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プロフィール
コメント数 3877
性別 男性
年齢 53歳

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2001.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 8分に一回死ぬ。死んでまた生き返り、同じ状況を繰り返す。少しずつ変奏しながら。ここには、「終わらないこと」「終わりが見えないこと」への絶望、焦りがある。しかし実際の世界では実は、死なないどころか、すでに事実上「死んでいた」ということ。終わらない絶望と、すでに終わっている絶望が、交差する。で、ラストでは「終わらないこと」が「希望」として提示され、ちょーっと甘口過ぎるんじゃないですかぁ、とか思いつつも、ある意味意表をつく、夢のあるファンタジーでございました。このせわしない展開の後に、こういう世界が待っている、素敵ではないですか。ちょっと気になったのは、「現実世界」では刻々とタイムリミットが迫っている設定なのに、イマイチ実時間の進行が充分描かれていないのがピンと来ないところでもあるのですが、逆に実時間のカウントダウンをあえて描かないことで、主人公があがき続ける悪夢世界の「終わりの無さ」が印象付けられる訳でして、またその悪夢の連鎖から抜け出て新たな世界へと向うラストも感慨深いものとなる。いやはや、結構ではないですか。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-10-10 22:22:26)

2002.  将軍家光の乱心 激突 痛快娯楽時代劇よ、今ひとたび。ってな感じで、まーとりあえず派手に盛り上げる盛り上げる。ワンカット撮影で俳優自身がスタントをこなしている事をアピールする千葉真一の厳しい演出もあり(ターザンロープの凄さ!)、また時代劇と思えぬ爆破シーンの多用もあり(ちょっと爆発多すぎませんか?)、派手さには事欠きません。しかも時代劇であると同時に西部劇。荒野があり、風が吹き、土煙が舞う。『ワイルドバンチ』のごとく橋が爆破され、『明日に向って撃て!』のごとく、画面が静止する。とまあ、楽しさ満載の映画ではあるのですが…。でも違和感もあり。身を挺してひとりを守り抜くノリは千葉チャンの『里見八犬伝』に近いのかな。でもやってることはもっと悲壮感があって、テロリズム映画『十一人の侍』みたいなところもある。で、どうも登場人物たちのアッケラカンとした感じと、やってることの自爆テロみたいなハチャメチャさが、しっくりこないのです。例えば緒形拳演じる主人公、恨みを持ちつつもそれを表に出さぬ、本来ならもう少し影のある存在だと思うのですが。その影があまり描かれない。ましてや他の連中なんて、何で唐突に自己犠牲的いや自己破壊的な行動に走るのか、さっぱりわからない。自己犠牲も連発すると、こちらもマヒしてきて、「はいはい、で、次は誰が死ぬの?」みたいなことになっちゃう。もう少しドラマに厚みがあってもバチは当たらんでしょう、などと思っちゃうのですが。でも本作、とにかく痛快です。久しぶりに観てまた楽しませていただきました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-09 22:34:39)

2003.  宮本武蔵(1973) スピーディな展開。前半は吉岡一門との死闘が中心に描かれ、後半の最初には、その後の戦いのダイジェスト(宇宙戦艦ヤマト劇場版の中盤みたいな感じで、さすがに端折り過ぎ)、そして後半のメインは小次郎との対決。武蔵映画として、オイシイところは一通り押さえた構成となっております。特に巌流島の対決、クライマックスを飾る晴れやかな対決という描かれ方ではなく、雨の中での薄暗い情念のたぎるような戦いとして描かれているのが注目されます。劇中、何度か登場する、半分水中からの(正直よくワカラン)アングルの映像と、その集大成のような、雨の中の決闘。また本作、宮本武蔵を主人公とした映画というより、武蔵に関わった人々の群像劇みたいな作りになっています。武蔵に関わった人々は皆、不幸になっていく。いや不幸ではなくとも、人生を狂わされていく。いや、狂わされた人もいるけれど(オババ怖過ぎ)、皆が皆、ただ狂わされたとも言えない。クライマックスに向けて彼らが武蔵の元へと吸い寄せられるように集まってくるのが良いですね。運命的でもあり、また自らの力で歩もうとしている姿でもあり。高橋英樹はあくまで看板であって、本作に主人公がいるならば、それはフランキー堺だと思います。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-09 21:56:22)

