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プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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【製作年 : 1930年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  私の殺した男 異色のルビッチ作品、さてどうなるものかの不安もなんのその、参った!何がってラスト3分ですよ。このシーンは映画史上燦然と輝くルビッチの3分クッキングですよ。用意する材料は役者とバイオリンとピアノ。青年にバイオリンを渡してしまえば、台詞は一切なし。手を握り合うバリモアとカーターの老夫妻、閉ざされたピアノに息吹を与えるキャロル。彼らの表情を見るだけで、わたしゃーこれから幸せですよ。ルビッチ様、あなたはいったい、Who are you!10点(2004-05-04 20:48:39)(良:2票)

22.  ボー・ジェスト(1939) 評価の高いサイレント版『ボー・ジェスト』は未見なのですが、リメイク版トーキーの本作もいいですね~。オープニングから何事があったのだと一気に観客をスクリーンに引っ張り込み、幼少時にフラッシュバック、その当時のエピソードの重なりで描く兄弟愛と伏線が鮮やかに生きてくる展開は秀逸。夜の戦闘シーンにおける闇と光の砂漠の濃淡は詩情的な空気を美しく纏い、兄弟愛の美と同時に三兄弟の生死、明暗の予示を感じさせます。また風に舞う砂塵には戦う人間の業の儚さを思うのです。ヴァイキングの葬送ラッパの余韻がいつまでも耳に残る傑作です。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-11 17:46:40)(良:1票)

23.  按摩と女 温泉宿というのは湯上りの艶かしさから「男」と「女」の危うい関係を湯煙の向こうに垣間見せ、フィルムに湿った情感を貼り付けます。清水宏さんは、後年にも温泉宿を舞台に『簪(かんざし)』を撮ったり、温泉情緒が好きだったようですね。さてこの作品ですが、按摩さんを主人公に「目が見えない」ことを語るのは、今の世俗の価値観ではまぁ考えられません。『菊次郎の夏』でたけしが杖を振り回すような意味(ギャグ)を持つのではなく、ここでは按摩さんが実にのびのびと自然に杖を振り回し、そこには意味がないのです。「目が見えない」按摩さんが普通にいるのです。その按摩の前に登場するのが、高峰三枝子。そこにいるだけで「女」を意識させますな~、あの和服、傘。そして子ども。男女の機微に盲目な子どもの自然な振る舞いと台詞が「男」と「女」をさらに意識させます。目が見えないから心の目で真実が見えるといった常識に落ち着かず、ラストの雨。温泉場の湿った情感に、さらに潤いと艶を与えるこの雨のラストに「男」と「女」、そして清水宏を感じるのです。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-09 17:15:48)

24.  エノケンの近藤勇 高下駄の近藤勇、眼鏡の坂本龍馬、二役エノケンのその姿態を見るだけで満足ですが、ワルツ、オペラ、サンバ、クラシック、流行歌、講談・・・わんさかと音楽に合わせて歌い踊る新撰組隊員、勤皇の志士、女たち。お腹いっぱいの洒落て楽しいオペレッタ映画です。「ボレロ」に合わせてお膳を手渡しする女中と扇子を揺らす浪士から、ワンタン屋台のチャルメラに音が繋がれ、一呼吸おいた後のサンバ調リズムに合わせた殺陣、そして階段落ち、紙テープ。この池田屋騒動のシークェンスは何度見ても素晴らしい。加納惣三郎を女性が演じているのもいい。アニメが射し込まれるのも驚き。近藤勇のエノケンと坂本龍馬のエノケンの切り返しによる対峙がない(ニアミスはある)のは少し惜しい気はしますが、幕末の不穏な空気を笑いに弛緩させるエノケンワールドには“誠”に感服するのです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-08 13:11:20)

25.  モロッコ リンゴをかじった時のクーパーの口元、クーパーがウチワであおいだ時にふんわりと揺れるディートリッヒの髪、そして2人が交わす別れの二本指。などなどフェティッシュな魅力あふれる映画でもありますが、この2人をトータルに包み込んでいるのがマンジュー。マンジューだけに包むのが巧い、などと誰もが思いつくようなことを書いてしまう自分が悲しい・・・。行軍マーチとともに砂漠の地平に消えて行く外人部隊は、マンジューの視線と同化しエンドマークがぼやけて見える。風に乗った砂粒がスクリーンを飛び越え目に入ったかのように「砂粒が目に・・・」と誤魔化しても、それを聞いてくれる人はいない・・・悲しい。[DVD(字幕)] 9点(2005-09-15 11:03:46)(笑:2票) (良:1票)

