みんなのシネマレビュー
アンギラスさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 99
性別
ホームページ http://anguirass.blog21.fc2.com/
自己紹介 BLOGはじめました。レビューに関してご意見あればこちらへどうぞ。(お手柔らかに)





投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123

1.  万引き家族 《ネタバレ》  私が間違っていました。どうもすいませんでした。すばらしい映画です。  【強烈ネタバレあり】 (中略)  本来の日本の社会とは、この映画に出てくる柄本明の駄菓子屋さんのように、わかって いても事情を汲んで見逃す人たちの社会である。逆に飴を与えるなどし、時間をかけて 本人の気付きを待つことらへんに、落とし所を見出していたはずである。  そう、この映画はじつは祥太という少年の「気づきの映画」でもあるのだ。  「妹にはさせるなよ。これ」秘密のサインであったはずの、指をくるくる回す行為まで 見抜かれていた。  そのショックにより、少女の誘拐が世間で騒がれてすらまだ動き出さなかった、映画に おける「仮家族の物語」が、ようやく静かに動き出すのである。なんといきなり土砂降り の雨が降り出すのだ。このことは、この映画がじつは、タイトルに反して家族でなく 「少年を主観とする映画」であることの、最初の証左となる(映画とは量子だ!)。  ほぼ同時に安藤サクラは職場をクビにになり、フランキーとの交合に慰めを求めること になる。さらにその夜、花火大会の「音」だけを聞いて家族たちは「もう、(この物語 も)終わりだね」とつぶやくことになるのである。  (中略)  「最後の思い出」、と思ったかどうかはわからないが、家族は唐突に海へと向かう。  この場面において、海辺で遊ぶ家族を目で追いながらなにか言いたそうに口を動かす 樹木希林の「最期」のショットは強烈だ。  彼女は何を言いたかったのだろうか。いや、言おうとしなかったのだろうか。  希林の死後、少年は両親が犯罪を犯し、その年金やへそくりを搾取する様子をも目の 当たりにする。  気づきを経た少年は、もうそれらの行為を容認できない。そのことはフランキーから 車上荒らしに誘われても、参加しないことによって示される。少年は迷い始めた、という より、両親に対する明確な疑問を持った。  次の展開点のきっかけをもたらしたのは、またしても柄本明である。「忌中」という 字を読めなかったにしろ、駄菓子屋が休みであることを知った二人は、しかたなく二人 だけでスーパーへと向かうのである。  入店前、「ここで待ってて」と言ったにもかかわらずスーパーに入ってきた妹が、 見よう見まねで指を回し、万引きする素振りを見せる。それを見た少年は、ついに 「仮家族の物語」を自ら破壊することを決断するのである。  結果的に一家は拘束され、安藤サクラの「おたふく風邪泣き」という名シーンを経て、 仮家族は解散させられる。  サクラは面会に来た少年に対し、はじめて駐車場で出会った時の状況を伝え、フラン キーに対し「この子は私達とじゃだめなの」とつぶやく。彼女は少年の変化を見抜いて いたのだ。  少年は翌日、ラス前のバスのシーンで、フランキーに「わざとつかまった」と告白する。  バスの座席に座った少年は、フランキーの呼びかけにすぐには振り返らなかった。その 後しばらくたってから振り返るのである。ということは、少年にはフランキーの声が じつは聞こえていて、あえて無視したのだ。  なんというリアル。ごく僅かな動きと表情のみで、もう二度と会わないという決意の 固さを示した!  このように、この映画はけっして(一部で批判されているように)万引き行為を擁護 するような映画ではない。むしろ逆に、悪事に対する模範的な回答をしている映画だと 言うこともできる映画である。  少年がスイミーの物語に関して「でもそれじゃあ大きな魚が可愛そうだよね」と言った ように、現実は物語的明快さでは捉えきれない面が多々ある。映画はその多義性によって、 世の中のそうした面を逐一描写できる。  「複数の事象」を並行して示すことにより、世の中の複雑さ、価値観の多様性を同時に 示すことが可能な芸術が映画なのだ。観客である自分と、スクリーンの自分(たち)の 複数の視点や価値観や時空間が「同時に存在」していることが「実感」できること。その ことこそがまさに映画の快楽なのだ。  忙しいスケジュールの中、こんなにいろんな意味で最高級の映画を作り上げてしまった 実力には感嘆するしかない。  この監督は我が国の誇りであり、宝である。  おめでとう、そしてありがとう。  私も自分のいる意味について多少勇気をもらえました。  最後に、蛇足。先述したようにある立場からすればやむを得ないことかもしれないが、 ヒステリックな荒らし行為によってこのすばらしい映画の価値を少しでも損なうことは、 どうかなるたけ避けていただきたいと思う次第である。[映画館(邦画)] 10点(2018-06-20 18:59:55)(良:2票) 《改行有》

