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プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  海賊黒ひげ 《ネタバレ》 黒ひげの最期は印象的ですが…率直に言いまして、これが全く面白くありません。ウォルシュが監督なのにどうしてこんなことになってしまったのか?もしや別人が撮ったのではないかと勘繰ってしまうほど冴えておりません。 まず、大海原を駆ける海賊の物語であるのにもかかわらず世界がえらく窮屈です。開けた世界はお手の物のウォルシュ監督のはずが、もういかにもセットといった感じの息苦しさで、海なんぞほとんど船が模型の時しか出てきませんし、逃げ隠れする船内の見せ方も上手くいっているとは言い難いです。それに恋愛部分においても中途半端であり、特にレイナード役の俳優さんに魅力が感じられないのは頂けません。ただ、ここにおいてもウォルシュは女優には配慮しており、とても美しく撮られています。[ビデオ(字幕)] 5点(2010-01-18 18:16:50)

22.  探偵物語(1951) それぞれのシーンで、殊に感情面のものにおいては的確な演出がなされていますし、室内での人物の出し入れも上手いですし、署内の喧騒や緊迫感も良く出ています。カーク・ダグラスを始め万引きのおばさんまでオーバーアクト気味なものの、そのキャラクターからすればそれも決して悪くはありません。 …しかしこれらの良い点は概して舞台向きとも思えます。移動シーンすらほぼ車内一室で見せてしまっているのですが、これは移動ではなく殴らせる為だけに二人の空間を用意したに過ぎないもので、いくつか良い場面はあるものの、映画としては突き抜けたものが感じられないのです。[DVD(字幕)] 7点(2009-12-04 18:29:23)(良:1票) 《改行有》

23.  ウィンチェスター銃'73(1950) 《ネタバレ》 父親の敵を討とうと追って行く間に、当人たちのあずかり知らぬ所でウィンチェスター銃が人から人へと渡っていく様が巧みで面白いですし、カードを不器用に扱いながらポーカーで儲ける銃商人や、騎兵隊隊長、スティーブといった僅しか登場しない人物たちまでもが魅力的です(誰もがビビるワイアット・アープは少々温和すぎますが;)。  しかしこれは何と言っても銃撃シーンが素晴らしいです。度々、高・低の構図を使い、相当な距離があるにもかかわらず射撃する者の姿と射撃される者の姿を一つの画面に収めてしまっているところが凄く、何だか妙に気分が高揚してきます。ラストの銃撃戦にしても、私の残念なTV画面で見ると豆粒のように小さいのですが、しっかりと高い所から撃つ姿を映し出しているのです。そんな中でもお気に入りは、リンがダッチにウィンチェスター銃を奪われる場面で、それに気付いた相棒が階下から射撃しガラスがパシャンと割れるのを二階の室内から見せるシーンで、あれはワン・ショットで起こる諸々の出来事をまさにワン・ショットで捉えています。こういうのを見せられますと、距離のある銃撃戦を撮らせたらアンソニー・マン監督の右に出る者はいないだろうと断言したくなります。[DVD(字幕)] 9点(2009-08-26 18:15:59)(良:2票) 《改行有》

24.  お早よう 《ネタバレ》 住宅地の一画の何でもない日常生活風景なのですが奇妙な魅力を秘めており、それぞれの人物の登場させ方も絶妙で押し売りコンビまでもが完璧に出入りしています(押し売りを撃退するおばあちゃんが一番凄い!)。またオナラという下品なギャグも、返事と違えて奥さんが「何だい?」とやって来たり、干したパンツを旗のようにさわやかに見せたりと、品を損なわずにカマしてみせるところなども流石です。  それから「アイラブユー」と軽く言ってのける弟の存在がとっても効いており、本来ならもっと陰惨になる親子喧嘩などのシーンも弟の存在が柔らかい印象を与えてくれて、河原におひつを持って行ってご飯を食べるシーンなど、何とも気分が良いものです。ラストの駅で「良いお天気ですね」などと無意味な会話から恋愛が発展しそうなオチ?もくすりとしてしまいます。[ビデオ(邦画)] 9点(2009-06-02 18:33:02)《改行有》