26.  チップス先生さようなら(1939) 時代は移ろいゆくも「教育」「人間」には変わらない本質的なものがあることを、チップス先生と生徒たちとの交流を中心に描かれる本作は、ドーナットの好演に支えられ金八的な説教がましさが全くない静かな感動に包んでくれます。エイプリルフールに服と服を結び付ける悪戯に「変わらない」ものを見せたり、きれいに平らげたお皿に人間の成長を見せたりといった映像的演出も小粋です。船中シーンでチップスからカメラがそのままガースン演じるキャシーのいる上階へと移動し両者を「美しく青きドナウ」のエピソードと演奏する楽団で繋げるところなんかもいいですね~。戦争の勃発や大切な人の死の哀しみをじわりとフィルムに滲ませながらもユーモアとウィットとフィーバーに富んだチップス先生、ラストの一言は素晴らしいです。さようならの向こう側でチップス先生はいつまでも穏やかな表情で笑っているのでしょう。[DVD(字幕)] 9点(2005-07-03 22:33:07)(良:2票)

27.  シナラ 妻のみを愛して愛して愛する実直な紳士と、幸せすぎて恐いぐらいという淑女をロナルド・コールマンとケイ・フランシスが演じ、気品たっぷりのカップルが奏でる気品たっぷりの映画です。妻が妹と旅行に出かけている間に若い女性と恋仲になってしまうコールマンの潔き振る舞い、猜疑心が芽生えてからのフランシスの微妙な表情としぐさはまさに役者ですね~。そして秀逸のラスト・・・コールマンとフランシスがここで初めてアップとなり、その時の二人の表情のなんと素晴らしいことよ。とくにフランシスが伏し目がちに瞼を閉じ、やや上目遣いに見上げるあの表情、ケイ・フランシスを私の瞼に焼き付けた瞬間でした。この作品の舞台はナポリ、この映画を見ずして死ぬなかれ、とまでは言い過ぎかな・・・。[ビデオ(字幕)] 9点(2005-06-15 23:13:15)

28.  風と共に去りぬ 勢い余って「かっぱ六銃士」に10点を付けてしまってからというもの、レビューにおいて10点未満を付けようとする映画の声が私にまとわりつくのです。「私はカッパより価値がないのか」と。この映画史にド~ンと居座る大作においては、「私のタラに賭けた人生はカッパ以下なの?」とスカーレット、「なんなら俺がカッパと相撲をとるぜ」とバトラー、「私がお皿を拭いてあげるから」とメラニー、「キュウリならいくらでもやるよ」とアシュレー。そんな声が聞こえてくるのです。私は、アトランタを包む炎のような叫び、タラの落日のように広がるその叫びを掻き消すように、無表情に得点ボタンをクリックし、風と共にモニターの前から去るのでありました。カッパには大変失礼となりましたことをお詫びいたします。[DVD(字幕)] 9点(2005-05-06 17:37:49)(笑:2票)

29.  ガンガ・ディン ガンガ・ディンとはなんぞや、というと人の名前でありまして、まあ段田男みたいなものだと思ってもいいかのかホントに。インドを舞台にイギリス兵3人を主人公にしたこの作品、ガンガ・ディンは現地のインド人でありまして、けっしてでしゃぱらないディンをタイトルにまでのし上がらせる脚本の出来の良さにはまいるのであります。そして狂信的殺人集団の根城となっている寺院のロケーションは素晴らしく、大勢の信者をロングショットで捉え、リーダーであるグルを浅黒い肌に目と歯を白く浮き立たせた不気味なアップの表情で捉え、見事に多対一のカリスマ性を表現し、戦闘シーンへ突入するとさらにロングショットのカメラが、寺院からのはるかな眺望と無数の人物を写し戦いのダイナミズムを見せます。バグパイプの音をさせながらスコットランド軍が徐々に近付き、ディンのラッパが対比のように鳴り響きストーリィは終末へと流れ、時を経て「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」へと流れていくのです。惜しみなくお金を投資したであろうこの作品、私も惜しみなく拍手を贈りたいと思うのであります。9点(2005-02-05 21:56:16)

