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プロフィール
コメント数 1000
性別 男性
年齢 60歳
自己紹介 レビュー数が1000に達したということで、活動を停止します。(今のところ)仕事がひじょうに忙しいので、映画を楽しむゆとりがありません。落ち着いたら再開するかもしれませんが、とりあえず未定です。

皆さま、ありがとうございました。縁があったらまたお会いしましょう。

※変更要望は出すかもしれません。

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21.  巨人と玩具 《ネタバレ》 増村監督らしく、早口でわめき立てるようなセリフ。しかし業界自体の性格が表れているようで、ピッタリしていました。内容的にも現代にまで通じる「サラリーマン残酷物語」であり、マスコミの裏側に垣間見られるいかがわしさや非情さをうまく描いていたと思います。それを体現していた高松英郎もすばらしいけど(若くて最初は誰かわからなかった)、虫歯の野添ひとみもキュート。「大衆は何も考えていない」などの鋭いセリフも飛び出し、とにかくパワーのある作で、「笑うのよ」っていう締めもなかなか考えさせられます。60年近く経っても風刺精神が生きているというのは、人間の本質を捉えているからなんでしょうね。『三丁目の夕日』シリーズが好きな人も、一度見てみればいいんじゃないでしょうか。 本作のDVDを販売しているのが角川というのも、偶然ですが面白い因縁です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-03-12 11:37:34)《改行有》

22.  第三の男 《ネタバレ》 これも数十年ぶりに見ました。デジタル・リマスターされたのか、画もきれいで音声も聞き取りやすく、ついでに字幕も新しくなったようで、元から評価の高い作ですが、個人的には面目を一新したというところ。これまでは、ハリーが単独で犯罪を行っていたと思っていたのですが、実は組織のボスたっだと判明。終盤も男同士の友情と女の愛情に犯罪捜査がからみ、なかなか渋い展開でした。戦後ウィーンにおける人種の問題にもちょっと触れていて、みんなアンナをしぶしぶ逮捕しているところが印象的でした。映像的にはモノクロのコントラスト、光と影の使い方がうまく、まさに芸術的。このような作品を見ると、もう映画はモノクロでいいんじゃないかとまで思えてきます。 カメラを斜めにした構図は面白いのですが、ちょっと使いすぎてインパクトが弱くなってしまいました。それと、肝心なところでホリーの心情が簡単に変わってしまうため、人物像が軽すぎるように思われました。それ以外は、とぼけたユーモアもあってかなりよかったです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-03-04 20:00:10)《改行有》

23.  猿の惑星 《ネタバレ》 最初に見たのは「月曜ロードショー」でした。荻昌弘さんが最後に猿のメーキャップをして登場した放送です。ラストについては「あ、そう」という感じで、特に驚きとかは感じませんでした。まあ子供だったから意味もあまりよくわかっていなかったのでしょう。その後民放で2回ほど見ました。 今回久しぶりにノーカット・字幕で見て、ていねいな作りに感心しました。宇宙船が不時着してから砂漠や荒野を越え、植物を発見し、次第に惑星のことがわかってくる。そして人間を登場させ、人間を狩る猿の出現。この展開は正攻法ながら、それ故に成功しています。物語の設定が奇抜なだけに効果的だと思います。それ以降も、テイラーが喉を打たれて最初は話せない、コーネリアスが研究している遺跡に何か秘密があるなど、段階を踏んだ進め方で自然な流れになっています。 テーマとしては人間社会に対する批判が色濃く、そもそもテイラーが人間を嫌い、地球を見捨てるような形で宇宙船に乗り込んだということが、それを端的に示しています。猿が支配する社会を舞台にすることで、猿と人間を対比させて人間批判を行うというのも、正統派ですがそれだけに説得力があります。面白いのは、人間が滅んだ理由としてテイラーが病気や自然災害を挙げ、戦争に言及しないこと。真っ先に思いつきそうなものですが、おそらくは敢えて戦争を出さないことが、なかなか意味深いと思います。 結局、そうした人間に対する批判の結果としてあのラストシーンがあるわけで、そこだけ取り出してもあまり意味がないと思うのですが……。非常によく練られた脚本で、シャフナー監督のダイナミックな演出も見どころですし、名作の名に恥じない作だと思います。(レビュー800本目)[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-12-13 10:27:14)(良:2票) 《改行有》

