みんなのシネマレビュー
かっぱ堰さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 1252
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
投稿日付順123
変更日付順123

21.  略奪の大地 《ネタバレ》 1988年のブルガリア映画で、DVD化されているが画質は悪い。原作は結構な大作歴史小説らしく、この映画も164分もの長さがある(勝手に前後編に分けて見た)。劇中年代の1668年は、日本では江戸時代前期(4代将軍家綱)に当たる。 舞台になっているロドピ山地はカルスト地形の多い場所とのことで、映画の中では山口県の秋吉台のような風景や岩をくりぬいたような洞窟が映っており、物語中の処刑穴?や“神の目”の場面でも生かされていた。文化面でも婚礼など地元の風習や建物などが興味深く、いわゆる「ブルガリアン・ヴォイス」のようなものも聞かれる。一方で有名な?オスマン軍の常備歩兵イェニチェリは、応援で来た400人の歩兵隊として映像化されており、台詞で実際に「イェニチェリ」と言っていたようだが字幕では「近衛歩兵」と訳していた。 劇中ではオスマン軍の暴虐ぶりがさんざん描写され(串刺しの串を作るところからの映像化は初めて見た)、実際こういうこともあっただろうとは思うが、しかし映画として作られた内容をまるごと史実として捉えるわけにもいかない。隣国を貶めてナショナリズムを煽っているようでもあり、部外者としてはほどほどに見ておく必要がある。特に異民族/異教徒に孕まされたからといって、母親が自ら産んだ子を殺すなどという感覚は信じられない。またオスマン帝国は異教徒に寛容だったというのが一般的な見方だろうが、この映画で特定地域が突然「改宗か死か」を迫られた理由が納得いくよう説明されていたとは思えない(少なくとも字幕では)。 そもそもオスマン帝国の支配が及ぶ以前、太古の昔からこの場所でキリスト教徒のブルガリア人が平和に暮らしていたわけでは全くなく、6世紀頃?に初めてスラヴ人が大挙して侵入し、続いて7世紀にブルガール人が来襲してスラヴ人を支配、ブルガリア帝国の成立と滅亡と再成立といった抗争が繰り返され、その間9世紀にキリスト教を受容するといった経過があったわけで、その過程で劇中に見られたような惨劇が(トルコ人と無関係に)なかったともいえない。この映画での印象がどうあれ、歴史上の悪役がトルコだけということはないはずなので、その辺は部外者として押さえておく必要がある。映画のためにオッパイまる出しにした皆さんはご苦労様だった。 ちなみに自分がこの映画を見て本気で怒ったのは、登場人物が食物をわざと踏みつけにして歩いて行った場面である。劇中の悪業は作り物だが、これだけは映画制作時に間違いなく現実にあった不道徳な行為である。 物語の面では、まず人間ドラマはよくわからないので放棄する。人間関係が変に複雑で原作を消化し切れていないようでもあり、また心情面で、登場人物のこだわりが部外者には理解できないところがある。 一方で社会的なテーマとしては、①生き延びること、②民族性を守ること、③キリスト教信仰を守ることが、この順番で重要だということらしい。映画では③をいったん諦めたようだったが、ラストではまたどっちつかずの(希望とも取れる)どんでん返し的な出来事が起こるので困惑する。しかし実際に現代でもブルガリア人でありながらイスラム教徒という人々が存在しているらしいので、そういう割切れない現実を前提にしながら、要は②が本当に大事だと言いたかったのかも知れない(①は当然として)。当時の現地の世相は知らないが、やはりナショナリズム高揚のための映画として捉えるのが妥当ということか。 結果としてかなりの力作のようでもあるが、やはり他国民として受け取れる限度というものがある。ちなみに好きになれる人物は誰もいなかった。[DVD(字幕)] 5点(2017-06-10 09:27:50)《改行有》

22.  ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦 《ネタバレ》 第二次大戦初期の1939年11月~1940年3月に、フィンランド共和国とソビエト連邦が戦った「冬戦争」の映画である。この戦争は基本的にソビエト側からの侵略で始まったもので、これに小国フィンランドがほぼ独力で果敢に抵抗したことは当時から賞賛されていたらしい。 字幕によれば「第23歩兵連隊の軍事日誌と、同連隊で戦った兵士たちの記憶に基づいて作られた」映画とのことで、開戦前の動員のところから話が始まる。部隊はフィンランド南西部のカウハヴァの周辺住民で編成されたもののようで、みな近在の知り合いばかりのように見えたが年齢差もあり、1918年の内戦に参加した者や、1932年のマンツァラ蜂起で動員された経験のある者もいたらしい。銃は自宅に配備されていた(日頃の訓練などでも使っていた?)ものを持って行ったようである。 当初はまだ「戦略的な動員」であったために人々の本気度も半端のようだったが、認識票に関わる一連の発言などは、自分が死ぬかも知れないという覚悟を少しずつ固めていく過程のようにも思われた。配属先は当然ながら地続きの自国内で、到着後にいきなり現地女性と親密になろうとしてみたり(慰安所はない)、長目の休暇を取ったりして気が緩んできた矢先、突然戦端が開かれて慄然とすることになる。 その後は大勢がよくわからないまま眼前の敵との戦いを強いられていたが、最後はまた突然に講和条約が締結されて戦闘が終了し、その時点で生き残っていた者が結果的に助かった形になっていた。戦闘停止が知らされた後の両軍兵士の反応の差は、無理やり動員されて来て終われば帰るだけの連中と、戦いの意義はわかっているが犠牲が多すぎたと思う人物の対比を示していたようにも思われる。 この戦争の結果として、フィンランドはソビエト側の要求を容れる形で大面積かつ重要な領土の割譲を余儀なくされたわけだが、しかしここで断固として屈服しなかったことで「独立を守った」(字幕)というのがこの映画としての見解になっている。そのような認識は恐らく、劇中人物が言及していたバルト三国でも共有されているものと思われる。 ところでこれを普通にドラマとして見ると基本的には退屈であり、最後の最後だけわざとらしい演出で何とか形をつけようとしたかに見える。上映時間が当初は199分あったのをInternational Cutで125分に大幅短縮したとのことだが(DVDではなぜか122分)、いわば当時の再現映像のようなものであるから、個別エピソードを落とすことでいくらでも削減可能な性質のフィルムだったのかも知れない。それにしても登場人物の間でそれなりにできていたはずの人間関係が短縮のせいでよくわからなくなり、それでドラマ性に乏しく見えていたとも考えられる。 そういうこともあって、日本人では基本的にフィンランドの歴史、または軍事関係に関心のある人以外にはお勧めしない。軍事マニアなら199分版の方を見たくなるかも知れない。[DVD(字幕)] 5点(2016-08-13 22:28:28)《改行有》