2004.  ニッポン無責任野郎 前回の主人公が「タイラ」だったから今回は「ミナモト」だなんて、そんないい加減な、無責任だぞ。いや、無責任なのは作品の趣旨通りでしたね。でもこの続編、特に最初の方では「これは無責任なんじゃなくて、積極的なサギ行為じゃないか」と心配になってくる。いや、これは映画の中なんだから、とアンチモラルを笑い飛ばす無責任な度量こそ、我々に求められるところなんだろうけれど、「心配になる」というのは、主人公の行動そのものより、「これは即席続編の常として、ネタ切れなんじゃないの、脚本が練れてないんじゃないの」という心配。実際、練れてないんじゃないですかね。ところどころスバラシイ迷言で笑わせてくれますけどね。また脚本が練れて無くても相変わらずカメラは踊っていて楽しいですけどね。前作ではもう少し主人公に“挑戦”の姿勢があり、また実際、困難にもぶつかったりしていたのが、今作では、意図も簡単に周囲の人間を手玉にとっちゃう、まるで操り人形。会社をクビになっても「何とかなるさ」と希望を語る訳でもなく、「クビですか、待ってました」みたいな感じ、単なる「ラストのオチに向けた準備」に過ぎない訳で。楽天的なのも、ある一線を越えると、もはや「前向き」とは言えず形骸化、どこか停滞感が出てしまう……。それにしても前作といい今作といい、この主人公をこれだけ見事に堂々と体現する役者は、植木等以外に思いつきませんね。[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-07 06:52:30)(良:1票)

2005.  大いなる決闘 《ネタバレ》 これは珍作、どこまで真剣なのやら、とにかくヘンテコな西部劇。血が吹き出る描写やスローモーションの多用など、シビアでヘビーな作品を目指している、らしい、のだけど、これがいかにも「なんちゃってペキンパー」な感じで、とってつけた感じが拭えない。脱獄囚ジェームズ・コバーンが、仲間を引き連れ、元保安官チャールトン・ヘストンへの復讐を企む。そして両者の対決へ。という訳ですが。コバーンの悪役ぶりが光る一方で、主人公であるはずのヘストンの影がどうも薄い、というか、グダグダとセリフが多い割に性格付けが薄く、つかみどころがない。ヘストンについて行く助っ人の若造に至っては、どこの馬の骨なんだかさっぱり分からない感じ(大物俳優である父親にあまりに似ているので、その点だけは印象が強いけど)。娘が悪漢ども襲われているのを見て逆上する元保安官に対し、「これはワナだ」と元保安官が飛び出すのを引き留める助っ人の若造。引き留めるのはいいけど、そんなタコ殴りにせんでもいいでしょう。保安官も娘の心配はどこへやら、急に冷静になって若造のことを誉めたりしてるしなあ。で、何をトチ狂ったか、草むらへの放火というよくわからん手段にて、保安官たちの反撃が開始される。いや、炎の中の対決がクライマックスなら、それはそれで良いのだけど、やがて鎮火してしまい、勝負は翌日に持ち越されちゃう。銃撃戦、ヘストンが拳銃を連射し、敵の一人が「6発撃ち尽くしたぞ」とわざわざ判り易くつぶやいた上で飛び出すと、ヘストンは澄ました顔でもう1丁の拳銃を取り出し射殺する。ま、テンポが良いことは否定しませんが(笑)。そしてついにコバーンとヘストンの対決! わざわざヘストンが事前に解説していたセリフ通りの結末に、納得いくような、いかないような。[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-10-02 23:51:55)