2.  ハンターキラー 潜航せよ Netflixのお絵かき番組に飽き飽きした人は、今すぐこれを見に映画館へ走れ! やっぱこれだよこれ! 浪花節こそ人生だ!!![映画館(字幕)] 9点(2019-05-12 19:33:13)《改行有》

3.  SUPER8/スーパーエイト(2011) 《ネタバレ》 スーパー8点のスーパー映画である。以下略[映画館(字幕)] 9点(2011-09-12 22:31:26)

4.  天気の子 《ネタバレ》 ぎゃははははっ。 《ネタバレ》 気色が悪いとしか言いようがない音楽とか絵柄のセンスだが、ラストの「もっと自分を肯定しなさいっ」メッセージがすべてを吹き飛ばす。こんな物語はこれまで日本になかった。あらゆるエピソードもわざと大雑把に描いておいて、骨太の論理構築力によってすべてをぶっ飛ばす! ええどええど新海誠。これからも悲しみなんぞ描かんといてくれ。このまま行けるとこまで突っ走れ![映画館(邦画)] 8点(2019-10-06 22:38:00)《改行有》

5.  シン・ゴジラ  評判どおりの面白さ。シン・階級社会へ。[映画館(邦画)] 8点(2016-09-21 00:47:04)

6.  奇跡(2011) 《ネタバレ》 (略) ごく大雑把に言えば、この映画はこの一人の少年の成長譚だ。序盤、「意味わからんわ」と彼は繰り返しつぶやく。なぜすぐにでも噴火するかもしれない火山の麓に住まなければならないのか。なぜわざわざ坂の上に学校を作るのか。父親や弟と離れ離れに暮らすという非日常的な状況に置かれた彼は、それでも長男らしく現実主義者である。目の前にある問題をまず解決することが「生きる」ということだと心得ており、少しでも矛盾を感じればそれを口に出さずにいられない。 (略) いっぽうこの映画は、人に対する思いやりの場面を多く映しだす。教室で、家で、図書館で、保健室で。それらは大人から子供たちへの気遣いという形だけではなく、博多ステージにおいては子供同士のそれとして見られる。あくまで日常的な行為として、ごく自然にやり取りされるそれらの振る舞いは、結局この映画のほぼ全編において描かれることになるのだが、監督はなぜそのことにこだわったのだろうか。 (略) トンネルの上に並び、いよいよ彼らがすれ違いの瞬間を迎えようとした時、兄の心の内に去来したのは過去に見た様々な情景だ。木の芽や、火山灰や、自販機の下で 100円玉を発見した時の感動や、肩に触れた先生の手の力強さや、きれいなコスモスの花や、犬っころの死だ。もし火山が大噴火すれば、それらすべてが灰になり消え去ってしまうかもしれない。そう悟った時、彼は「家族より世界を選んだ」のである。この地球上で、あらゆるものが生きて動いていることじたいが奇跡なのであり、いろんな場所で、それらと自分とたまたま邂逅することが、もうすでに奇跡なのだ。むろん自分もそのような奇跡の一員であり、自分と同じように他者も、地球上のいろんな出来事も消してしまってはならないのではなかろうか。兄はそう気づいたのである。 この映画、はっきり言ってたいしたショットはひとつもない映画だが、このフラッシュバックだけで千年生き永らえる価値を得た。そのくらい素晴らしいシーンである。 (略) ラスト、兄は風に指をかざして「今日は積もらへんな」とつぶやく。彼はもう境遇に文句をいうことはない。「意味わからん」の意味を理解しかけ、なんとか自然と共存していくことを選んだのである。実にきれいな終わり方であり、例の震災さえなければみごとな良作として心に残ったことだろう。 (略)[映画館(邦画)] 8点(2011-09-12 22:30:20)(良:3票) 《改行有》

