃だと思うが、バンドをやっていた友人が「やっぱ、ハードロックだぜ」「マーク・ボラン最高」とか何とか、随分えらそーにぬかしてた割に、女の子の「うけ」を狙っていきなり「ギンギラギンにさりげなく」をコピーし始めたのだった。おいおいツェッペリンやディープパープルはどうしたんだと言いたかったが、実はナンパな自分達も密かに同様の検討をしてたので何も言えなかった。3点(2004-11-30 12:18:21) 13. 世界が燃えつきる日 ストーリーも考証も何もかも、すべてにおいて突っ込み所満載、メッセージ性も皆無の特B認定は避けられない冥作。Bモノの良さとも言える、滑稽でお茶目な笑いのスペクタクルを期待してると、平坦すぎる展開で逆に一層痛いダメージを負う事になる。いくら古いと言っても何というお粗末な特撮。てか、あれは特撮と言える代物ではない。蠍の合成シーンなんざ憤飯もの。ゴキブリもそうだが、でかく見せればいいってもんじゃないってのに。さらに、核を使用した後の世界観の認識がべらぼうに甘いのが致命的。無知というか楽天的というか、御都合主義もここまでくると笑うしかない。目玉であったはずの装甲車もランドマスターとはよく言ったものの、とても走破に実用的な車両とは思えないし。ともあれ寒い。全編ぺったんこ。世界というよりは最後までつきあった観客が燃えつきる作品。3点(2004-11-30 11:23:46) 14. 楢山節考(1983) 最近改めて観てみた。飢餓で鬼畜の境涯に堕ちた人間達のさまが静かに冷ややかにえぐられ、まざまざとみせつけられる印象が強く残る。人間は餓鬼や畜生の根性を常に内包しているに相違なく、生と性の原始的欲求を満たすためにしばしば豹変し修羅と化すのだと思う。仏にもなれば鬼にもなる。いにしえの特異な場所における奇怪で醜悪な風習の本質は、実は現代の人間社会のあらゆる面において起こっている事象に置換出来うることではなかろうか・・・。7点(2004-11-16 23:13:10) 15. 東京オリンピック 単なる記録映画だと思ったらとんでもなかった。 とにかく映像が美しい。 何しろ当時の競技なんてリアルタイムで観ていないので、私にとってあらゆる意味で興味深い作品だった。7点(2004-11-15 09:50:17)《改行有》 16. トゥームレイダー アンジェリーナを観ることだけが目当てでしたw。ストーリー展開は・・・あまりにありふれてるネタなので・・・まぁ仕方ないです。最後のサシの対決が、どうにもインパクトが弱いように思えてしまったのが残念。結構ハンドガンを上手に扱っていたナイスバディに4点献上。4点(2004-11-15 09:43:30) 17. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 最終版 もしも画竜点睛を欠いたが故の、ロメロ本人の手による「最終版」であればこそ正当に評価すべき作品に仕上がったであろうに・・・。そも、何ゆえ遡って手を加えるのか。まさに蛇足。あるいは改悪。4点(2004-11-15 09:25:25) 18. リング(1998) 久々にゾッとさせられた映画。でるぞでるぞ、と予測させておいてその上手をいく怖がらせ方は、お見事と言えるのではないか。確かにスプラッタよりもこういう恐怖のほうが尾を引く。暇つぶしに映画館にはいって初めて観た時は、特に予備知識も評判も知らぬままであったが、予想外のインパクトを受けてしまった。ちょっとへんてこな主題歌は何て歌っているのか、いまだに判らん。6点(2004-11-13 11:13:15) 19. 千年の恋 ひかる源氏物語 映像は結構綺麗だったのだが、内容は予想以上に痛かった。痛すぎた。揚げ羽の君(松田聖子)は引火性危険物である。その登場で、それまでモヤモヤ溜まっていた観る側のフラストレーションは大爆発することであろう。ああいう姿で飛んだり歌ったりは、舞台で思う存分やってくれーと言いたい。2点(2004-11-13 11:01:50)(笑:2票) 20. 汚れた英雄(1982) プライベーターがワークスを喰うという展開は、いかにも日本人好みの題材なのだが、本作の主人公・北野晶夫は生活感溢れる貧乏ライダーではないので、おのずと趣が異なってくる。で、この映画のために単車の免許を取得したという北野役の草刈正雄はイメージ的に結構マッチしていたし、脚本次第では面白い作品になったと思うのだが・・・全編にわたって締まりとメリハリがない、だらーっとした展開なのが残念。何しろカドカワだし。レースシーンの映像も、かなりの場面でスピード感が著しく欠如しているのが致命的。場面によっては殆どツーリング状態になっていることに笑ってしまう。クライマックスでは御丁寧に途中転倒までやらかすものの、リスタートして見事優勝してしまうが、耐久ならまだしもスプリントでは今も昔もまずあり得ない話。興醒めもいいところだ。当時ヤマハで全日本500の王者(それも確か三連覇だったと記憶している)の平忠彦が、劇中吹き替えでYZRを操ったのは有名な話だが、彼もモデル級の男前である。ひょとしたら、本人主演でやったほうがいろいろな意味で良かったかも知れない。4点(2004-11-13 01:26:51)
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