2006.  モンスター・ホテル 《ネタバレ》 そりゃま、ドラキュラのおとっつぁんが娘のために命がけで奔走するクライマックス、ホロリと来ますよ。確かにホロリと来たさ。でもね。その奔走の理由が「娘とボーイフレンドを繋ぎ合わせるため」だなんて、ちょーっとオメデタ過ぎないですかねぇ。もし娘が原節子みたいに「ワタシ、お嫁なんか行かないワ」とか言って婚期逃しかけてりゃ心配もするでしょうけど。でもコレ、どこかの誰かさんが「ビビビ婚」とか言ってたレベルじゃないですか。父親って、そんなもんかい? それとも何ですか、今どきのオヤジは、娘の恋愛のために全面協力するんですかね(私には無理です!!!)。と取り乱すくらい違和感のあるオハナシでした。設定に似たところのある『塔の上のラプンツェル』の方が余程ピンと来る。多分この作品、オドロオドロしいモンスターたちを意識的に「いい人」に描こうとし過ぎなんじゃなかろうか。だからちょっと理屈っぽくなっちゃう。それに“モンスター”を中心に持ってくる以上、オドロオドロしさをどう醸し出すかも見せ場のはず、だけど残念ながら、モンスターたちの造形も、これだけの数を出すにしてはもうひとつヒネリが無く、特徴が薄い。そしてオドロオドロしさの代わりに、単純にオゲレツ描写に走ってしまう。発想の豊かさの点でやはり水木しげる先生は偉大だと感じた次第。 ま、でも、ホロリとは来ましたから。大いに笑わせてもらいましたから。手に汗握りましたから。つまり、愉しい作品でしたから。[映画館(吹替)] 7点(2012-10-02 23:05:15)

2007.  切腹 日本人にとって、切腹というコトを口にするのは、ちょっと微妙な感情、一種の居心地の悪さが伴う訳で、それは、いわば日本を代表する風習のひとつでありながら、自分自身はそれを決行する自信が全くないこと。何かと耳にはする「切腹」という言葉と、その意味する実態が想像を絶することとのギャップ、しかし世が世なら自分もそれをせざるを得なかったかも知れないという恐怖(武士だけの行為ではない。近代でも自らそれを行った例が多々あるとのこと)。あと、世のSMマニアの中には切腹マニアというのもいて、そのテの本や写真集もあるそうで(三島の『憂国』だってその一例だ)、それも居心地の悪さの原因かも知れないけれど(笑)。さて本作。ひとつには物語の構成の妙が我々を釘づけにするんだけど、“切腹”を正面から捉え、しかもそれを痛々しく理不尽に描いているのが、強烈この上無い。切腹ってのは、腹膜まで切ろうとすると非常に苦しいものとなり(腹筋を切り裂くのがまず大変)、浅く切ってすぐ介錯してもらうのが楽で良いらしい(とモットモらしく言ってるのがこれまた居心地悪いんだが)。それを何と、竹光での遂行を迫られる理不尽さ、その苦痛はいかばかりか、画面からヒシヒシと伝わってくる。なのに本作の音楽担当が「たけみつ・とおる」とはこれまた何と理不尽な。それはどうでもよいが。後半、物語は一変、いや、視点が変われば物語も変わるということ。強い立場、迫る立場、追いつめる立場であったはずの人間が、実は追いつめられていってる、というその過程が、別の意味でコワイ。何ものかにとらえられている存在であることには、皆、変わらない。この凄惨なクライマックスは、一種のエンターテインメントでもあるのかも知れないけれど、そこには同時に、秩序が内側から自壊していく恐怖もある。いやむしろ、秩序の虚飾が内側からが崩壊してなお、秩序の外枠だけがガランドウのように残り続けていくことの恐怖なのかも知れない。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-09-29 03:47:41)(良:1票)

