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プロフィール
コメント数 210
性別 男性
ホームページ http://mixi.jp/show_friend.pl?id=8512182
年齢 49歳
自己紹介 映画は娯楽である。笑ったり泣いたり学んだり、空想という鑑賞時間を過ごす「芸術作品」である。実際に映画づくりを体験していない人間に、映画批評が出来るとは思えない。プロの批評家でもなく映画を作った経験も無いのだから、作品のシナリオや背景など、基本設定に理屈っぽくケチをつけるようなナンセンスな行為はなるべく止めにしたい。映画好きのハシクレとして、作家が作った作品を、素直に楽しみ、感動できる姿勢を何よりも大事にしたいと思う。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  ジェヴォーダンの獣 西洋人なのに、なんで皆様カンフー使い?何もかもがこちらの予想と期待通りだけど、「ハムナプトラ2」の様にバカバカしく何でも欲張ったこんな映画は大好きだ。ヴァンサン・カッセルの奇人演技はカッコよかった。インデイアンの従者は、物語の本筋とはあんまり関係なく一生懸命に戦っているのが健気。頭カラッポで楽しむエンターテインメントとしては一級品![ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-24 12:11:04)

22.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 迫力のカメラワークと観る手を決して飽きさせないテンポ、何よりも素晴らしい主役の3人の存在が光りに光った良い映画だった。「ショーシャンクの空に」同様、やっぱりモーガン・フリーマンの語り口はいい。カスレた重厚感を感じさせるイーストウッドの凄みのある演技は彼ならではだ。この映画を観ると人間の生きる意味を考えさせられる。人生の価値は他人が決めるものではなく、その人生を歩んでいる当の本人が決めるものだ。夢をかなえるということは、何かを手に入れるということではなく、「目標である自分になる」ということだ。その「目標である自分」に一歩でも、二歩でも、いかに近付けるか、それで人の一生の価値は決まるのだ。不断の努力でその夢を叶えたマギーの一生は、彼女自身にとってきっと価値あるものだったに違いない。尊厳死の問題は賛否両論あるだろうが、「死」が彼女自身が自分の一生を価値あるものにする為に選んだ道であるならば、ひいては夢をかなえる為であれば、それもひとつの立派な人生の選択であるのではないだろうか。彼女をチャンピオンへと育て上げ、そして自らの手で幕を下ろす。彼女の一生の価値を理解しながら、自ら育て上げた愛する者の一生に幕を下ろさねばならないフランキーの苦悩が痛い。私個人も彼女に近い年齢になった。成りたい自分に少しでも近付く為に、自分の一生を価値あるものにする為に、もっと真剣に努力をしたいと思う。[映画館(字幕)] 8点(2005-05-29 01:34:48)(良:2票)

23.  レオポルド・ブルームへの手紙 《ネタバレ》 息子を愛したくても罪の意識からそれができない、母親を愛したくても自分の存在があやふやでそれができない。二人の心のすれ違いが、残酷なほどに痛々しい。彼の母親に対する愛情表現は、落ちるところまで落ちてゆく母親を否定もせず、黙ってただ受け入れること。母親にとってはむしろ、息子から罵倒されたほうがどんなにマシだったか。証言台の後、刑務所の面会室でお互いの存在の意味に気付いた時にはすでにドン底、もはや二人の間は取り返しのつかない距離が離れてしまっている。惨い、あまりにも惨い。昔の少年へ最後の手紙を書き終え、自らの過去にも決着をつけ、広大なミシシッピーを前に新しい人生を歩みはじめる彼がとても美しく、これからの寂しくも明るい未来が見えるようだ。寡黙で強く、どこか影を感じる主役ジョセフ・ファインズの演技がいい。唯一感情を露にしたシーンでは、包丁を片手にドスの効いた台詞が恐かった。透き通るような青空など要所のカットがとても美しく、また観てみたいと思わせる良い映画だった。[映画館(字幕)] 8点(2005-04-18 12:48:00)

