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プロフィール
コメント数 2395
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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281.  勝手にしやがれ!! 脱出計画 《ネタバレ》 黒沢清の90年代Vシネマシリーズ第二弾です。もちろん哀川翔はじめ基本的なメンバーは変わっていませんが、それぞれのキャラ付けが少し濃くなってきました。哀川翔=藤田雄次は割とまともそうに見えるが実はいい加減なキャラ、前田耕陽=吉行耕作はほとんどバカだけど馬鹿正直なバカ。大杉漣や洞口依子といった常連との会話などは快調なノリで、一作目よりも黒沢清の脚本の腕が上がったかなと思います。しかしストーリー自体は相変わらずVシネマらしいいい加減さ、前回で二人を引っ掻き回したキャラを女から男に変えただけのようなストーリー。ヤクザの親分の娘に惚れられた予備校生とその娘の妹が騒動を引き起こすわけですけど、この予備校生が前作のキャバクラでバイトする保母よりもさらに上を行くいい加減な不思議男、しかも誰だか知らないけど演じる男優が大根役者(妹役の女優のひどさもかなりのレベルでしたけどね)。まあラストのオチは誰でも予想が付くもんでしょうけど、そこに持ってゆくまでの展開の雑さは第一作の再現みたいな感じでした。エンドタイトルで流れる哀川翔と前田耕陽が大真面目に歌っているのが『森のくまさん』、さすがにこのセンスは理解不能です(笑)。[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-02-01 22:36:18)

282.  インドへの道 《ネタバレ》 ああ、これがデヴィッド・リーンの遺作なんですね。実はリーンの妻はインド人で、インドにはいろいろな思いがあったんじゃないかと思います。結果的に最後の作品でインドをテーマにしたわけですが、本当は『ガンジー』みたいな映画を撮りたかったんじゃないかな。 鑑賞してつくづく感じたのは、このインド統治こそが英国人および大英帝国の本性を理解させてくれるものだということでした。前半で散々見せられるアジズ医師を始めとするインド人たちの卑屈さよ、逆に言うと彼らをここまで飼いならす英国人の植民地支配の手腕こそが凄いんでしょうね。朝鮮・台湾が植民地統治だったのかは疑問のあるところですが、大日本帝国なんて帝国主義の世界ではアマチュアだったんじゃないでしょうか。そんな坩堝のような地に旅してくるいわば意識の高い系の二人の女性が、インドの持つ魔力に運命を狂わされる物語でもあります。ジュディ・デイビスは美形なんだけどその眼力というか眼つきの悪さは他の追随を許さないものがあります。この後はウディ・アレンの映画によく出ていましたね。彼女は洞窟に入ったところでそれまでインドの風物からの影響で燻っていた官能に火がついてどうしようもなくなったという感じなんでしょうね。音楽はモーリス・ジャールですけど、アデラが官能的な気分になると流れるメロディーは、どう聞いても『ライアンの娘』のメインテーマの変奏としか思えない。ジャールは本作でオスカー受賞しましたが、どうせなら『ライアンの娘』で評価してオスカーを与えて欲しかったな。同じく洞穴に入ってこだまに恐れおののいて結局死期を早めることになったペギー・アシュクロフト、この人のことは良く知らなかったけどキャリアを感じさせる手練れの演技を見せてくれてオスカー助演女優賞ゲットは納得です。やはり面白いのは、ちょっとKYなんじゃないかと思わせる浮世離れした哲学教授を演じたアレック・ギネスです。狂言回し的なキャラでしたが見事にインド人に化けていました、さすが百面相俳優の異名を持つだけのことはあります。一緒に狂言回しキャラを演じていたのがジェームズ・フォックス、最後に美味しいところを持って行った感はありました。それにしても、『ジャッカルの日』のエドワード・フォックスは弟ですけど、この当時になるとこの二人は見分けがつかないほどそっくりさんになってます。 14年も映画を撮らなかった(撮れなかった?)とは思えないほど、お得意の自然描写やストーリーテリングはしっかりしていたと思います。高齢の大監督の晩年作はメロメロになってしまうことが良くありますが、そんなところは微塵も感じさせられませんでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-31 23:10:38)

283.  マリア・ブラウンの結婚 《ネタバレ》 とにかくこの映画は、主演ハンナ・シグラ=マリア・ブラウンの惚れ惚れとするような逞しい生きざまとその美貌を堪能するのが正解です。敗戦間際にドイツ軍将校と結婚したマリア、夫は激戦の中で行方不明に。駅でプラカードを背負って夫の消息を求めるマリアですが、親友の夫からは「彼は死んだ」と聞かされます。このようなプロットはソフィア・ローレンの『ひまわり』が思い出されますが、そりゃあ監督がファスビンダーですからヴィットリオ・デ・シーカのようなメロドラマになるはずがありません。マリアは黒人米兵の愛人となって身籠りますが、そこに死んだはずの夫が捕虜収容所から帰還して黒人兵と鉢合わせになります。二人がもみ合いになるとマリアは黒人兵をビール瓶で撲殺、裁判では夫が身代わりになって有罪判決を受けて収監されます。まず驚いたのはマリアがあっさり子供を堕胎してしまうところで、あまりのサバサバぶりには「ドイツ女って怖い…」と引いてしまいます。就職した中小企業ではベッドの中で覚えた英語を武器にしてビジネス・ウーマンとしての才覚を発揮してのし上がってゆくマリア、当然の様に社長とは愛人関係になりますが、それを服役中の夫にいちいち報告するのが堪りません。とにかくこの映画では女が強い、その反面に男がみんな腑抜けや甲斐性なし、良くて紳士的で大人しいというのが特徴です。戦後ドイツおよび西独の世情がカリカチュアされていますが、それを暗喩しているのが背景音として流れるラジオ放送の内容です。戦後直後は行方不明者の尋ね人放送、やがてニュースでは西独首相アデナウアーの政策が流されついには54年のワールドカップ決勝“ドイツの奇跡”の実況にまでなります。マリアが親友のベティやその夫ヴィリーと良く訪れる学校の廃墟だけはいつまでたっても復興されず、そこだけはマリアが成人するまで育った戦前のドイツが残っているようで、その場所ではいつもとげとげしいマリアの言動も心なしか落ち着いた感じになります。西独が再軍備を開始してワールドカップを制覇した54年、マリアと夫はマリアが建てた邸宅で彼女の故意に起こしたガス爆発で吹っ飛んでしまいます。この結末にこそ、ファスビンダーの西独政治への辛辣な批評と思想性が込められているんじゃないでしょうか。 今まで観たドイツ映画に登場した女優でハンナ・シグラ=マリア・ブラウンほどその美貌が凄みすら感じさせるキャラは観たことがありません。若死にしたファスビンダーが残した“ニュー・ジャーマン・シネマ”を代表する傑作です。[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-01-28 22:12:09)

284.  アレキサンダー 《ネタバレ》 人類史上で最大の偉業を成し遂げたアレキサンダー大王、子どもの頃にこの話を知った時にはあまりに凄くて神話のお話しかと思ったぐらいです。実は他の歴史上の英雄たちと違って、本作の前に彼の生涯が映画化されたのは、リチャード・バートンがアレキサンダーを演じた56年製作の『アレキサンダー大王』しかないんですね。そんな難易度の高い題材にチャレンジしたのが、21世紀に入って誇大妄想気味になってきたオリヴァー・ストーンです。 物語はアレキサンダーの死から40年後、プトレマイオス朝のファラオに収まっているかつての部下プトレマイオスの回想という形式で進行します。家庭教師アリストテレスとのエピソードなど順当なストーリーテリングで始まったと思いきや、プトレマイオス=アンソニー・ホプキンスのいわゆる“ナレ死”だけで父王フィリッポスからアレキサンダーに代替わり、アジア遠征に乗り出しエジプトを征服しペルシャに攻め入りガウガメラの決戦までナレーションだけで進行するので、これは総集編かよ、ってツッコんでしまいました。でも中盤以降になってフラッシュ・バックしてフィリッポス暗殺とアレキサンダー即位をシークエンスとしてきっちり見せてくれ、けっこう巧みな脚本なのかなと感じます。ガウガメラの決戦・バビロン入城・インド侵入と象軍団との死闘、というところが大きな見せ場・スペクタクルとなりますが、やはりガウガメラは力の入った入魂のシークエンスで凄いスペクタクルです。個人的にはインドでの戦象との闘いには強烈な印象を受け、象がこんなに恐ろしい兵器になるとは驚きしかありません。初めて英軍のタンクに攻め込まれたWW1のドイツ兵もこんな感じだったんでしょうね。あとアレキサンダーたちが初めて猿と遭遇して(ギリシャには猿はいなかったみたいですね)、人間の言葉を喋らない小人の軍団だと驚くところが面白かったです。書物を読んだだけでは到底実感できないアレキサンダーの偉業も、こうやって映像で見せられるとイメージし易くなるもんですね。 ストーリー展開の背景では、妖しい母親アンジェリーナ・ジョリーの野望が隠し味となっています。まるでフランス革命の理想を語っているようなアレキサンダー=コリン・ファレルはいかにも現代的なのキャラクターですけど、マザコン的・BL的なキャラとしては最適な彼が大王らしいかというと首を捻るところです。あと驚かされたのは、アレキサンダーの死が側近将軍たちの毒殺という解釈が採られているところで、さすが『JFK』でケネディ大統領暗殺陰謀説の教祖となったオリヴァー・ストーンらしいですね。ということは、彼が主張したかったのはアレキサンダーが古代のJFKだったということか?[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-25 22:54:00)

285.  第9地区 《ネタバレ》 まさに“アイデア一発勝負”で製作された映画、エイリアンを難民と捉えて大量に増えたエイリアンがスラム化した難民キャンプに押し込められるという設定は斬新でしょう。でもよく考えると、地球に来たエイリアンと人類の共存というテーマは、過去にも『エイリアン・ネイション』なんかで使われているしそう独創的でもない。このストーリーを思いついた監督が南アフリカ共和国人なんで、南アフリカ共和国や周辺アフリカ諸国の現状を織り込んだ脚本はSFながらも普遍的な社会性を持つことに成功しています。だいいち、『第9地区』というタイトルは南アフリカ共和国にかつて存在した黒人隔離施設“第6地区”のもじりなんですから。しかしながら長編映画を初めて監督したというニール・プロムカンプの力量はまだまだの水準で、オスカー作品賞にノミネートされたけど監督賞にはノミネートなしというのは止むを得ないでしょう。 プロットの秀逸さは誰しも認めるところでしょうが、私には映像やアイテムは過去のSF映画の寄せ集め的な印象が拭えないんですけどね。ヨハネスブルク上空で静止する円盤は『インデペンデンス・デイ』、ヴィカスがエイリアン化してゆく描写は『ザ・フライ』、後半に大暴れするモビルスーツは『ロボコップ2』という風に既視感が強いんですよ。まず、本来宇宙船を稼働させるための燃料を身に浴びることでヴィカスがエイリアン化するのが理屈というか説得力がまるで感じられない。エイリアンの姿形や習性のグロさは観ていて拒否反応を起こす人が多そうなレベルですけど、スラム内で活動するギャング団のナイジェリア人の描かれ方も相当なもんです。まあそれを言ったら主人公ヴィカスも感情移入できない奴で、エイリアンの卵を焼き払って「中絶だ」とはしゃぐところなんか、ほんとサイテーです。こういったポリティカル・コレクトに引っかかりそうな描写は、欧米の映画では見られないものですね。面白いのはエイリアンと人類ではお互いの言語を聞き取って理解することができるのに、決して相手の言葉を喋らない(喋れない?)ところです。この変則的なコミュニケーションは、人種や宗教の違いで起こる国際社会での摩擦の一つのメタファーなのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-22 22:12:57)

286.  ウエスト・サイド物語(1961) 《ネタバレ》 ビリー・ワイルダーとならんで幅広いジャンルの映画を撮ってきたロバート・ワイズ、彼に二度のオスカーをもたらしたのが本作と『サウンド・オブ・ミュージック』というどっちもミュージカルだったというのは、ちょっと不思議。だって彼が本当にこだわっていたのはSFだったのにね。それまで音楽映画にすら縁がなかった彼がチョイスしたのがブロードウェイでヒットした『ウェスト・サイド・ストーリー』、オリジナルの演出家のジェローム・ロビンスを引っ張ってきて共同監督したけど、ロビンスは途中で解雇という後味悪い結末。この二人、言ってみれば東宝特撮における本多猪四郎と円谷英二みたいな位置づけなんでしょうね。 本作と『サウンド・オブ・ミュージック』および『マイ・フェア・レディ』が60年代三大ミュージカル映画という評価には誰も異存がないでしょうが、個人的には昔から本作がいちばん苦手なんですね。シェークスピアの悲劇を現代NYのチンピラ・チームの抗争に置き換えるという発想はたしかに斬新だったんでしょうけど、古いのかもしれないけど“明るく楽しい”という要素がないのは生理的に合わないんですよ。60年代に入ってMGMミュージカルのような作風が死滅してゆくのを象徴するような作品でもあるわけです、まあこれが行き着いた先が『ダンサー・イン・ザ・ダーク』なんでしょうね。また当時はまだ世間に知られていなかったけど、主要キャストの歌唱がほとんど吹き替えだというところも引っかかるんですよ。ナタリー・ウッドなんて自分の歌がマーニ・ニクソンに吹き替えられていたのを完成するまで知らなくて激怒したってのは有名な話ですが、こりゃあ日本の口パクアイドル・グループよりひどいですよね、だっていちおう本人たちの歌唱が流されるんですから。たしかに『トゥナイト』や『アメリカ』は歴史に残る名曲ですけど、この映画の見どころはダイナミックなダンス・シークエンスの数々じゃないかと思います。ボブ・フォッシーやはたまたマイケル・ジャクソンまでその影響を受けたアーティストは数知れず、本作の最大の功績なんだと思います。 スピルバーグが本作をリメイクしたそうですが、彼がミュージカルを撮るなんて想像すらしなかったですよ。彼もSFがホーム・グラウンドのような人ですから、手掛けてきたジャンルを考えるとある意味で21世紀のロバート・ワイズなのかもしれません。でもなんか観るのが怖い様な(笑)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-19 22:31:51)(良:1票)

287.  また、あなたとブッククラブで 《ネタバレ》 大学時代の友人四人は40年間毎月一冊の本を一緒に読む読書会を続けている。四人は大学卒業後にそれなりに成功して、ホテル・オーナー、連邦判事、レストランのオーナー・シェフ、一人は卒業後すぐに会計士とできちゃった婚して一年前に夫が病死するまで幸せな結婚生活を送る。それなりに優雅な人生を送ってきた四人だが、ブッククラブのテーマとして『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』を読んだら眠っていた女の性欲が蘇ってきました。 この四人が、ジェーン・フォンダ、キャンディス・バーゲン、メアリー・スティーンバージェン、そしてダイアン・キートンというのがこの映画のウリです。この組み合わせは確かに今まで観たことない貴重さはあります、監督はロバート・レッドフォードの片腕として数々の作品でプロデューサーを務めた人、そういう人脈があってのこの豪華な顔ぶれとなったんじゃないでしょうか。お話し自体は『セックス・アンド・ザ・シティ』の超熟女バージョン、そして既視感バリバリの今まで散々観てきたラブコメの熟女版としか言いようがないですね。そりゃ芸達者な四人ですから、それぞれのラブ・アフェアーではみないい演技を見せてくれるんですが、四人が集まるシークエンスになるとなんかつまらなくなるんです。これは四人の個性を生かしきれなかった脚本のせいかと思いますが、だいたい半分も観るとオチが完全に判ってしまうというありきたりなストーリーテリングも良くなかったんじゃないかな。各人の恋のお相手もアンディ・ガルシア、ドン・ジョンソン、リチャード・ドレイファスとこれまた豪華な顔ぶれ、なかでもドン・ジョンソンのカッコよさには惚れ惚れさせられました。まあ身も蓋もない言い方すると、熟女が盛りの付いたJKみたいにはしゃぎまわるラブコメというところですが、甘いかもしれないけどギリギリ合格点を進呈いたします。 女優としてのキャンディス・バーゲンを久しぶりに観た気がするけど、それにしても貫禄付いたよなぁ…[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-01-16 22:32:10)(良:1票)

288.  サンセット大通り 《ネタバレ》 70年前の映画とは思えない、現代の眼で観てもまったく古さを感じない鬼のような傑作。海外の映画サイトやキネ旬のオールタイム・ランキングには当然ランクインしていますが、面白いことに近年になってどんどん順位がアップしています。 死者のモノローグは『深夜の告白』でも使ったワイルダーお得意のストーリーテリングですね。この映画の凄いところは、ウィリアム・ホールデン周辺の仲間たち以外、つまりグロリア・スワンソン=ノーマ・デズモンドや登場する実在の映画関係者たちが、みんなセルフ・パロディとして登場することです。ノーマとブリッジをするメンバーは三人とも実在のサイレント時代のスターですが、この人たちを“蝋人形”だとモノローグで言わせちゃう脚本がエグい、その中の一人はバスター・キートンなんですからね。グロリア・スワンソンにしてもよくこの役を請けたなと感心します、グレタ・ガルボやメイ・ウェストには当然のごとく拒否されてますからねえ。『何がジェーンに起こったか?』のベティ・デイビスとジョーン・クロフォードの先駆けだったと言えるでしょう。ノーマのセリフにもあるようにサイレント時代の女優は顔というか表情で勝負、スワンソン自身もまるで歌舞伎の大見栄を切るような大芝居の連続で、ここは彼女のサイレント女優としての本領が発揮できたんじゃないでしょうか。そんな中でセシル・B・デミルだけはノーマに優しいいい人キャラ、さすがパラマウント映画の大御所・大監督だけあってワイルダーも忖度してしまったのかな(笑)。ノーマとマックス=エリッヒ・フォン・シュトロハイムの関係なんかも始めは不気味に感じるけどだんだん感情移入してきて、ラストの映画監督に戻って指示を出すところなんかは心に染みます。 この映画はフィルム・ノワールの傑作と分類されていますけど、私はビリー・ワイルダーが生涯撮った唯一のホラーじゃないかと思います。[CS・衛星(字幕)] 9点(2022-01-13 22:06:54)

289.  グラディエーター 《ネタバレ》 映像の素晴らしさは、さすがリドリー・スコット。とくにコロッセウムの再現はそれだけでスペクタクル、劇中の初めてコロッセウムを観て驚愕するグラディエーターたちと同じくして観てる私たちも息を吞まされます。コロッセウムの遺跡の真ん中のゴチャゴチャした部分、当たり前ですけどその上にはグラウンドみたいな平面があったんだということがこの映画を観て初めて実感できました。ストーリー自体は『スパルタカス』と『ローマ帝国の滅亡』を融合させたような展開、正統的というか遊びのない語り口は少々重すぎる感は否めません。感動的なラストも、音楽の使い方も含めてまるで出来の良いマイケル・ベイ映画みたいな印象すらあります。マルクス・アウレリウス帝の暗殺やコンモドゥス帝の死はもちろんフィクション、というかこのあたりは『ローマ帝国の滅亡』のパクりと言っても過言じゃないでしょう。でもサイコパス皇帝を演じたホアキン・フェニックスの演技は鬼気迫るものがあり、やはり後年にジョーカーを演じて世界を震撼させる人です。そして自分がもっとも感銘を受けたのは、撮影中に急死したオリヴァー・リードの存在感です。この人は容貌魁偉な風貌で60年代以降の英国映画界を代表する怪優ですが、演じたプロキシモは『スパルタカス』でのピーター・ユスティノフに該当する役柄になるでしょう。最後はラッセル・クロウを助けて堂々と死んでゆくのですが、この殺害シーンは代役が後ろ姿だけを見せて撮影されたそうです。あと十年長生きしてくれたらオスカー受賞するような演技を残せたかもしれないと思うと、残念です。[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-10 22:01:01)

290.  セックスと嘘とビデオテープ 《ネタバレ》 これを撮ったときソダーバーグ26歳ですか、26歳の若造が撮る映画じゃないですね、いろんな意味でね。このまま舞台劇にできそうな登場人物ほぼ四人だけの濃密な演技合戦。“セックス”“嘘”“ビデオテープ”とはこの映画の主旋律を構成する三要素だけど、ひとつ大事なモチーフが抜けていますね。それを加えればこの映画は『セックスと嘘とビデオテープと精神分析』というのが題名としては相応しいんじゃないかな、ちょっと字余り的な心地悪さは否めませんけどね(笑)。ファーストシーンからしてセラピーを受けるアンディ・マクダウェルだし、まるでキンゼイ博士みたいに女性が性について語るビデオ映像を集めるのが趣味のジェームズ・スペイダーだって、そのインタビュー自体がセラピーみたいなもんでしょ。ラストで攻守逆転、マクダウェルがセラピスト・インタビュアーみたいになってスペイダーに挑んでくると、それまで超越的でクールだったスペイダーも悪戯がばれたガキみたいにしどろもどろになるところが面白い。考えてみると、おカネを払ってまで他人に自分のことをペラペラ喋ってすっきりするって、アメリカ人ってほんと変わってます。登場人物四人にはしょうじき誰にも感情移入できませんけど、こういういかにもカンヌ映画祭が好きそうな前衛的なテーマを、ギリギリな線でエンタティメントに仕立て上げたソダーバーグの力量は大したものです。一言いえば、本作で絶賛されたジェームズ・スペイダーのキャリアが伸び悩んでしまったことは残念です。イイ役者なんだけどなあ。[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-07 22:33:16)

291.  アップグレード 《ネタバレ》 よく考えたらツッコミどころに事欠きませんが、才人リー・ワネル手にかかるとそんなことは気にならず観る者をグイグイ引き込むお話しになっちゃうんだからさすがです。言ってみれば人間とAIのバディムービーみたいな要素が濃厚なんですね、その主人公がジェラルド・バトラーみたいな髭面の一見マッチョ・キャラですが、意外と真面目な常識人で敵を殺すと激しく動揺するのは捻った設定です。妻を殺されたことに対する割と単純な復讐劇思いきや、ラストは予想を超えるダークな展開、イイ脚本じゃないですか。あの一瞬夢オチかと思わせるバッド・エンドは、『エンジェル・ウォーズ』を思い出してしまいました。そしてまるで『オーメン』を彷彿させるようなラストでもあり、これからは悪魔に代わってAIがオカルト・ホラーの悪役になってくるような予感がします。 考えると、ここ10年は豪州出身の映画人が絡むSFやホラーの秀作が目立ちますね。これからは韓流じゃなくてオージー流なのかもしれません。[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-04 22:35:31)(良:1票)

292.  勝手にしやがれ!! 強奪計画 《ネタバレ》 まあどっから観ても『傷だらけの天使』へのオマージュというか焼直しです。哀川翔と前田耕陽は言うまでもなく、洞口依子は『傷天』の岸田今日子で大杉漣は岸田森の役柄というわけでしょう。黒沢清は自分の趣味に合わない監督だけど、Vシネマでコメディということもあっていつもの臭みもなく安心して観れました。とは言え「可もなく不可もなく」というのが正直な感想。なんか主役二人が目立たないんだよな、その分疫病神・七瀬なつみが美味しいところを持って行ってしまった感が強いですね。真面目そうな風貌な保母さんなのに夜はキャバクラ・ホステス、ノミ屋で200万も馬券に突っ込んで踏み倒すという予想もつかないキャラ。けっきょくこのキャラに頼ったストーリーテリングで結末はいい加減というか出鱈目な終わり方です。まあ、深く考えなければそこそこは愉しめるし、お正月休みの暇つぶしにはちょうど良いかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 5点(2022-01-01 23:00:53)

293.  ポルノ時代劇 忘八武士道 《ネタバレ》 忘八とは、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳目を全て失った人間を指し転じて郭がよいに精を出す男や妓楼の主に対する蔑称、ほとんど江戸時代の差別用語みたいなもんです。小池一夫原作の劇画の映画化で、吉原の廓名主に雇われる浪人者・丹波哲郎が主人公です。この丹波の役名が“明日死能”、これで文字通り“あしたしのう”と読ませるところがふざけているというか、ぶっ飛んでいるというか…でも長髪の中年ロッカーみたいな風貌でむかし使った丹下左膳のお古のような衣装、なんですけどムダにカッコよくてやたらに強い。冒頭の殺陣から血しぶきが凄いし首は飛ぶはですけど、石井輝男の持ち味のヘンな悪趣味は最小限に抑えられている思います。“ポルノ時代劇”と銘打って吉原が舞台なのでそりゃ遊女のハダカはゲップが出るほど見せられますが、さほどエロくはない。麻痺しちゃったのかもしれませんが、言ってみればヴァーホーベンの『ショーガール』に通じるところがあるのかもしれません。見どころというとひし美ゆり子が脱ぎまくっていることで、あのアンヌ隊員がと思うと感無量です。彼女が率いる“女忘八”なるくのいち軍団みたいな集団が登場し行き掛かり上みんな全裸になる展開、その女忘八軍団が内田良平演じる黒鍬者と全裸のまま斬り合うという珍シーンもあります。とは言え荒唐無稽なストーリーながらも吉原のセットなどはけっこう良くできていて、そう言うところはさすが東映です。ラストもアヘン中毒にされた丹波が捕り手に囲まれて壮絶な斬り合いを繰り広げる、まるで『雄呂血』みたいな余韻がありました。 今まで観た東映ポルノの中ではもっともハダカを見せられた気がしますが、ゲテモノではありますが言われているほど酷い映画じゃなかった気がします。まあ、人にはお奨めできませんけどね(笑)。[インターネット(邦画)] 5点(2021-12-30 22:55:02)

294.  1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 第一次世界大戦中、アドルフ・ヒトラーは西部戦線で四年間伝令兵として従軍して最終階級は伍長でした。戦闘能力や指揮能力が認められれば一兵卒でも将校以上に昇進することが珍しくなかった当時、ずっと伝令兵で伍長どまりだったというのはヒトラーの生涯の謎の一つとして歴史研究者を悩ませています。大戦最終年の西部戦線ではドイツ軍は攻勢につぐ攻勢で、歴戦の古兵は攻撃の要として重宝されたはず、まあヒトラーは自分が語るほど有能な兵士じゃなかったってことでしょう。でも本作を観る限り、最前線で突撃するわけじゃないけど伝令はかなり危険な任務だったことは理解できます。ヒトラーの伝令兵仲間も、ほとんどが戦死したそうです。 “全編ワンカット撮影!”というのがウリの映画ですが、十数キロ離れた地点まで伝令が行くというお話しが二時間程度のワンカットで撮れるはずがない、と訝しんで観始めました。やはりちゃんとトリックというか編集点がありまして、スコフィールドが橋を渡って建物内で独狙撃兵と相撃ちになるシークエンス、それは白昼の出来事でしたが夜明けの一時間前までその後ほぼ半日も失神しているんですね。他の映像も複数の長回し映像を巧みに繋げたいわばワンカット風映画なわけですが(でもその撮影技術は驚異としか言いようがない)、この場面では完全にネタばらししたようなもんでしょう。今まで撮られたワンカット(風)映画は室内劇や限られた空間でのロケ撮影で製作されていますが、これほど大規模な戦場風景がまるで個人の観ているような視点で見せられると、まさに「コール・オブ・デューティー」のようなRPGゲームの映画版という感じです。考証は行き届いていて、とくに英軍に比べて異様に豪華で立派な造りの独軍塹壕などは良く調べているなと感心しました。コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロングといった大物俳優をそれぞれワン・シーンだけ登場させるというのも贅沢過ぎです。強いて難をつけるとすれば、大量消耗戦に麻痺してしまっていた西部戦線の実情から、将軍や大佐などの幹部の対応がかけ離れているところです。史実を観ると当時の将軍たちの自軍の人的損害に対する無神経さは驚愕レベルで、実際のところ1,600人の戦死者なんて彼らにとってはかすり傷みたいなもの、まさに“西部戦線異状なし”って感じでしょう。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-27 21:49:59)(良:1票)

295.  メトロポリス(1926) 《ネタバレ》 本作は、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』エリッヒ・フォン・シュトロハイムの『グリード』と並んで20年代を代表する三大超大作と称されているそうですが、もちろん有名なのはこの『メトロポリス』でしょう。これぞまさに、『2001年宇宙の旅』に匹敵するSF映画史上に残るオーパーツ的な存在です。でもオリジナルでは三時間近かった上映時間のうち25%のフィルムが散逸してしまったというのは残念なことです。 サイレント映画はさほど観てきたわけではないけど、修復版の鮮やかな映像を観るとその映像の造りこみ方は感嘆するほかないですね。とくにアナログな手法ながらもその合成技術は凄いの一言です。またメトロポリスの都市デザインがとても20年代の発想とは思えないレベル、中でもチラッと映る屋上に五角形のヘリポート(?)がある高層ビルは、『ブレードランナー』に登場するポスターにも使われているビルと映されるアングルまでそっくり、これは明らかにオマージュですね。サイレント映画ですから当然セリフはなし、でも字幕は必要最小限しか使われてなく当たり前ですが映像と俳優の動きだけで十分に伝わるその情報量、一から十までセリフで説明しようとする最近の日本映画界は爪の垢でも煎じて飲みなさい。あの有名なロボット・マリアの登場シーン自体はわずかですけど、ブリギッテ・ヘルムのコピーされた邪悪なマリアの演技が鬼気迫ってます。彼女はスタントでも良いのにラングの指令でロボット・マリアのスーツ・アクターまでさせられおまけに火刑のシーンでは実際に目前で火がつけられ、「二度とラングとは仕事をしたくない」とインタビューに答えたそうです。メトロポリスの歓楽街がヨシワラと呼ばれているのは笑ってしまいますけどね。マリアというかこの映画の根底にはキリスト教的な思想が色濃く感じますけど、フリッツ・ラングと違ってナチスに心棒してドイツに残ったテア・フォン・ハルボウの脚本とは思えない、人って不思議なものですね。 ロボット・マリアはもちろんのこと、うなだれてゾンビの様に隊列を組む労働者やメトロポリスの都市デザインなど、この映画が後世に与えた影響は計り知れないものがあります。やっぱ死ぬまでに観ておくべき映画のひとつでしょうね。[DVD(字幕)] 9点(2021-12-24 23:31:32)

296.  パラサイト・バイティング 食人草 《ネタバレ》 典型的な低予算B級ホラーと舐めてかかってはいけません。製作はドリーム・ワークスでエグゼクティブプロデューサーはベン・スティラー、音楽グレーム・レヴェル・撮影監督ダリウス・コンジとスタッフも一流です。『シンプル・プラン』のスコット・スミス書いた小説が原作ですけど、ピラミッドの頂上というほぼ限定された空間は、独創的な映像アイデアだと思います、予算も節約できますしね。この映画の上手いところは、必要最小限の情報しか観客に与えないことでしょうね。ピラミッド自体はマヤ文明の遺跡らしいけどなぜその周囲にだけ食人草が生えているのか、原住民たちは若者たちをすぐに殺さずにピラミッドの頂上に追い詰めたのか、そもそも連中は何者なのか?こういう不条理とも言うべきストーリーテリングは自分の好物です。モンスター・ホラーと言っても食人草自体は積極的に攻撃してくるわけでもないのですが、着信音を音声模写(?)して獲物をおびき寄せるところなんか、はっきり言って荒唐無稽ですけど昆虫が使う擬態が連想されてゾッとします。けっきょく本作で怖いところは食人草よりもドツボにはまって自滅してゆく五人の運命で、これはほんと文字通り痛々しい。“石で骨を粉砕してナイフを使って両脚を切断”なんて、良くこんなこと考えつくなと感心してしまいます。この映画は、食人草よりも極限に追い詰められた人間がとる痛々しい行動に恐怖する種類のホラーなんです。B級ではありますが、掘り出し物と言えるホラーなんじゃないでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-12-21 19:41:10)

297.  タンポポ 《ネタバレ》 『お葬式』に続く伊丹十三の監督第二作目ですけど、この初期二作はサブカル寄りの視点が濃厚で次作『マルサの女』からは社会派的な作風に変化します。でもこの『タンポポ』こそが伊丹の作家性がもっとも色濃く出ているんじゃないかと私は感じます、海外でも評価が高いというのは納得です。 世はあの『美味しんぼ』の連載が始まったころ、膨らみ続けるバブル景気の熱気の中で日本人の関心が食に向き始めてきます。その中であえて伊丹が今でいうB級グルメ的な位置づけだったラーメンをテーマに選んだところは秀逸な観点で、これこそまさに食のサブカルと言えるでしょう。設定やディティールは“ラーメン・ウェスタン”と称するだけあって西部劇のカリカチュアと捉えることができ、登場人物たちを漫画チックなキャラにマッチした撮り方だと思います。ストーリーと並行して挿入される食にまつわるエピソードというか小話がこれまた絶妙。駆け出しの頃だった役所広司を始め、豪華な大物たちがショートコントみたいな寸劇を見せてくれるとはなんと豪華なことでしょう!でもまだ無名だった役所の白服の男の存在感は大したもので、とくに洞口依子との牡蠣のエピソードはヤバいですね。初期の伊丹作品では劇中に一か所はフェティッシュなエロをぶち込んでくるのがお約束ですけど、その中でも直接的な脱ぎや表現はないこのエピソードがエロ度最高峰じゃないかと自分は思います。そして食の映画でもっとも大事なのは、その料理がいかに美味しく見せるかということです。その点では本作でのラーメンは、たとえ深夜に鑑賞していても食べたくてしょうがなくなるまさに“飯テロ”と言ってもいいんじゃないでしょうか。今や定番のネギラーメンは、本作がきっかけで全国に広まったという説があるそうです。あとあまり認識されていないようですけど伊丹十三は音楽のセンスが絶妙で、役所広司のエピソードでのマーラーの使い方は『ベニスに死す』に匹敵するんじゃないでしょうか。 製作から35年経ちましたが、いまだ本作を超える食がテーマの映画は日本映画界では撮られていないのが現実です。[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-12-18 22:14:38)

298.  ドレミファ娘の血は騒ぐ こりゃあ、にっかつから納品拒否くらったというのは当然かもしれません、ATGに持ち込んだ方が良かったんじゃない?というか、PFF(ぴあフィルム・フェスティバル)に当時エントリーされていた自主映画とどっこいどっこいです。スタッフは塩田明彦・万田邦敏といった黒沢清と同じ蓮實重彦門下生が終結しているし、プロと言える俳優は伊丹十三・洞口依子・麻生うさぎぐらいで、その他大勢の学生役にも黒沢と同じ界隈を集めて素人演技を見せてくれる。おまけにストーリーと表現方法は青臭くてなおかつ理解不能、まったくどこを褒めたら良いのか頭を抱えてしまいます。まあこの映画の果たした唯一の役割は、伊丹十三と洞口依子を結びつけたことしかないでしょう。『タンポポ』『マルサの女2』で彼女は鮮烈な爪あとを残してくれました、その後の黒沢清作品の常連にもなりましたけどね。[CS・衛星(邦画)] 2点(2021-12-15 21:16:23)

299.  ワイルド・アパッチ 《ネタバレ》 54年の『アパッチ』ではバリバリのアパッチ戦士だったバート・ランカスターが、18年後の本作では年老いたアパッチ・ハンターを演じるというのは時の流れの残酷さを感じさせられます。もういい歳なので身体が動かなくなっているのであの驚異の身体能力を見せる場面はありませんけど、彼が70年代に見せた円熟味に溢れる演技は堪能できます。監督のアルドリッチも『ヴェラクルス』以来のコンビ、お互いに知り尽くした仲というわけです。 70年代ですからヘイズコードはとっくに撤廃されていますが、容赦ない残虐描写は『ソルジャー・ブルー』以降の西部劇の風潮だなと感じます。前半でアパッチに襲撃された避難民の女性が護衛兵に眉間を撃ち抜かれるシーン、レイプされてなぶり殺しになるよりはという慈悲ですけど、70年代までの西部劇で顔に銃弾が当たるところは初めて観た気がします。その兵士も銃を口に突っ込んで頭を吹き飛ばして自決しちゃいますが、その死体を切り裂いて内臓(らしきもの)を引っ張り出しちゃうアパッチがこれまたエグい。この映画は『ソルジャー・ブルー』と真逆で、アパッチ側の残虐行為を何度も見せられることになります。アルドリッチはこの凄惨なアパッチ追撃戦を感情が極力排されたドライな視点で撮っています。アパッチ戦士ウルザナの暴れっぷりは無軌道というよりも戦略的で、中盤以降はマッキントッシュとウルザナの知恵比べというか騙し合いの様相を呈してきます。騎兵隊を率いるデ・ビュイン少尉=ブルース・デイヴィソンも士官学校出たばかりで牧師の息子といういかにも実戦では部下が苦労させられそうなキャラ、『いちご白書』の人ですからもう適役としか言いようがないですね。追う側も追われる側もそれぞれキャラが立っていて、緊迫感を盛り上げるアルドリッチの手練れた演出手腕もあり、70年代西部劇の傑作の一つと言っても過言ではないでしょう。 本作もそうですが、70年代の先住民との争いが絡む西部劇を当時進行中のヴェトナム戦争に絡めて論じる風潮があります。そういう意図があった作品もあるかもしれませんが、そんなリベラルぶった見方がエンタティメントとしての西部劇が衰退していった遠因じゃないかと私は思います。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-12-12 22:07:49)(良:1票)

300.  マクマレン兄弟 《ネタバレ》 才人エドワード・バーンズがサンダンス映画祭で作品賞を獲得した監督デビュー作。物語は33歳の長兄と20代の弟二人のアイリッシュ系三兄弟が軸となります。アイルランド系といえば切り離せないのがカトリック信仰ですが、三兄弟の真ん中のエドワード・バーンズ以外はしっかりした信仰を持つ人物像となっています。三人はそれぞれ教師・脚本家・大学生として社会生活を送っているのですが、みな恋愛問題や女性トラブルが進行中で、いくら十戒で戒められていようとも性本能だけは信仰ではコントロールできないってのがミソ。長兄は不倫、末弟は彼女の妊娠と大事になりそうなトラブルが起こりますけど、なんかふんわりと事が進んで単なるエピソードとして語られるのがこの映画の特徴です。ストーリーラインが弱いと言っちゃえばそれまでですが、それを補って余りあるのがバーンズの俳優たちの自然な演技を引き出す巧みな演出です。アイルランド系アメリカ人というとすぐ頭に血が昇るようなイメージがあるんですけど、そういう場面は一切なくてほんわかした心地よい兄弟関係でした。この三兄弟は個性はバラバラですけど、三人のうち誰かに感情移入したくなる魅力的なキャラです。 本作はロバート・レッドフォードに気に入られてサンダンス映画祭にエントリー、そしていまや良作をリリースすることで定評あるFOXサーチライトが設立第一弾配給作に選んだ隠れたインデペンデント映画の名作です。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-12-09 22:39:00)

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