30.  プラチナ・ブロンド 私なりに感じるキャプラ感を。人間というものは、おおよそ負の部分と正の部分を併せ持つグレイな存在であり、もぐら叩きのように負と正が顔を出したり引っ込めたりするものだと思っています。キャプラは自らの生い立ちでの経験上、そのことをよく知っていて、作品を通してそのような誰しもが持つ人間の内面をややもすればステレオタイプな人物設定や物語設定を利用することにより描いたのではないか。多面的な一人を表現するのに一面的な多数をもって表現したのではないのかな~と思うのです。一つの作品すべてをひっくるめて一人の人間なのです。よって人間のいやらしさなどを見せられたときにドキッと感じる瞬間、人間の高潔さや純粋さを見せられたときにホロッと感じる瞬間・・・その両方が自分であることの真実性に気付き人は心動かされてしまうのではないかな~と。そしてそのような人間の本質を提示しながらもなお良心を信じてやまないところがいわゆるキャプラタッチ、と言えるのではないでしょうか。このプラチナ・ブロンドもゆるやかに上流社会と小市民の図式で展開され、虚栄心や虚飾性で生きる人間と率直性や等身大性で生きる人間とを描きます。映像としても、流水ガラス越しのラブシーン、満月下のテラスでの3ショットなど美しく、大邸宅を表現するカットを割らない複数の部屋移動、ガラ~ンとした邸宅に響く声とその後の大賑わいの対比などキャプラの映画作家ぶりを感じさせてくれます。またこの作品がキャプラ・リスキンコンビの最初の作品で、その後の二人の活躍を見るとまさにプラチナな作品なのであります。9点(2004-12-16 22:08:01)(良:4票)

31.  ブルグ劇場 舞台の演目内容とストーリィが絡み合う技巧さに加え、この物語は純粋な人々の織り成す人間模様をウィーンの名門劇場、社交界を背景に格調高く描かれています。悪意のある人間が全然出てこないんですね。老いらくの恋に無邪気な老優、愛する人に一途な娘、芝居に直線的な若者・・・。男爵夫人は虚栄心に従順で、男爵もただ妻の愛を獲得したいだけ。そういった人々の真っ直ぐな思いがぶつかり合ったり、すれ違ったりして、犠牲となり落胆する者も出てくるわけですが、最後には乗り越え、気高さと希望を再び抱く・・・光のある脚本です。そして演じる役者陣の素晴らしさが脚本と両輪を成し、クラシカルな名車のごとき気品がうかがえます。眠ったままライナーの胸に顔を埋めるレニのショットからファウストを演じる老優ミッテラーのクローズアップ、そしてブルグ劇場の全景で締められたラストにはシビレました。<演じる>を材料にしたビターなスウィーツといった作品であります。9点(2004-12-04 00:27:29)(良:1票)

32.  アラン ドキュメンタリーの父、フラハティさん。最近私が目にしただけでも、本多猪四郎やフレッド・ジンネマンが強く影響を受けていることを読みました。さて、この「アラン」、アイルランドのアラン諸島、少年とその父母。微生物をも拒むようなゴツゴツし痩せた大地、サメが回遊する海、屹立した岩にぶつかる白い波しぶき。それらアランの自然と黙々とそれに挑む人々の生活を、長回しではなく、とにかくカットを割って語ってきます。サメと格闘するシーンなどは、パラパラマンガのような目まぐるしさ。サメの油は灯火用であり、生活、日常に欠かせない必需品。家庭での団らんという穏やかなるものを獲得するために潜む厳しさを浮き立たせます。後半、天候が荒れた中、岸に向かって帰ってくる小舟、ただよう小舟、編物をする妻やジャガイモを食べる少年、寄り添う犬、灯火のアップ、それらモンタージュが一大アラン叙事詩を形成しクライマックスへと向かいます。ラスト、一家が去っていく超ロングショットの背中は、これからも変わらず続く生活が未来へと溶け込んでいくようでありました。ドキュメンタリーといえど、カメラが回れば人は意識する、なら少し台詞を与え、カットを無数に割ることで、リアリズムを逆手に取ったようなリアリズムを生み出そう、そんな意気を強く感じさせていただいた作品であります。9点(2004-09-23 23:15:39)

33.  マダムと女房 日本で最初の本格的トーキー作品であります。楽士であった土橋兄弟が開発したので土橋式トーキーというそうですが、オープニングの会話からいきなり映像と音が同調していない(笑)、シーンによっては大きくずれている・・・しかししかし全編、音にあふれており、とにかく音の缶詰のような作品になっていて私は大満足であります。ねずみ、猫の鳴き声、赤ちゃんの泣き声、目覚まし時計の音、鐘の音、ミシンの音、飛行機の音、そしてなんといってもジャズバンドの演奏。音を意識しすぎただけの作品という評も一部あるようですが、せっかくの初トーキーなんですからいいじゃ~ないですか。とぼけた渡辺篤、そして田中絹代が若い、かわいい~、声も若い。「ねぇ、あなた~」うーん、たまらない魅力です。この田中絹代はクレジットでは女房としか記されていませんが、夫が「おーい、キヌヨ、キヌヨー」と言っているのが楽しいです。さてこの夫、劇作の締め切りにおわれているのですが、隣家のジャズバンドの演奏がやかましくて文句を言いにいきます。ところが、そこのマダムにそそのかされ一緒に歌い踊りお酒を飲み・・・そのジャズバンド名が「MAMMY JAZZ BAND」、これはマミーソングを歌う『ジャズ・シンガー』を意識したものでしょうな、きっと。ラスト、日本髪がすっかり洋風になった田中絹代(着物は着物のままです)、♪ららら~、と口ずさみ寄りそう二人、オチもきまって、1時間足らずですが実に愛すべき作品でありました。「ねぇ、あなた~」、言われてみたいものでありますな~。9点(2004-08-21 23:54:49)

34.  メリィ・ウィドウ(1934) ん・・・これまでのルビッチ作品とはなんか違うぞ。そうだ、やたら構図のきれいなショットが出てくるんです。ルビッチ作品は、窓から窓への移動などカメラワークの巧みさに目がいくことはあったんですが、あまり構図を意識させられるようなことはありませんでした。ところが、オープニングのパレードのシーン、バイオリンを奏でる室内、ソニアがテラスで歌い上げるシーンを地上から見上げるショットから始まって、後半のフレンチカンカン、ダンスシーン・・・きまってるんです。キャメラマンは誰だ・・・と後から見ればオリヴァー・マーシュさん。早速マーシュさんが撮った『雨』(大傑作!)を見ましたが、これで納得。なんとも素晴らしいキャメラワーク、構図。ルビッチお得意の恋のかけひきはいつものごとくに、愛嬌あるシュヴァリエ、美しいマクドナルドが鮮やかにフレームに収められた傑作です。9点(2004-07-08 19:06:25)(良:1票)

35.  生活の設計 おっなんだ、フランス語かこの映画は・・・んなわけなくこれも伏線でした。さて、『極楽特急』に続き、ミリアム・ホプキンス嬢が登場。オープニングの列車のシーンだけ見るとこっちが『極楽特急』かと思ってしまいますが、そんなことはどうでもよくて、ホプキンス嬢は前作の泥棒役さながら、今度は男性二人の心を同時に奪ってしまった・・・が、ジルダも2人を愛してしまった。ジルダは2人に「ノー・セックス」。おー、ソフィスティケーション・コメディの本質が語られた。それだけでもこの映画には価値がありそう、だ。見せない演出の醍醐味は終盤に登場。パーティーを無茶苦茶にする2人を扉の向こうの音だけで表現。今ならここぞとばかりのドタバタがこれでもかと描かれる場面ですね。扉といえば笑ったのが「20の扉」。NHKの人気ラジオ番組ですが、ルビッチだけに「20の扉」というのは出来すぎてるなー。最後にタイプライターの“チーン”だけで象徴された愛、これには、この野郎またやりやがったと毒づいてしまいました。あー、私の部屋ではむなしく電子レンジの“チーン”が今日も鳴るのでありました。9点(2004-06-11 23:55:52)(良:1票)

36.  暗黒街の顔役(1932) カポネをモデルにした映画だそうで、ホークスが語るところによると、実際にカポネが見て偉大な映画だと言っていたそうな。なんかそれを知るだけで凄いもんですね。さてさて、この顔役さんは、無邪気で子どもっぽくて寂しがりやにして、征服欲、独占欲にあふれたギャングであります。トンマなシショをずっと雇っているところや、妹から撃たれないところなどなんか憎めません。突然の発砲音にも平然とする強さと、周りの人物がもがれうろたえる脆さ、そこがなかなか魅力的なのですが、ラストは大きく×の刻印が打たれたかのように突き放されてしまいました。この×印の使い方、まーいろいろと出てくるんですが、私は妹のドレスが一番気になりました。妹が派手になり背中にはドレスの×のラインが・・・、顔役のラストを暗示するようで。見終わって思わずコインを弾きたくなるエポックな一品であります。9点(2004-06-11 00:32:30)(良:3票)

37.  人情紙風船 山中貞雄をただ早逝の天才という知識だけで、初めてこの作品を見た時には、正直、うわーなんと厭世的、諦観的な作品なんやと。山中貞雄=ペシミスティックと勝手に式化してました。ところが・・・『丹下左膳餘話 百萬両の壺』『河内山宗俊』を見ると、ありゃりゃーー。さらに評伝などを読むと『街の入墨者』の脚色にはルビッチの『私の殺した男』、演出にはキャプラの『或る夜の出来事』を取り入れた、らしい。『人情紙風船』の憂色の濃さを時代に見るのはたやすいかもしれません。しかし三村伸太郎の生き生きとした脚本を全く反対にしてしまった山中の心情はいかなるものだったんでしょう。空と流れゆく雲のカット、金魚売りの長閑な声、ラストの紙風船。うーん、切ない。特にラストの紙風船、静かに向こうへ流れていく姿、あれはもう山中そのもの・・・。10点はいつか見ることができると信じて『街の入墨者』『国定忠治』にとっておくとしよう。9点(2004-05-25 01:01:38)

38.  巴里の屋根の下 《ネタバレ》 これは映画中のシャンソンを聞くだけで幸せな気分になれます。アルベールは恋には破れたが、楽譜までは破らず、あいかわらずパリの屋根の下で楽しそうにシャンソンを教えています。「まーまー皆さん、生きてりゃいろんな嫌なことも辛いこともあるかもしりゃーせんが、ここはひとつ、シャンソンでもうたって甘い気分に浸りやしょう」というメッセージが聞こえてきそうです。トーキーな台詞は少ないですが、数々の映像的音使いのセンスあふれる作品です。シャンソンで口説かれたのはニニだけではなく、“パリの屋根の下”で幸せになったのもニニだけではなく、この私もでした。思わずつっこみたくなるストーリィがマイナス1点です。9点(2004-05-16 23:44:36)(良:1票)

39.  ニノチカ ワイルダーとブラケットにライシュ、そこにルビッチ自身も加わる豪華な脚本陣(ルビッチはノンクレジット)。数々の小粋な会話も納得いきます。ルビッチ風ドアの向こうはまさしくドアの向こう。笑い声と出入りするメイドで室内の雰囲気を表現。後半、伯爵が大公妃に「あなたは直接的表現はお嫌いですが」の台詞の“あなた”は、きっとルビッチ自身のことを意識した台詞ではないかなー。さて、この作品の見せ場は、ガルボの無表情の壊れ方と主義の揺らぎ方。ここは帽子の使い方がうまい!そして、レストランでガルボを必死になって笑わせようとする伯爵のシーン。このシーンはなかなか巧妙な脚本で、ジョークにはまったく表情を変えないガルボが無意識的な転倒を見て大笑いするという状況設定。意識しても笑いがとれない伯爵を意識的に書いて、おかしさを生み出しています。ラストのオチにもニヤリとしました。ソ連が上映禁止にしたのもわかるわね。9点(2004-05-02 22:01:06)(良:1票)

40.  結婚の夜 帽子箱を持った少女、アンナ・ステンの帽子をかぶる姿の可愛らしさ。クーパーはへんてこな帽子とコートと言うが、その“へんてこ”という言葉に込められた愛情が痛い。ベッドで初めてキッスを交わし、すっと部屋から立ち去るクーパー、痺れる。男たるものこうありたいものだ。翌朝、ダブダブのパジャマに身を包んだステンが愛しい。降り積もる雪を溶かすような一冬の愛に生きた二人が、結婚の夜に踊るダンス、ただ触れ合うことで交わされる言葉のない肉体の会話に惹きこまれる。クーパーの視線の向うにステンが永遠に息づく、ミルクを持った少女として。[ビデオ(字幕)] 8点(2007-01-10 23:33:47)(良:1票)

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