24.  ネバーランド 《ネタバレ》 観る前はこの映画のテーマを「少年の心をいつまでたっても忘れないことの大切さ」などという月並みなものだと予想していたが、いろんな意味でそんな薄っぺらなものではなかった。子供の頃に誰もが持っていた想像力。「現実じゃない」とただそれだけの理由でやがて誰もが諦め、それが「生きる力」の根源であることを気付かないままに封じ込めてしまう。想像力は創造力、信じることは人が現実の世界で生きて行くエネルギーと成り得るのだ。批評に溺れ演劇が「娯楽」であることを忘れていた社交界の観衆も、知らずにその根源に気付き喝采を送る。「こんなに楽しい舞台は初めてよ。夫が観たらどんなに喜んだか。最後まで少年のような人だったのよ」そう言った老婆の言葉が印象に残った。大人の現実の世界の中で(この映画の中では社交界に象徴されるが)、誰もが「忘れている」のではなく、分かっていながら大人らしくないと「封じ込めている」。それを分かっていながら表に出せず、しかし実は誰もが待ち望んでいる。世間体に左右されること無く、子供たちと関わることでその大切さに気付き、一途に体現したからこそ、ピーター・パンの物語は人々に受け入れられ、そして今でも語り継がれている。この部分は現代の映画を観る我々にも通じるものがあると思う。「大人の鑑賞の仕方」ぶるのではなく、批評家ぶって云々するのではなく、昔のように想像の世界を素直に受け入れ、純粋に楽しむこと。忘れていた本来の映画を観る姿勢をそっと諭された気持ちになった。子役もさることながら、ジョニー・デップの演技は秀逸。なんと表現したらいいのか、不器用ながらも純粋にまっすぐに子供と心を共有する演技が素晴らしいの一言に尽きる。 8点(2005-01-17 00:27:24)(良:4票) 《改行有》

25.  ディープ・ブルー(2003) 《ネタバレ》 イルカはあんなに楽しげに波の上で踊ることが出来るのか。シャチはアシカを尾びれで10mも跳ね上げるのか。ペンギンはあんな距離をブリザードに耐えて行進するのか。‥‥‥最初から最後まで、驚きと感動の連続だった。なんと美しく、壮大な映像の物語。これらの映像を撮影するには、大変な苦労があったことだろう。つまるところこの映画のメッセージは、「地球環境を大切にしよう」ということなのだろうが、ただ一つ残念なのは一番最後の「人は今日も海を傷つけている」という言葉だ。そんな陳腐な言葉は必要ない。そんなフォローがなくても、これらの映像は圧倒的な説得力があるのに。スクリーンに映し出されているのは作られた仮想現実ではなく、弱肉強食のまぎれもない真実。膨大な命が巡る生と死の終わりなき輪廻、描かれたシナリオのない感動のドラマだ。それが圧倒的な現実味と説得力をもって見る側に語りかけてくる。この映画の唱えているとおりだ。別に極端なエコロジストになれというわけではなく、星の彼方を見る前に、我々は自分の足元に在る母なる地球のことをもっともっと知るべきなのだ。どんなに素晴らしい奇跡の星で、自分達がこの星にどんな恩恵を受けているのか。自分達も生命のひとつであることを認識し、産みの親たるこの星に対して敬意を払い、何を行うべきなのか。未来と空ばかりを見て、現実と足元を見ていなければ、文字どおり「足元をすくわれる」ことになりはしないか。‥‥‥‥環境破壊の恐ろしさと人間の末路を唱えるのも大いに結構だが、この映画に描かれている今の地球の現実世界の素晴らしさにも、もっともっと眼を向けるべきなのではないか。自分達の住んでいる地球とは、本来どんなに豊かで、素晴らしい奇跡の世界なのか。こんな美しく、儚い奇跡を破壊しようなんて、誰も思わないはずだ。人間同士のやっている「必然」ではない争いなんて、ちっぽけで無意味なものに見えてくるはずだ。学校での安っぽい教育やそこらの嫌味な環境保全の啓蒙など比較にならない、有無を言わせぬ圧倒的な説得力に脱帽した。メッセージだけでなく、映像をひときわドラマチックに見せる音楽も大変良い。久しぶりに見応えのあるドキュメンタリー映画だった。[映画館(字幕)] 8点(2004-10-25 00:37:18)