7.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 タチの悪い映画パート2。しかしこの夏のアニメの中でいちばん面白い。 【以下バレ】 猫とコウモリが合体したようなドラゴンも可愛かったが、何よりヒックらを乗せて龍の巣へ向かう時の、並行して飛ぶ何体かの龍の姿が雲の間から浮かび上がる映像や、無数の龍が巣穴を飛び交っている場面の映像などでもう私はノックアウトである。子供の頃に永井豪の漫画を読んでうけたあの衝撃をひさしぶりに思い出した。 『インセプション』を観た時も感じたことだが、作り手はおそらく自分らが子供時代にうけた衝撃をリアルに実写化(というのも変な表現だが、ぴったりくる)することに情熱を燃やしているのである。そのようなことが出来る才能や、技術面も含めた環境を同世代人として羨ましく思うし、うまくいった場合は思想がなんであろうが映画として不純だろうが、断固として支持する。 なんでナイトフェアリーだけ一頭だけなのとか、いくらひどい仕打ちを受けていようが自分らの女王に簡単に歯向かえるはずがないとか、あのラストはいくらなんでもないだろうとか、んなこたどうでもいいのである。[映画館(字幕)] 8点(2010-08-31 23:51:06)(良:1票) 《改行有》

8.  インセプション 《ネタバレ》 こんなにタチの悪い映画もないと思うが、面白いから許す。 【以下バレ】 夢というか他者の意識内に潜入するというアイディアは知る限り『ゴルディアスの結び目』が初出。すぐれたアイディア故に模倣者を何人も生んだが、「夢の夢」だのチーム戦だの、ここまでアイディアを膨らませた者はいなかったのでは。それにコブの個人的な深層心理や、既視感をスケールでごまかす映像の連発など、観客の興味を力づくででもひきつけてやろうという根性はたいしたもんである。 特に夢のまた夢による多重化した緊張感というのはなかなか得がたい体験であった。これだけでも8点行くし、後世に語り継がれることになると思う。 夢の表現そのものに目新しい発想があるわけではないし深化したわけでもない。それに第3層(雪山)はあきらかに余計だしヘタ。浮遊する身体の撮り方といい、この監督は映像センスというか、立体的なものを面白く伝える感覚ははっきり言ってイマイチである。しかし前作にも通じることだが、とにかく物語を面白く完遂させるセンスがある。 なんでタチが悪いかは、ノーコメントとさせていただく。[映画館(字幕)] 8点(2010-08-31 23:48:40)《改行有》