2008.  レインディア・ゲーム 映画のストーリーにリアリティが無いと気に食わないヒトなら間違いなく途中で怒り出すタイプの作品。こういう「んなアホな」的なファンタジー路線のミステリ、よく考えれば、いや少し考えれば、いや考えるまでもなく、フランケン師匠と相性がいいハズもないんですね。冒頭に示されるサンタの累々たる死体へ至るクライマックスとか、ダーツによる拷問とか、一種のコケオドシをいかにコケオドシて見せるか。この図々しいバカミステリをいかに強引に図々しく描くか。と来れば、相応にエキセントリックな監督さんの出番が期待される訳ですが。いやいやそうじゃない、これはミステリなんだから、いかに予想を裏切るか。まさかそんな展開とは、まさかそんなオチとは、まさかそんな展開とは。監督がフランケン師匠であるという時点ですでにミスディレクションが始まっている(笑)。レインディア=トナカイ、サンタを運んでいるトナカイとは一体誰なのか、いやそもそもトナカイに運ばれているサンタとは誰なのか。それは実はアナタ自身かも知れない、いや何と監督さん本人かも知れない。とか、まあそこまで珍作扱いしなくとも、このちょっと強引なシーソーゲームを、それなりに手堅くそれなりにハメを外した演出で楽しめば、よろしいのではないでしょうか。強引さこそバカミステリの命。ゲイリー・シニーズはひたすら意固地になり、ベン・アフレックは追いつめられつつもひたすらその挑戦を受け、そして映画は進んでいく。それでよろしい。ま、正直、私も3回目に観てようやくこんなに楽しめるようになりましたが(笑)。[ビデオ(字幕)] 8点(2012-09-29 02:50:27)

2009.  ニッポン無責任時代 一言で言えば、「元気な映画」ですよね。「現金な」でも結構ですが(笑)。歌って踊る植木等の活きの良さ、調子良さには観ててつい頬が緩むし、大胆でちょっと雑なカット割りなども、むしろ楽しかったりします。元気で、動きに満ちた映画。この主人公、やってることは“周囲と比較すると”メチャクチャだけど、自分ではうまくいくと信じて、最後まで投げ出すこともなくすべてをやり切ってしまうんだから、別に主人公自身が「無責任」って訳じゃなく、むしろ、こんなヒトが大成功しちゃうこの映画のノリこそが、確信犯的「無責任」という訳なんでしょう。堅苦しい世の中において、「無責任」の楽しさよ。ところがところが、裁量労働・成果主義の現在から見れば、むしろこの主人公ほど優秀な人材はいない、ってなことになりかねない。世の中全員がこんなヒトばかりでは、困るんですが。ホントは、閉塞状況の中にあえぐ現在の我々が、この映画を観て感じ取るべきなのは、「多様性」ということの価値、なのかも知れません……。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-09-23 09:05:07)

2010.  スクリーム3 《ネタバレ》 3作目ともなるとマンネリ化が懸念されるところ、しかし派手な爆破シーンなども取り入れてみたり、舞台を映画製作現場として作品のメタレベルを引き上げたり。と、結構楽しめた記憶はあったんだけど、えーと犯人誰だっけ。という訳で再見。ミステリって、犯人忘れたら何度でも楽しめるからいいですよね。記憶力が衰えてくると、いいこともあるもんです。喜んでる場合じゃないけど。でまあ本作、順当に行けば、犯人はどう考えても「キャリー・フィッシャー」ですよね。いや、さすがに彼女が犯人ではないことは、私のかすかな記憶が示しているんだけれども、でもこれが模範解答じゃなかろうか。・・・で結局、意外にフツーな犯人で、さすがはスクリーム・シリーズ、しっかりとウラのウラをかいてくれました。しかもこのヒトが真犯人だなんて、1年後くらいにはきれいさっぱり忘れてそうなので、また楽しんで観られそうです。ヨカッタヨカッタ。[地上波(字幕)] 7点(2012-09-18 21:21:33)(笑:1票) (良:1票)