23.  宇宙戦艦ヤマト 完結篇 《ネタバレ》 劇中の水惑星の名称はラテン語由来であるから地球人が命名したのだろうが、新天体にわざわざ“みずがめ座”という名前を付ける人間の気が知れない。 内容は前作をさらに上回る超超大作になっており、従来の路線を集大成してパワーアップした大仰で独りよがりでくどい映画になっている。「わたしは××」と名乗る謎の女が唐突に出現するとかは通例であってこの映画が特別なわけではないが、ただし最後に2人がやっと結ばれたという場面を置くことで、ここで本気で終わらせようとした意気込みは感じられる。 この映画で珍しいのは僚艦の乗員救助の場面があったことで、また避難民の輸送船が全滅させられるといった展開は民間人を巻き込む紛争の悲惨さを感じさせる。要は敵の冷酷さを強調するためだろうが、逆に今回は制作側が柄にもなく人命を気遣っているように見えたのが特異な印象だった。そのほか純粋に面白かったのは、敵の君主が自ら騎馬兵団を率いて突撃した場面である。古代シュメール人の末裔らしく前近代的な行動様式だが、その心意気はまことに立派であり、彼の人間的な魅力のなさもこれで許せる気になった。 ところで空中に出現する謎の女は台詞が長いので聞くのがつらい。最初はとにかく戦って勝てと言っているのかと思ったが、そればかりを目指していた敵が滅んだところをみるとそうでもなかったらしい。まずは現世的な(いわば横の)つながりを作ることが勝利に結びつき、その結果として人類の命が未来に続いていくということなら、唐突にデスラーが参戦したのもこの映画的には必然性があったことになる。これまで人類(というか古代)が培った友情がここで実を結んだということだろう。 またこの映画で素直によかったのは終盤で古代と雪が黙って敬礼していた場面で、その後の「お父さん」というのも何気に感動的だった。ここで見送られていた艦長にも亡くなった子がいたはずだが、その分も背負って二人の子孫が未来に続く(いわば縦のつながり)というのなら、これも謎の女のメッセージにもかなうことだろう。宇宙戦艦ヤマトを見て感涙するなどまともな大人としてどうかとは思うが、ここは少々泣けた。その後の子作りの場面はやりすぎだが、少子化の時代の今こそ見てもらいたい(しかし誰も見ない)映画といえなくもない。[DVD(邦画)] 5点(2015-10-10 22:20:23)《改行有》

24.  ザ・フライ 《ネタバレ》 初見はTV放送で、20年以上前だろうが強烈な印象を残しており、”BRUNDLE, SETH”という電話帳のような言い方や”BRUNDLEFLY”という単語など、些細なことをはっきり憶えていた。その割に残酷描写の具体的内容は忘れていたが、これはあまりにグロいので記憶を封印していたのだろうと思われる。 今回あらためて見てみると、初見時とほとんど同じ感想である。まず序盤で悪役と思わせた男が最後に献身的な働きをするのが不自然に思われるほか、特にヒロインがなんで自ら好んでハエ男に関わろうとするのかがわからない。たとえ記憶が残っていても容貌と性格が違えば別人にしか思えないだろうし、それでも強い思い入れが残るほど長年連れ添ったというわけでもない。最近出来たばかりの男女関係でこの話を作るのは少々無理があるのではないか。遅くとも悪夢を見た時点で決別すれば何の問題もなかったものを、わざわざ妊娠したと告げに行き、その帰りにハエ男に話を聞かれてしまうという展開が極めて作為的である。残念ながらこの二人のラブストーリーに関しては全く納得できない。 ただ一方で、主人公の男がもともと愛すべき人物であり、その境遇が哀れに感じられたこと自体は間違いなく、これも初見時と同じ印象だった。全体としては好きになれない映画だが、この点だけは評価したい。 なお終盤の蛮行では被害者の顔を狙わないで済ませたことからすると、これでまだしも穏健な映画だったとも思われる。[DVD(字幕)] 5点(2014-01-27 20:49:04)《改行有》