9.  ヒーローショー 《ネタバレ》 私は非常に好きだ。この映画。 【以下バレ】 登場する若者たちの顔がすべていい。その役柄にどんぴしゃりという顔立ちをしている。だが彼らを撮る撮り方は、なんというか徹頭徹尾イナタい。ギャグはメチャ寒いし司会の女はペチャパイだし、後藤の連れの恋人が登場して30秒で「うぃ」と言って去るのもショベルカーのパットンさんもラストのピンクレディーもなんか空虚だ。意味合いがありそうでない。リアリズムといえばその通りだが、しかしまるでギャグが空振りするような、「的を射なさ」という点で共通している。 (中略) 私の解釈はこうだ。まるで蜜のようなリンチの時間のように、濃密な時間というものはたしかにある。だが結局は、遊園地で家族と過ごすささやかな時間などと同じように流れ去るものなのである。なので一時的な、まるで自分が主人公になったような、映画的な時間のために何かをしでかしてしまえば、その後にずっと長く続く非映画的な時間に影響を及ぼすことになる。というか、辛い時間は死ぬまでずっと続く。「生き直させてくれよ」と福徳は後藤に懇願するが、それはじつは後藤の叫びでもあり、突っ走ってしまった登場人物全員の、またなにか取り返しのつかないことをしでかしてしまった者すべての叫びである。時間はいつも等しく流れるが、けっして巻き戻せない。だから若者よ、軽々しくヒーローになろうとするな、この監督はそう言いたいのだ。 たかが映画じゃないか。人生は映画的じゃない時間のほうがずっと長いのだ、気をつけろというメッセージ性。乱暴な若者言葉や、後藤によるたどたどしい恋人への独白などに見られるリアリズムの追求。ピンクレディーの曲に代表される「意味」の希薄さ。これらから見て、この映画は徹底して反映画を指向していると言っていい。しかしだからと言って、たとえばテレビや凡百の映画のようにつまらないということは絶対にない。むしろ私は、ダラダラと続く後半にこそどういうわけか映画を見ているという至福を多く感じた。かっこよさとは対局にある、イナタい事象をあくまでイナタく撮ることにこだわった監督が、ついにたどりついた結論的作品、と言ってしまっていいぐらいの出来栄えに、十分到達していると思うのである。[映画館(邦画)] 8点(2010-06-25 11:16:17)(良:2票) 《改行有》

10.  ミッドサマー はいはい。 あなたがとても才能のある人で、みんながモヤモヤモヤモヤ感じてることをすごくうまく映像化できるということはよ~くわかったから、今度はもうちょっと役に立つもの撮ってね。[映画館(字幕)] 7点(2020-04-12 21:26:02)(良:1票) 《改行有》

11.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 まんまやんけ。 【ネタバレ】 しかもほぼ同じ内容の感想文が巷に溢れている。なんか寒いなw 私は古い人間なのか、「こんなんありますけどどうでしょう?」と正解なしに世に問うのが映画の本筋なんじゃねーかというのはある。こんな誰もが同じところに導かれる話はやはりプロパガンダの亜流であり、もっといや洗脳だ。 だからぱっと見の個人的評価としては、この映画は『グムエル』や『スノーピアザー』よりも下である。これこそ賞取り映画でしょうという感じ。 しかしまあ、事と場合によってはそのような装いが必要にもなろう。なにしろこの監督はあの『殺人の追憶』を撮った人だ。あんなもやもやをもやもやしたままで傑作へと導ける人が、こういうものをあえて撮ったということに意義がある。 「リスペークト!」や「無計画が最善の計画」とかいうセリフにこめられた、オッサンたちの敗残者魂みたいなもの、これらは現実には世に露出することはない。いや、なかったというべきか。タブーとして自らの贖罪の箱の中に仕舞い込み、言語化できないよう巧妙に仕組まれてきたもの。もし言うことができたとしても、なぜかその途端に生活面でプッツンしてしまうもの。しかしそれらはもはや臨界を超えつつあり、ほんの少しのきっかけで自暴自棄な「個人テロ」のおそれもでてきた(ホンマか?)。んで、慌てて表層意識に置きましょうとか考えた? これ以上法人税率さげれませんっ、もし下げたら死人が出ますみたいな? あれ何書いてんだ? 『世界的に』『いっせいに』同じようなデモが起きる、といった国境を超えたわざわざしい共時性がなんだか薄気味悪いが、それは気にしちゃいけないところなんだろう。 ま、これから何が起きるか、そして個人がどこまで冷静に主張できるかだわな。 ひょっとして宗教臭く丸めこまれちまう可能性もあるが。それだけは勘弁。[映画館(字幕)] 7点(2020-01-29 06:25:49)《改行有》