26.  シルミド/SILMIDO 《ネタバレ》 犯した罪は決して消えるものでもなく、シルミドに行く前に彼らがやったことは肯定できるものではない。それでも反乱の直後に一人が口走った「自分の墓標に、自分の名前を書けないってことだろ!?」という言葉が彼らの気持ちを象徴している。許されない罪で刑務所送りになった犯罪者達、そんな彼らでも自分の存在した証を残し、自分は自分として生き、死にたかったのだ。最初は刑を免れるための行動であったが、それがやがて、彼ら自身の存在の意味そのものになっていく。北の首領を暗殺して栄光を手に入れる、そんなことよりも、刑の執行により一度は存在を消されかけた彼らはこの任務の遂行に自分達の存在の証という悲願を立てた。共産ゲリラのレッテルを貼られようとも、バスの中に血染めの名前を残した彼らの行動からは、自分の存在意義を確認し、かの国に生きていた証を残したいという、悲惨なまでに切ない気持ちが伝わって来た。犯した罪は、犯した罪。しかしたとえ罪人としてであれ、彼らの存在が世に公的に認められることを願ってやまない。……蛇足だが、音楽が「ザ・ロック」にとても似ていた気が…。8点(2004-06-13 03:44:31)

27.  ビッグ・フィッシュ 最初は主人公同様、父親の過去の真実が知りたいと思ったが、最期にはどうでもよくなった。父の人生の何が嘘で、何が本当かを知る、それが父親を理解することだと信じた主人公が、最期に知ったもの。どれが嘘で、どれが本当かなんてどうでもいい。ただそこに父親が在り、その人生に多くの人々が交わり、そして共に幸せを分かち合った。精一杯に自分と人々の幸せを祈って生き、人々に惜しまれて去った充実した人生があっただけ、それこそが全てで、それで十分なのだ。人生というものの、なんと面白いことか、それを息子に伝えたい一心で、父親は誇張した思い出を語ったんだろう。自分そのまま、幸せで豊かな人生を息子に生きてほしい、心から純粋に、そう願ったに違いない。そうして創りあげた幻想的な思い出の数々も父親にとっては立派な自分の人生の一部。たとえ奇人と呼ばれたって、人の幸せを祈り、人に愛される一生は、素晴らしい。出来ることなら、こんな素敵な最期で一生を終われたなら。嫌味もなく、純粋にそう思える映画だった。8点(2004-05-18 03:09:58)(良:1票)

28.  アドルフの画集 若き頃のヒトラーが画家志望だったことは知っていたのでリアルに感じられ、作中の彼に大変感情移入できる映画だった。政治に興味を持ち民族主義者、出征して勲章をもらうなどある面で非常な現実主義者。しかし一方では画家としての素質を持っていても、芸術の前に華開かない自分をリアルに認めきれない孤独なロマンチスト。直情的であれだけのエネルギーを持っていた後の独裁者には、そうなる前に画家としての挫折や苦悩、開眼があったであろうことも容易に想像できる。人類史上あまりに悪名高いこの男の人生の分岐点、画家としての素質が独裁者として開花するまでの過程が本当に分かりやすく、美しく描かれていた。8点(2004-05-06 00:13:00)