25.  遠い太鼓 《ネタバレ》 フロリダの大自然の美しさをカラーでしっかり収めるというのも、一つのテーマだったのだと思いますが…どうもあまり上手くいっていないシーンの方が多い気がします。特に最初の方はウォルシュ監督はどうかしてしまったのか?と思ってしまうほど頂けないです。良いのは、同監督同年製作の「艦長ホレーショ」と同じくロマンスのシーンだったりします。二人が惹かれ合う展開というのがいささか乱暴であり、憶測で物を言えば未開の地で生活する日照り状態のところへグラマラスなブロンド女が登場すれば、空腹感を満たす為に近寄ったんじゃないかと思えてしまうのですが、そんな強引な成り行きも至極当然に見せてしまう余裕っぷりには恐れ入ります。そんな意味でもこれは王道を行く娯楽作品であり、唯一ドキドキさせてくれるクーパーの息子の消息ですら、少なくとも中尉の剣が手渡されるまでは死ぬはずがないと、どこかしら安心感を与えてくれるのです。[DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 18:07:40)

26.  艦長ホレーショ 《ネタバレ》 海洋、軍人ものなので男くさ~い内容をイメージしていましたが、長期間、大海原をかけ戦闘を繰り返す活劇としては面白味に欠けていますし、常に澄み切った空は美しいのですが、せっかくの海なので嵐も見せてほしいと思います。・・・しかし本作の主体は冒険活劇ではなく、グレゴリー・ペックとヴァージニア・メイヨの恋模様を描いた完全なるロマンスの映画なのです。それも女と話すのが苦手そうに咳き払いをするペックと、芯の通ったお嬢様のコテコテの恋愛模様かと思いきや、そうではなく互いに別の決まった相手がいるという高い障壁のある禁断の恋…。惹かれ合いながらも愛し合うことができない二人の微妙な距離感が絶妙ですし、個人的にヴァージニア・メイヨは趣味じゃないのですが、とっても綺麗に撮られています。特に病に伏せ熱に浮かされる姿などはとても艶っぽく、ペックがイチコロになるのも当然です。[DVD(字幕)] 7点(2009-04-01 18:12:27)

27.  世界の全ての記憶 おそらくナレーションだけを聞いていても理解できるでしょうが、映像だけでも十分に理解できるような作りになっています。 整理し保管する過程で見せる螺旋階段や棚の反復が、人類の積み重ねてきた叡智の膨大さを物語っています。図書館は脳内のようであり小宇宙のようであり、それぞれの資料が存在を示すために閲覧者が現れる日を今か今かと待っている…図書館とはまさにこんな場所です。広大にして閉ざされた狭い空間で人類は知識を支配しつつも支配されているというような皮肉もきいています。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-11 18:29:58)

28.  必死の逃亡者 例えば立て籠った〝家〟の見せ方であるとか、時間が経つごとに強まっていく緊張感であるとか、それぞれの人物や3丁の拳銃の使い方であるとかが素晴らしいのですが、やっぱりボガードの悪役っぷりが最高です。というのもボギーの顔というのはヒーロを演じている時でさえ悪人ではないかと疑ってしまうほど凄みがあるのです。[DVD(字幕)] 8点(2009-03-03 18:06:56)

29.  裸の拍車 《ネタバレ》 冒頭、拍車のカットから始まるのですが、これがカッコイイだけでなくちゃんとラストへの伏線となっていて印象深いです。登場人物たった5人で雄大な景色の中を進んで行くのですが、それぞれの思惑を絡め緊張感を持続させています。また、程よく挿入される銃撃戦もどれも素晴らしいです(特に高みから低みの構図や個々の行動が良い)。・・・ただ、個人的には5人しか出てこないのに5人ともに若干オーバーアクト気味であったり、ラストの純真無垢なヒロインの聖女ばりのアップ(彼女のショットではこれが最も美しくて良いのですが)であったりは、過ぎているように思えてしまうのです。もちろんそれが良くもあるのですが…。[DVD(字幕)] 8点(2009-02-18 18:14:22)(良:1票)