12.  パシフィック・リム:アップライジング 《ネタバレ》  電脳共産主義だかなんだか知らんが、このクオリティのものを大量生産できるんなら別にいいじゃねーか。なあ?  【ネタバレ】  なんにも考えず楽しめりゃいいのよ。  ところであのラストを見てふと思いついたんだが、富士山のマグマ溜まりの上らへんに原発をあえて作るというアイディアはどうだろうか?  攻撃すると世界の終わりになるわけだから、中国だろうがアメリカだろうが事実上手出しできなくなる。  むろんもし攻撃したらここ破裂さすぞというブラフを普段からかけまくるのである。  核武装と同程度の抑止力になるんじゃないだろうか? 名付けてザ・スカンク作戦。  憲法改正も不要である。関係者各位にぜひご検討いただきたいものである。[映画館(字幕)] 7点(2018-05-02 21:05:42)《改行有》

13.  メッセージ 《ネタバレ》 ゲソ星人つまんねーし。 【ネタバレ】 他の映像もアイディアもべつにぶっとんでねーけど妙に印象には残る映画。 つーかこの映画のキモは「人は過去のことだけを記憶しているわけではない」とかじゃねーかと思うんだが、そんなケッタイな話みんな面白いと感じるのかな。SFファンにゃ馴染みだろうが。 『君の名は。』でも感じたが、「3次元の人間には理解できないことを無理くり納得させる」ことに腐心してる感じ。そういう時代に突入したか。 ま、おりゃ身に覚えがあるけどな。はっきり言って。 あと宇宙人による分割統治うんぬんで、中国への露骨なラブレターありw。[映画館(字幕)] 7点(2017-06-20 00:12:19)《改行有》

14.  バケモノの子 《ネタバレ》 なんかジブリに似てきてね? 【激バレ注意】 前は輪郭線がもっと太かったような。あと絵柄とかなんとなく。気のせいかな? 真似してほしくねーんだが。 だって今回で話作りのセンスがパヤオよりも数段劣ることがはっきりしたし。 この話で出てくる「人間のみが作る心の闇」というのがよくわからない。バケモノやバケモノの世界がどういうものかもよくわからない。結果、胸にストンと落ちないので面白いだけで終わる。感動には程遠い。当然観客の心の内に化学変化なぞ起きようがない。そんなの後継者とは呼べない。 闇とは何か。私が無理くり解釈すると、「親族内の関係性だの「こうであるべき」といった同調圧力に屈することでその人独自の好奇心だの攻撃的センスだのを自ら抑圧してしまい、内側に爆発の種を作ってしまうこと」を言ってるんじゃねーかと思う。対してバケモノの世界とは、そうした抑圧が薄い、本当の自分を素直にさらけ出してもいいかもしんない(だって周囲もそうだから)世界のことね。昔の下町にはあったかもしんない場所。 完全性を目指すことは才能を持つ中でも一部の者にしかできないんで、たとえ自分を抑制できても全的な才能がなければやがて闇を暴発させてしまうことになるんだけれども、できない同士で互いに補い合えばもっと高みに行けるかもしんないよ、とかいうことを言ってるわけだ結論としては。違うかな? でも私に言わせりゃ、それじゃあ凡庸なんだ凡庸。宗教に入って「ともだち代」さえ払えば幸せになれますよと言ってるのとほぼ同じじゃねーか。そんなのダメだ。 確かに現実の日本じゃ欲望を抑圧してマネキンと化すゲームがいたるところで行われているが、それによってできた「心の闇」は、絶対的不利な立場の者に対する「イジメ」によって発散されているのだ。実行の中心にいるのは間違いなく宗教である。そこに問題意識がなければ本当に優れた創作者とはいえない(肯定してはならない)。 パヤオが偉いのは、そうした陥穽に陥ることを(おそらく意識的に)回避して、別の次元へと昇華させるという力技(?)ができたからだ。社会、自分、他者(集団意識)によって作られるどうしようもないトリレンマを、ブレイク・スルーできるような気にさせてくれたわけね。んで、多くの観客の心の闇を解放したと。 前作から続いている、作品を貫く鬱のトーンは、突き抜けられない作者の鬱と同期してるんじゃねーかという気がする。ムチャクチャやって宗教や集団意識なんぞ蹴飛ばしてしまえばいいと思う。才能あるんだから、着地点は自分の身勝手すぎる欲望の果てに置けばよいのだ。判断するのは観客に任せておけ。おれが読み取っちゃる。 ちょっと書きすぎたかな。ま、一緒に見たハリウッドの大作より10倍おもしろかったことは事実だけどね。[映画館(邦画)] 7点(2015-07-30 08:21:30)(笑:1票) 《改行有》