2011.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 言わずと知れた脱獄映画の決定版。とは言ってもこれ、妙な作品でもあって、基本的に監獄の「外の世界」ってのが無いんですよね。ひたすら「中の世界」で脱獄に取り組む姿が、少ないセリフでもって描かれる。「外の世界」ってのが無いから、主人公はどこからともなく現れ、どこへともなく消え去ってしまって、終わり。脱獄の目的は、脱獄そのものにあり。ほとんど無目的とも言える冷えた情熱が、静かに着々と描かれていく。その姿に、そして時に残酷なまでの冷徹な視線に、シビれちゃうんですけれども。ただ、もう少し感情を交えて描いてもよろしかったのでは、という気もしないでもないですが(「静寂」の持つ不気味さの描写、とか)。あと、爪切り盗んだりスプーン盗んだり、ギリギリの綱渡りのような脱獄手段についての綿密な描写がある一方で、後半は何でもかんでも簡単に手に入れちゃう大味な描写になってしまうのも、ちょっと残念。というか、実際に命がけで脱獄算段を練る脱獄者と、その脱獄手段を空想してみる映画製作者との、想像力の差なのかも知れませんが。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-18 20:57:06)(良:1票)

2012.  戦争プロフェッショナル 内戦下のコンゴを舞台に、僻地に取り残された民間人の救出(+ダイヤモンドの回収)に向う傭兵の活躍!ってな映画なんですけれども。全く洗練されていないカオス感たっぷりの作品になってます。救出に向かう手段は機関車、武装した味方の兵士どもを乗せてエンヤコラ、マトモな作戦なんぞまるで無く、戦闘が始まればいきなり消耗戦状態。危機また危機なのは、一種の冒険活劇のテイストを狙ってるんでしょうけれども、それが何だかグチャグチャで、収拾不可能、もはや終末思想的なテイストと言ってもよいのではないかと(笑)。そのカオス状態から一転、すばらしくサワヤカなラストが皆さんをお待ちしておりますので、どうぞご期待ください。まあ何にせよ、男臭くも実にエネルギッシュな作品なのです。[DVD(字幕)] 8点(2012-09-16 07:42:58)

2013.  デスペラード 実際には物語も無ければ背景も無く、伏線も無い、要するになーんにも無い。そこにあるのはアクション。すべてが刹那的。背景のありそうなモットモらしい、だけど実際には何も説明していないセリフの数々、妙にアッサリ死んじゃって何しに出てきたのか、しかし存在感だけはしっかりと残す、ブシェミ、トレホ、そしてタランティーノ。クライマックスでは主人公が突如3人に増殖し(!)、訳ワカランけどひたすら楽しい(ってか、初めて観た時はまだ『エル・マリアッチ』を観てなかったので「コレ誰やねん」状態だったけど、観た後で本作を観直すと、この世界観に妙に納得してしまう自分がいる)。アクション映画ってのは、アクションシーンがあるからアクション映画なんじゃなくって、この作品のように、映画自体がアクロバティックに(時にクラッシュしながら)突き進んでいくからこその、“アクション”映画。別の呼び方では「バカ映画」とも言いますかね。[CS・衛星(字幕)] 10点(2012-09-09 11:19:28)

2014.  コナン・ザ・グレート ラジー賞候補だろうと何だろうと、シュワは彼の経歴の中において、多分、この作品で一番いい仕事をしてるんじゃないかと思います。ムキムキ度200%、ゴツゴツとした武骨で破壊力満点のアクション。鋼の剣でぶった切る、ハンマーで打ち砕く。切り損ねた剣が岩に当たって飛び散る破片に、大興奮しちゃいます。演技らしい演技をしない(できない)当時のシュワだからこそ可能な世界観が、ここにはありますね。生死紙一重の人生を生き残り、旅を続け、ついに仇を討った彼が佇んでいるその表情、それはまるで、時に動物映画に出てくる動物たちの表情に妙に人生の深みを感じてしまうように、もはや人間の役者には不可能な神秘の表情だと思います、ハイ。ただちょっと残念なのはポールドゥリスの音楽の貧弱さ。仰々しいテーマに見合うだけの書き込みが欲しいところ。 (あとどうでもいいけど先日のBS放送で妖怪オンナとのクダリがカットされてたのも個人的には残念だったナ。もっともそのお陰で子供と楽しく観賞できたけど)[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-09-09 08:39:41)