30.  地球の静止する日 《ネタバレ》 異世界からの侵入者としてのクラトゥの浮いた描写が本作のキーになっているのは間違いありません。下宿先のみんながTVを見てるところにヌッと現われ表情が影に隠れて見えないところなど、いかにもですが不気味そのものです。またクラトゥは日本人のように微笑をたたえていますが、これはまったく仮面のようであって、その真意ははかりかねるものであり人間の形でありながらも彼を不可解な存在とすることに成功しています。さらにB級ながらも力学に従うように球形でまとめられた宇宙船やロボットの造型、完全無欠の着グルミなのに惹きつけられてしまうゴートの存在感なども良いです(特にクラトゥを救いに来るシーンなどはとても素晴らしい)。  一つ残念なのは、クラトゥたち宇宙人の力を見せるのに地球中の電力を停止させるという映画的には面白くもない何ともない大技で見事に?乗り切られてしまったことですが、逆転の発想であり平和的解決法と思うとこれまた見事です。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-14 18:38:19)(良:2票) 《改行有》

31.  地獄の英雄(1951) 《ネタバレ》 何にも無い田舎町に車が一台やってきて、それを皮切りにあっという間にワンさと人が押し寄せ楽団や遊園地まで開かれお祭り騒ぎになり、事件が終結すれば蜘蛛の子を散らすようにまたまたあっという間に消えて行く野次馬の演出が見事です。最初にやって来た一組の野次馬以外の顔を見せないことで、この不特定多数の群衆が事件の当事者と無関係な人々であるいうことも強調されています。また、騒ぎを煽った張本人カーク・ダグラスが突如として良心に目覚めるところはキャラクターが違うのでは?と思いますが、改心したあたりから走り出す異様に暗く重々しい雰囲気が辛辣で、メディアや権威といったものを痛烈に皮肉っています。カーク・ダグラスがバッタリ倒れて〝The End〟の文字が出てくるラストも衝撃的です。[DVD(字幕)] 8点(2008-11-11 18:32:40)

32.  ガンヒルの決斗 《ネタバレ》 最初にちょこっとしか出てきませんがカーク・ダグラスの町と比べ、アンソニー・クインの仕切る町の張り詰めた空気はどうでしょう。見事なまでに緊張感に満ちておりカーク・ダグラスの孤立無援さが良く出ていますし、それによりカークの凄む、殴るなどのちょっとしたアクションも正義漢の潔癖的強さとして際立っているのです。それは辺りが暗くなってくるとさらに素晴らしくなり、アンソニーがカークの立て籠るホテルに話し合いに行くシーンなどは本作の最大の見せ場だと思います。欲を言えば最後に待っているだろうなと思っていた大銃撃戦が無かったのが残念ですが、ラスト〝漢〟二人の決闘から三人の別れのシーンも実に良いです。[DVD(字幕)] 8点(2008-11-04 18:10:14)

33.  東京物語 《ネタバレ》 最初にこれを見た時は、正直に言いまして度肝ぬかれてしまいました。カメラは移動することなく固定され、話す人物をほぼ正面でとらえているのですが、こんなんで映画が成り立ってしまうのかと思っていましたら、成り立つどころか凄まじい出来栄えなのですから。例えば、バカみたいに細かい性格描写などしなくとも家族関係を明確に見せてしまったり、あるいは老夫婦が並んでウチワをあおいだりと度々シンクロするような姿を映し出す事によって、母親が亡くなってしまった瞬間から父親が一人になってしまったことが強調され、年老い、死に、孤独になってゆく寂寥感をより一層感じさせたりするのです。そして特筆すべきは原節子さんでしょう。杉村春子さん演じる長女などはキャラクターこそ強烈なれど、後々〝段々あんなふうになっていく〟と会話にあるようにあまり不自然には見えないのです。ところがどっこい原節子さんの演じる未亡人の義理の娘は優しい笑顔を常に浮かべているのですが、これがある種、亡霊のような怖さを感じさせるのです。しかしだからこそ最後の最後で〝ずるいんです〟と告白するシーンが圧巻なのであって、血の繋がりがない義理の親子が実に理想的な親子像だったりするあの場面に寂しくも温かい気持ちになるのです。[ビデオ(邦画)] 10点(2008-10-17 18:25:39)(良:4票)

34.  街の野獣(1950) 《ネタバレ》 俯瞰で街の様子をとらえる始まりと終りの逃走劇は同監督作の「裸の町」と似ていますが、本作の方がドラマティックですし、あらゆる面で勝っているように思います。モノクロの画面が生み出す光と影の世界が素晴らしく、構図も良く練られています。数多く登場する人物の造型やその使い方も見事で誰一人、何一つ無駄がありませんし、野心に溢れるハリーをはじめ恰幅の良いキャバレー経営者、力強くて優しい伝説のレスラー、鋭くも哀しい視線のギャングな顔役等々それぞれの役者さんも良い味を出しています。追われる者ハリーの絶えず動き回っているイメージや、レスリングシーンの迫力、テンポも感傷的な場面も一人一人の表情も全て良いです。〝窓をしめてくれ〟の親子の死別シーンなどは涙もんです。ただ一点、惜しむらくは夜のシーンがいまいち美しくないのです。原題が〝night and city〟にもかかわらず…。決して悪くはないのですが、他が完璧に近いだけに逆にそれが目に付いてしまいます。[DVD(字幕)] 9点(2008-08-28 18:18:25)

35.  真昼の決闘 《ネタバレ》 主人公の焦燥感、町の通りに人影がなくなっていく様子、または三人組が町へやって来る時、あるいは彼らが駅で汽車を待ちつづけている姿の無気味さや、いよいよ汽車が到着する時のあの緊張感は凄いと思います。また登場するキャラクターの誰もが首尾一貫しています。・・・ところで本作は50年代当時の赤狩りという社会的背景に対しての怒りを反映しているみたいなのですが、確かにそれが感じられます。例えば逃げない正義の主人公は酒場でバーテンを殴る、誰も加勢しないと決定した時、実に印象的に事務所の机で怒りをぶちまける。この〝怒り〟は完全に非協力的な町人達に向けられています。そして本来なら正義に対する悪者一味の描写はほとんどなく、協力者集めに奔走し、酒場、友人、教会、引退保安官とことごとく断られていく様をリアルタイムで映し続けているのです。ジョン・ウェインが不満に思いハワード・ホークスと「リオ・ブラボー」を撮ったという話を聞きました。詳しい経緯を知らないので憶測でものを言うのはよくないのですが…、この強制的正義と言いますか、絶対悪に対してではなく非協力的という負に呼応しての正義が強調されているところに違和感を覚えたのではないかと思います。政治的メッセージを盛り込みたかったのかもしれないですし、人間らしい英雄像でも全く問題ないのですが、それでも孤立無援となった際、クーパーが〝怒る〟のではなく絶望の〝ため息をつく〟ぐらいではないと正義の矛先が一体どこに向かっているのかが、あやふやなものに見えてしまいます。傍観者への〝怒り〟を表現するにも肝心の正義はもっと高次のところにあるのではと思うのです。・・・と、個人的正義感は別にどぉ~でも良いにしても、ラストの決闘シーンは例えば敵との距離感一つとってみても「リオ・ブラボー」には劣っていると思います。[ビデオ(字幕)] 7点(2008-07-22 18:31:40)

36.  無頼の谷 《ネタバレ》 いきなりキスシーンから導入しており甘いラブロマンスが始まるのかと思いきや、強盗暴行殺人がおき空気が一変します。幸せだった婚約者が倒れている姿が映り、手は力なく放り出され(ディートリッヒの事切れる瞬間の手も同じ)、物語の鍵となる送ったはずのブローチがなくなっていることが分かります。そして主人公の銃の装着を合図に復讐劇が開始されるのですが、この冒頭から復讐開始までの一連の演出と運びの巧さはまったくもって簡潔であり完璧です。 この主人公は情報のためなら投獄されることも辞さない復讐鬼と化しても、決して殺人鬼と化さない一本気な男で、ディートリッヒが仕切る犯罪者の隠れ家(このチャカラックの入り口が実に良い)へ潜入するのは通過儀礼のようなものであり、ディートリッヒの存在といい、挿入歌といい全編に伝説的な雰囲気が漂っています。カラー作品ですが、広大な自然や澄み切った空などは映し出されることなく澱んだ空気となっている暗さも印象的です。それからもう一つ忘れてはならぬのは床屋での大乱闘で、この過剰さが良いです。[DVD(字幕)] 8点(2008-04-28 18:05:52)(良:2票)

37.  捜索者 《ネタバレ》 もうすでにおっしゃっている方々もいますが、最初と最後のシーンが素晴らしいです。いかにも物語るという感じで本の表紙でも開くように始まり閉じるように終わる、真っ暗な家の中と戸口の向こうに広がる明るい景色、やって来るジョン・ウェインに去り行くジョン・ウェインが胸に染みます。そしてあのジョン・ウェインが人種差別主義の狂気じみたキャラクターを一貫して演じているところも凄いです。川向こうで逃げ惑うインディアンをさらに撃とうとする、食料を減らすんだと野牛も殺す、姪にも銃を向ける…などなど軽く悪寒がするぐらい怖さがあります。それでいて椅子コケを繰り返しするなどドタバタ喜劇の要素も加えていて巧い具合にまとめあげてしまっているのだから凄い。[ビデオ(字幕)] 8点(2008-04-22 18:20:35)

38.  ロビンソン漂流記(1954) 《ネタバレ》 ブニュエルが何故にロビンソン・クルーソー?と思いましたが、何と言うことはないです。無人島に一人は極論であり、これはブルジョアと召使の主従関係を描いた物語だったということをすっかり忘れていました。ブニュエル監督の興味はその方に向いているためか?自然の中を生き抜く孤独な生活シーンは日記を読むようにモノローグで消化されており、いささか面白味にかけますが、人間を意識させるシーンはハッとさせられます。女物のドレスを案山子に着せた時の欲情と孤独感、一人でパーティ気分で高揚していく狂気、海岸で足跡を見つけた時の緊張感(何故か足跡は一つっきり!)、そしてフライデーとの対話。ロビンソンとフライデーが理解し合えた次の場面に切り替わると、さっそくフライデーは当然のように銃を手にしています。銃は主人と奴隷の関係を成り立たせていた唯一のものであり、二人が対等の立場になったことを一瞬で証明しています。[DVD(字幕)] 8点(2008-03-05 18:19:28)

39.  橋(1959年/ベルンハルト・ヴィッキ監督) 《ネタバレ》 戦争におけるヒロイズムの崩壊を描いていますが反戦を意識したというより、ありのままの戦争を写し出しているように思えます。もちろん主人公たちが子供であるからこそ悲劇性が増しているのでしょうが、それが重要なポイントではなく純粋な視点を借り正面から対峙することで戦争の残酷さを浮き彫りにしているのだと思います。逃げまわる大人の姿、瀕死の負傷兵、戦闘の恐怖、あっけない死、さらに生き残った者に与えられる虚無。順を追うごとに厳しくなるシーンの連続は悲惨なんて言葉じゃ物足りません。さらに、おそらく〝子どもたちだけで戦車を撃破した〟という出来事が噂となり伝われば人々は子どもたちを英雄と呼ぶのでしょう。でも実際はそんな言葉は相応しくない過酷な戦闘をリアルに描出することで英雄を葬り去っています。敵味方問わず多くの尊い命が犠牲となり記録にすら残らず消えていく戦争はあらゆる概念を破壊し、そこには英雄も臆病者もなければ大人も子どももないのかもしれないと考えさせられます。木の上から敵兵を狙う少年が射殺した後に見せる笑顔が何とも不気味で印象深いです。[DVD(字幕)] 10点(2008-01-28 18:11:01)(良:1票)

40.  居酒屋(1956) 《ネタバレ》 洗濯場での喧嘩や誕生パーティのバカ騒ぎのシーンに凄いパワーを宿しています(あの示し合わせた感じの無いちょっとしたバラバラ感が妙にリアル)。そこには品格とは無縁な生々しい野卑な人間が存在し喜怒哀楽がつめこまれているのですが、その辛辣な人間の、男と女の描写こそ人間の本質というもので博物館で芸術的な絵画を〝向こうにもっとイヤらしいヤツがあるぞ〟と走り回る、まるで中坊のような大人たちがとっても生き生きしています。だからこそ最後に呆然としているジェルヴェーズ(この女優さんが雰囲気抜群!)の姿は活力を失い死人同然のようで悲劇性が高まっています。さらに世代交代でラストに男子を引き連れて走る娘のナナの姿が、新しい人生の始まりと同時に繰り返される悲劇を連想させ感慨深いものとなっています。  ・・・余談ですが、確かゾラはこの娘のナナを主人公にした小説も書いていてそれも波乱万丈の人生だったような…生きるってことは大変です。[ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-25 18:11:06)(良:2票) 《改行有》

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