15.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 わりとミもフタもねー 【ねたばれ】 だらだらだらだら中東の紛争は続く。イスラム国だの何だのと、事態は解決どころかややこしさを昂進させている。敵はもしかして勝つことでなく、ゲリラ戦を「やり続けること」に活路を見出してるんじゃないか、と思えるほどである。 911でやられた味方を守るため、ヒロイズム・マッチョイズムで「正義の守護神」を引き受けたはいいが、いつまで続くのもう疲れてきたよ。どこもかしこもちょっといいかげんにしてほしいんだけど。だいたい終わらせる気あんのこれ? な~んて思っちゃってるアメちゃんも、少なからずいることだろう。 「蛮人を殺すことに後悔はない。仲間を守れなかったことにこそ悔いがあるんだ」とかいうセリフのあと、主人公はまさにその元「仲間」に殺されてしまうわけだが、そこにブーメラン的メッセージを見出すとかいう封建的な作りにもなってないと思う。ドリルで子供殺したりする様は間違いなく「蛮人」だし、それにスナイパーを撃つ時のゴルゴ13みたいな演出は、あっさり命中して終わりで反映画的淡白さ。主人公も身も蓋もなく女子供殺すわけだし、きっと現実の戦場は、映画な物語など関係なしにどうしようもなくリアルなんだ、とそういうことなんだ、たぶん。(んで、神様は蛇足で落ちをつけるのが好きなんだ、つーところまでリアルだ)。 戦争をリアルで日常の職業とする、ということの異常さを、こんなふうに(一部の)アメリカ人はちゃんとわかっている。かといって「世界の警察」の座を降りるわけにもいかん(志願者は無尽蔵だろうし、それに「正義」を「多国籍」軍に委ねるには、ちとまだ無理があるような気がするからだ)。 しかしまあ、この先もこの一国が正義ヅラをし続けることが、やや古臭くなりはじめたことは確かなのである。長期戦になること必定のシリア情勢に加え、ウクライナ&ロシアである。さらに中国の膨張は止まず、10年以内にGDP抜かれる・ほっといていいの? 加えて半島では考えられん刃傷沙汰ときて、相対的に弱いアメリカ? が漏れ出し始めちゃってんである。 では、地球の平和はいったいどーオムツされるのか?  バランス・オブ・パワー? ハイパー兵器? んで日本核武装? とかいうところまでいくと思うツボかもわからんが、まー一度、ヒマな時ぐらい思いを馳せておくんなさいお父さん、てな映画。 [映画館(字幕)] 7点(2015-03-08 21:34:19)《改行有》