2015.  ガン・ファイター(1961) 片や札付きの流れ者、片や彼を追う保安官。保安官にとっては個人的に恨みを持つ相手でもあり、しかも同じ人妻を狙う恋敵でもあり。しかし困難を切り抜けていく中で、二人の間には友情らしきものが芽生え、三角関係も無事解消し……と事態が良い方向へ向かうかと思いきや、最後に意外で残酷な展開が待っている。西部劇にこういう題材って、反則ですよ、まったくもう(笑)。という訳で、すべてを自らの力で切り開く男の中の男、といった感じの流れ者カーク・ダグラスが、成すすべも無く運命の渦に飲み込まれていくようなラスト、これはもう何とも言えぬ後味を残します。カーク・ダグラスの曲者ぶりに比べると、やっぱりロック・ハドソンは、クセが無いというか、どこかホモっぽいというか。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-04 20:49:40)

2016.  大列車強盗(1973) これも、ジョン・ウェイン殿堂入り、生き神サマとなってる一本。『大列車強盗』と言いながら、別に列車強盗するオハナシではなくて、以前に列車強盗で奪われた金塊の争奪戦のオハナシ。ジョン・ウェイン率いる金塊探し野郎共と、彼らをつけ狙う一味との戦いが描かれます。ジョン・ウェイン、例によって、大して何もしてないんだけど、ちょっとした仕草とセリフ、あとはもう貫禄だけ、もはやそこにいるだけでOK。冒頭、仲間が集められて早々にモメてみせて存在感を見せつけたかと思えば、中盤のとあるシーンではコーヒーのカップを受け取った際に「アチチ」なんていう、細かくもカワユイ演技を見せてくれたり。さすが神サマ。あとは周りが入れ替わり立ち替わり適当に彼を支え、敵と闘い、盛り上げます。かつての「ジャイアント馬場率いるファミリー軍団vs悪役商会」を思い出しますね。だいぶ違うけど。あと、この映画、風呂敷を広げ過ぎずコンパクトにまとまってるのも良いですね。冒頭の砂漠の真ん中の駅。きっと駅名は「砂漠駅」とでも言うのでしょう。何もないところに、とりあえず駅前には誰も泊って無さそうなホテルが一見。まさに砂漠の入り口としか言いようの無い駅から映画は始まり、金塊探しの一行は、砂漠を歩き、川を渡り、荒野を歩き、また川を渡る、その繰り返し。どこをどう歩いているかなんてどうでもいい。ついに金塊を見つけた時の感慨がそこにあり、敵を待ち受けるワクワク感がそこにあるのだから。しかも映画のクライマックスに待っているのは、ダイナマイトを使ったド派手なアクションと、ニヤリとさせるちょっと気の効いたオチ。神サマの姿が拝めて、しかもこれだけ楽しませてくれる映画、ちょっと貴重です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-09-04 20:17:15)(笑:1票) (良:1票)

2017.  私はゾンビと歩いた! ヴァル・リュートン製作の怪奇映画シリーズ。これが意外に秀逸。まず冒頭の、二人の人物が歩く海岸の風景。まあタイトルからして、二人のうち一方が人間で一方がゾンビなんでしょう、とかいうことはどうでもよくって、すでにこの光景からして超自然的な印象を受けます。独白で進められていく物語は、雪の都会の一室から、南の島へ。そこでは非日常的な世界が主人公を待ち受けている訳ですが。そうそう、本作、S・ブロンテの『ジェーン・エア』を下敷きにしている、みたいに言われたりもしますけど、いやいやむしろ、この雰囲気はE・A・ポーの『アッシャー家の崩壊』の世界ではないでしょうか。本作におけるゾンビってのは、例の人間を襲ってバリボリ食うヤツじゃなくて、“熱病によって何もわからなくなり夢遊病状態の人”なんですね。だから必ずしもモンスターじゃない(いや、ちょっとコワい顔のゾンビも登場しますが)。ゾンビ自体はモンスターじゃないけれど、物語の背景はとっても呪術的、そして宿命的な要素があり、まあ要するに「よくわからん不気味さ」ってのが横溢しているのですね。やはり怪奇映画たるもの、こうでなくては。そのアッシャー家的は宿命の物語を裏打ちするのは、「音」による不気味さ。森から響く太鼓の音であったり、塔に響くすすり泣きであったり。また「風」なども気持ち悪い雰囲気を出すのに効果を上げてますね。短い作品ではありますが、怪奇映画らしい雰囲気を楽しめる作品です。[DVD(字幕)] 8点(2012-08-28 22:47:14)