24.  ライアンの娘 《ネタバレ》 いやまったく、見ごたえのある作品でした。特に撮影が素晴らしく、美しい風景を堪能しました。モーリス・ジャールの音楽も美しい。あと、画面外の音を頻繁に使った演出がおみごとで、ここは特に感心しました。 物語としては、古いコミュニティである田舎町の偏狭さ、一つのことにとりつかれた集団の恐ろしさがよく出ています。これについては「ライアンの娘」という題名そのものが技ありというか、これだけをとっても奥深いものを感じさせます。マイケルはシェイクスピアなどの道化の影響があるのかもしれませんが、私もシェイクスピアに関しては詳しくないのでよくわかりません。しかし、そういう方面から考察してみると、また面白いかもしれません。ほかにも、チャールズがベートーヴェン好きで最後まで蓄音機は手放さないとか、なかなか用意周到な人物配置で、こういったところから重厚さが現れているのかもしれません。 以前から関心があって一度見てみたかったのですが、劇場で鑑賞できたのは幸いでした。こちらの予想を上回るみごとなできで、たいへん満足できました。[映画館(字幕)] 9点(2015-07-07 21:41:06)(良:2票) 《改行有》

25.  モスラ(1961) 《ネタバレ》 日本の怪獣映画の流れを変えた、エポック・メイキングな作品。これまでの怪獣映画といえば、どちらかというと暗くて重めの作風でしたが、本作はそんなものをまったく吹き飛ばしてしまっています。ファンタジーの要素もありますが、とにかく華やか。モスラ(成虫)の羽根模様もさることながら、劇中での小美人のショーが華やかです。こんなシーンの出てくる怪獣映画なんて、国内外を探してもほかに見つからないんじゃないでしょうか。それと、頻繁に出てくるユーモラスなシーン。あちこちで笑って楽しめる映画です。重要な役どころで子供が出てきますし、ファミリー向けを狙っていることはたしかでしょう。それまでの怪獣映画も基本的に娯楽作品ですが、これは娯楽の方向性が違う。そして今後、東宝の怪獣映画はこの方向性に向かって進むこととなります。ただそのために、単純な善悪二元論に陥ってしまったのは残念でした。 とはいえ、個人的にはこうした方向性が好みなので、高く評価したいです。歴史的な意義や特撮(特に合成)のみごとさも含めて。(レビュー700本目)[ブルーレイ(邦画)] 9点(2015-01-21 19:20:39)(良:1票) 《改行有》

26.  暗くなるまで待って 《ネタバレ》 なにしろ原作が『ダイヤルMを廻せ!』のフレデリック・ノットだから、つまらないわけがない。冒頭で主犯が犯罪者を事件に巻き込む点や、被害に合うのが女性であることが共通しています。ただ、『ダイヤルMを廻せ!』が最後まで探偵小説的興味で引っ張っていったのに比べると、こちらはかなりサスペンス/スリラー度が高く、個人的にはそこがややマイナス。また、人形の行方に関して誰もグロリアに言及しないので、彼女が勝手に持っていったのだと見当がついてしまいます。とはいえ、それを差し引いてもすばらしく楽しめる傑作。特に、電話のベルが2回鳴っただけでシチュエーションがガラリと変わってしまう展開は、こうした作品の醍醐味を存分に味わわせてくれます。3人組はスージーが盲目であることも利用してワナに掛けようとするのですが、逆にスージーが盲人特有の感覚でそれに気づいていくというのも面白い。小道具の使い方も巧みです。[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-12-17 20:15:31)

27.  ゴジラ(1954) 久しぶりに見ました。この頃の映画の常として、時間が比較的短い(その中では長い方かも)。なので特に前半はポンポン話が進みます。このテンポ感がいい。ムダな説明を省いて観客にちゃんと話を理解させるところが、本多演出の真骨頂でしょう。 内容的には改めて言うことはないですが、一部大仰な演技のところがあり、全体がリアルなタッチで描かれているだけに、妙に浮いてしまっていたのが残念でした。しかしそれ以外は、今見てもよく作ってあるなぁと感じさせます。 それにしても、子供の放射能を本当に測定するような時代が来るとは、考えてもみませんでした。最後の山根博士の台詞にあるように、21世紀のゴジラもあれが最後の一匹というわけではなさそうです。そう考えると、この作品の存在意義は60年経った現代でもあるというか、ある意味時代がゴジラに追いついてきたと言えるかもしれません。なんという予見性か。〔レビュー600本目〕 [2014年06月13日追記]劇場で「60周年記念リマスター版」を鑑賞してきました。映像はもちろんのこと、音声が非常にクリアになっていて感動的でした。現在では機器の性能が向上していますから、音に関しては初公開時以上かも。リマスター版制作に拍手を。[DVD(邦画)] 9点(2014-03-15 21:27:52)《改行有》

28.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 最初にリバイバルで見たときは、宇宙ステーション内の背景が白い場面で字幕がほとんど読めず、イライラしました。あまりよくわからなかったのは、それも一因ではないかと思います。のちにテレビで放送されたときは、吹き替えなので台詞がわからないということもなく、おぼろげながらおおよその見当はついたようです。今回久しぶりに見直してとりあえず気づいたのは、『サイボーグ009』の天使編や、『新世紀エヴァンゲリオン』の人類補完計画の元ネタでした、ってことでしょうか(笑) おそらくこういう映画に点数をつけるとすれば、満点か零点かの二択でしょうが、個人的には特に思い入れがないのでマイナス1点しておきます。それに傑作かと問われると、さてどうでしょうとなりますし。大いに示唆に富む作品ではあるでしょう。 あと、欧米産の作品として、やはりキリスト教との関連は見逃せないでしょう。そもそも猿人が登場するところで創世記を否定していますし。リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトストラはかく語りき』が使われているのも、単なる効果ではなく、ニーチェの書物を題材にしたということがポイントだと思います。とはいえ、欧米人の宗教観は実感できないので、そのあたりは単なる想像になりますが……。まあ、こちらの想像力を大いに刺激する映画でもあるので、それはそれでよしとしましょうか。 NHKでの放送を録画してあるので、改めてそちらでも楽しみたいと思います。[映画館(字幕)] 9点(2013-10-02 20:00:42)《改行有》

29.  アンコール!! 《ネタバレ》 いい映画でした。前半は夫と妻、後半は父と子というぐあいに、家族の絆を描いた物語。それをつなぐものが音楽であり、両者が巧みにリンクしているのがよかったです。イギリスの高齢者合唱団が舞台なのですが、ロックを主に歌っているのが面白い。ラップを混ぜたり、男声の衣装が革ジャンにサングラスだったりというミスマッチがいいです。日本でこういう合唱団が歌うとなると、童謡・唱歌と相場が決まっていますからね。しかしそのうち、ビートルズやローリング・ストーンズや永ちゃんをうたうシルバーコーラスが出てくるかもしれません。 かなりよかったのですが、終盤の展開があまりにもパターン通りだったのでちょっとマイナス。しかしそれでも、高く評価したいです。原題は泣かせるいいタイトルで、邦題はちょっと負けている気がしますが、「人生のアンコール」ということを考えれば、これはこれで味わいがあります。[映画館(字幕)] 9点(2013-07-09 21:15:34)《改行有》

30.  知りすぎていた男 《ネタバレ》 以前洋画劇場で見て、その時は話がよくわからない部分もあったのですが、おそらくカットされていたからでしょう。序盤のホテルで母子が歌うシーンなんて、見た覚えがありません。クライマックスの伏線なのに。今回ノーカットで見たら、かなり面白かった。 なんといってもユーモアとサスペンスの組み合わせ、これが絶妙です。そこから一種の余裕が出て、こちらもゆったりと楽しめます。本作では音楽というか「歌」がポイントになっていますが、教会で賛美歌に合わせて会話するあたりは最高におかしかった。あれってミュージカルのパロディ(皮肉?)かもしれませんね。また、いかにも怪しそうな人物・怪しくなさそうな人物をうまく組み合わせていると思います。単純ですが効果を上げています。コンサートホールでは、比較的長い曲を丸ごと演奏していて、ダレがちになりそうですが、そこで間を保たせる演出にヒッチコックの自負が見て取れました。 サスペンスですが、終始子供を思う親の心が基本となっていて、物語の牽引役にもなっています。終盤ドリス・デイが泣きそうな顔で歌うところは、こちらも泣きそうになってしまいました。最後も気が利いています。こうしたユーモアがあるから、あくまで「フィクションの娯楽」として素直に楽しめますし、そうしたジャンルとして傑作に仕上がったと思います。[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-06-05 07:56:21)(良:1票) 《改行有》