16.  私の優しくない先輩 《ネタバレ》 女子高生の気持ちを十全に表現してみたいとかいうような趣味は私にはない。『カリオストロ』はある意味少女の純真さに触れた悪党ルパンが改心する物語だったが、少女性とはあの作品のように聖域扱いすべきであり外からただ眺めているだけでいいのである。ずかずか踏み込むべきではない。もし変なものが出てきたらどうすんだ。 【以下バレ】 この監督はそのような偏見含みの垣根を、実に丁寧な日本語モノローグによって取り払ってみせた。むろんどこまで意図したのかは測りかねるし、映画のやり方としてはやや反則気味かもしれないが、結果的に少女の気持ちを私のようなおじさんにまで知らしめ、感動できる物語の主人公として優しく表現してみせたのである。 むろんだからといって女子高生に興味を抱くようになることなどないが、ただまあ私ら以降の世代が、なんでああまでアニメっ娘に執心するのかという気持ちはほんの少しわかったような気がする。他人に自分の言いたいことを伝えることができれば方法などどうでもいいので、映画としてどうかという意見に対しては、たかが映画じゃねーかと言い返せばすむ話である。 もっとも、笑ってしまうほど長く大袈裟な終わり方が、この監督のいびつに肥大化した自我しか表現していないというのもまあ事実かもしんないが。[映画館(邦画)] 7点(2010-08-31 23:47:37)《改行有》

17.  レポゼッション・メン 《ネタバレ》 開始5分でこの映画はダルいと直感し、30分がたつ頃にはそれがほぼ確信に変わっていたのだが、まさかまさかの大逆転が待っていた。 【以下バレ】 人工臓器回収屋が債務不履行に陥った患者から臓器を回収する話で、どうするかというと電磁ガンか何かで気絶させたあとその場で腹を裂いて臓器を取り出すのである。心臓や肝臓など取り出されたら患者は当然死ぬ。しかし回収人たちはいっさい罪に問われない(ようだ)。ムチャクチャな話であるが、しかし考えてみると近い将来、人工臓器の時代が来るとしてもし取り替えたあと破産したらどうすんのかという問題はかなり深い。この映画のようにあっさり殺すわけにはいかんだろうが人工臓器はおそらく半永久的に動くよう作られた半不動産(?)である。開き直られたらどーすんのかという問題は容易に結論の出ない議論となるだろう。 (中略) しかし後半、自分が回収される立場となったことでストーリーは走りはじめるのだが、同時にどういうわけか映像にハリが出はじめる。落とし穴だの空港でのガラス越しだの元相棒との撃ちあいで大笑いだの。見に来てよかったというレベルにいきなり達して私はホッとする。連れの女がなぜあんなに強くかつ10箇所も人工臓器を入れているのかなど不明なことには関係なく、映像さえよけりゃこっちは十分見れるのである。 そしてそこからクライマックスまでの疾走感に、私はもう頬が緩みっぱなしであった。なぜ最初からそれをやらんのかという感じである。ベッドシーンなどのB級な場面、ことにその行動動機となる心理葛藤はB級にも到達していないような淺薄さだが、それらを隠蔽して余りあるノリのよさ。そして極めつけは互いの臓器をポスしあうクライマックス。テーマの表層性をああいう形で昇華させたことに、私は何か哲学的な感銘すら受けた。ぎゃはははははっ。 パクリも多かったが、あまりの頑張りにそれも許せてしまう。彼らもまたオールド・ボーイやブラジルが大好きなのだということがひしひしと伝わってくるからである。[映画館(字幕)] 7点(2010-07-10 23:07:23)《改行有》