2018.  死体を売る男 ヴァル・リュートン製作の怪奇映画シリーズ。原作がR・L・スティーヴンソンに監督はロバート・ワイズ(!)、そして出演がボリス・カーロフにベラ・ルゴシってんだから、何か文句ありますか、ってな布陣なんですけれども。残念ながらちょっと文句付けたくなっちゃう。内容的には、「解剖用の死体を医者へ供給するために、墓を暴いていた死体泥棒の男が、やがて死体を得るために殺人を犯すようになり……」というオハナシ。クライマックスには日本の怪談みたいなオチが待っていて、悪くないんですけどね。殺人の場面なんかも、“街を歩く歌手が暗闇に消え、彼女を追う馬車も暗闇に消え、最後に歌手の歌声が消える”などという、「すみませんちょっと狙っちゃいました」的な、なかなか風流な演出、悪くないと言えば悪くない。じゃあ本作の何が悪いかっていうと、なんかいかにも、ストーリーをそのまま順序良く語っちゃった、みたいなヒネリの無さ、ですね。場面場面ではオヤと思わせるものはあっても、全体を通してはやや一本調子な感じは否めません。纏まりが良く安心して楽しめるけれど、怪奇映画で安心させてどうすんのよ、と。[DVD(字幕)] 5点(2012-08-28 21:29:51)

2019.  お早よう 《ネタバレ》 「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本」の「喜劇編」としてNHKで放送しておりましたが、むしろこれは、“ちょっとした怪談”だと思いましたです、ハイ。 逃げ場の無いような文化住宅の中で、自分の知らぬ間にあらぬ噂話が広がっていくコワさ。オハナシとしちゃユーモラスかも知らんけど、視覚的には、はっきり言ってこれは、恐怖です。オバちゃんコワい。オバアちゃんはもっとコワいけど(笑)。他にも、反抗期の子供が親の知らぬ間にご飯を盗み出し、川べりで貪り食うコワさ。しかもその後子供たちは、親だけでなく“我々”の目からも忽然と消えてしまうコワさ。オナラしようとしたらウ○コをチビってしまうコワさ。ついでに大泉滉がミョーに美青年であるコワさ。黛敏郎がいかにも小津作品っぽい音楽をまねて書きながらニヤニヤしてそうな(チャンスさえあれば前衛音楽に変えてやろうと狙っていそうな)コワさ……。この映画のタイトルは「お早よう」、何気ない挨拶などムダのようでいて、ムダこそが社会の潤滑油。しかし作品にはムダがなく、エピソードの連射で高密度、それに加えて小津さんの映画にしては、立ってる姿、歩いている姿が多く、若干あわただしい感じもいたしました。それにしても黄門様、ここでも飲み過ぎです、コレ本当に演技なのでしょうか。[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-08-22 23:12:37)

2020.  夕陽の挽歌 親子ほど歳の離れた二人の男。彼らが銀行強盗を働き保安官に追われる物語かと思いきやさにあらず、という訳ではなくて一応、銀行強盗したり追われたりはするんだけど、そういうオイシイ部分は殆ど描かなくて、この作品、普通はあまり描かないところを丹念に描いてます。野性の馬を捕まえるシーンなんかもう、入魂モノ(笑)。ポーカーの勝負からの一連の流れも見逃せない。という訳で、銀行強盗ってのは物語の背景に過ぎず、二人の旅路を追ったロードムービー的な作品です。というか、半分は古き良き西部劇、半分はニューシネマ。その分裂ぶりが、ゴールドスミス御大の音楽にも、よく表れています。ラストは、西部劇というものそのものに対する鎮魂歌のようでもあります。しっかしブレイク・エドワーズ、これだけの作品を作っておきながら、結局はピンクパンサーに帰っていくんだよなぁ。[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-08-20 23:52:41)

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