25.  幽幻道士3 《ネタバレ》 今回は広州という地名が出ている。これが広東省の広州だとすれば、カンフー/キョンシー映画の都・香港に近いということ自体は物語の中身と関係ないわけだが、それとは別に孫文の出生地(現在の中山市)にも近く、創建当初の国民党とも縁の深い土地と思われることから、製作当時の感覚にふさわしい場所設定という納得感がある。 ちなみに以前からの登場人物であるデブ署長というのが今回は「大隊長」を名乗っており、上司の「司令官」に媚を売る立場だったというのは、大陸各地に割拠していた軍閥の部隊指揮官のようなものと思えばいいか。部隊の根拠地に尋問用の責め道具が常備されているのは物騒な雰囲気を出していた。 今回は最初に1、2話を回顧するパートが入っているが、前回が悲劇的な結末だったことを受けて変に陰鬱で悲しい物語のように語られており、そこから始まった第3話でもいきなり大人世界の暴力を見せつけられるので殺伐とした世界に感じられる。その後になって笑いを取ろうとした場面もあったがこの流れでは笑う気にならず、面白いとも思わないまま時間が経過するので大人としては正直つらい。必然性不明の新キャラクターがやたら登場するのも戸惑わされる。 終盤は8人組のスーパー戦隊のような展開で盛り上げて、最後だけ唐突なハッピーエンドで能天気路線に回帰したようだったがもう遅いという感じだった。こういう半端くさいコメディ映画に真面目につき合うのも限界がある気がして来たが、これで当時の児童が喜んだのであれば自分として言うことはない。 ちなみに序盤で出ていた「玉蛙」は、国立故宮博物院にあるという白菜のような高級美術品なのかと思って期待したが、大して役に立たないまま出なくなったので落胆した。また「マーボおばさん」役の尤美芳(尤美方)という人は、おばあちゃんというには若く見えると思ったが、「蘋果新聞網」台湾版の2020.6.28付け特集記事の時点で72歳(喫茶店経営)とされているので、当時は30代末期頃の年齢だったと思われる。それをいえばおじいさん役の役者も50代だったわけだが。[インターネット(吹替)] 4点(2021-11-27 11:27:42)《改行有》

26.  夜霧のジョギジョギ 《ネタバレ》 原題のPengabdi Setanは英題のSatan's Slaveと同じ意味らしい。このsetanという言葉はアラビア語由来だそうで、欧米のサタンと同じ言葉が中東から別経路で伝えられたということか。 邦題は中身と全く関係ないので呆れるが、公開時にこの名前(正しくは「…モンスター」)が強烈な印象を残したことで今日まで伝えられたのだろうから、意味不明でも何でも配給側の勝ちと思うしかない。 解説文を見るとゾンビ映画として売りたいようだが、基本的には不運な家族を襲う悪魔とエクソシストの戦いをイスラム世界でやろうとした映画に見える。ただし死人の目とか墓を掘り返すなどは確かに「吸血ゾンビ」(1966年英)を思わせるものがある。 欧米の悪魔なら初めからキリスト教で対抗するのが普通だろうが、この映画では正規のイスラム教よりも、まずは伝統的な呪術や祈祷師に頼るのが常識だったように見える(弟の友人・弟・姉の恋人・姉)。悪魔祓いもこういう俗信を排するところから始めなければならないのは、現地にまだイスラム教がちゃんと行き渡っておらず、目下鋭意布教中であるかのような印象だった(実態は知らない)。 物語の面では全く期待していなかったが、意外にもそれなりにちゃんと作ってある(前に見たインドネシア映画「首だけ女の恐怖」(1981)よりは)。神を信じない一家を悪魔が狙って怪しい家政婦が入り込む一方、危険を察した宗教者が再三の警告を寄せて緊迫感を高める構成になっている(かったるいところもある)。しかし最後の救援が若干唐突なのと、ラストが意味不明だったのは残念だ。悪魔との戦いはまだ続くので、神を信じて対抗しろということか、あるいは神も万能ではないと言ってしまっているようなものか。 ほかどうでもいいことだが字幕に関して、窓の外から幽霊が迫る場面で「うらめしや」と書いてあったのは笑ったが、ここは実際に和風幽霊の雰囲気だったので適切な訳ともいえる。 さらにどうでもいいことだが、字幕で「アンタ」と書いてある場面で登場人物が言ったのは、「アント!」にも聞こえたが「Anda!」だとすればyou!の意味であり、これはたまたま似た言葉だったので字幕も合わせたかも知れない。また夜になぜ墓へ行ったのか、と父親が娘を問い詰めた場面で、夜は墓場で運動会だろうが、と思っていたら父親自ら「運動会!」と言ったように聞こえたのは一瞬驚いた。しかしここは字幕のとおり「Untuk apa!」(何のために)だったようで空耳というしかない。[DVD(字幕)] 4点(2021-08-28 09:18:56)《改行有》

27.  さよならジュピター 《ネタバレ》 小説版を読んだ時は、この作家にしては随分ストレートなものを書いたなという印象だったが、小説よりも映画のプロットが先だったとすればアイデア的に凡庸なのも仕方ない。 何をやろうとしていたかは理解できるので、この映画も自分としては全否定できないが、しかし言葉で書かれたものを映像化するだけではマンガにしかならないのもわかる。全体的に登場人物が変で、特にクソ生意気なガキが終始煩わしく、地球連邦大統領の人選も適切とは思われない。最後の決め台詞から松任谷由実につながる流れなどは能天気すぎて呆れた。原作者が脚本・総監督もやっているので言い訳できないだろうが、ただ監督が、当初予定されていたという森谷司郎(「日本沈没」(1973)など)だったらどうなっていたかとは思う。一方で映像面は、海底軍艦が宇宙を飛んでいた時代と比べれば明らかにあか抜けており、メカニックデザインも「スター・ウォーズ」(1977)よりはまともな考証のもとにできているはずである(原作者が当時そのように書いていた)。間抜けなところとちゃんとしたところは一応分けて考えたい。 個別の問題として一つ書くと、地球連邦などという全人類を統治する体制ができているからには相応の強力かつ精緻な治安維持システムがあって当然であり、太陽系の危機というような状況で、どこかの南の海で環境テロリストがのうのうと暮らしているのを野放しにするなどは、いかにも平和ボケの時代の映画のようにも思われる。しかし小説版では背景の政治・社会状況が書き込まれていることで、この点についても特に不自然な感じはなくなっている。 ちなみにこの話の本来の(小説版の)テーマは、映画では主人公が過激派に説教した場面でわずかに出ていた感じだったが、ここで前提にしていた未来ビジョンが2017年の現在、素直に実現する方向になさそうなのは寂しいことである。この時期にはまだ右上がりの感覚で、そのうちいわゆる宇宙時代が到来すると思うのも自然だったろうが、今になってみれば宇宙進出など人類の主要な関心事では全くないように見える。結局は旧態依然たる個別国家の覇権拡大が動機になるのか(米ソ→中?)、あるいは宇宙ビジネスの可能性が今後どれだけ広がるかといったところか。[DVD(邦画)] 4点(2017-04-25 19:28:38)《改行有》