18.  パレード 《ネタバレ》 今の日本に、映画的な普通の映画が撮れる監督がいたなんて。すごいぞ行定! 【以下激バレ】 その部屋には一見人生に接点のなさげな4人がなぜか共同生活している。親密といえる距離感を共有する一方で厄介を避けるための曖昧なルールがあり彼らはクールなふりをしつづけなければならない。例えば良介は友人が死んだと聞かされてもその部屋では泣かない。外部の女の部屋で泣く。互いに弱みを見せない(非難されない)生活はそこそこに楽しい。だがそこにはおのずと非現実感が生じる。通り魔のニュースを淡々と流し続けるテレビ。その画面の「こちら側」にいるということのみが唯一、この部屋での出来事が現実に他ならないということを示しているかのようだ。 …といったようなことを描出した前半は誠に雰囲気よく進み、私は目茶苦茶興奮して満点をつけてやろうかと思ったほどだった。しかしパチンコシーンあたりからやや失速。未来はベタなトラウマ告白よりイラストレーターとしてのヘタレぶりを描いたほうがよかったと思うし、尾行シーンは背後で覗き見する藤原の顔が端正すぎてまるでギャグ漫画だ。隣室の占い師を訪れた政治家による応援演説など、現実と虚構の錯綜による浮遊感を出そうとする試みはあるが成功してないと思う。 一番惜しいと思うのはラスト。ちょっと唐突すぎ。まず通り魔というのは何かに不適合な人物が行うというイメージが個人的にはあり、英語を話せるような会社員がやることとは思えない。「何でも自分に頼ってくるのがウザかった」ってのが動機というのではあまりに弱い。また「もうみんな知ってる」というサトルの台詞も唐突で説得力を欠く。なんでこの辺りの伏線を入れなかったのか。 オーラス、帰らないと言っていた筈の良助や未来や中絶直後の琴美までが部屋にいて何事もなかったように彼を出迎える。直樹は泣き崩れる。ここで4人が浴びせた冷たい視線は、「ルール守れよ」という意味である。それはわかる。わかって慄然とする人も中にはいるだろうが、しかし彼は殺人者なのであって、まかり間違えば殺される可能性もあるのであって、無問題に付すというのはいくらなんでも無理があると思う。ああ惜しい。もうひとひねりあれば。 「部屋はネット上のつきあいの暗喩であり、あなたが何気なくチャットなどしている相手は実は殺人者なのかも」といったところへ何とか結論持っていけなかったかな。また字数超過だ[映画館(邦画)] 7点(2010-03-06 22:07:30)(良:1票) 《改行有》

19.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》  この圧倒的な才能は、見事なまでに「見て快いもの」だけを峻別し、つなぎ合わせて魅せてくれる。  【ネタバレ】  悪いが「ブレードランナー2049」あたりの、不愉快なものをほぼナマで見せてしまう監督とは 真逆なのである。しかしそれは時に虚しい。    なぜならバーチャルでつかむ幸せは、現実ではない、という真実を覆い隠してしまうからだ。  幸せになれたとしても、それは宝くじ並みの確率でしかない。  この映画をまともに解釈すれば、そんなふうになってしまう。  見た目の快楽はごまかしじゃねーか。  普通の人はそう気づくはずだが、それに対するエクスキューズはなく、放置のままである。    その点、マンガではあるが「いぬやしき」ラストシーンでの、「僕は夢を実現するために機械に  なったんだ」とかいう叫びは、かなりいい線いっていると思う。  ぜひハリウッドに輸出して、まともな監督に映画化してもらいたいと思う。    未来は悪いことばかりではない、と思う。[映画館(字幕)] 6点(2018-06-13 10:00:34)(良:1票) 《改行有》

20.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 おもしろいよ 【ネタバレ】 終わり、てな映画だなあ。 ラストはいくらなんでも伏線不足じゃね? あと主人公の血がハイオク云々とか、いろいろよぐわかんねかった。 凝った車とファッションとカーアクション、あとギターとか青色LEDとか、外面だけ見て楽しい、とかホントに思ってんのかおまえ! みたいな。 昔のやつちょっと変えただけじゃねーか。 いつのまにやらバカを装うのが正しいという時代になってきたな。いいのかね。やっぱ両極に分けたいんやろかね人間を。わしゃなんかヤ~だけどね。[映画館(字幕)] 6点(2015-07-10 20:34:54)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS