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プロフィール
コメント数 2534
性別
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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341.  予告犯 《ネタバレ》  戸田恵梨香(この人の映画見るの、2ヵ月の間に3本目ですな)はなんかちょっと違うんでないか?と。極端な味付けをし過ぎていて。あんな延々ギスギスした演技ばかりしてたんじゃ、んなヤツぁいねーよ、とツッコむしかない訳で。過去の回想シーンとの対比で「だからこういうキャラなんです」ってのは安直に過ぎる気が。で、やっとラストの方でキャラ的に救われるんですが、それがまた本来あり得ないシチュエーションでしか救われてないっていう。刑事だったらあんな行動は取らないよね・・・。そこら辺、ホントに作り物臭くて、また他のメンバーは『SP』の出来損ないのようでもあり、警察側は見ていてかなり厳しい出来な感じ。  一方、犯罪者側はよくできていたと思います。中二病をこじらせたクズのように見せながら、薄皮を徐々に剥いでゆくようにそこに至る悲劇と、でも悲劇だけに終わらない、彼らなりに獲得できた幸せな時間とが明らかになっていって。  名前が映画を貫くキーワードになっていて、名無しの時代に損得勘定でなく名前を持つ人間同士で繋がりたいと願う、切ない話。ネットが普及して誰でも世界に向けて情報が発信できる、けれどその解放されている筈の世界の閉塞感は一体どうした事か?と。底辺で足掻くしかなかった名無しの束の間の輝きが胸に迫ります。  新聞男4人+ヒョロ+インターネットカフェのバイト、役者の好演で存在感を得た彼らによって、映画はこの時代を映す意外な拾い物になっていました。[映画館(邦画)] 7点(2015-06-11 20:40:54)《改行有》

342.  トゥモローランド 《ネタバレ》  謎をひっぱり過ぎたせいか、知りたいところがちゃんと見えてこない困った映画。  ユートピアがどのような意志によって成立していったのか、そしてそれが何故独裁者が支配する排他的世界へと至ったのか、その辺がどうも明確でないので映画全体がモヤモヤとした印象。とにかく肝心の後半がバタバタ。世界は大量のセリフによって説明され、それを咀嚼する間も与えられず少人数な登場人物のまま戦いが行われ世界は救われました、みたいな。  見終わって、なんかヘンな映画って感覚は否めません。  でも、それでもここまでいっぱい好きなものを並べられてしまうとね、低い点数付けるわけにもいかなくて。  最初のディズニーお馴染みシンデレラ城から既に世界は夢のトゥモローランド。レトロフューチャーなデザインの中にちゃんとディズニーランドのトゥモローランドのデザインも紛れ込んでいて(スペースマウンテンなんかハッキリと存在を主張してます)。  昭和の昔に少年少女が夢見た希望に溢れた未来都市がこうして明確な形でヴィジュアル化されているのを目の当たりにして、ときめかない訳がありません。  数々のSF映画のオマージュ(っていうかモロなモノいっぱい)まで散りばめられたそこは幸せに満ちた映像空間。  そして都市の守護女神の名を持つアテナ。クラシカルな魅力を持った謎の美少女。彼女の存在によってこの映画はまばゆい輝きを放ちます。想像もしなかった彼女の意外な見せ場も満載で(笑)  セリフで語られるテーマは安直に思えますが、でも、実際にそういう夢を見ていた人々が、今、未来に希望を見いだせなくなっているという現実。この映画に対する批判に多く見られる選民意識、それを感じるならば、それこそが未来に希望を抱けていない事の証明のような気もします。何故自分は選ばれる側の人間だと思えないの?と。夢と希望を持ち努力する全ての人間にトゥモローランドは開かれる、そんなオプティミスティックなメッセージを受け止める事がポイントだと思います。  『鉄腕アトム』と『メトロポリス』と『火の鳥2772』を足したような、本当に手塚治虫な世界の映画で手塚ファン必見の作品でもありました。[映画館(字幕)] 9点(2015-06-09 21:47:31)(良:2票) 《改行有》

343.  夫婦フーフー日記 《ネタバレ》  一体、何が描きたかったのか掴めませんでした。  死んだはずの妻が生前と同じように目の前に存在していて、という部分が映画の主題にはなっていません。それは必ずしも大事な設定ではない、一要素に過ぎないと。で、そこから笑いがそんなに生み出される訳でもなく。  その上で、とてもチグハグな印象を与えるのが、時系列がバラバラな構成と、長回しによる1シーン1シーンの長さ。時系列がバラバラなクセに物語はさして動かず、なので一体何故わざわざ崩したのか意味不明で。流れが分断される事でドラマ性はスポイルされ、感情移入は拒まれ、感動は薄まってゆく、よって長回しは無駄に長いシーンと感じるばかり、という。  そこから死んでゆく事、残される事について、感情的にではなく事象として冷静に向き合ってみましょう、とでも言いたいのかもしれませんが、映画側が一方的に酔っているように見えて、何か主人公の自己陶酔のように見えてしまいます。もっとエピソードを重ねても良かったんじゃないかと。  なんかこのところ擁護するように「役者は良かった」って毎回書いてる気がしますが、これもまあそんなところで。  時系列バラす、長回し、BGMをあまり使わず会話シーン主体、そして幽霊話があくまで主人公の中だけに終始する、とまるで映画ごと自己完結しちゃってるようで、やってる方は繊細なつもりだけど見てる側からすると雑な映画、という印象でした。[映画館(邦画)] 4点(2015-05-31 20:52:56)《改行有》

344.  新宿スワン 《ネタバレ》  演出は特に語るべきものも無く。強いて言えば「安っぽいタランティーノ」?  問題は脚本ですね。マンガ原作をまとまりの無さの免罪符にしてる、原作がマンガだから脚本もこの程度で仕方ない的な仕上がり。エピソードが羅列されるばかりで流れが無いのでダラダラした印象。  それでも男側のエピソードにはまだ起承転結があるけれど、女側はただ状況があって結末がある(あるいはそれも無い)だけ。まるでドラマが形成されておらず、セリフにあった「女を道具にしている」状態を映画自体が実践しているという皮肉。  栄子の腕にリストカットの痕が無数にあるというのは栄子の設定を語っているだけで、具体的な要因となる描写も無く自殺へと至ったところで、そこにドラマは生まれません。「元々死にやすそうだった娘が死んで悲しい」と龍彦のキャラを立たせるためだけに存在しています。  それに比べればアゲハは幾分マシな扱いを受けているようですが、道具的なポジションという意味では実は栄子と一緒。栄子の反省もなくエピソードを重ねているだけに見えます。  まあ、いかにも「オッサンが作った映画」ではあります。  見せ場と言えば格闘シーンなのですが、どれも同じような撮り方で、肝心なクライマックスも盛り上がりに欠ける感じ。  そんな映画での見どころと言えば、山田孝之と伊勢谷友介の顔。二人のキレのあるオトコの顔がこの安っぽい映画にシャープな印象を与えています。綾野剛も普段のカッコつけた役よりもこっちの方が似合ってる感じでヘラヘラとバカっぽい役がハマっておりますが、山田孝之と対峙してしまうと、ちょっと格の違いが出ちゃうなぁ。  風景的な新宿らしさは出てたと思うので、東京観光をした気分にはなれるんじゃないかと。その内側で生きる者のドラマはともかくとして。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-31 20:18:23)《改行有》

345.  ピッチ・パーフェクト 《ネタバレ》  困ったなぁ。結構良かったんですよ。笑えるし、エキサイティングだし、感動もできるし。でも。  全体的にはコメディで軽め。結構、描き足りていないエピソードがある感じ。恋愛部分はかなり物足らないですし、父親とのわだかまりも類型的で薄べったい、基本的なキャラ設定レベルの背景があるだけ。メンバーでキャラ立ちしているのは半分程度ですし、寮のルームメイトの韓国人の扱いは殆どどうでもいいレベル。  それに悪役ポジションの存在に最終的に全く罰を与えていないのが気になりました。ヤツはあのままでいい訳がないのですが。  それでも、スタイルに固執して退屈なパフォーマンスしかできなかった大学のアカペラ・グループが個性的な新入生を寄せ集め、バラバラでまるで調和していなくて、それぞれ反目しながらも実力を付けて上を目指してゆく、それはそれは熱いドラマを見せてくれます。  主人公ベッカを演じるアナ・ケンドリックは表情の変化に乏しい気もしますが、『イントゥ・ザ・ウッズ』の冴えないシンデレラよりは血が通っている感じですし、突き抜けたおデブの“ファット”エイミーや、ちいさな声で恐い事を言う東洋人リリーが魅力的。  ライブ・パフォーマンスシーンは鳥肌モノですし。  で、だけど最大の問題はゲロネタ。この映画の場合、ちょっとしたお笑いのために出てくるのではなくて、ドラマの中心に存在しちゃってる状態なんですよね。ゲロネタやめて、ってこれまで何度も何度も何度も書いてきてるわけですが、これは他とはレベル違い。かなりヤバめで。映画見てる間に具合悪くなりました。なので、良かったのだけれども、もう二度と見たくない映画になってしまっていて。もう少し他の何かにできなかったんでしょうかねぇ。ゲロで笑い取る映画ってのが苦手なので大減点状態になってしまいました。カンベンして・・・[映画館(字幕)] 5点(2015-05-29 21:32:30)(良:2票) 《改行有》

346.  イニシエーション・ラブ 《ネタバレ》  ラストのネタバレすんな、という注意メッセージが冒頭に出てくるので、なるべくそれに則って。全く触れずに感想を書くのはさすがに難しいのですが。でも、そのメッセージの書体からしてふざけてるような感じで、本編でもちょくちょくおふざけが顔を出し、ああ、やっぱり私の嫌いな堤幸彦作品だよ、と。  まず、ラストに明かされる真相、アレは「そういう事なんじゃないの?」って仮定して見てたらその通りだったので、意外性も何もなく、あーあ、やっちゃった、って感じで。やっちゃったのは映画側じゃなくて私の側ですが。ヘンにアレコレと読み過ぎて面白さを消してしまうっていう。  でも、見終わって考えると、その真相を隠すためのテクニックが随分とあざといんですね。映画のセオリーを破ってまで騙そうとしてます。ルール違反状態。  そして、もっと気になったのが堤幸彦って人の毎度の不真面目っぷりが結果的に映画を疑問や不信感たっぷりなものにしてしまう事。  ラスト、あっちゃんが随分と・・・に思えるような描き方になっているわけですが、でも、女性としてかなり一方的に傷を負ってるんですよね? そこをラストのアップで「でも、それはそんな大した事じゃないよ」って帳消しにしちゃってるように思えるんですよ。男が男なら彼女も彼女、みたいな扱い、オチを付ける事で軽い笑いへと転化されてしまうような無責任な姿勢。そうじゃないでしょうに。異様なテンションやバカくさいエフェクトも含めて、この人いつもそう。  80年代を舞台にした青春映画って事で、世代的には私はどストライクだったりするのですが、そのノスタルジーですよ、って要素は「だから?」としか言い様がなく。これ見よがしに並べ立てられたところで恥ずかしいばかり。シーンに合わせて流れる当時の歌なんかは特にそうなのですが(イントロちょっと聴いただけで曲名がすぐ判るレベルの歌の数々)、これは原作由来なようで、そっか、原作からして恥ずかしいのか、と。  全編、騙しのための細工と懐かしネタで散りばめられた映画、だけどその陰に隠されてしまった痛みや切なさ、そここそが本来は大切なんじゃないの?と思うのでした。世代的に、ちょっと馬鹿にされた気分。あっちゃんは良かったんですけどねぇ。[映画館(邦画)] 4点(2015-05-26 21:12:51)《改行有》

347.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》  ティーン向け小説の映画化で3部作の1部目とか、コレ絶対ダメなヤツじゃん!って思ったのですが、意外にも面白くて。  このテの何部作モノ映画って最初に設定の説明を延々とし始めるような、いつになったら本題に入るのよ?ってシロモノが多かったりするのですが、コレは主人公が記憶を失っていて、一体そこがなんなのか全く判らないという設定。観客は主人公と共に物語の進行によって世界を知ってゆく構造になっています。ロールプレイングゲームによくあるテではありますが。  しかも、主人公が訪れた事でそれまでの世界に変化が訪れ、更にこれまで若い男だけだった世界に最後の一人としてヒロインが現れて更なる波乱を生んで、といった感じでどんどんと状況が転がってゆきます。「一体どうなっているんだろう? これからどうなるんだろう?」という興味がずーっと続いてゆく状態ですから、映画に対する意識の集中が途切れてしまう事がありません。  で、「このダンジョンの中だけで3作かけて延々出口探しするのかいな? 中でグダグダと人間同士の葛藤のドラマとか見せられちゃうのかいな?」と思っていると全然違って。葛藤はあっても状況が追いかけてきますから、物語はどんどんと先に進みますし、この映画だけでひとつの完結を見せ、また次なる展開へと続いてゆきます。最近の邦画の何部作モノにありがちな、儲け出すために分けました的な、1本では全然成立していない内容の薄い作品と違って、ちゃんと映画1本見た、っていう満足感はあって、そして続きも見たい、という気持ちになって。  難点としては主人公がワリと軽率に行動する系であまり共感できず、むしろ悪役になっちゃう保守的な少年の言う事に一理あると思ってしまう点ですか。あと『ハンガーゲーム』に似た部分が結構ありますね。  外へ外へと向かってゆく、どんどん開かれてゆこうとする物語のベクトルには気持ち良さがあって、見る前に抱いていたイメージと違って、なかなかに侮れない作品でした。[映画館(字幕)] 7点(2015-05-25 22:33:33)《改行有》

348.  フォーカス(2015) 《ネタバレ》  いやもうすっかり騙されました。どれだけ凄いトリックが隠されているんだろうと思ったら、なんか見事にケムに巻かれてしまって。エンドロールが出てきた瞬間に「え? まさかそれで終わり?」って。映画自体でなく、映画会社に騙された感じ?  前半は窃盗団の犯罪行為を描いているがゆえ全く共感はできませんが、スピード感のある展開で楽しませてくれます。もっともウィル・スミスがいちいちヒロインからスってみせる映像が具体的なテクニックを一切見せない、ただの魔法状態なのでイヤな予感はしましたが。  そこから「3年後」ってブッツリと切れた中盤はダレダレ。グダグダな男女の駆け引き描写が続いて、でもそれもきっとクライマックスのための伏線なのだろうな、と思うと耐えてこそのグダグダなんだろうな、と。  だけどクライマックスは「それで終わり?」なんですよ。しかもそのオチすらも、もはや古典と化した有名な映画から臆面もなく頂いてきました、という。ある意味、意外な展開です。まさかその程度でお茶を濁すとは、っていう悪い意味で、ですが。普通はあの映画との類似は意識して避けるよね・・・  結局、コレもまた最近目立つウィル・スミスの俺様映画の一本という感じでした。ヒロインはキレイでしたけど。[映画館(字幕)] 4点(2015-05-25 21:51:02)《改行有》

349.  天才バカヴォン 蘇るフランダースの犬 《ネタバレ》  いつものFROGMAN作品。『天才バカボン』に『フランダースの犬』を絡めるという離れ業をやってのけた!って程のモノでもなく、まあ毎度のように小ネタは面白いけど(「命運」の静かなる笑いの表現に大ウケ)、全体を俯瞰するとありきたりという。世界征服を企てる組織が云々って時点で器が変わっても中身はあまり変わらないわけで。  問題は『天才バカボン』を原作にしながら、この映画の作品世界の設定ゆえにバカボンのパパが受動的な立場の存在になってしまっている点。あくまでマイペースではあるのですが、物語自体を動かすのは悪を実行する側とそれを阻止する側、そして悪の側が地獄から甦らせたネロとパトラッシュですから。組織の施設に潜入する、ネロとパトラッシュを救済する、なんていう類型的な物語のワクの中にバカボンのパパを納めちゃってる、それはちょっとつまらないなぁ、と。  全体的にイメージが貧困で(闇落ちネロとパトラッシュのビジュアルなんか、もう少しなんとかならなかったかなぁ)、ウェットなドラマを描くとあまりに凡庸になってしまうので、もっとギャグ方面での個性を強調した方がいいと思うんですけど。  あと、お客さんからお金貰って成り立ってる表現者としてはアレは思ってても口に出して言っちゃダメなんじゃないかなぁ。たとえギャグという形にしても。ならばやめちゃえば?って思いますよ。  それにしても主題歌に表れているように、元はやっぱり初代のアニメなんですね。『元祖』でも『平成』でもなく。  いつものFROGMAN作品が好きならば楽しめる作品だと思います。進歩を期待してしまうと微妙ですが。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-25 21:25:10)《改行有》

350.  駆込み女と駆出し男 《ネタバレ》  役者は皆とても良かったと思います。題材もいいですし。だけど脚本、演出、カメラ、編集には疑問湧きまくり。  冒頭で市川崑監督リスペクトを高らかに宣言しているのですが、ならば中途半端はやめようよ、と。「なんなのよ、そのちょっとだけ市川崑風味な原田眞人作品は」みたいな。カメラ動かし過ぎだし、微妙な高さからの俯瞰が多過ぎるし、編集のリズムは乱れまくりだし。ライティングだってもっと工夫して欲しいし、女優の顔はもっともっと印象的に撮って欲しいし。市川作品のモダンなスタイルに及ばない野暮がいっぱい。  複数のエピソードが同時進行してゆきますが、それが多層的に絡んで大きなドラマを織り成している感じではないんですよね。もうブツ切れで並んでる状態で、いちいち話がいきなり飛ぶ飛ぶ。だからせっかくの感動的なエピソードも突如山場が訪れたり、ブッツリ切れて余韻無しで終わったり。戸田恵梨香、満島ひかり、内山理名、陽月華といった女優陣のせっかくの印象的な好演がもったいなくて。  せっかくいい素材を贅沢に集めたのに、それを生かしきるには色々と足らない感じの映画でした。[映画館(邦画)] 5点(2015-05-24 22:40:53)《改行有》

351.  チャッピー 《ネタバレ》  『ロボコップ』と『ショート・サーキット』と『A.I.』(ついでに『アンドロメディア』)足したような映画、なんていうのは見れば判りますが。んー、つくづくこの監督の趣味と合わないとしか言い様がないです。見てる途中でもう「くだらない」って思い始めて。  チャッピー、バカに育てられるんですよね。延々バカの繰り広げるバカ描写が続いて。そこを全く楽しめない、むしろ不快って思うので、どうしたってつまらないし、くだらないと思うし。で、そこには批判がなくて、むしろバカをヒーローのように描く、なんだかんだこのバカを持ち上げてる、このバカにリスペクトしてる訳で、それはもう趣味合わないとしか言い様がないです。バカ一家の『アルマゲドン』(その更に元ネタは『ライトスタッフ』だと思いますが)な横一列スローモーションなんか「本当にくだらないわ」って。  そこに教育とは何ぞや?って問いかけがあるのは判ります。ダメな環境に生まれ育ち、ダメな個性を身に付けていってしまう、だけどダメなりに救済されるべき、正すべき道は残されている、って。だけど「バカがドンパチ」ってのが本当にやりたい事なんだよね、ってのが容易に見て取れる訳で。  前2作とタッチ一緒。この監督、引き出し少ないっていうか、スラムとSFと人体破壊しかないんか、っていう。日本公開版はその少ない要素のうちの1つすら削っちゃって、それも露骨に「削りました」っていうのがハッキリ判るような不自然さで、あーあ、って感じで。  デジタル生命体ネタって好きなのですが、こういうおふざけみたいな扱い方をしてるのは嫌。  ソニー作品毎度の得意芸、VAIOとプレステ4を使った手前味噌っぷりも失笑モノではありました。[映画館(字幕)] 4点(2015-05-24 22:13:39)(良:2票) 《改行有》

352.  グッド・ライ いちばん優しい嘘 《ネタバレ》  タイトルから、何かほのぼのとした映画かな、って思ってたのですが、これがもう大変に厳しい映画で。  スーダンの内戦で孤児となった4人の難民がアメリカに移民として受け入れられる話、映画はまず4人になるまでを描きます。  アフリカの雄大な自然の中での平和な生活、侵略、父母の死、国境までの長い長い逃亡生活、倒れ死んでゆく仲間達、信頼していた兄との別れ。幼い少年少女が不条理な暴力に翻弄される姿が胸に突き刺さります。  彼らが大人になり、難民キャンプを離れて渡米してからは明るさが見えてきます。半ば巻き込まれるような形で彼らに付き合うようになるリース・ウィザースプーンの飾らない人物像が魅力的で(自覚のない「片付けられない女」って)、異文化コミュニケーションをユーモラスに彩ります。  だけど、移民の生活にも様々な問題が生じる上に、彼ら自身が抱えた心の傷や罪の意識が重く影を落して。  映画は主人公の贖罪によってハッピーエンドを迎えます。アメリカが9.11で移民の受け入れを止めるまでの短い間に渡米できた4人はスーダンの難民の中ではとても運の良かった4人。そう、彼らは故郷を遠く離れたアメリカの地で苦悩し、苦闘しますが、それでも他の難民に比べてとても運の良い4人。人間性を取り戻した彼らの姿を通して、その背後に存在する難民の厳しい現実が見えてきます。それはエンドロールで更に明確に。これはドラマティックに描かれた劇映画だけれど、最初から最後までその現実はちゃんと映っていたんだよ、と。  子供が平和に暮らせる世界、そんな当たり前のように思える事が何故実現できないのか、深く考えさせられる映画でした。[映画館(字幕)] 9点(2015-05-21 22:16:59)(良:1票) 《改行有》

353.  ジヌよさらば かむろば村へ 《ネタバレ》  松田龍平という人が苦手で、いつも極端にリアクションの薄い普通じゃない人にしか思えなくて、この映画でも人間的に最初からヘンな人で全く感情移入できず、他のもっと平凡な感じが出せる俳優さんの方が良かったんじゃないかなあ?なんて思いながら見ていたのですが、でも面白かったです。  不条理4コマでお馴染みのいがらしみきおの持つタッチは実写になるとどうしても激しくスポイルされてしまいますが、それでも現実からズレた不条理な感じは映画にもよく表れていて。  やっぱり阿部サダヲなんですよね。この映画の高速回転エンジンとして映画を引っ張っていて。彼のキャラがあればこそ、田舎のドロドロとした、暴力的な話も笑いへと昇華されて。  後半になって陰謀話へと集約されていくと、映画のフットワークが重くなってしまう感がありましたが、それもサダヲの出番が減ってしまう事に起因しているのでしょうね。  前半の田舎の暮らしについての話の方が楽しかったので、その点はちょっと残念。  それから、片桐はいりがカッコいい映画でもあります。  あと、松たか子の存在感は生々しくてオッサンの視点から見たらヤバいレベルでした。はい。[映画館(邦画)] 6点(2015-05-21 21:48:58)《改行有》

354.  映画 暗殺教室 《ネタバレ》  面白かったです。でも、それはもうひたすら設定の面白さ、原作未読ですが、多分原作自体の持つ面白さ。  「月を破壊し、地球をも破壊しようとしている謎の生物が何故か落ちこぼれクラスの担任になる」  そのぶっ飛んだ設定だけで楽しめます。しかもバカだけど生徒思いの良い先生。途中『HK/変態仮面』みたいに単なるネタ集状態になっちゃいますが、それもまた楽しく。  でも映画としては結構シンドいデキな部分もあって。  クライマックスでの脱出のシチュエーションを抜く事で説明すべき事を放棄しちゃってます。  鉄塔での戦いでの、いかにも後からCGをハメ込む事を前提として演技してます、ってぎこちなさは手描きアニメとの合成で制約の多かった『メリー・ポピンズ』や『ロジャー・ラビット』の昔よりもずっと未熟。  結局「続く」になるラストも投げっぱなし感がハンパないですし。  生徒達の家庭なんかどうなってるのよ?とか、殺せんせーの存在が国家レベル以外の外部の誰にも気付かれないってあり得る?とか、まあ、そこら辺は割り切って見る部分だとして、もう少しキャラにリアルに生きてる感が欲しかったかな。  結局、マンガを読む代わりにお金払って映画にして見せて貰いました、みたいなモノで、でもまあ最近すっかりマンガ読む気力が無くなってる(アレも気力よね)私には便利なシロモノでした、みたいな?  それが今の邦画の最大の問題点だとも思うんですけどもさ。マンガの映画化ばっかりだもんねぇ。じゃないと商売にならないっていう。[映画館(邦画)] 6点(2015-05-21 21:26:46)《改行有》

355.  シグナル 《ネタバレ》  「あなたのSF脳が試される」とかなんとか言ってますが、そんなモノに踊らされる必要はありません。これ、難解なのではなくて、単純に独りよがりなだけ。だって結末は色々な解釈があるとかではなくて最初から決まっているのですから。そこに至るまでのプロセスをそれっぽい雰囲気で覆い隠してるばかりで。基本は70年代の永井豪や諸星大二郎が描いていたような話。  冒頭のアメリカン・ニューシネマみたいなロードムービーの映像は良い感じです。男2人に女1人っていう構成もアメリカン・ニューシネマっぽいですしね。  でも、事件が起きて隔離されてからはひたすら単調で変化の少ない、思わせぶりなばかりのシーンが続くばかりで映画のテンション、ダダ下がり。このシーン丸々カットしても話としては成立しちゃう、っていう。  で、クライマックスらしきところで、ちょいと花火一発上がる程度で終了。意外なラスト!とかでなくて「あー、こんなモン見せられちゃって、もー」みたいな。  映画が始まる前にTOHOシネマズ新宿限定で見られる『アニメガタリ』という短編アニメでヒロインが「『攻殻機動隊』が『マトリックス』に似てる」と発言して思いきり先輩にツッコまれるシーンがありましたが、それがなんとも皮肉に思えてくるような映画で。  売り込む側はデヴィッド・リンチとかキューブリックとか『第9地区』とか『クロニクル』を引き合いに出してみたりしてますが、せいぜい懐古主義的なオタクが自分の嗜好するものを集めてひけらかしてみせたスノッブ映画程度のモノにしか思えませんでした。[映画館(字幕)] 3点(2015-05-21 21:13:22)《改行有》

356.  ラン・オールナイト 《ネタバレ》  よくある、ただリーアム兄さんが悪役をボコりまくるだけのリーアム兄さん無双映画ではなくて、結果的に敵となってしまう相手が旧友で、むしろそれまで救われてきた、信頼していた相手だったという設定が物語に深みを与えてます。それまで罪を重ねてきた男の贖罪の物語であるという点も世界に奥行きを与えて。  だけど全体の印象は「雑」。  なんかあちこち作りが雑なんですよね。組織から買収されていた警官2人を射殺した時点で警察側からの危機終了とか、店に突入して数人射殺して組織壊滅とか、脚本的にはそれでいいんか?と(少なくともニューヨーク全体が敵みたいな宣伝文句は大嘘です)。  会話シーンでの単純でめまぐるしいカットバックは冗談のようで。  カーチェイスシーンでは頻繁にシフトノブを操る手元がインサートされますが、肝心のクルマの動きはワリと直線的でシフトチェンジ要らんだろ、みたいな状況ばかり。シフトノブはクルマへの気合注入棒か?っていう。  アクションシーンではカメラ動かし過ぎのカット割り過ぎで、もつれ合う二人、どっちがどっちだか判断しづらく、クライマックスの湖畔のシーンでは主人公、息子、殺し屋、家族の位置関係がまるで判らず。  夜のニューヨークの空を翔ける凝った映像の影で、大量の雑な映像を見せられている感じ。  雰囲気はいいけれど、大きな部分も細部ももっとちゃんと作り込んで欲しかった、そんな映画でした。[映画館(字幕)] 6点(2015-05-19 21:37:15)(良:1票) 《改行有》

357.  百日紅 ~Miss HOKUSAI~ 《ネタバレ》  「アニメで江戸の空気をどこまで感じ取れるのか」というのがこの作品の要だったのではないかと思います。いかに観客の感覚を刺激し、そこに江戸を感じさせられるか。五感のうち、映画ですから視覚と聴覚にはダイレクトに訴えかける事ができますが、触覚や嗅覚、味覚をも映像と音で刺激できないか、みたいな、そんな挑戦的な表現。今や誰も直接知る事のできない江戸の空気、その再現。  お栄の目の見えない妹は、そのための重要な存在。彼女が「見えない事によって観客が見る」数々の事柄は五感を刺激するような作りになっています。おこしの味、トンボの羽音、橋を行き交う人々の足音、川の水の感触、雪の冷たさ。彼女が得た感覚がいかに観客の記憶を引き出し、そこに江戸という感覚世界を構築できるか、という。  物語はエピソードがお団子状態で繋がっていて、ハッキリと区切られている訳ではありませんがオムニバス状態。ゆえに映画としてのまとまりには欠けますが、数々の人と風景に彩られた、北斎とお栄が過ごした江戸の時間はとても魅力的に映りました。もっとずっとそこで過ごしていたいような、そんな世界。  日頃、アニメーションの可能性について考えるのですが、日本のアニメには、お約束や記号的表現、自ら制限を課したような表現の縛りが世界を狭くしてしまっている作品が多々見られます。  最初から限られた表現の中で何ができるのかではなく、目的の世界をいかに表現するか、その表現法を柔軟に模索している作品、そういう作品が評価されてゆく状況になれば良いのですが。この作品は、そんな摸索が感じられる一編でした。  日本橋のシネコンという、作品にぴったりと合った恵まれたロケーションで見たので、ついでにお江戸散策と洒落込みましょうと、映画が終わった後に日本橋を眺めて、それから銀座線に乗って浅草に出て、雷門から仲見世を通って浅草寺にお参りし、吾妻橋を渡って隅田川を眺めて。映画の中に漂っていた匂いを感じ取る事は難しかったのですが、江戸という街はこの世界から消えたのではなく、形を変えながら今に続いている、その時間の流れをしっかと感じ取る事ができた、有意義なひとときでした。[映画館(邦画)] 9点(2015-05-13 23:05:21)《改行有》

358.  脳内ポイズンベリー 《ネタバレ》  内と外とを描いた映画なのですが、どうも映画そのものの作られ方も、その面白さも内と外とで分れてしまっているようで。  ほぼ密室状態の脳内会議の世界は大変に面白いです。個性がぶつかりあって繰り広げられる、テンポある対話劇はキャラも魅力的ですし、笑わせてくれます。  だけど現実世界の物語は退屈。その凡庸さゆえ脳内を描くためのお膳立て程度の存在感、にしてはダラダラと長い気がしてしまって。大騒ぎな脳内と、それとは真逆な、抑圧されたようないちこの実際の行動とのギャップが楽しみどころなのですが、現実側の数々のシチュエーションは単調で同じところをグルグルするばかり。早乙女のキャラはかなり早期に提示される訳で、そこから発展的とは言えない苦悩や葛藤がずーっと続いてゆくのは、脳内頼りだとは言え、見ていてちょっとシンドいです。  一方でいちこが作家として成功するあたりから、シンパシーが薄くなってゆくような、描いている世界が狭まっていくような感覚があって、石橋が硬直状態になるのも手伝って、更にシンドくなってゆく感じで。  それに、脳内のセット撮影は冴えているのですが、ロケ映像はあまりパッとしない感じで。東横線沿線を舞台にした映画で、中目黒で生まれ育った私には、一体それのどこが中目黒駅よ?ってツッコんじゃう状態はともかく、新丸子も元住吉も、更に東京国際フォーラムも江の島すらも、ロケーションを活かした映画になっていなくて、そういう環境描写は不要なのかえ?と。いちこがインドア派でアウトドアに対しては空疎なイメージしか持っていない事の表れ、とかいうのならば判らなくもないのですが。でも、ラストの振り返らずに進むいちこの姿にも、解放感が表れている、という感じでもなかったですしねぇ。  あと、舞台挨拶で監督がラストシーンは観客の想像に任せる作りと仰ってましたが、だとすると本屋の越智のカットは不要なんじゃないでしょうか。あれがモンタージュとして余計な機能を果たしちゃってると思うんですが。  脳内の方が圧倒的に面白いのですが、脳内だけでは絶対に成立しないという構造、そこがこの映画の弱点でしょうか。もう少し恋愛以外の事でも脳内メンバーが機能していてくれたら良かったのかな。[映画館(邦画)] 6点(2015-05-13 22:02:18)(良:1票) 《改行有》

359.  名探偵コナン 業火の向日葵 《ネタバレ》  「高校生がちっこい子供にさせられちゃうような世界で果たしてミステリーは成立するの? そんな奇想天外な世界ならば別に魔法使いや宇宙人が殺人事件の犯人でもいいんじゃないの?」  土曜の夕方にテレビでダラーっと見る程度な『コナン』に抱く疑問。その疑問に映画版は何らかの解答を与えてくれたのでしょうか?  違和感、ズレ。映画を見ながらずっと抱き続けた感覚。作品内の独自ルールが多数存在する事で、常識からの大きなズレが生じています。  それは現実より弱々しい設定の現実的存在と、超人的キャラとの都合のいいルールによってのみ成立する世界。  エンジンを4発搭載したジェット機が、その1つを停止させただけで飛行、着陸が極端に困難になる事は、現実ではありません(ドアが飛んだ直後の方がよっぽど危険、ですよね?)。  ホテルの一室を減圧させるためには気密室化が必要ですから、ひと目で他の部屋との違いが判る筈です。  液体を導火線にして施設全体を延焼させてしまう、非常電源でスプリンクラーが作動しない建造物は、まず建築許可が下りないかと思います。  そんな脆弱な世界の中でキャラは超人となります。  コナンは高所から落下してもドラえもんの如き秘密道具で墜落死を防げますし、キッドは収納式のハングライダーを広げて空を飛べます。蘭は備わった怪力を発揮して危機を脱します。  「主人公は死なない」(by浜村淳)としても、これではサスペンスもへったくれもありませんし、ミステリーも成立しません。  実際、キッドはメチャクチャな能力でメチャクチャ怪しい行動を取りながら真犯人は別にいますよ(みんな最初から判ってる事ですが)、というミスリードにもならないミスリードで引っ掻き回してみせますが、なんでもありなので真犯人など、どうとでもなります。キッドの回りくどい行動も、取って付けたような、それはアリなのか?というレベルの真犯人の動機も、いや、真犯人の存在すらもこの映画では重要ではありません。  ゴッホの「ひまわり」を題材にお馴染みなキャラの見せ場を連ねただけの映画。設定も物語も、後付けする形で無理矢理こじつけていきました、という感じ。この映画では大金持ちが金にものを言わせまくった、という設定で世界が成立していますが、そこに批判なんて存在しません。そんな金持ちが実際にはいる訳がない、というのが前提になっているからなのでしょうね。  つまり、広義でのミステリーは成立しません、というのが本当のところだったのですね。この世界だけで閉じた(形骸化された)ミステリーのみが成立しています、って。魔法使いや宇宙人は出てこないけれど、みんな、ほぼそれに近い存在っていう。それこそを楽しんでる人にわざわざケチをつける気は毛頭ありませんが、一本の映画としてはあまりにツラいわ、コレ。[映画館(邦画)] 2点(2015-05-13 20:47:28)(良:2票) 《改行有》

360.  映画 ビリギャル 《ネタバレ》  有村架純ってこんなに可愛かったっけ?って。『女子ーズ』や『ストロボ・エッジ』ではそこまでじゃなくって、じゃあ、その2作の撮り方が下手だったのかな?とも思うんですけど、とりあえずこの映画は彼女の可愛さだけで半分勝っちゃってるようなもので。その魅力だけで映画を楽しむ推進力になりますもんね。  物語はダメな女子高生が頑張って慶應大学に合格する話(ここでは省略されちゃってるサブタイトルが付いてますが、その時点でネタバレしてます)、でも、宣伝展開から受けるイメージよりも実際の映画はヘヴィな話で。  主人公には複雑な家庭環境があって、息子だけを偏愛する父親と、二人の娘に愛情をかけ、身を粉にして働く母親と。父親と断絶し、母親の溺愛によってダメっぷりを発揮するヒロインと、父親の期待に押し潰されそうな弟と。バラバラに壊れそうな危うい家族の姿を描いた映画としての側面が強かったりします。  また、ヒロインは学校の教師からはクズ扱いされ、ただ友人達との時間だけが生きがい。  そんなヒロインが進学塾に行き、生徒に理解を示す真面目でひたむきな講師との出会いによって変化してゆく、その講師とのコミュニケーションは軽妙で楽しく、幾つもの対比構造の中で輝きを放つパートとなっています。ここら辺、計算されているなぁ、って感じで。  前記の通り、有村嬢が大きな魅力を放っていたのですが、吉田羊もとても印象に残る母親を演じていて、幾つもの感動を誘います。  講師の言説は理想論に過ぎる感もありますし、いい人なイコン伊藤淳史を起用しているあたりからも、あまりに善悪のイメージを描き分けし過ぎていて、やや鼻白む面が無きにしもあらずですが(このあたり原作本をヨイショし過ぎって感じ?)、ここまでしょーもなく生きてきた私から見たら、大人が子供の可能性を潰しちゃいけないのも、子供が目標を持って頑張るのも、全く正しい事だと思うのでした。  ネタ映画のように思えて、実はとても真っ当な青春映画なのでした。[映画館(邦画)] 8点(2015-05-05 20:57:55)(良:1票) 《改行有》

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