29.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 見た後の気分から6点をつけていたが、考える度にこの映画の自分の中の評価が上がってきたので訂正させていただきます。上のまぶぜたろう氏の意見に感服しました。本当にこの映画は様々な人生の見事な縮図だ。悲惨さばかりに眼がいっていた自分には眼からウロコでした。このレビューに居てよかった。以下、訂正前のレビュー//アイ・アム・サムから一転・渋いマッチョなショーン・ペン、影のある役どころが良く似合うティム・ロビンスの演技。3人の過去に絡んだ物語の展開が3人の役にハマっており、役者の個性が十二分に引き出された、とてもアジのあるサスペンスに仕上がっている。最後のあまりにも救われない終わり方は実に後味が悪かったがそれも一興。過ちを犯したショーンが悲観して死んだり逮捕されたりしていたなら、それこそ尻切れとんぼで後に何も残らない、在り来たりな結末になっていたと思う。そんな決まりきった底の浅いオチであれば、それこそもっと後味が悪く何の救いも無いものになっていたかもしれない。決してショーンの生き方を肯定するわけではないが、彼らの物語としては未練が残るこの終わり方でよい。泣きながらショーンの前で無実の罪を肯定したデイブの心には、殺される恐怖より自分の過去を含め人生にピリオドを打つ、大きな諦めが溢れていたのではなかっただろうか。美しい過去を失ってしまった哀れな男、間違いなく彼にとっては、あの結末こそが救済だったのだ。ショーンも決して終わりの妻の言葉を全て納得していたわけではない。3人が3人とも傷を負い、それぞれに納得した終焉がここにしか無いことを知っていたんじゃないだろうか。キャッチコピーにある「もうひとつのスタンド・バイ・ミー」は大間違い。失われた少年時代といってもこの映画に描かれているのは、戻りたいと思うようなあんな美しいノスタルジーではない。自分達の過去に何とか結末をつけたいともがき苦しむ、消し去りたいと思うような悲惨な過去なのだ。8点(2004-01-17 00:11:27)

30.  ラスト サムライ よくぞやってくれた、という胸のすく思い。 確かにロケがほとんど海外だったから生えている植物がちょっと違和感あったり、史実上では正確でないと思われる部分も数々ある。しかしドキュメンタリーでもない映画に必ずしも史実に忠実に描く必要もなく、気が付くと全く違和感なく鑑賞している自分がいた。時代考証に労力を費やしただけあってかなり「凝って」描かれた明治初期の日本、従来のハリウッドが描いてきた日本の姿とは比較にならないほどスケールが大きく緻密。幕末から明治の日本、世界大戦後の日本のように、他の国の文化を受け入れることで自国のアイデンティティーが失われることを危惧したこんな人物や、こんな事件が実際に存在したのではないか、と思わず納得してしまうだけのリアリズムがある。あれだけの世界がハリウッドで再現され世界に発信されたことは、日本人としてなんだか誇らしい気持ちになった。 こんな現代のアメリカでも、他国の文化を理解しようと努め、なおかつ「滅び行く相手側の視点」に立って映画づくりができる人がいるのが嬉しかったが、これを観た外国人の人が、今までにない正確さで描かれた切腹や古い時代の日本人の美徳をどう思うか、大変興味がある。トム演じるネイサンはかつてのアメリカのインディアン侵攻に嫌悪感を露骨に持ち侍に共感するが、果たして現代のアメリカの人々は。アメリカは世界でみれば最も歴史の浅い国。古い他国の歴史や文化を重んじているこの作品、イラク問題まっただ中のアメリカの人々は、どう観るか?切腹という自殺を、「名誉ある死のかたち」というひとつの「文化」として認めることができるか?この映画を観た海外、特に我こそ正義のアメリカの人々がどんな感想を抱いたのか、是非感想が聞きたい。 渡辺謙や真田広之も、トム・クルーズに負けない名演技!物語がトムの独り舞台ではなく、渡辺謙演じる勝元や日本のサムライとのヒューマンドラマとして描かれているのがとてもいい。この映画を観る時代劇に慣れた日本人の視点は、当然ながらかなり時代考証的になってしまうであろうが、物語の構成自体も決してつまらなくない。シンプルな物語の中に日本人の良き姿を再現してくれたこの映画スタッフに感謝。8点(2003-11-24 01:00:07)(良:1票) 《改行有》

31.  シカゴ(2002) 仕事で疲れて憂鬱になっていた気分が、レイトショーで一発で吹き飛んだ。歌は上手いんだかわからないが、それでも音楽にも大迫力のダンスにも大満足。あらゆるミュージカルの歌は出演者の言葉をより心象的に表現するものだが、この作品では舞台を映画にしたという利点をよく活かしていると思う。舞台ミュージカルと違い、場面によっては一瞬にして背景まるごと心象表現に切り替え、その相乗効果で歌やダンスが更に見事な表現手段となっている。特に新聞記者たちが文字どおりの「操り人形」になる場面は傑作。実際の舞台も見てみたい。 当時のシカゴに関する知識があったら、確かにもっと楽しめたかもしれない。あと、この出演交渉を蹴って後悔していたトラボルタがもしリチャードに変わって出演していたら、どんなものになっていたか大変興味深い。8点(2003-11-08 23:57:43)《改行有》

32.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち これぞディズニー・エンターテインメント、頭カラッポにして存分に楽しめる映画。何と言ってもジョニー・デップの演技、 ちょっとヒネててキレてて、それでいてダンディでクールなカッコイイ奇人、ジャック・スパロウ。まさに彼のために用意された役柄といっても過言ではない。あれだけのキャラをリアルに自分の中に作り上げるというのは本当にスゴイ。物語の冒頭、海から颯爽と登場するその姿にはシビレた。ストーリーも分かりやすく、音楽も大海原を駆ける自由な海賊を連想させて、映像と良くマッチしている。自由の象徴・海賊を舞台に笑いあり、スリルあり。まるでひとつのテーマパークにお金を払って入ったように、童心にかえって心から楽しめる映画だった。 8点(2003-11-08 00:50:31)《改行有》

33.  レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 物語序盤の、レミーがリングイニ操縦を訓練するシーン。ボトルから手酌で注がれたワインがグラスを外れ、背景にピンボケで見えている白いテーブルクロスの上に落ちて跳ねる。その質感、水滴が跳ねながら、半ば布に染み込んでいく様子。その一瞬のリアルなことに思わず見とれた。‥‥‥キャラクターはユーモラスにデフォルメされ、完全に漫画キャラだが、背景のリアルさや料理のシズルはますます磨きがかかっている。さすがはピクサー、CGアニメ世界一を自負するだけのことはある。動きもCGならではの不自然さがなく重量感もあり、観ていて違和感を全く感じなかった。‥‥‥ヒロインがリングイニを好きになる行程が無く、筋書きはツッコミどころ満載だが、節々にボケとツッコミが効いていて大変面白い。散弾銃を打ちまくられシャンデリアと一緒に落ちたネズミたちとそれを凝視するオバアさん、保健所の調査員がキッチン一杯のネズミ軍団を見て立ちすくむ保健所の調査員。このあたりの「一瞬呆気にとられて固まる」様子がスピーディーでリズミカルに表現されていてユーモラスだ。‥‥‥またレミーが「味を感じる」様子や、イジワル評論家が田舎料理に衝撃を受けるシーンなど、CGの技術だけに頼るのではなく心象表現も大変工夫されている。主人公は結局ネズミの力を借っ放しで自立できないダメコックのままだけど、とても見応えのある一作だった。[映画館(吹替)] 7点(2007-08-08 01:16:02)(良:1票)

34.  ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 《ネタバレ》 第一作目以来、あえて原作は読まずにずっと鑑賞しているが、初作以来の面白さだったと思う。前作までの話をさすがに忘れかけていたが、それでもテンポ良く進む筋書きは大変に分かりやく、物語の流れを見失うことなく最後まで楽しむ事ができた。‥‥‥ゲイリー・オールドマンには、やはり「レオン」や「エアフォース・ワン」のような冷徹な悪役が似合う。悪役をやらせたら右に出る者の居ない彼が善玉とは、どうしても違和感が感じられたが、特筆すべきはアンブリッジ先生演じるイメルダ・スタウントンの演技力。‥‥‥「ヴェラ・ドレイク」では良心的で可哀相な老婆を心細く演じていたが、今回は図々しく豪快でピンクで、どこまでも嫌みなオバハンであった。最初は前に観た作品のイメージが残っていたのだが、物語が進むに連れて本気で憎たらしくなってきてしまう。今回の物語の中に大きなエッセンスを加えるこの役柄に、彼女のキャスティングはこの上なく正解に思えた。(ヴォデルモートの存在を知る前に呆気なく連れ去られちゃったけど)[映画館(字幕)] 7点(2007-07-24 00:49:55)

35.  ダイ・ハード4.0 《ネタバレ》 「ダイ・ハード」という言葉の意味は、確か「死にそうなのになかなか死なない」というような意味だったと記憶している。第一作目、ナカトミビルで血みどろになりながら戦った冴えない刑事は、本作ではターミネーターばりの強さとなり、死にそうな危機感など感じられない。ジェット機に飛び乗っても、ヘリを撃墜しても、天下無敵の我らがヒーロー・マクラーレン警部なのである。‥‥‥もはや「なかなか死なない」を超越した存在にはなってしまっているものの、「誰も代わりが居ないから」と愚痴をこぼしながらも戦う姿は昔の主人公の姿そのまま。3作目でややこしくトーンの落ちかけたシリーズを、一気呵成に最初のあるべき姿へ戻してくれたようで見ていて嬉しい。最初から最後まで息もつかせぬアクションの連続、十分に映画館で観る価値のあった映画だった。[映画館(字幕)] 7点(2007-07-14 17:23:12)

36.  ロッキー・ザ・ファイナル スタローンが第一作の脚本を書き上げたのは、わずか2日間だったという。実際には存在しない筈の「ロッキー」という人間のブランド、ただそれだけで観に行った映画。2やら3やら、最近の続編ブームには大概ウンザリきていたが、観に行って安心した。‥‥‥人の心にズカズカと入り込み、もっともらしく説教を垂れ、そして、傷だらけになりながらそれを証明する。金持ちというアメリカンドリームの体現者ではなく、人生の勝利を手に入れた、決して負け犬にならない男。今でも、ロッキー・バルボアは、昔の愚直なバカのままのロッキー・バルボアだった。‥‥‥トレーニング風景がやたら短いのも、古くさい回想シーンやセンチメンタリズムも、そんな小さなことはどうでもいい。評論家がぶちまけるような安っぽい演出への工夫なんて顧みない無骨な演出、骨太なスタローンの熱いメッセージが伝わってくるではないか。我らがヒーロー、ロッキー・バルボア健在なり。歳をとったって、人生へのチャレンジャーであり続けたい。第一作を彷彿とさせる、人を奮い立たせるパワーのある一作だった。[映画館(字幕)] 7点(2007-04-22 01:59:44)

37.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 なぜ人間に子供ができなくなったのか、世界が破滅に向かった理由は何なのか、結局最後まで結論は分からずじまいだが、クライマックスには感動させられた。未来に一筋の望みを残す、あのエンディングもなかなか。‥‥‥なにより素晴らしいのは、映像と物語のリアルなこと。主人公テオドアが赤ん坊を追って銃撃戦の中ビルへと向かう、話題のあの超ロングカットも、よく演じきったものだと感心する。薄汚れた町中、イギリスの街中を走る輪タク(?)、ボロボロのポスター、現代と全く変わらない軍隊装備、難民の群れ等々。車も宙に浮いている訳でもなく、現実味のある近未来の世界観の表現が、物語に強烈な説得性を持たせていると思う。根拠もないのに、人類文明があらゆる意味で飽和しきった現在、近い将来に本当にこんな世界が訪れる気がする。‥‥‥そのリアルな世界観のお陰で、全てのナゾが解き明かされたわけでは全然ないのに、女性が子供を産むという行為の偉大さ、素晴らしさが痛感できる映画。我々男性がどんなに頑張ったって、女性のこの出産という行為の偉大さに及ぶことはできるまい。[DVD(字幕)] 7点(2007-03-25 21:05:32)

38.  パフューム/ある人殺しの物語 延々と主人公の心情を読み上げるナレーションにはちょっと中だるみしなくもないが、全体としてはよくまとまり、上映時間の長さを感じさせない。主人公ジャン=バティスト演じるベン・ウィショーのギスギスとした演技はなかなかのものだったと思う。……映画にすることの出来る視覚でも聴覚でもなく、嗅覚をいかに表現しているかと期待したが、その部分に関してはちょっと期待はずれ。冒頭のグロい映像や花畑だけでなく、もう少し新しい表現をしているかと思ったのだが。全体としてはドキュメンタリータッチな物語だけで、個人的には「香り」というテーマには今一歩及んでいないように思う。……香りの追求と道徳の狭間で苦悩した主人公と、その結果の人殺しの選択、という筋書きを思い描いていたが、最初からいきなり人殺しに走り、我が目的の材料のためだけに躊躇なくエゴをむき出すバティストには、さっぱり共感できなかった。それでも映像のクオリティには見応えがあったし、まず満足。オリバー・ツイストにもあったけれど、昔のヨーロッパって、あんなに不潔で汚かったのかな。[映画館(字幕)] 7点(2007-03-12 01:34:29)

39.  息子の部屋 《ネタバレ》 エンディングの海辺のバスターミナル、息子の恋人だと思っていた彼女は訪ねてきたが、結局何も語られることはなく、ボーイフレンドと共に去っていく。彼女らは、主人公夫妻にとっては、死んでしまった息子の想い出の象徴となる筈だったろう。また、観ているこちらも、彼女の口から語られるであろう、「親も知らなかった息子の真の姿」的な展開を期待する。……しかし予想に反し、彼女にはボーイフレンドも存在し、おそらく息子にとっても特別な存在ではなく、ただ訪れ、ただ去っていく。走り去るバスと一緒に、愛する息子の死や想い出も、一気に「過去の出来事」になってしまう。見る側の予想を(良い意味でも悪い意味でも)見事に裏切るこの演出は面白い。………事前のアンモナイト化石等難事件の真相も父親は知らないまま。家庭崩壊の危機も夫婦のベッドでの台詞で初めて気がついたくらいでさほど感じられなかったし、途中途中の布石と思っていた全て出来事の結論が出ることはなく、ただ時が流れていくだけ。私も見事に騙されたクチでちょっと拍子抜けしなくもなかったが、そんな出来事を布石ではなく「ただ描くこと」で日常を描いたからこそ、ごく平凡な幸福な家庭にふりかかる突然の不幸がショッキングに思えたのかもしれない。………フランスの風景の美しいこと、映像に音楽も良くマッチしているし、端々に出てくる調度品のセンスの良さにはびっくり。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-25 02:17:28)《改行有》

40.  墨攻 《ネタバレ》 儒教を説き専守防衛を旨とし、知略に長けた「墨家」という思想集団の存在を初めて知ったのは原作の漫画だった。血で血を洗う中国の戦国時代に、そんな集団が実在したのは驚きだ。……漫画はコンビニでちらりと立ち読みした程度だったが、一人砦へとやってきた革離が反感を持っていた民衆から信頼を得ていく過程が省かれていたのはちょっと物足りない気がした。しかしそれでも、大軍(10万もいるとは思えないけど)を迎え撃つ迫力のあるシーンの連続にグイグイ引き込まれてしまう。人海戦術にモノを言わせるのではなく、少人数のキャストでも丁寧に撮られているせいだろうか。……人道と現実の間で苦悩する主人公・革離に比べて一国の王様たる梁王の何とミミッチくて器の小さいこと。革離演じるアンディ・ラウの無骨な渋さは役柄にぴったりだったし、何より最後の最後まで飽きさせないスピーディーな展開。声が出せずに溺れてしまった可哀相な逸悦には助かってほしかったけど、コンパクトで充実した筋書きは面白かった。[映画館(字幕)] 7点(2007-02-18 00:53:35)

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