28.  復活の日 《ネタバレ》 最初に見たのは公開後のTV放映だったと思うが、満足した覚えは全くない。「ロミオとジュリエット」(1968)を見て心ときめかせた世代でもないので、有名だったらしい外人女優を見ても何とも思わなかった。いま見れば、まずは第二次大戦中の潜水艦を見せられて原子力潜水艦と思えというのに抵抗感があるが、ここはさすが角川の超大作らしく本物の潜水艦を動かしたこと自体を賞賛するのが正しいらしい。 内容に関しては、前半はほとんど見るに堪えない。外国の映像が細切れに出ているが世界的なスケール感につながらず、人類滅亡に向けて感情が高まっていくこともない。一部の場面で演技が濃いのはマンガのようで茶番にしか見えず、また突拍子もない泣かせの場面を無理やり入れたりして真面目に見る人間を引かせるものがある。 後半の南極編に入るとまあ普通に見られるが、結果として観客に何を伝えたかったのかわからない。主人公が他人の家族写真を見て羨んだり地蔵を作ったり慰安婦に泣きついたりしていたのを見ると、子ども(家族?)に対する思いを内に秘めていたと解されるわけだが、それが最終的にどう本筋に生かされたのか。もしかすると、自分の子孫を残したいという衝動(家族を求める思い?)が大陸縦断を可能にしたのかも知れないが、それが「人生はいいものだ」という言葉で表されていたようにも思えない。 また原作では、宇宙史・地球史との関わりで人類が獲得すべき新たな認識、といった感じのことがテーマであり、それとの関係で南極に少数の人材が残った意味が生じていたのに対し、この映画では南極基地までが破壊され、人類の知恵の蓄積も失われて生存がやっとの小集団になってしまっている。そこで ”Life is wonderful” では、とりあえず生きていれば可というレベルまで落ちぶれた印象があるわけだが、原作の高尚なところは切り捨てて、大衆向けに生殖第一の映画にするというのが方針だったのか。 まあどう作ろうと勝手だが、こういう結末で「復活の日」という題名がふさわしい気もせず、少なくとも原作との関係ではいい映画だったとは思えない。原作者がどう思ったかは知らないが一読者として納得できるものではなく、これなら「日本沈没」(2006)の方がましだという気がする。[DVD(邦画)] 4点(2017-04-25 19:28:35)《改行有》

29.  愛しのハーフ・ムーン 《ネタバレ》 最近たまたま特殊な事情で「いとうまい子」という名前を目にする機会が多くなったので、昔に遡って若い頃の映画でも見るかと思ったのがこれである。この人にとっては女優として2つ目の出演(主演)作で、いわゆる濡れ場があるほか何かと性行為に関わる発言が多く、清純派アイドル時代からのファンにはかなり衝撃的だったはずである。また原作者が有名女優だったことにも一定の話題性があったものと思われる。 ネット上の記事を見るとこれをポルノ映画扱いしたものもあり、この監督がここまでの間に成人映画(「痴漢電車シリーズ」など)で実績を重ねてきた延長上でみればそうなるのかも知れないが、しかし実際はこの監督が一般映画に転じてからの2作目ということになるらしい。劇中では主演女優を含めて女3人男2人のからみが生じるが、少なくとも現代の目で見れば特に過激ともいえない。 内容に関しては、簡単にいえば結婚を前にした女性の迷いを扱ったもので、映画の作りとしてはかっちりできているように見えるが、しかし個人的には物語自体に面白いと思う要素が正直何もない。またコメディ調ではあるが特に笑えない。 劇中の男女関係を見ると古い時代から現代への変化の過程を示しているようでもあり、序盤で白昼堂々と刺激的な言葉を発していたあたりは、これが時代の趨勢だと殊更に宣言してみせたかのようで気恥ずかしい。一方で親世代の「結婚なんてあんまり悩んでするもんじゃないよ」という発言は、序盤の主人公の言葉と対をなしているわけではあるが、これが実は結構な世代間の断絶を示しているのではという気がした。個人の欲求は素直に肯定する一方、個人の人生を規定してしまうものには慎重になる、ということかと自分としては受け取った。 キャストに関しては、まずは主演女優が見事に可愛らしい。世間的にはこの人のラブシーンが見どころだろうが、この人と並んで、亡くなる前年の堀江しのぶ嬢が自制の利かない緩い女を演じていたのが印象的だった。またその関係で、新郎に「兄弟」と呼びかけていた津村鷹志氏(「ウルトラマンタロウ」の北島哲也隊員)が非常に格好いい。ほかに主人公の友人役の川村一代という人も、昔よく見た顔で懐かしい気がした。[DVD(邦画)] 4点(2016-11-01 23:16:04)《改行有》