31.  刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM> 《ネタバレ》 最初に犯人の側から描いてますよね。つまり主人公は犯人であり、その罪を暴くコロンボを悪役として見ると、面白いです。コロンボというのはしつこいし、思わせぶりばかり言って相手をイライラさせるし、敵が弱いとみると恫喝して自供させようとするしと、まったくもって嫌な刑事ですね。「悪役」としては、そこが魅力的なわけですが。 で、犯人から本作を見ると、予期せぬ出来事が次々と起こる。ホント、やり過ぎだろうってぐらいアクシデント続発で、そこをどう誤魔化してどう切り抜けるかが、本作の見どころでしょう。だから犯人の身になって、ギョッとしたりハラハラしたりするのが楽しいかも。あるいは第三者として、そのあせり具合をニヤニヤしながら眺めるか。それはお好み次第ですね。 犯人のキャラクターとしては、フレミング先生は知的・理性的でよくある人物ですが、共犯のハドソンさんが興味深い。犯行前夜にいきなり「会いたい」と電話したり、その夜は数時間しか眠れなかったり、言いつけを守らずフレミング先生が帰ってきたら速攻電話をかけたりと、気が弱くて神経質そう。精神分析医にもかかっていますし。そういう描写が続いて、「警察に追い込まれたら自殺してしまいそう」な人物像が描かれています。それでフレミング先生だけでなく、見ているこちらもコロンボの罠に引っかかってしまうという寸法。うまく考えてあります。 本作の欠点としては、ユーモアに欠けることでしょうか。犯罪という反道徳的な行為をエンタテインメントに昇華するためには、触媒としてユーモアが不可欠だというのが私の持論なので、その点不満が残ります。ヴァン・ダインやエラリイ・クイーンといった先達と同じ轍を踏んでいるので、やはりアメリカンなミステリーかと思いますが、ユーモアがなくてもこちらをグイグイと引きつけるのはおみごと。さすがはリンク&レヴィンソンです。改めて見直して、ここまで面白いとは思いませんでした。まさに一級品の、スマートでハイブラウなエンタテインメント。十分に楽しめた自分も、頭がいいのではと誤解してしまいそう(笑)[DVD(字幕)] 9点(2013-01-08 19:58:35)《改行有》

32.  チャイナ・シンドローム 《ネタバレ》 私が感じたことはほとんど【あろえりーな】さんが書いてくださったので、補足だけ。 本作で反原発の活動家がやっていることは、現在とほとんど変わりません。「子どもたちの未来を考えて」とか、どこかの政党のスローガンみたいですね。「企業利益優先」という点とあわせて、どちらも当時から基本的に同じ。進歩しないのか、それが究極の形なので進歩しようがないのか知りませんが、こうしたところも、本作が古びていないことを表していると思います。人間の本質を突いているのかもしれません。原発にしろトンネル崩落事故にしろ、本当に恐ろしいのは人間である、と。 あと、脚本がうまいと思う。特にゴデルが尾行を振り切れず、発電所に逃げ込んで籠城に至るプロセス。最後に大ごとにならなかったのも、「生き残って事実を伝える」というメッセージが感じられて好印象を持ちました。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-12-08 16:39:19)《改行有》

33.  姉妹(1955) 《ネタバレ》 これは名作。基本は姉と妹を中心に家族を描いた作で、2人姉妹なので簡略版『若草物語』といった感じ。短いエピソードで構成されているのも共通していますし、はっちゃんの家へ掃除に行くあたりも、『若草物語』を連想させます。序盤は笑える話が多く引き込まれて見ていると、徐々に重いテーマが顔をのぞかせるあたり、うまい構成です。社会問題についていろいろ取り上げていますが、現実的なのは問題提起をしても大して解決されないまま終わること。多くのエピソードが連なっているということもありますが、世の中の問題はそんな簡単に解決できないということを素直に現しています。そんな社会の“壁”に対し、やはり素直な想いで立ち向かってゆく中原ひとみがものすごくさわやか。彼女のまっすぐな気持ちが本作最大の魅力でしょう。 この作品、原作も絶版ですし映画のDVDも廃盤のようです。作中「めくら」や「かたわ」といった言葉が出てくるのが原因かもしれませんが、時代がどうのこうのというよりは、そうした言葉を使わないと表現できないこともあるのです。本作ではまさにそうした使われ方をしており、単純に「差別語が出てくるから」という理由で入手困難であるとすれば、非常に残念です。これはぜひ、多くの人に見てもらいたい作品ですので。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-10-13 20:14:52)《改行有》

34.  二等兵物語 《ネタバレ》 こういう名画が隠れていたとは、まだまだ映画の世界は深いです。前半は隊長の愛人がらみや悦子さんの伯母さんなど、かなり笑わせてくれます。後半は柳田親子を巡る話を中心に、軍隊の無茶ぶりを描写。このあたりはほかの戦争映画にもありますが、戦争が終わると知って物資を確保しようとする上等兵たちに、主人公凡作が思いっきり逆襲するのが見もの。こちらも胸がスカッとして、持って行き方がうまいです。ここですばらしいのは、凡作は「集団における信頼の大切さ」を説くのですが、これが軍隊批判にとどまっていないということ。学校におけるいじめが大きな問題として取り上げられている昨今、この信頼の重要性は胸に響きます。こういう意味で、今の時代にも通じる作品であると思います。ただ、最後の「平和が続く機械」というのは、ちょっと感心しません。平和というのはモノではなく、人間の心で維持していくものだと思いますから。 とはいえ、全体としてはすばらしい作だと思います。あまり知られていないようですし、ソフトも廃盤のようですが、もっと多くの人に見てもらいたい映画です。シリーズの2作目以降も見てみたいですね。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-09-10 21:18:12)《改行有》

35.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 再見。初見時は大笑いした記憶がありますが、今回はあまり笑えなかった。それはおそらく、3.11以降放射能の脅威が身近に感じられるようになったためだと思います。初めて見たのは、東西冷戦がすでに過去のものとなっていた時で、どこか他人事として捉えていたのかもしれません。まあ、笑えなくなったとはいえ、本作の価値がいささかも下がるわけではありませんが。むしろ右往左往する大統領たちから、どうしても永田町の方々を連想してしまいます。今の日本人こそ見るべき映画ではなかろうか。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-18 20:30:10)

36.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 こりゃ面白い。ジャンルとしては一応冒険ものに分類されるのでしょうが、むしろミステリーとしての側面が強い。冒頭、いきなり不可解な事態が続出してこちらを引きつけ、ひとつの言葉を軸に過去へ戻る展開がうまい。そこでも宝石消失事件が起き、「誰が盗ったのか?」という興味でつなぎます。ここからは3兄弟が外人部隊に入って冒険色が強くなるのですが、軍曹とのやりとりなど見ていて飽きません。一応兄弟の絆も描かれていますが、味付け程度で基本的に娯楽作として作っているのがいいです。冒頭へとつながる終盤は目が釘づけになりますし、それで終わって無事帰宅したと思ったら、最後の最後に意外な真実が。ちゃんと伏線も利いているし(ボーはたしかに宝石を持っていなかった!)堪能させられました。傑作。[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-06-16 22:11:13)(良:1票)

37.  黒部の太陽 《ネタバレ》 オリジナル全長版が全国巡回上映中ということで、見てきました。どうしてもNHKで放送された短縮版(特別編)と比較してしまうわけですが、やはりオリジナルの方がよかった。 カットされた部分はけっこうよくわかるのですが、石岡親子に関する重要(と思われる)場面が結構ありました。この親子の描き方にやや不満があったのですが、その点は解消されました。特に石原裕次郎演ずる息子の変化(製図屋から現場の人間へ)、父親と同じだと言われた時のショックなど、よくわかります。それに父親が死ぬ場面までカットされていたような気が……。あれがないとこの親子の話は尻切れトンボでしょう。これが補完されたおかげで、ドラマとしての厚みが理解できました。 牧子病死に関しては、トンネル工事の難しさに重ね合わせたのでしょうが、ちょっとあざといという気もします。もっとも、本作ではどこまで事実を反映しているのかわからないので、本当に亡くなっていたら申し訳ないです。 あと、関西電力の社長がずいぶんよく描かれています。まあ致し方ない面もあるのでしょうが、何が何でもダム建設を成し遂げるという信念はあったのでしょう。いくら金をかけてもいいというのは、時代的なこともあるかもしれませんが、ダムが絶対必要であるという確信がなければ言えないこと。こういうところは、今でもこちらに訴えかけるものがあります。 ということで、単なるダム建設(のためのトンネル掘り)映画ではなく、十分ドラマ性を感じさせる作品でありました。来年はDVD化される予定だそうで、この機会に多くの方の目に触れることを期待しつつ、以前より点数をアップしておきます。 なお、以前のレビューは私のブログに転載するつもりです。 (2012年09月03日改訂)[映画館(邦画)] 9点(2012-05-28 20:51:32)《改行有》

38.  Shall we ダンス?(1995) 《ネタバレ》 人はパンのみにて生くるに非ず。「生活」のための仕事とは違うもの。それがなくても生きていけるはずなのに、生きていると実感できるもの。それを“趣味”と呼びます。その趣味を持つことのすばらしさ、そして趣味をするうえで大切なものは何かを、改めて実感させてくれる映画。題材が社交ダンスというのもいい。絶対に一人ではできない、パートナーが必要。共に励む仲間がいるということは、とても重要なのです。それは人生そのものでもあります。本作の欠点は、やはり演技に問題がある人の存在。あとは皆さんすばらしいだけに、かなり目立ってしまいました。コメディとしても、それほど笑えるというわけではありません。逆に言うと、役所広司演じる杉山がよかったということでしょうか。本気で何かに打ち込むことのすばらしさを、体で表現していました。[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-04-30 17:09:06)

39.  楢山節考(1958) 《ネタバレ》 これはまたすごい映画を見ました。広大なセットを使った舞台劇風の作り。場面転換も舞台を彷彿とさせながら、映画ならではの表現を用いています。BGMに長唄を使ったのも効果的でした。照明もすばらしく、特に赤の使い方がうまい。ということで、監督の技巧が光る作品です。物語の方は、姥捨に対する各人の異なる思いを重層的に描いているのも見ごたえがありました。 これだけでも上出来なのですが、本作の真骨頂は最後の大転換でしょう。セットからいきなりロケ(現代の機関車)映像となり、最後に姨捨(おばすて)駅が映されて終わり。この部分だけわざわざモノクロで撮影されています。それまでセットを使い、観客の現実とは離れた、作り物めいた世界で物語が展開していたのですが、ここで一転、観客とつながった現実世界が現れます。過去と現在・虚構と現実・閉じた世界と開けた世界・カラーと白黒という対比を持たせながら、両者が地続きであるということを端的に表した、実にあざやかな、そして簡潔な幕切れでした(もちろん、こんなところに台詞はありません)。ここまでやられると、素直に参りましたと言うほかないですね。このように、木下監督の映像技術が存分に発揮されています。正直、物語よりもそちらの方に目を奪われました。でもこのテクニックだけでも、一見の価値はあるでしょう。[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-12-26 20:15:52)《改行有》

40.  泥の河 《ネタバレ》 これはすばらしかった。子供と大人、それぞれの世界をバランスよく描いていました。そのからませ方がうまく、とくにきっちゃんが「戦友」を歌う場面は絶品。父の田村高廣と母の藤田弓子はやさしさが光るし、加賀まりこは出番が少ないのに存在感抜群。姿を見せない時から存在感があります。 本作では、一部を除いて町の中にあまり人が見られません。ほとんど主要2家族だけで話が進んでいきます。予算の都合とかあったのかもしれませんが、この家族が「もはや戦後ではない」、「神武景気」といったような世相とは、離れたところにいることを象徴しているように思えます。右肩上がりとは異なる、当時忘れられようとしていたかもしれない人の心を感じさせました。有名な映画だと思うのですが意外とレビューが少ないですね。モノクロだからでしょうか。もっと多くの人に見てもらいたい作でした。[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-11-29 22:26:28)(良:1票) 《改行有》

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