30.  ゴジラVSビオランテ 《ネタバレ》 これは以前にTV放送で見たが(成人後)、湖・植物・沢口靖子しか憶えていなかったので、当時としても印象の薄い映画だったようである。最近になって若い連中(といっても30前後)が名作だと言うので改めて見たが、これは一体どこに感動すればいいのかわからない、と感想を述べたところ、思い出補正があると本人も認めていた。 今回見たところでは、変に各種要素を詰め込んだようで騒々しく落ち着きのない映画になっている。エンターテインメントとしてはこれでいいのだろうが、ビオランテの最後がファンタジー調(沢口靖子再登場!)なのは好みでなく、エンディングのバラも悪趣味に思われる。 真面目な社会批評の部分でも特に心に訴えるものがなく、単なる形式論を述べただけで終わった印象がある。ただ劇中で前提にしていた相互確証破壊による核抑止とか、国際資本の市場支配といったものはこの頃らしい話題で懐かしい気がした。遺伝子資源の争奪というのも今日的な問題として捉えられていたものか。また昭和29年の第一作の時点ではまだ日本の原子力開発が始まっていなかったわけだが、この映画では原発とゴジラの関係付けができていた(前作から?)のも時代の差を感じる。若狭の原発銀座をゴジラが襲うという展開は「天空の蜂」(2015)どころの話でないだろうが、この映画ではそれほどの緊迫感もないままで終わった。放射能(放射線)への恐怖心に関する実感のない、呑気な時代の映画だったようである。 ところで登場人物のうちでは高橋幸治氏がいかにもという感じのはまり役で、劇中では○チガイ科学者のような扱いだったが、この役者との関係で見れば全く違和感がない。この人に「もう私たちの時代じゃないのかも知れない」と言われると少し寂しいものがあった。 ほかに無関係な芸能人を出すのはふざけた感じで歓迎できないが、デーモン閣下の登場には不覚にも笑ってしまった。また斉藤由貴が大阪城ホールで声だけ出演した場面では、そういえばこの人はこういう歌を歌っていたな、と思い出したので肯定的に捉えたい。「避難してくださーい!」というのがほのぼのしていい感じだった。 [2018-02-14追記] 上記の「遺伝子資源の争奪」に関して、その後に別用で生物多様性のことを見ていたところ、この映画は生物多様性条約(1992年5月採択、1993年12月発効)の「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で衡平な配分」を少し先取りした形で制作されていたことがわかった。だから何だということもないが少し不勉強だった気もして反省した。[DVD(邦画)] 4点(2016-04-03 11:47:28)《改行有》

31.  ヤマトよ永遠に 《ネタバレ》 当然ながら公開時には見ていない。このあたりになるともうヤマトなどというものは完全に見放していたらしく、TVでもやったかも知れないが全く憶えがない。 そういうことで今回が初見なわけだが、まずは「さらば」同様の2時間半の超大作であることに呆れる。長いことに対応して突っ込みどころも膨大であり、かつ展開の意外さが優先のためか荒唐無稽の度も増している。また今回は古代と雪の関係を揺るがしてみせる趣向だったのか、2人をそれぞれ惑わせる女と男が登場していたが、結局はそれぞれのお相手が簡単に死んでしまい、最後まで危機が表面化せずに終わったのは予定調和というかおめでたい感じである。それにしても近親間で性愛感情が生じるというのは誰の趣味かと思うが、いわば禁断の愛ということで、2人の関係が破綻に至るリスクがあらかじめ回避されていたと取ればいいのか。 そのほか今回も星(都市)一個を完全に滅ぼしていたが、画面上で死んだように見えたのは敵の親玉とサーシャの二人だけであり、どうもメインキャラ以外は制作側の視野に入っていないらしい。ストーリーの都合のために何人死のうと構わないというのも通例化してきたようだが、こういうことをやるようでは、地球人類含めて人命への配慮など制作側には全くないのではないかと疑わせる。 以上、当然ながら褒めるようなものでは全くないが、ただし冒頭で何が何だかわからないまま危機が進行していくのを見ていると、これは案外期待できるかも知れない、と一瞬思ったことだけは認める。[DVD(邦画)] 4点(2015-10-10 22:20:18)《改行有》

32.  地球防衛少女イコちゃん2 -ルンナの秘密-<OV> 《ネタバレ》 前作よりも若干映画らしくなった気がする。特撮は一応頑張っており、一応の怪獣モノらしく地上・地底・海中の怪獣が出て、それぞれに対応した防衛隊の超兵器が活躍するので少し見ごたえがある(地底戦車がユニーク)。 主人公はいきなり二代目になっており、初代に比べると少し素朴であどけない感じを出している。蝉の声がする中を(夏休み中?)涼しげな服装で現われて、基地内を軽やかに走り回っていたのが可愛らしい。敵の攻撃で素っ裸にされてしまう場面もあったが、一瞬映った全身像を見るとパンツだけは着けている。この場面と、それに続いてヒーローが見せたフォロー行動には正直笑った。 また今回は主人公以外にライバル美少女(演・田山真美子)が登場し、さらに終盤ではウルトラ兄弟よろしく助けに来た初代も入って三人娘状態になっている。前作がとりあえず作ってみた的な雰囲気だったのと比べると、より本格的に美少女特撮の形式を整えたように見えるが、そのせいで本来は職場の花だったはずの女性隊員(演・松崎ユカ)が割を食わされているのは気の毒だ(前作も同じだが)。 それにしても、終わってみれば二代目は失敗ばかりで全く活躍しておらず、いいところは全部ライバルに取られてしまって、これで「二代目襲名よろしくね」もないものだと思う。しかしラストで三人娘が揃って踊る「イコちゃん音頭」(3番のみルンナ音頭)の場面を見ていると、全員の歌唱力のなさが微笑ましいので最終的には全部まとめて許してしまう感じである。初代イコちゃんは少しふっくらしたようだが、それはそれで可愛らしい。 なお見ていて気づいたのは、主人公が夜空の下でギターを抱えて歌うのが岸本加世子の「北風よ」(1977)のようだったことで(その頃は岸本加世子も可愛かった)、この場面はほかに加山雄三的な感じと「時をかける少女」(1983)的な感じと伊藤つかさ的な感じ(主に声質)も含まれていて複合的な印象がある。ここで歌われる「イコのバラード」は少し心に染みるものがあった。[DVD(邦画)] 4点(2015-03-28 20:51:04)《改行有》

33.  天国にいちばん近い島 《ネタバレ》 まず主人公の少女は、あまりに清楚で可憐で正視するのがためらわれるほど眩しく見える。 しかし、これとの対比で現地の個人ガイドは極めて胡散臭い。意味的には、少女にとっての“父親”と“恋人”を分離する触媒として機能していたのかも知れないが、映像的には中年男が若い娘を手玉に取るような趣向にしか見えないのが極めて不快で、その子に近寄るな!触るな!と言いたくなる場面が多々あり、これは製作側の誰かの歪んだ欲求を反映しているのではないかとさえ疑われる。主演女優をクラリスにでも見立てれば男のロマンとかいうものが表現されていると取れなくはないが、何にせよ実写では気色悪いだけである。 一方で“恋人”役についても、「時をかける少女」(1983)を見た立場としてはまた深町か、と落胆させられるわけだが、薄汚い中年男と比べればまだしも爽やかといえる。  ところでこの映画の最大の謎は主人公にとって天国に一番近い島はどこだったのかということだが、それは結局よくわからない。恐らく、特定の場所というより人との関わりで見出されるもの、というようなオチだったのだろうと思うが(主題歌の歌詞もそうなっている)、そうだとしてもそれで自分の人生が豊かになるわけでもない。また愛とは自分のための物語、とかいう認識にしても、手前勝手で自己完結的な感じでついて行けずに困惑するばかりである。 要は主演女優の姿だけが救いの映画であり、未熟なようでいてちゃんと女優らしい表情も見られたのは大変よかった。後半になると滞在日数に応じて日焼けもしていた。だからどうだというわけでもないが、とにかくこの人を見なければこの映画を見た意味がない。[DVD(邦画)] 4点(2014-11-07 22:06:29)《改行有》

34.  ザ・フライ2/二世誕生 《ネタバレ》 前作までは移動のための機械を開発していたのに対し、今回は生物工学的に使うことになっていたのは新しいアイデアである。前作の ”FUSION” からの発展だろうが、あるいは以前からずっと化物製造機でしかなかったのをやっと開き直って認めたかのようにも見える。 問題のハエ男に関しては、前作もそうだがそれ以上にハエには見えない。制作側が好き勝手なイメージを膨らませて作ったとしか思われず、これなら旧作のハエそのままの頭の方がまだましである。また人間の時に多少の人情味があったとしても、ハエ男になったとたんに主人公自身が残虐行為をするのでは全く共感できず、イヌ(黒い方)の頭をなでて見せるくらいでは説得力が皆無である。特に今回は、主人公がめでたくただの人間に戻って恋人と結ばれるはずなのだろうが、女にとってはPTSDになりそうな場面が連続し、それでも元の関係に戻れるほど人間の愛情など強くないだろう。 ただこの映画で唯一ほめられるのは、第1作の ”The Fly” (1958)からこの映画に至るハエ男シリーズ5作の中で、ヒロイン(妻を含む)の外見が個人的に最も好みだったことである。[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 20:49:09)《改行有》

35.  幽幻道士4 《ネタバレ》 冒頭で映る水平線が左に傾いているのがわざとなのか雑なのか気になるが、続いて変に残虐な場面を見せつけられるのは気分が悪い。ホラーだからといって妊婦まで脅威にさらすのが子ども向け映画にふさわしいとも思えない。 本来は子どもら主体の映画だと思えばこそ少々のことは笑って許せていたわけだが、今回やたらに下ネタだらけなのは誰に見せるための映画なのかわからない。原語はともかく吹替のせいで下品になっている面もあるかも知れないが、美女の寝所の場面などからすればもとからこういう姿勢で作っていたことになる。 コメディとしても笑えるところがほとんどなく、わずかに笑ったのは「見なかったことにしよう」「別々に恋人作って...」という台詞と、終盤で特殊霊魂が敵の頭に桶か何かをぶつけた場面くらいのものだった。吹替に出る70年代のフォークデュオの懐古などは鬱陶しいというしかない。 最後の対決場面はアクションに加えて光線技まで出る派手な戦いで、危機につぐ危機で手に汗握る展開といえなくもないが、個人的にはいつまで見ていれば終わるのかと延々待たされる感じだった。東映戦隊シリーズ並みに、ドラマ部分を含めて全体を30分番組ぐらいに詰めれば見やすくなったかも知れない。 ただし最後の絶体絶命の場面で突然救いの神が降臨したのは、なるほどこういう手があったかと少し感心した...最初からいたのはわかっていたはずだが存在を忘れていた。 登場人物としては、新顔の保安隊長が「ジョー隊長」というのは宍戸錠に似ているからかも知れないが、それをいえば大人テンテンは志穂美悦子のようでもある。宿屋の主人は誰にたとえるのが妥当かわからないが、個人的趣味でいってしまえば川島なお美?を思わせる現代的美女だった。ちゃんと大人の女性で見どころがあるのは悪くない。 また子どもテンテンはほとんど出ないが、孤児連中のうちの女児2人(特に年長の方)がこれに相当する存在だったらしい。この2人が白塗りメイクで大人テンテンに捨て台詞を言ったところの表情は可愛かった。ちなみに年少の方は監督の娘だったとのことである。 ほか余談的に少し真面目なことを書くと、今日は15日で満月だという台詞があったのは太陰暦というものの基本を思い出させられた。[インターネット(吹替)] 3点(2021-11-27 11:27:44)《改行有》

36.  サイキックビジョン 邪願霊 ~狙われた美人キャスター~<OV> 《ネタバレ》 題名が長いが、本編を見ると「邪願霊」だけが本来の題名のようなのでその他は無視でいい。 内容としては極めて安手で貧乏くさく見えるビデオである。劇中アイドル歌手はいかにも昭和っぽく、題名のキャスターの服装も昔風で見ていられない(こういうのが流行っていたのは確かだが嫌いだ)。少なくとも序盤は真面目に見るのが苦痛だったが、しかし本筋に入ると少し緊迫感も出るのでそこまで耐える必要がある。突然爆発が起きたところはさすがに驚いた。 またいろいろと後世の映画で見覚えのある要素が多く、現代邦画ホラーの元祖のような扱いをされているのも納得できる。劇中の出来事を見る限りは「女優霊」(1995)の直系の祖先のようで、劇中アイドルの扱いがよく似ているように思われる。また歌が原因になっていたのは、誰も知らないだろうが「録音霊」(2001)に受け継がれた形である。映像面でも、何かがたまたま映り込むのは今となってはよくあることだが、このビデオでは初回に少し目立つようにしてわかりやすくしていたのが親切だった。ほか特に、この時期にフェイクドキュメンタリーホラーはかなり新しい試みだったのではないか。 そういう意味で、邦画ホラーのファンなら教養として見ておくのもいいかも知れない。自分はファンでも何でもないので本来見る必要はなかったが、見てしまったので一応紹介だけはしておく。 ちなみにわざわざ書くべきことかとは思うが注意事項として、この話では芸能界の闇のようなものが背景になっているようだが、このビデオが製作されたのは実在のアイドルが自殺して社会的にも大きな影響があったとされる1986年の事件のすぐ後であり、当時はまだ日本国民のかなりの部分がそのことを鮮明に記憶していたはずである。当時を知る者としてはこれと無関係に製作されたとは思えないが、しかし劇中の出来事をこの事件に過度に重ねてしまうと故人への冒涜になってしまうのでやめるべきだと書いておく。 なおエンディングの後で、特別出演の水野晴郎氏が余興的にハリウッド怪談を語っていたのはいいとして、竹中直人が無意味に出たのは不快でしかない。これが最後に悪印象を残したので、点数をさらに落とすことにする。[DVD(邦画)] 3点(2017-12-21 23:59:33)《改行有》

37.  地球へ・・・ 《ネタバレ》 まず宇宙船が土俗ホラーマンガ風のデザインのため、観客が共感すべき相手が乗っているようには全く見えない。また主題歌の「ツ~テ~ラ~」というのが昭和の歌謡曲風で非常に聞きづらい。ほか物語の展開がかなり唐突で、場面が少し飛んだように見えるところもあるのは不自然である。 キャスティングに関してはジョナ・マッカという人物の声がいかにも下手くそで、中性的な少年という設定なのだろうとは思うが、明らかに女の声であるのに自称が「ぼく」では非常に困惑する。専業の声優でない者がアニメの声を当てるのを嫌う風潮に同調するつもりは特にないが、この点に関してはさすがに納得できない。 また個別エピソードで非常に違和感を覚えたのが自然出産の候補者選定で、映画では初めから自分好みの若い女に目をつけていた男が、無理やり自然出産の方針を決めておいてなし崩し的にモノにしたように見える。申し訳程度に相思相愛の場面も入れていたが表面的なごまかしとしか思われない。こういうところに勘繰りを入れるのは見る側の心が汚れているからなのか。 ほか全体的なテーマとしては、環境破壊とか管理社会に否定的なのはわかりやすいが、その上に「愛」などというものが出て来るのがいかにも当時の風潮で、多分「愛の戦士たち」とか「愛は地球を救う」とかの影響だろうが、その愛とは何のことなのか不明瞭なまま雰囲気だけで適当に通そうとするのが気に食わない。終盤で、種族の別なく助け合う姿が見られたのもいわゆる災害ユートピアによる一時的なものに過ぎず、出奔した一団が帰るまでに「愛の星」の基盤になるものが見えていたとも思われない。いずれまた殺し合いになるだけではないのか。 以上、とりあえず悪いことだけ書いたが、ちなみに映画を見たあと原作(なぜか自宅にあった)を読んだところ、好きなタイプのマンガかどうかは別にして変だと思うところは特になかった。当時のSFファンタジーの佳作と思われる。[DVD(邦画)] 3点(2017-08-25 20:22:35)《改行有》

38.  丑三つの村 《ネタバレ》 個人的に思い入れのある「八つ墓村」(1977)の関連映画として見たが、そのほか出演女優の大胆な演技が見られるというのも大きな動機である。しかし当然ながら主人公には全く共感できず、この男のドラマとしては見るところがない。 劇中では「天才と○チガイは紙一重」という発言が出ていたが、少なくとも天才には見えないのでこの言葉が当たっているとは思えない。主人公が徴兵検査から帰ると村人の態度が一変していたのは情報伝播が早すぎて不自然に見えたが、これが主人公の被害妄想による主観映像だったとすれば、これから精神状態が悪化していく最初の兆候だったとも取れる。何かと不安定な逢魔が時に“不要な人間は山に埋める”などという話を聞いたため、殺される殺されるで頭が一杯になってしまったのはまことに気の毒なことである。 また決行に当たり、女が来るのを期待して手紙を出すというのもみっともない話だが、終盤の別れの場面なども、もしかするとこれで本人としてはヒロイックな(格好いい)つもりだったのかも知れない。とにかく若年者のこっ恥ずかしい妄想を大真面目に映画化したようで、同感というより単に痛々しい。 最後の山上の場面では、近くの山に送電線の鉄塔が建っていたり眼下の集落の道路がアスファルト舗装のように見えたりで、まるで主人公が突然時間を飛び越えて現代に出現したような変な印象があった。ここで主人公がカメラ目線で皆様へ別れを言ったりするので、これは現代の観客に対して直接何かを訴えかけているのだろうとは思ったが、自分としては全く聞く気がなく、早く映画を終わりにしろと思っただけだった。 そのようなことで、決して内容のない映画ではないとは思うが、個人的には出演女優それぞれの持ち味を賞する以上のものにはならなかった。点数は女優陣に入れておく。[DVD(邦画)] 3点(2016-07-25 19:52:24)《改行有》

39.  地球防衛少女イコちゃん<OV> 《ネタバレ》 もしかすると当時は怪獣特撮の亜種として扱われていたかも知れないが、いま見ると美少女愛を表現することの方が主目的に見える。恥ずかしげもなく少女嗜好を丸出しにするのは80年代初期からあった気がするが、特撮でそれをやったのは初めてだったということか。いわゆるスクール水着で登場するとか、緊縛されて悶える表情とかもあるが良識人が眉をひそめるというほどでもなく、まあ笑って済まされる程度に収まっている。 そういう観点からすれば特撮などどうでもいいとはいえるが、それにしてはちゃんとミニチュアセットを作って火をつけてみたり、成田亨氏監修の着ぐるみ怪獣を出したりするのは意外にまともな感じがする。また人形劇の部分は一定の出来になっており、これは特撮というより「プリンプリン物語」(NHK、1979~1982放映)などからの連続性を感じる。 そのほか、唐突に演歌のカラオケ場面が挿入されたりするのはバカ映画としての先駆けであり、また敵の最終兵器が有線で電力供給されていたのも後のアイデアを先取りしていた感がある(これは違うか)。 ところで主人公が可愛らしいのは認めるが、極めて昭和的な純真?美少女のため一定の抵抗感があり、主題歌の「わたしのハートはルンルンよ」とかいう歌詞にも失笑させられる。それでも役者はこれ以前から子役として実績のあった人らしく、ちゃんと期待されたとおりのカワイイコを演じており、特にエンディングテーマの部分などはあまりにかわいいので笑ってしまう。それをいえば友人のアサミ役(演・山崎あかね)も別種のかわいさがあるが、後半は出ないので存在感が低下してしまうのが残念である。そのほか防衛隊に初めからいた女性隊員(演・菅原弓子)は地味に扱われて気の毒だか、個人的にはこの人が最も昭和らしい感じを出していて好印象だった。 それにしても中山昭二氏ほどの人をよくこんなものに出したと呆れるが、個人的にはこれで往年のキリヤマ隊長への尊敬の念が失われるわけではないので別に構わない。 なお点数は低目にしておくが、あまり高い点を付けると他の映画に失礼だからということであって、個人的にこういうものが嫌いというわけではない。[DVD(邦画)] 3点(2015-03-28 20:50:51)《改行有》

40.  湯殿山麓呪い村 《ネタバレ》 終始殺伐とした雰囲気で観客が共感を寄せる人物が誰もおらず、盛り上がりにも欠ける地味な映画であり、不気味な予告編も実は完全なこけ脅しである。江戸時代の呪いが現代に生きているというような内容で、戦中期に起こった事件が現代との間を中継ぎしている点では八つ墓村のような構造になっているが、出来事の間の連関が不明で運命性のようなものは感じられず、劣化八つ墓村といった印象がある。 ところで劇中の「新学説」については、劇中人物が言っていたテレビの視聴率よりも観光資源の整備に例えた方がわかりやすい。江戸時代の寺社参拝は現代でいうツアー旅行のようなもの、という話は90年代には聞いていたように思うので、この基本的な考え方自体は否定できるものではないと思われる。ただしこの映画の「協力」として、地元の村の名前が挙がっているのには正直呆れる。また実物の即身仏も映っているので寺院も撮影に協力したということかも知れないが、実在の信仰の山に対して侮辱的な内容であるにも関わらず誘客につながるならどんな映画にも協力するというのでは、この新学説の信憑性を自ら高めるようなものである。まあ当時は現実問題として拒否することなどできなかったかも知れないが、少なくとも今なら観光誘客にせよ映画誘致にせよ、もう少しまともな意識のもとで行われているものと信じたい。 なお、変に真面目な映画のため笑えるところがないのは残念だが、終盤で主人公が元恋人を殴った場面では、冒頭にあったように死んだと見せてウッソピョーンと復活するかと思ったらそのまま死んでいたのが意外だった。[DVD(邦画)] 3点(2013-11-19 00:07:16)《改行有》

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS